中長期の視点で会社に投資

2011/07/25

先週、日本証券アナリスト協会で、「日本株の長期集中投資の意義と実践」というセミナーを聴いた。3人のプロのファンドマネジャーが、自ら実践している長期集中投資の考え方を話した。

奥野一成氏(農中信託銀行)は、(1)その会社が無いと産業が成り立たず、世の中が困る会社に投資する、(2)割高か割安かではなく、企業価値を伸ばす会社に投資して、売り買いはほとんどしない。

武田政和氏(スパークス・アセット・マネジメント)は、(1)参入障壁が高く、安全なビジネスを展開している会社に投資する、(2)平均以上のROEで、景気に関係なく安定的にキャッシュフローを出せる会社に注目する。

中神康議氏(あすかコーポレートアドバイザリー)は、(1)米国のベンチャー企業でいえば、まだ上場前のような会社が日本では既に上場している、(2)これらの会社の経営改善に、‘働く株主’として積極的に関与して、会社のバリューアップに貢献する。

三人三様の考え方であるが、長期投資にこだわり、それを実践しているところが素晴らしい。久しぶりに面白い話を聴いた。世の中には、デイトレード投資、さわかみ投信の澤上式投資、個人投資家でもある竹田製菓の竹田和平式投資、米国のウォーレン・バフェット式投資など、いろいろな投資スタイルがあるが、わが身を振り返った時、自分はどのような投資家になりたいのだろうか 。投資をするには覚悟がいるし、一旦投資するとその後は持っている株について、常に不安に付きまとわれる。

株式投資でリターンを得るには長期で保有するのが良いと分かっていても、マーケットに はさまざまなことが起きるので、中々長期的に持つ自信がない。その不安を自信に変えていくには、会社を見抜く力を養う必要がある。

市場には絶えず情報の非対称性がある。いろいろな情報がいつも総て行き渡って、株価に織り込まれているわけではない。人を出し抜いて、自分だけ早耳情報をとって儲けるというのではなく、会社を良く知って、 自分は会社の何に、何処に投資するのかを理解しておけば自信が持てる。

会社を長期的に応援するといっても、慈善事業ではない。真剣な株主としてリターンを求 めていく。リターンを求める厳しい目が会社の経営にも役立つ。株式投資にしがみつくことなく、適度な緊張と適度なリターンを求めることが妙味であろう。

 

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