10月の米国雇用統計について~金融政策への示唆は?

2017/11/06
  1. 非農業部門雇用者数は前月比+26.1万人でした。ハリケーンの影響から早くも立ち直り、堅調でした。
  2. 「広義の失業率」と失業率の差が約10年ぶりに4%を割り込み、労働市場のひっ迫がさらに進みました。
  3. 賃金の伸び鈍化も年末に向け反転上昇が期待でき、インフレ率を押し上げると期待されます

労働需給のひっ迫顕著な環境へ

3 日に米労働省が発表した10月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比+26.1万人でした。ハリケーンの被害から早くも立ち直った形です。前月比マイナスとなった9月値も同+1.8万人と上方修正されました。業種別の動きでは、飲食サービス、製造業、企業向けサービス、ソーシャル・アシスタンスなど、自然災害による落ち込みが大きかったか、社会的にニーズが大きいところを中心に増加が目立ちしました。

また、失業率は4.1%(前月比-0.1ポイント)と、約17年ぶりの低水準となりました。非労働力人口(働く意志のない人)が大幅に増加した分失業者が減少したことが要因で、やや後ろ向きですが、ハリケーンの被害を引きずる、一時的なものと見られます。さらに、「広義の失業率」と失業率の差が3.8%と、約17年ぶりに4%を割り込み、労働需給のひっ迫が目立ちました。

「広義の失業率」とは、統計の定義上失業者に入らないけれども働きたいと潜在的に思っている人や、不本意ながら非正規で働いている人を「広義の失業者」にカウントした場合の数値です。過去、失業率との差が4%を割り込んだのは、97~01年、05~07年と、景気循環のピークを形成する時期であり、米国の景気拡大がさらに数年は続くことを経験的には示唆していると思われます。

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賃金、低位の伸び続くも下振れリスク小さい

民間企業時間当たり平均賃金(以下、単に賃金)は前年同月比+2.4%と、9月の同+2.8%から大きく減速しました。これは、飲食サービスでの雇用の大幅な反動増があったことと関係があると思われます。同産業が属するレジャー・接客業は、平均時給が最も低い業種です。他業種が回復してくると、賃金伸び率は反動で高まる局面があると思われます。

労働需給のひっ迫が進行し、賃金の伸び率は、大きく加速しないまでも下振れリスクはさらに小さくなったと見られます。緩やかな賃金増加とインフレで安定していれば、それに応じた慎重な利上げスタンスは肯定できると思われます。

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