中国株の信用取引

2015/07/16

今週の国内株市場ですが、日経平均が2万円台を回復し、その後も戻りを試す動きとなっており、先週までの軟調ムードが落ち着いてきた印象です。ギリシャ情勢や中国株などへの懸念が後退したことが背景です。

とはいえ、中国株市場については、上海総合指数が大きく反発し始めてはいるものの、売買停止の銘柄が依然として多い状況ですし、また、直近の株価急落が実体経済にも影響を与えているのかをこれから見極めることになりますので、警戒心を解くにはもうしばらく時間がかかりそうです。

そんな中、恒生電子という中国企業が証券監督機関から今回の中国株急落に絡んで調査を受けているという報道がありました。恒生電子は、電子商取引大手アリババグループ傘下のソフトウェア会社です。なぜ、恒生電子が当局から調査を受けているのかを知るには、中国の信用取引の状況をざっくり理解する必要があります。

中国株市場で信用取引を行うには主に2つのルートがあります。ひとつは、証券会社に信用取引口座を開設し、証券会社から資金や株券を借りるルートです。中国の証券当局の監督の元、2010年の春に導入されました。レバレッジは元手の4倍までに制限され、決済期限は半年間など、そのしくみは日本の信用取引にかなり近いのですが、信用取引口座を開設するには保有資産が50万元(約1,000万円)以上必要など、普通の個人投資家にとっては結構ハードルが高いです。

そしてもうひとつは、「場外配資」と呼ばれるルートです。こちらは、証券会社で信用取引口座を開設せずに、資金そのものを他で調達して株式取引を行うというものです。資金の調達先は専門の融資会社やネット金融などです。少額の担保で元手の10倍までの融資を受けることができるケースもあるようですが、ハードルが低い分、借り入れの金利は高めです。

そのため、場外配資によって信用取引を行う銘柄は、値動きが大きい中小型株や「創業板」と呼ばれる新興株市場銘柄が中心になります。また、場外配資では基本的に株券の貸し出しを行っていないため、売り建てはできず、買い建てオンリーになります。株価が上昇している時はイケイケドンドンなのですが、いざ株価が下落し始めると、売り建ての買い戻しの支えがないため、売りが売りを呼ぶ展開になりやすいわけです。実際に、創業板指数は上海総合指数よりも下げ幅が大きくなりました。

実は、恒生電子はこの場外配資において、「恒生HOMS」というプラットフォームを提供しているため、当局の調査が入ったと思われます。また、中国株市場で売買停止となっている銘柄のほとんどが中小型株や新興株市場銘柄なのも納得がいきます。中国株市場が急落した時以降、信用取引の規制に関する当局の対応が逐次報じられていますが、ヘッドラインだけを追っていくと、規制緩和であったり、規制強化であったりまちまちで、正直分かりにくいと思います。ただ、中国の信用取引は2種類があることを押さえていれば、当局が監督する証券会社経由の信用取引は規制緩和で、場外配資経由の信用取引については規制強化でという方向性が何となく見えてくるかと思います。

 

 

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楽天証券経済研究所 土信田 雅之が、マクロの視点で国内外の市況を解説。着目すべきチャートの動きや経済イベントなど、さまざまな観点からマーケットを分析いたします。
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