メキシコの金融政策~政策スタンスへの評価とペソ相場の行方

2018/05/18
  1. 政策金利は7.5%で据え置きでした。インフレ率が順調に低下し、現行スタンスが適当と判断されました。
  2. 依然不透明なNAFTA再交渉、米国での利上げペースに注目し、必要ならば利上げもあり得ます。
  3. 新興国通貨全般で難しい投資環境の中、相対的な金利水準の高さが通貨ペソを下支えると考えます

インフレ率低下は想定以上

メキシコ銀行(以下、中銀)は、17日の金融政策会合で、政策金利である翌日物金利を7.5%で据え置きました。政策スタンスは、ひとまず中立ですが、新興国全般で市場の動きが不安定になっていることに、中銀は警戒を強めています。

インフレ率は順調に低下しています。4月のCPIは、総合が前年同月比+4.55%、コア(農産物・エネルギー・政府管理品目を除く)は同+3.71%となり、コアはインフレ目標の上限を下回ってきました。2月に発表した中銀の予想では、コアは6月で+4.0%であり、想定以上にインフレ率の低下が進んでいます。中銀はこれを受け、現行の政策スタンスは適当と判断しています。最近の新興国市場の動揺については、中銀も不透明要素と認識しており、NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉の行方、米国での利上げペース次第では利上げの可能性もあります。

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中銀のスタンスはペソにプラス

ペソ相場は、新興国通貨が難しい投資環境になっているご多分に漏れず、足元では下落しています。ただし、年初から底堅く推移していたこともあり、昨年末からの動きでは、下落率は小さく済んでいます。中銀が、インフレ率が低下しても政策金利を現行で維持していることは、ペソにとって投資妙味を与え、下支え要因になると考えます。

なお、7月に予定されている大統領選挙では、新興左派政党Morena(国家再生運動)から出馬したアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(通称AMLO)氏が依然優勢です。同氏の主張は、グローバリズムに疑問を投げ掛ける傾向が強く、「保守的左派」と言われています。大統領に当選すると、市場は、一時的にせよネガティブな反応を示す可能性が高いと思われます。

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