日本株は、底入れ形成中。米国は利上げに一歩進む。個別銘柄の優先順位のつけ方。

2015/09/07


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※以下は、先週5日に増田経済研究所会員向けに配信された、8日(月曜日)の朝刊の早出し版です。

【骨子】

1.米雇用統計は、そこそこの内容だが、市場の反応は「連銀は9月利上げを強行」説に傾
斜し、米国株は大幅安。
2. 米2年債は売られ(9月利上げを意識し始め)、10年債は買われ(株から資金逃避)たが、レンジを突破しているわけではなく、まだ流動的。
3.今回の米国株安は、「中間反落」の最後の駄目押し。
4.市場はまったく危機感を意識していない。~ジャンクボンドは先週末、ほとんど動じることがなかった。ダウ輸送株もきわめて小幅な下げにとどまった。
5.週明けの上海市場再開は、第一次反応としては下げても、すぐに持ち直すはず。
6.日経平均は、5日移動平均線18225円奪回が引き続き来週の課題。200日線19074円、3月月中平均19197円はまだ遠い。
7.メジャーSQ(11日)までに、売り方がどこで手仕舞い始めるか。「荒れる水曜日」は注目。
8.主体別投資家動向、空売り比率など需給からは、底入れ形成期間に入っている。
9.個別銘柄は、トレンド維持型か、超長期波動で完全逆張りか、はっきりさせる。中途半端な下げは、判断が非常に難しい。

【ストラテジー】

★雇用統計の内容。
9月4日発表の8月分の雇用統計では、非農業部門雇用者数前月比が17.3万人増と20万人の大台を下回りました。これを良くない、と考えるかといえば、そうではありません。
過去3年に渡って、この非農業部門雇用者数が絶対数として減少したためしがありません。
増加人数の多寡はあっても、ずっと増加しつづけているのです。
一方で、6月分、7月分が遡って上方修正されており、失業率は7月の5.3%から5.1%に改善、労働時間も賃金も伸びています。
非農業部門雇用者数の増加が予想に届かなかったといって、ネガティブな反応をするときもありますが、基本的に労働市況が改善をずっとし続けているということは間違いありあません。

★雇用統計に対する市場の反応~株と債券の反応。
上記の雇用統計を見て、週末の株式市場は、9月のFOMC(米公開市場委員会、16~17日)での利上げの可能性が否定できないとして、大きく下落しました。
この反応について、市場に関する各種コメントでは、数値が弱かったから下げたといったものも散見されますが、そうではないでしょう。
こういうとき(中央銀行が政策金利を引き上げるかどうかのチェックポイント)としては、まず一番市場の反応を反映するのが、2年個国債利回りです。
米2年国債利回り(1090)は、週末上昇しています。
一方、米10年国債利回り(1091) は、逆に低下しています。
2年利回りは、明らかに市場が9月利上げ観測を強く抱き始めたことを示しており、10年利回りは、株式がこれで大きく下げ、資金が国債に逃避した側面を示しているでしょう。
ただ、2年利回りは、上昇した(売られた)といっても、まだチャートを見ればわかるように、0.6%台でずっと持ち合い、膠着レンジの中にあります。
上限は0.76-0.80%ですから、まだはっきり2年国債が9月の利上げを織り込み始めたと断言できるまでにはいたっていません。

★連銀関係者の発言はまちまち。
連銀内部では、まだ9月利上げかどうか、腹は固め切っていないでしょう。
先日のジャクソンホールでの金融シンポジウムでは、フィッシャー連銀副議長(イエレン議長の代弁をしたと思われる)は、今後2週間のマクロ指標を見て決め るとしていました。
連銀も市場を動揺させたいわけではないので、9月利上げの場合でも、「利上げは金融引き締めではなく、ゼロ金利という「異常」な金融政策を正常に戻すだけであり、2回目以降の利上げピッチは緩やかになる。」という従来のメッセージを繰り返し強く出すでしょう。
また、従来のように0.25%ではなく、0.125%の利上げ幅にするかもしれません。
週末、そのほかの連銀関係者としては、ラッカー米リッチモンド連銀総裁が「8月の雇用者増は妥当で強い伸びだった」、「米国にゼロ金利はもはや必要ない」としています。
一方、コチャラコタ米ミネアポリス連銀総裁は「年内利上げすべきでないと改めて表明」するなど、まちまちです。

★市場の第一次反応。
まだ市場は9月利上げを決め打ちしたわけではないので、利上げに対する第一次反応は鮮明になっていません。
ただ、傾向はでています。
たとえば、ドル円は雇用統計発表後、当初上昇して120.68円までドル高となりましたが(第一次反応)、結局下落して、119円台前後までドル安・円高です(第二次反応)。
株式は、明らかに9月利上げ説への傾斜で、大きく売られました(第一次反応)。が、朝方の安値に比べては、やや下げ幅縮小で終わっています(第二次反応)。
わずか一日の間の反応の変化ですし、9月利上げと決まったわけでもありませんから、なんともいえませんが、この一日の株と債券、ドル円の反応の変化は、典型的な9月利上げの場合の、第一次反応と第二次反応の違いを示したミニチュア版ということが言えるかもしれません。

★来週の米国株市場想定。
以上のような、9月利上げ強行説台頭、市場の第一次反応、第二次反応の傾向を見てきますと、来週は、月曜日が休場であるため、火曜日再開以降の想定になりますが、基本的には一拍置いて、落ち着きを取り戻し、9月利上げ(の有無にかかわらず)の可能性を前提として、相場はまだしばらく第一次反応的な現象が出るかもしれませんが、次第に第二次反応の傾向を強めるでしょう。
つまり、ドルは強含むものの、結局頭打ちで下落に向かいます。
株式は当初サプライズ、あるいはショック症状を見せますが、やがて沈静化し、 最終的には利上げができるほど米国ファンダメンタルズは堅固であるという認識に立ち返り、次第にに上昇基調を辿ります(やがては、新値更新も視野に入ってくる)。
長期金利は、2年債利回りが上昇し続け、0.7-0.8%のレンジ上限を突破します。
一方10年利回りは、しばらく株が落ち着くまでは停滞を余儀なくされるものの、その後はやはり上昇に転じます。ただ、昨日述べたように、2.5%がまずは上昇の限界でしょう。

★市場はもはやリスクを感じていない。
米国株が大幅安になるのは、構いません。当然なのです。これが、金融相場→業績相場の端境期に発生する「中間反落」だからです。
先述のように第一次反応だとすれば、当初はそれで良いのです。
では市場全体がとんでもないリスクを感じているかどうかといえば、まったく無 いということです。
なぜなら、世界中の投資商品の中で、最もリスクを怖がるジャンクボンドETFが、ほとんど週末に、下がっていないからです。

(米ジャンクボンドETF)
図表割愛

(同上、過去5年)
図表割愛

ジャンクボンドは、いわゆる投資不適格社債ばかりを集めて証券化されたETFです。
24日に最大出来高をつくって、2011年の欧州債務危機のクライマックスでつけた 安値圏にすでに到達していました。
以来、持ち直し、短期のチャート見てわかるように、先週末はまったく動じていません。
つまり、金融市場にはリスクを深刻に考えているフシはまったく無い、ということです。
従い、先週末の米国株安は、中間反落としては、おそらく最終的な駄目押しに近いものがあったのではないかと思います。
おそらく、レイバーデーの3連休前日だったということも、余計な下げを引き起こした要因であるかもしれません。結論としては、この米国株の下げは、早晩持ち直すということです。
景気先行的なダウ輸送株(1083)も、下げたとはいえ、ほとんど小幅なものにとどまっており、米国市場全体が大きく下げたというのは、正しくないでしょう。

★ノイズは、週明け早々再開する上海市場。
問題は、この流れに水を差すものとして、チャイナショックが市場では気にされています。
抗日戦勝記念日が終わり、当局のコントロールが一服したとして、週明けの上海 株式市場が、下にすっぽ抜けるかどうかを気にしているわけです。
が、これまでも解説しましたが、チャイナショックというものは、そもそも無いのです。
口実にすぎません。
ファンダメンタルズで見れば、豪州から中国向けの輸出額(豪州からの全輸出のほぼ3分の1)は、2013年12月がピークで、以来長い減少が続いていたのですが、4月をボトムに毎月改善局面になっています。
今後長期トレンドでは、バブル崩壊によるソフトランディング(あるいはデフレ化)を目指し、停滞・悪化していくでしょうが、その間には何度も、短い景気循 環はそれなりに繰り返されます。
その景気循環の上りの局面はすでに始まっているでしょうし、10月には五中全会が開かれ、五ヵ年計画が討議されます。
政策発動は必至です。先の抗日戦勝記念の演説では、人民解放軍30万人の削減を述べており、いかにも軍事優先から経済政策重視の方針を見せているわけですから、チャイナリスクというものも、しょせんノイズに過ぎず、2-3ヶ月後には、
それがあったことさえわからないくらい、メディアの紙面からは忘れさられていることでしょう。
週明け、米国市場は休場ですが、再開する上海市場のことが東京では大変気にされることでしょう。
当局としては、ここで気を緩めると、相場が失速するだろうということも十分考慮しているはずですから、官制相場としてはむしろ介入の手を緩めないのではないでしょうか。
また、連銀が9月利上げになるという市場観測が高まっているのが事実とすれば、これは、ドル高局面の打ち止めを意味しますから、資金流出に悩む人民元や、新興経済国家通貨にとっては、願ってもないとめどもない自国通貨安の歯止めの効果を持ってきます。
第一次反応で、中国株安、人民元安があったとしても、すぐに持ち直すはずです。

★引き続き、日経平均はなにはともあれ5日線奪回が急務。
引き続き、5日移動平均線18255円の奪回が今週の最初の課題です。200日線19074円、3月月中平均19197円はとてもまだ遠すぎます。
ただ東証の空売り比率は41%という過去最高記録ですから、いったんアンワインド(巻き戻し)が発生すると、簡単に1000円くらい値を飛ばすでしょうから、動き出せば意外に簡単な話です。

★売り方の行動原理。
問題は、相場の主導権を握っている売り方の判断です。
11日金曜日はメジャーSQですから、その前には動きがあると考えるのが自然でしょう。
週明けは、先週末の海外相場が大きく下げているため、その地合いを引き継いで一段押しを朝からトライしても不思議ではありません。
ところが売り方としては、18000円以下で公的資金のPKOが入るだろうことは想定しています。日銀は、31日、1日、4日と317億円のETF買いを行っていますが、年金など(鯨ではなく、もはや金魚だと揶揄されていますが)のPKOが4日入っていたか、まだよくわかりません。
ただ24-25日当時に比べると、出来高がずっと低いので、PKOが入っていたとしても、あまり規模が大きくなかったのではないかと推察します。入っていたとしたら、4日の後場でしょう。出来高が増大しています。
売り方としては、できるだけ、SQ値を押し下げたい意向があるでしょうが、週明けの序盤戦で下値トライに一巡感があれば、買い戻しに動く可能性が出てきます。
また、いわゆる「荒れる水曜日(9日)」はなんらかの変化が起きるタイミングです。

★東京市場は基本、底入れ形成に入っている。
4日の日経平均は、25日の一番底に対して、二番底に当たりますが、基本的にはWボトムを形成中と解釈しています。
底入れパターンの典型的な主体別投資家動向は、3週連続で、外人(順張り)の売り越し、個人(逆張り)の買い越しですから、3週のどこがピンポイントでボトムかはこのデータからは特定できないものの、今回の安値タイミングとオーバーラップしているわけですから、ほぼ底入れ形成中であることは、間違いないでしょう。
需給関係では、空売り比率の過去最高水準ヒットという中だけに、東京市場がここから大きく値崩れするという可能性は、きわめて低いと判断しています。

★黄金・チャンピオン銘柄、先導銘柄リスト。
指数が底入れ形成期間に入っているとすれば、個別銘柄では次第に積極策に出初めて良いということになります。
以下、「先導銘柄」を例にとって、個別銘柄の選択肢を考えてみます。
それ以外の銘柄群でも同じように考えれば良いでしょう。

(トレンドを維持する生き残り銘柄を重視)
全体観は、9月利上げと決まったわけではないですし、総合株価指数はまだ流動的でしょうが、個別はこういった下ブレのたびごとに、強いものがよりはっきりしてきます。
大きなシェイクアウト(振るい落とし)にかかっているわけで、生き残る銘柄に集中投資していけばよいのです。
この場合、25日足というトレンドをあくまで維持する銘柄が、なによりその生き残りの証明になります。
たとえば、「先導銘柄リスト」の中では、東急建設1720は、まったく25日足割れをきたしていません。アダストリア2685にいたっては、年初来高値更新ですから、驚くべき強さです。
オカモト5122などもまったくトレンドという点では、危なげないでしょう。

(逆行高、あるいはたちまち戻す銘柄)
多少割ったとしても、すぐに戻してくるようなものであれば、問題ありません。
そうした25日足割れ銘柄では、やはり先導銘柄では、東電9501が先週末の日経平均安値更新の中で、小甘い程度で終わっているところなどは、腰の強さが抜群であることを示しています。
高砂熱学1969は、わずかに25日足を割ったていどですから、すぐにトレンドを奪回する至近距離にいます。任天堂7974、日本トリム6788も同じです。
DDS 3782のような例は、長期的期待が大きい銘柄で、直近激しい動意を見せたこ とは記憶に新しいところです。
相場の動揺で、この銘柄に入っていた短期筋が、あわてて利益確定したのが、先週末の大幅下落でしょうが、25日足を一日割り込んだだけです。戻す力があるとすれば、週明けすぐに見せてくるはずです。
逆に、25日の安値を割っていないものの、25日足から距離が遠くなってしまった例が、野村工芸社9716です。戻るとして、普通の戻りになっていくというところでしょう。

(まったくの逆張り。それも長期の逆張り)
上記で見た例とはまったく逆の発想です。
完全逆張りという線です。
従来、当レポートや黄金・チャンピオン系銘柄に関しては、こうした逆張りは非常に例外的にしか取り上げませんでした。
ただ、こういう一年に一度あるかないか、という大幅安のときですし、また向こう数年間を想定しても、大きな金融相場から業績相場への端境期に発生する中間反落であるという観点からも、珍しく逆張りで安値拾いをしても良いタイミングであろうと考えます。
トレンドからは見事に見放されている銘柄群ですが、長期投資では、結果的に非常に大きなリターンが期待できるわけです。
危険ですが、失敗したところでおそらく上がらないというリスクだけでしょう。ここから大きく下がる余地は無い、ということから考えれば、勝負する価値はあるでしょう。
週末の黄金日報でも若干触れましたが、東証で連日公示している日々の空売り比率では、海運、銀行、繊維などが株価規制の有無を合計して40%以上という、突出したセクターです。
先導銘柄リストでいえば、川崎汽船9107がこれに該当します。
信用倍率は17倍ですから、とんでもなく買い方が過剰です。が、7月の安値時点では23倍でした。
要するに、次第に解消しはじめているわけです。7月水準に比べて、株価が安いですが、25日安値をぎりぎり割らずに値を保っているということは、注目に値します。
株価が上がるごとに、当然ながら戻り売りが常にでてくるため、どうしても上昇ピッチは遅いのですが、水準論だけで語れば、上記の経緯を見る限り、長期的なボトムを打った可能性がきわめて高いと言うことがいえるでしょう。
先々米国の利上げ=業績相場が本格化していった場合、間違いなく原油など商品 価格は大きく上昇サイクルに戻るでしょう。
物流増大がこの業種に反映されないはずはありません。すでに中国向けの豪州からの輸出は、4月から連続増大中です。

(中途半端な位置にある銘柄が、目先厳しい)
こうしたアプローチと違い、目先厳しいのは中途半端な下げになっている銘柄です。
たとえば、神戸物産3038です。
25日足から下方乖離を拡大中ですが、とくに突っ込んでいるわけでもありません。
こういうケースは、うまく戻ってくれれば良いのですが、ずるずると下降トレンドを続けられてはたまりません。
すでに、25日の安値を割っています。週明け、戻りが顕著でないのであれば、見切る必要がでてきます。
この種のパターンに陥っているのは、先導銘柄リストのチャンピオン系の第一集団に非常に多いです。
ちなみに、チャンピオン系の第二集団は、九電工1959を除けば、おおむねトレンドをまだ維持していると官上げても良さそうなものが多いです。

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商号等:有限会社増田経済研究所/金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第1069号

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