アノマリー検証 第2回「日本株のデイトレードは売りが圧倒的に有利って知ってました?」

2017/05/30

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個別株の曜日アノマリー検証

前回は日経225とTOPIXの曜日アノマリーの検証結果をお見せしましたが、これまでにも結構多くの方が日経225にはこういった傾向があるということを紹介してこられたと思います。しかし個別銘柄の曜日アノマリーについて検証を行っている例は少ないように思います。それは、日経225やTOPIXと違い、非常に多くの銘柄を対象として、流動的な可変型ポートフォリオ(ダイナミックポートフォリオ)でのバックテストを行う必要があるために、個別株の検証に特化したアプリが無いと実質不可能だからです。

そこで今回は、日本株のバックテストと完全な全自動売買を行えるiTradeという専用アプリを使って個別株の曜日アノマリー検証を行った結果をお見せしたいと思います。
(iTradeのWEBサイトはこちら:http://itrade.tokyo/start/link/kabuyoho/

検証は、売買代金が大きい大型株(売買代金上位100銘柄)と、売買代金が小さい小型株(売買代金2億円以上の、下位100銘柄)に分けて行いました。なぜこうしたかは、これから紹介する結果をご覧になれば理解して頂けると思います。

個別株曜日アノマリー検証(1)「大型株デイトレード買い」

検証期間 2007年1月~2016年12月までの10年間
売買対象 国内市場に上場されている制度信用銘柄の内、売買代金上位100銘柄を日々抽出。ただし、前日がストップ高、またはストップ安の銘柄は売買対象としない。また当日張り付きストップ高の銘柄や、信用規制で新規売買停止銘柄も売買対象としない。
売買単位 運用資産2億円、1銘柄200万円以内で最も多くの株数を買う(単利)
売買ルール 曜日を限定し、当日始値で買って当日終値で手仕舞い(デイトレード)
売買コスト ゼロ(コストを加算するとバイアスの存在が正しく見えなくなるため)

国内に上場されている制度信用銘柄の内、売買代金が大きい方から100銘柄を選択しますので、売買対象は大型株になります。また1銘柄あたり売買代金を200万円以内と高額に設定したのは、大型株の中には1単元が100万円を超える銘柄があるからです。

この検証を行った結果、10年間で最も多く売買されたのはトヨタでした。その後には銀行が続き、ソフトバンクやソニーといった大型株が続きます。以下が曜日別デイトレード買いの累積損益グラフです。

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前回紹介した日経225の結果とは、若干異なっていることがわかると思います。月曜の陰線率が高いのは変わりませんが、売買代金上位100銘柄の場合は、水曜も陰線率が高くなっています。また日経225と比べると、全体的に右肩下がりが強いことがわかります。これは寄付きに買い、大引けに手仕舞いした結果です。10年間の利回りは、下記のようになります。

寄付き買い仕掛け&大引け手仕舞いの結果比較

  上位100銘柄 日経225 TOPIX
月曜 -32.01% -21.72% -23.32%
火曜 -21.78% 13.46% 0.14%
水曜 -25.56% -6.24% -10.25%
木曜 -8.84% 12.03% 14.57%
金曜 -34.14% -24.76% -28.16%
月+金 -66.15% -46.48% -51.48%
週合計 -122.33% -27.23% -47.02%

日経225やTOPIXといった株価指数では、月曜と金曜の曜日アノマリーだけが顕著でしたが、個別大型株の場合は、ほぼ全ての曜日で売りが有利であることがわかります。

以下のグラフの赤い線は、全ての週の売買結果を合算したものですので、毎日デイトレードの買いを単利で行った場合、投資元本2億円に対していくらの累積損失になったかを示しています。もしこの反対の売買(寄付きに空売りし、大引けに手仕舞い)ができたなら、10年間で約122%もの利回りになる可能性があることがわかります。

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個別株曜日アノマリー検証(2)「大型株デイトレード売り」>

ではこれをひっくり返して、寄付きに空売りを仕掛け、大引けに手仕舞いした場合、実際にはどうなるかをiTradeで検証した結果をお見せしようと思います。ここでの重要なポイントは、実際の株の売買においては、買いの結果をひっくり返しても、売りと同じにはならないことを理解して頂く必要があるという点です。

原因はいくつかありますが、一番大きいのは、手数料、信用金利といった売買コストです。今回はアノマリーの検証が目的ですから、コストはゼロ計算していますので上記の数字にこの影響は出ていませんが、通常の売買では必ず売買コストが掛かりますので、買いの結果がそっくり反対になる訳ではありません。

次に大きな違いが生じる原因として、信用売りは貸借銘柄に限定されているという点が挙げられます。貸借銘柄でないと空売りができませんので、空売りできる銘柄と、信用買いできる銘柄とは異なっています。これによって売りと買いの売買銘柄に違いが生じます。

更にiTradeの場合は、貸借銘柄情報だけでなく、信用規制情報も日々ベースで反映しますので、信用規制が発動されて売買できなかった銘柄は売買しません。実際の売買では、規制によって売れない銘柄ほど、もし売れていたら利益が上がっていることが多いので、この差は大きく表れます。

次に大きい影響は、ストップ高、ストップ安によるものです。例えば、張り付きストップ安となった場合、買いは入っても売りは入りません。もし前日に買っていた場合は、ストップ安が解けるまで手仕舞いすることができません。iTradeでは、ストップ安、ストップ高は忠実に再現しますので、より現実的な結果となっています。

これ以外では、成り行き注文を出した際に、売買できる株数が、売りと買いで異なるという点が挙げられます。これは実際に証券会社に成行注文を出す場合、買いはストップ高で、売りはストップ安で約定した場合を想定して、資金が拘束されます。iTradeではこれも忠実に再現されますので、同じ資金であっても、売りと買いの株数が異なります。これによって損益結果が違ってきます。

株価指数の先物やETFでは、売りと買いをひっくり返しても、コストの影響以外ではそれほど大きな違いは生じませんが、個別株の場合は、このように買いのストラテジーをひっくり返して、売りのストラテジーにした場合、プラスとマイナスがそっくり入れ替わる訳でないことを理解して頂いた上で、下記の結果をご覧になって下さい。

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201705304

 

大型株のデイトレード売り

  上位100銘柄 上位100銘柄
月曜 28.24% -32.01%
火曜 17.29% -21.78%
水曜 21.13% -25.56%
木曜 0.83% -8.84%
金曜 24.37% -34.14%
合計 91.86% -122.33%

この結果を見る限りでは、日本の個別株でデイトレードを行う場合、圧倒的に売りに優位性があることが確認できたと思います。もし売買コストを小さく抑えることができたなら、これだけでも売買戦略として成り立つ可能性があるものです。また単純に考えても、デイトレードで買いを行う場合、デイトレードの売りに比べると、これだけのハンデを背負っていることになります。日本株の曜日アノマリーを検証することを目的としてテストを行った結果、日本株市場全体のデイトレードアノマリーが明らかになる結果となってしまいました。

売買代金上位100銘柄を選別し、1銘柄あたり10%(今回のケースでは200万円)の資金配分で、毎日寄付きで売って、大引けに手仕舞いするだけの戦略で、これだけの利回りが出る可能性があるのです。もちろん実際の売買では、手数料や信用金利等のコストを考慮する必要がありますし、破綻しないためには、途中でのドローダウンを乗り越えるだけの資金が必要になりますので、この通りにはいかないと思いますが、それでもこれほど大きなバイアスが隠されていることに、驚きを感じずにはいられません。

*次回は、小型株の曜日バイアスを検証してみようと思います。全く違う結果になるので、おそらく驚かれると思います。

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iTrade (株式用バックテスト&完全自動売買アプリ)を使って、書籍等で紹介されている著名な売買戦略が日本株において有効に機能するかどうかの検証と、日本株におけるアノマリー、有効なパターン等の検証を行います。またシステムトレーダーを目指す人々のために、ストラテジー構築の考え方についても解説を行います。
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