アノマリー検証 第3回「日本株のデイトレードは売りが圧倒的に有利って、本当に信じて良いのでしょうか?」

2017/06/05

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前回は大型株のアノマリー検証をお見せしましたが、今回は小型株で同じ検証を行ったらどうなるかについてお見せしたいと思います。
検証に利用したのは、日本株のバックテストと完全な全自動売買を行えるiTradeという専用アプリです。
(iTradeのWEBサイトはこちら:http://itrade.tokyo/start/link/kabuyoho/
 

<個別株曜日アノマリー検証(3)「小型株デイトレード買い」>

検証期間 2007年1月~2016年12月までの10年間
売買対象 国内市場に上場されている制度信用銘柄の内、直近3日平均売買代金が2億円以上の銘柄で、売買代金下位100銘柄を日々抽出。ただし、前日がストップ高、またはストップ安の銘柄は売買対象としない。また当日張り付きストップ高の銘柄や、信用規制で新規売買停止銘柄も売買対象としない。
売買単位 運用資産1億円、1銘柄100万円以内で最も多くの株数を買う(単利)
売買ルール 曜日を限定し、当日始値で買って当日終値で手仕舞い(デイトレード)
売買コスト ゼロ(コストを加算するとバイアスの存在が正しく見えなくなるため)


大型株との一番の違いは、3日平均売買代金が2億円以上の銘柄で、売買代金下位100銘柄を日々抽出するという点です。現実的な検証にするため、売買が可能な銘柄を対象として、その中で売買代金が小さい方から100銘柄を毎日抽出します。また売買代金が大きくなり過ぎると、自分の売買で価格を動かしてしまう恐れがありますので、1銘柄あたりの売買代金は100万円以内としてあります。

バックテストだからといって、非現実的な数字を使ってしまうと、そこに本当にアノマリーが存在しているのかどうかわからなくなりますし、仮にアノマリーが存在したとしても、実際の売買にそれを利用することが難しくなります。ですから、アノマリー検証の邪魔にならいように配慮しながらも、テストの段階から可能な限り厳格な条件設定を行っています。

以下が小型株のデイトレード買いの結果です。上のグラフは曜日別の累積損益%を示しています。下のグラフの赤い線は、全ての週の合計ですから、毎日デイトレードの買いを行った場合の累積損益のグラフで、元本が1億円に対する累積損益となります。

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2017060502

この結果を見ますと、大型株とはかなり違っていることがわかると思います。大型株では、赤い累積損益グラフがほぼ直線的に右肩下がりに下落していましたが、こちらはそうなっていません。2010年以降はほぼ横這いになっていますので、小型株市場全体にアノマリーが存在するとは言えない状況です。また曜日別のアノマリーも、あるような無いような、はっきりしない状況です。
 

<個別株曜日アノマリー検証(4)「小型株デイトレード売り」>

では、同じ内容で、小型株デイトレードの売りを行った場合の結果を以下にお見せします。売買対象は貸借銘柄のみとなりますが、大型株に比べると、小型株の方が貸借銘柄が少なくなりますので、買いと売りの違いがより大きくなります。

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2017060504

 

<小型株のデイトレード売り>

  上位100銘柄(売) 上位100銘柄(買)
月曜 9.23% -16.44%
火曜 4.22% -14.22%
水曜 -3.05% -2.54%
木曜 -24.75% 15.14%
金曜 24.12% -25.44%
合計 9.77% -43.50%

これを見ますと、小型株に毎日デイトレードの売りを仕掛けた場合は、ほとんど市場全体の陰線バイアスは期待できないことがわかります。曜日別のバイアスを見ても、金曜は大型株と同じレベルのバイアスがあるように見えますが、それ以外は期待できるものはありません。
 

<個別株曜日アノマリー検証(5)「小型株と大型株の違い」>

大型株と小型株の結果の違いに驚かれたと思います。この違いを理解して頂くために、あえて大型株と小型株に分けて検証を行ったのです。

では、なぜこのような違いが生じるのでしょうか?20年以上も前から、日経225の陰線率の高さは指摘されてきました。この原因として考えられるのが、日付が変わって一番最初に開くメジャーな株式市場が、日本市場だからではないかという点です。米国の株式市場の変動が、世界の株式市場に与える影響は非常に大きいものがあります。CMEには日経225先物が上場されていますが、日本株が売買されていない日本の深夜に売買される日経225先物は、ほぼS&P500の値動きにドル円の変動を加味したものとなっています。

日本国内に上場されている株式であっても、このように米国株の影響を大きく受けてしまいます。米国市場は、長期にわたってアップトレンドが継続してきていますので、前日比プラスで引けるケースが多くなります。その影響を受けるために、日経225は日本の国内事情とは関係なく、高寄りしやすくなります。しかし日本時間での売買には、やはり日本株のファンダメンタルの影響が出てきますので、時間の経過と共に、寄付き買われ過ぎた反動で下落しやすくなり、陰線率が高くなると考えられます。これはあくまでも私個人の推論ですが、おそらくこれが原因ではないかと考えています。

今回の検証では、大型株と小型株は、売買代金の大きさで区別しました。売買代金が大きいということは、それだけ市場の注目を浴びているということであり、おそらく225との相関も高い銘柄であると考えられます。こうした理由から、大型株は寄付きには米国株上昇の影響を受けて割高に買われ、その反動から大引けにかけて売られやすくなるのではと推測します。

小型株の場合、そもそも注目されていませんので、こうした外的な影響を受けるよりも、その銘柄独自の影響の方が大きくなると考えられます。これによって、市場全体の陰線バイアスや曜日バイアスが生じにくいのだと思います。

今回の検証結果から言えることは、デイトレードにおいて曜日バイアスを利用する場合、大型株、あるいは株価指数を対象とすべきだということです。もしこうした詳細な検証を行わずに、日経225の検証結果だけを見て、それが市場全体を支配しているバイアスだと勘違いしてしまったら、全く的外れな効果を期待して売買戦略を構築してしまうことになります。システムトレードは何だか難しそうに思われるかもしれませんが、バックテストアプリを使えば、このように市場に隠されているバイアスや優位性を簡単に探し出すことができます。こうして探し出した優位性を組み合わせていって、最終的に売買戦略を構築していくのです。

自分が行っていることが、本当に正しいことなのかどうか検証することが、非常に重要であることが、今回のケースをご覧になって頂いて、よくおわかり頂けたのではないかと思います。

*次回は、オーバーナイト(本日大引けから翌日寄付きまで)の曜日バイアスを検証してみようと思います。

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京都ラボ
iTrade (株式用バックテスト&完全自動売買アプリ)を使って、書籍等で紹介されている著名な売買戦略が日本株において有効に機能するかどうかの検証と、日本株におけるアノマリー、有効なパターン等の検証を行います。またシステムトレーダーを目指す人々のために、ストラテジー構築の考え方についても解説を行います。
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