日銀金融政策決定会合について~為替・債券市場の先行きは?

2017/10/31
  1. 30-31日に開かれた金融政策決定会合では、現行の金融政策手段がすべて据え置かれました。
  2. “YCC”という事実上の金利政策導入以来の、国債保有額の増加ペース鈍化は当然の帰結です。
  3. +2%のインフレ目標へ現行政策が粘り強く続けられるため、市場変動は外部要因に拠るところ大です

国債の増加ペース鈍化はYCCの裏返し

30-31日に日銀金融政策決定会合が開かれました。長短金利操作付き量的・質的金融緩和に基づく、各種政策手段については、すべて継続が決定されました。

201710311

年間80兆円をメドとする国債保有額の増加額が、16年9月のYCC(イールドカーブ・コントロール)導入から縮小し続け、最近は40兆円を割り込んでいます。増加額優先ならば、本来金利水準に目標は設けられないはずですから、金利水準の目標を設けることは、事実上の金利政策の復活であり、増加額のメドは実体を喪失します。利回りが大幅上昇すれば増加額が膨らむ可能性はあるものの、自然体ならば増加額縮小は当然の帰結です。事実上量的金融緩和を縮小した、との見方も可能でしょう。しかし、こうした変化はすでに市場に織り込まれたと見られます。

一方、ETF(上場投資信託)とJ-REITの増加額は、これまでほぼ目標(ETF:年間6兆円、J-REIT:同900億円)を達成しています。しかし、10月は株価高騰の影響で、ETFの購入額が30日までで949億円と、月平均購入額(5000億円=6兆円÷12カ月)を大きく下回っています。投資資金が流入する局面で無理に高値で購入する必要もなく、ある程度弾力的に運営されると思われます。

201710312

材料難でレンジ相場

今回、「経済・物価情勢の展望」が発表(四半期毎)されました。17年度で、実質GDPとCPIが足元までの動きを踏まえ、予想が若干変更された以外、日銀の経済に対する基本的見方に変化はありませんでした。

201710313

ドル・円は春以降、110円台前半を中心に、10年国債利回りは0~0.1%で上下する、いずれも「レンジ相場」となっています。市場に大きな動きが見られない要因として、国内で大きな政策変更がない中で、海外では欧州を中心とした政治リスクの後退、世界的な景気回復など、情勢が落ち着いているためと思われます。

国内での大きな政策変更はこれからも可能性が小さく、現行の金融政策が粘り強く続けられると見られます。したがって、当面は地政学リスクや政治リスクの再燃など、外部要因に影響を受けやすい展開になると思われます。アムンディでは、日本の長期金利は現在でおおむね横ばい、為替相場は110円台半ばを中心としたレンジ相場へと、若干の円安方向を見込んでいます。

201710314

アムンディ・マーケットレポートはこちら

http://www.amundi.co.jp/report/list.html

アムンディ・ジャパン株式会社
アムンディ マーケット・レポート   アムンディ・ジャパン株式会社
グローバル経済、金融政策、マーケットなどの動向、展望を、投資家の皆様に向けてタイムリーに分かりやすく解説します。本体であるアムンディ・パリからの経済、市場等の見通しも随時ご紹介します。
当資料は、アムンディ・ジャパン株式会社(以下、弊社)が投資家の皆さまに情報提供を行う目的で作成したものであり、投資勧誘を目的に作成されたものではありません。当資料は法令に基づく開示資料ではありません。当資料の作成にあたり、弊社は情報の正確性等について細心の注意を払っておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に記載した弊社の見通し、予測、予想意見等(以下、見通し等)は、当資料作成日現在のものであり、今後予告なしに変更されることがあります。また当資料に記載した弊社の見通し等は将来の景気や株価等の動きを保証するものではありません。

アムンディ・ジャパン株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第350号
加入協会:一般社団法人 投資信託協会/一般社団法人 日本投資顧問業協会/日本証券業協会/一般社団法人 第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ