やっぱり警戒モードが続く中国情勢

2015/09/04

今週の国内株市場は、日経平均が週初から値を下げる展開でしたが、水曜日(9月2日)でいったん下げ止まり、翌9月3日の取引開始時点では戻りをうかがう状況となっています。これまでのところ、前週と同じ動きを辿っているように見えるほか、日中の値動きも相変わらず大きく、不安定な推移が続いています。

とりわけ、9月2日の日経平均の動きがその不安定さを物語っています。前日終値比300円以上の一段安でスタートした後、下げ幅が縮小、マイナス圏からプラス圏に転じ、今度は前日終値比300円以上の高値をつけるまで上昇したものの、その後は失速し、再びマイナス圏に沈んで取引を終えました。

最近は、「ひとまず欧米株市場の流れを受けて、その後は中国株市場の動きをにらみながら」という相場地合いですが、米雇用統計が控えていることや、9月3日~4日の中国上海株市場が「抗日戦争勝利70周年記念」で休場ですので、週末にかけての取引は落ち着いたものになりそうです。また、9月3日に北京で大規模な軍事パレードが開催されるのは日本でも報道されている通りです。ちなみに、日本では8月15日という認識が強い終戦記念日ですが、世界史的には、米戦艦ミズーリ号にて降伏文書の調印が行われた1945年9月2日が第二次世界大戦の終結とされています。

その中国では今週も動きがあり、9月1日に中国人民銀行が為替予約取引を抑制するための通知を行いました。具体的には、「人民元売り・外貨買い」の為替予約取引をする際には、取引額の20%を「危険準備金」として中国人民銀行に預けなければならないというものです。逆に、「人民元買い・外貨売り」の取引にはこの危険準備金は課されないため、中国当局には人民元が下落するのを食い止め、中国からの資金流出を防ぐねらいがあると思われます。

中国当局は先月(8月)の11日~13日にかけて人民元の切り下げを行いましたが、想定以上に資金流出懸念が高まってしまったため、今回の対応策に至った可能性があります。実際に、ピーク時(2014年6月)には約4兆ドルあった中国の外貨準備高が、2015年7月には3兆6,500億ドルと1年あまりで9%弱減少し、特に直近の減少ペースが加速しています。また、先月のあからさまな株価対策と同様に、今回の為替予約取引の抑制策は、中国が目標としている人民元の国際化・自由化からも後退するものと言え、対応が後手に回った印象です。

過去を振り返ると、2008年のリーマン・ショック後に中国当局が打ち出した、いわゆる「4兆元景気対策」によって中国経済が持ち直し、世界景気を支えたのは記憶に新しいですが(もちろん過剰生産能力や債務問題などの副作用も残しましたが)、その一方で、あまり評判の良くない先月の株価対策は約5兆元と言われていますので、2008年の政策に比べると、先月の株価対策は規模が大きい割には経済のファンダメンタルズを刺激するものでもないですし、その政策効果は今のところ出ていません。

今後は、10月に次の5カ年計画を討議する5中全会が予定されているため、財政出動などの景気対策が期待される展開もあると思われますが、中国が抱える情勢や課題の根は深く、警戒モードが解けるにはまだ時間が掛かりそうです。

 

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楽天証券経済研究所 土信田 雅之が、マクロの視点で国内外の市況を解説。着目すべきチャートの動きや経済イベントなど、さまざまな観点からマーケットを分析いたします。
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