思い出される2年前の記憶

2015/04/24

今週の国内株式市場ですが、22日(水)取引終了時の日経平均は20,133円となり、ようやく(?)終値ベースで2万円台に乗せることができました。先週末にかけては軟調な場面が目立っていただけに、ガラリと印象が変わったように見えます。

相場の地合いが上昇に転じたのは、先週末に中国人民銀行が預金準備率を引き下げたことがきっかけと思われます。今回の下げ幅(1%)は、これまでの小刻みな対応に比べて大きく、市場では、「下げ幅の大きさが中国当局の景気減速に対する警戒を反映したもの」と受け止められたようです。

前回のレポートでは、「国内株市場に金融相場という視点がフォーカスされると、4月末の日銀会合を控え、追加金融緩和への思惑であっさり日経平均2万円超えも」と指摘しましたが、中国の金融緩和姿勢をきっかけに、日本株市場も決算待ちの膠着感から金融相場モードに切り替わった可能性があります。また、今週末に予定されている安倍首相の訪米を前に、TPPの日米協議が進展しているとの観測も買い材料になったと考えられます。

もちろん、再度の日経平均2万円台乗せによって、「この水準は割高かどうか?」、「2万円は通過点か目標値か?」という議論があります。確かに、市場が抱いている2015年度の国内企業の15%増益予想を織り込めば、ファンダメンタルズ的に決して割高ではありませんが、時間軸としてはかなり先取りしてしまっているのも事実です。また、取引時間中に日経平均が2万円をつけた4月10日に、甘利経済再生大臣が「制御可能なミニバブルは歓迎」と発言しているように、「2万円からの上値追いはバブルかも」という見方もあるようです。

「日銀プレイ」という言葉があるように、日銀の会合前に追加緩和の思惑で相場が上昇し、実際の結果を受けて下落するというパターンも多く、注意が必要ですが、先ほどの甘利大臣による「ある程度のバブル容認」発言もあって、日銀の会合を前に日経平均がさらに上値を伸ばす展開は十分に想定されます。

一方、今回の日経平均2万円台乗せのきっかけとなった中国株市場は、かなりのバブルである可能性があります。各種経済指標や企業業績が示すように、中国経済の減速傾向が見られる中、中国当局の政策期待や金融緩和を背景に、上海総合指数はあれよという間に4,000を超えてきました。リーマンショック後の中国経済が立ち直っていた時期の同指数が下落基調だったことを踏まえると、景気と株価のデカップリング(非連動性)が目立ちます。

事実、中国当局は金融緩和をはじめ、住宅ローン規制の見直しなどの対策を講じていますが、まだ目立った成果は見られていませんし、最近になって社債のデフォルト事例も増えています。AIIB(アジアインフラ投資銀行)の設立に向けた動きが明るい材料ではありますが、組織編制や融資の意思決定プロセスなどはこれから決めていく段階ですし、実際の融資プロジェクト案件を吸い上げて機能していくには、市場が思っているよりも多くの時間がかかる見込みです。そのため、突然の中国株急落には警戒が必要と思われます。

そうなると、ここで蘇るのは約2年前の記憶です。当時(2013年5月)は、中国の冴えないPMIの結果とバーナンキ前FRB議長のテーパリング発言という、米中初の材料の合わせ技で世界株市場が急落した、いわゆる「バーナンキ・ショック」が発生しました。最近も、足元の中国株市場のバブル警戒と、米国の利上げ動向にらみという、米中材料の組み合わせが似ているように感じられます。

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楽天証券経済研究所 土信田 雅之が、マクロの視点で国内外の市況を解説。着目すべきチャートの動きや経済イベントなど、さまざまな観点からマーケットを分析いたします。
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