■ 第1章 何故に投資家はかくも相場に負けるのか Part4

2017/11/03

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<私の記憶によれば Part4>

3人目の本部長は、私が配属になった本部のトップです。新入社員研修が終わった段階で、本部長同士の話し合いで、誰を自分の本部に入れるかドラフト会議があるそうです。そのドラフト会議では、海外留学経験があり、経済の勉強をしてきている私は全く人気が無く、「西郷どん」も「サスペンダー」も、受け入れ拒否だったそうです。彼らにとっては、理屈を言わない体育会系のイエスマンが最も欲しい人材のようで、日経新聞を読んで小難しい経済の話をするような人間は、扱いにくくて仕方ないらしいのです。そういうことで、私は3人目の本部長に拾ってもらうことなりました。

彼は他の本部長よりもずっと若くして本部長に昇格していました。話し方も控えめで、他の2人が大声でわめき散らすのに対し、静かに落ち着いて話をします。私も彼には好感を持っていたので、彼の本部に採用してもらったのはとてもうれしく思いました。

彼の従兄弟の中には東大に行った人もおり、自分も本来なら東大に入れたのだけど、たまたま運悪く受験に失敗して行けなかったという話を最初に聞かされました。高校時代の友人には、外資系証券会社で働いている人もいるようで、ことあるごとにその外資系証券会社の話が出ます。他の2人と大きく異なるのは、話している内容に知的な響きがあることです。そこで彼のことは「インテリ」と呼ぶことにします。

「インテリ」の本部に配属になってから、実践的な教育を受けることになるのですが、いつまで経っても自分が扱う商品であるはずの相場についての教育はなく、毎日毎日どうすればお客を獲得できるかという営業テクニックの教育ばかりが続きます。最初のうちはそれも十分刺激的でした。

ある時など、訪問先の社長が全然話を聞いてくれない時にどうするかという話になったのですが、「インテリ」は持っていた新聞紙を目の前に広げ、いきなり「バリッ!」と大きな音を立てて破りました。突然のことでいったい何をするのだろうとビックリしたのですが、「社長!私は真剣なんです。少しで良いので私の話を聞いてもらえませんか!」と話しかけろというのです。確かに、突然こういうことをされると、ビックリしてこちらに注意を引くことはできますが、手品を見せている訳ではないので後が続きません。実際問題、相場の勉強はさせてもらっていないので、それだけインパクトのあるアプローチに値するほどの聞いてもらう話もできないのです。

最初のうちは、客がいなければ相場の勉強をしても仕方ないので、まあ営業の教育ばかりされるのも仕方ないかと思っていましたが、しばらくすると、いくら何でもこれでは営業に行った時に、自分が売っているものの話ができないではないかと疑問に思い始めます。しかし「インテリ」は、「我々はプロだ」という自負を持てと言い、客には「我々はプロですから」と話せと言います。しかし「インテリ」の言う「プロ」は、販売のプロであり、相場の分析は全く関係の無いことだったのです。

「インテリ」の「我々はプロですから」という話を信じて、彼のアドバイス通りに売買した客は、プロのアドバイスを受けているにも関わらず何故か損をし続けます。どうやら彼には、素人ほどの相場知識も無いのではと客が気づいた頃には、資金は底をつき、どうにもならないところまで追い込まれています。

*教訓その4: 相場の営業マンは、営業のプロであって、相場のプロではない

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