英国のEU離脱問題(Brexit)に対する見解

2016/03/08

1980年代以来くすぶっていた問題がいよいよ国民投票に

英国は、EU離脱の是非を問う国民投票を6月23日に控え、準備が進められています。3月中に議会の承認を得られれば、4月半ばにも選挙活動期間に入ります。

EU離脱は、英国にとって1980年代以来の長い問題ですが、より現実的に意識され出したのは、2010~13年の欧州債務危機の時です。非ユーロ圏諸国の負担軽減を目指してキャメロン首相が提出したEU改革案は、2016年2月にEU首脳会議で承認され、いよいよ国民に残留、離脱の判断を仰ぐに至りました。

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EU離脱はデメリットが大きいとの認識から英ポンド安局面続く

英ポンドは、年初からの原油価格急落で産油国通貨の一角として売られ、EU離脱のリスクも織り込む形で売られたため、先進国通貨では最も下落しているのが現状です。EU離脱のメリットとしては、①独自の政策が可能になるほか、②EU加盟拠出金、ECB(欧州中央銀行)出資金など経済的負担がなくなります。

一方、デメリットとしては、①EUに対する発言権喪失、②対EU輸出での関税面の特権喪失、③国際金融市場としての地位低下による金融資本の流出、④EU残留指向が強いスコットランドでの独立問題再燃、などが挙げられ、デメリットの方が大きいという見方が大勢です。

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アムンディが考えるメインシナリオ

アムンディは、英国はEU残留を選択すると予想しています。2月18-19日に開かれたEUサミットでは、残留を支持するキャメロン首相が、非ユーロ圏諸国の権限拡大などを求めて提出したEU改革案が承認され、そのリーダーシップをプラスに評価する向きが増えています。世論調査では、態度を保留している層が20%程度ありますが、最終的には現政権の意向を尊重し、保留層が残留に傾く可能性が高いと思われます。

EU残留が決まれば、離脱を警戒して下落した分、英ポンドは戻る公算が大きいと思われます。原油価格にもよりますが、昨年末のレベル(1ポンド1.4ドル台後半、180円程度)近辺に戻す局面も有り得ると思われます。

リスクシナリオ(EU離脱)の場合、市場はどうなるのか

もしEU離脱が選択された場合、これまでに挙げられているデメリットを、市場が改めて織り込む形となり、英ポンドの一段の下落は避けられません。短期的には、戦後最安値の1ポンド1.0~1.1ドルまで下落する可能性もゼロではないでしょう。ただし、経済面のデメリットは為替変動後に逆に有利になることもあるほか、その後の交渉で、デメリットが緩和、解消されることもあり、不可逆的な英ポンド安には必ずしもならないと思われます。

ただし、スコットランド独立問題再燃は大きなリスクと考えられます。スコットランド議会で多数派を握るSNB(スコットランド国民党)は残留が多数派です。英国分裂まで織り込む動きとなった場合、英ポンドは底値を測るのが難しくなります。

しかし、アムンディはあくまでもEU残留の可能性が高いと考えています。英国はEUにとどまった方がメリットが多く、英国民は残留を選択すると予想しています。したがって、EU離脱を一部織り込んでいると見られる現在の英ポンドの水準は割安ではないかと思われます。

 

 

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