10月上旬までの上昇か、数月にわたるブル相場に加速か~今週分水嶺。テクニカルから見た注目点。

2014/09/22

(日経平均と、25日移動平均線の乖離率)
ブル相場は、過熱感があって初めて、ブル相場になります。
その過熱感を、トレンド指標から見る場合には、25日線から4-5%以上の上方乖離になってくると、過熱感有りと判断されます。
ポイントは、そのブル相場に持続性があるかどうかは、この4-5%以上の過熱感を抱き続けられるかどうか、にかかっています。
これが、単発的にしか発生しなかったり、4-5%に達しない、ということですと、そのブル局面は本物ではなく、持続性も乏しいと判断されます。

(典型的な過熱感を伴った、本物のブル相場)
これは、アベノミクスが発生した2012年11月から2013年5月に頻発しています。
2012年11月22日の4.56を皮切りに、ざっと並べてみると、ピークポイントは以下のようになります。

2012年11月22日 4.56
同年12月18日 5.86
2013年1月4日 9.45  
1月15日 8.05
1月18日 6.83
2月6日 6.17    
2月25日 4.65
3月21日 6.87
4月11日 8.15
4月25日 7.27
5月22日 10.06

この期間が集中的に4-5%の乖離率を上回っている過熱局面です。
その後の昨年の相場というのは、行ったり来たりの往来相場でした。
それでも、一応は、上昇局面では、4-5%以上になった時点が、相場の持続的な上昇と符号しています。
7月の戻り局面 7月1日から7月24日まで、一貫して4-5%以上。
9月の戻り局面 9月から9月27日まで、一日を除いてすべて2-5%以上。
10月の戻り局面 一度も4-5%を超えられず、極端に上昇局面が短い。

この5月急落以降の3回の戻り局面は、4-5%以上の頻度が少ないか、まったくないことから、長くても1ヵ月の上昇局面で終わっています。
昨年11-12月の上昇局面はこれに対して、2ヶ月にわたる上昇局面でしたが、実はこれも中身が中途半端です。

(11-12月の上昇局面)
昨年11-12月の上昇局面は、明らかにヘッジファンドの買い仕掛けによる腕力で指数先物を押し上げた上昇局面です。
このときは、11月15日に4%を上回り、12月3日まで、一日を除いて、すべて4%以上で推移しました。
ところが、いったん足踏みをした後、再び日経平均が急伸をし始
めた12月18日以降は、まったくこの25日線からの上方乖離率が4%以上に乗りません。
これが、中身が無い相場の局面になります。
まさに指数だけが上がり、実体を伴っていない上昇局面です。
ようやく4%を上回った12月30日は、その後直近まで長期にわたる天井をつけてしまいました。
翌日から、ずっと4%を超えない日々が続くことになったわけです。
この12月30日の4%超は、いわば、「ダマシ」ということになります。

(昨年5月、上昇転換宣言以降)
半年にわたり、25日線からの上方乖離率は4%を下回っていますから、戻り局面はきわめて限定的なものにとどまりました。
この膠着状態を打破したのが、昨年5月、ちょうど上昇転換宣言を行った20日前後からの上昇局面です。
転換は宣言しましたし、当コラムではそれに先立つ5月17日の週末レポートで、(それまで日々、予告していましたが)5月20-21日に下落から、相場転換する可能性を想定しました。
ただ、この時点ではまださまざまなマクロ的な外部環境の状況から、5月20-21日を相場の上昇転換を想定したにすぎず、打診買いの域を出ないものでした。
実際に、25日線からの上方乖離が4%を超えてきたのは(つまり、ブル相場が決定的になったのは)、6月3日です。ここから9日まで連続で4%以上を上回りました。
このことから、ガス抜き調整は都度あったとしても、繰り返し4%以上を見せてくる可能性が一気に高まってきたわけです。
一日の4%超ではなく、連続的な4%超の示現です。
持続的なブル相場には、どうしても必要不可欠な「過熱感」です。
しかし、残念ながら、この5月以降の相場は、連続で4%以上を見せたのが、常軌の6月3日から9日までの期間にとどまり、以後、まったく4%以上をだすことができませでした。
幸い、指数は、滑落こそ免れたものの、なかなかブル相場らしい勢いは消滅してしまい、せいぜい横這い状態にとどまることが、ずっと続いてしまいました。
結局、この相場は、4%以上を上回ることが持続しきれず、3ヶ月が経過。
7月に入って日経平均が上値を取り始めたことで、25日線からの上方乖離が再び4%以上になるかと期待されたところが、あえなく滑落。
4%超は、その後、直近まで一度も実現しませんでした。

(現在の状況)
以上、アベノミクスがスタートして以来、序盤のブル局面以外は、その持続性はきわめて乏しいことがわかります。
今回、確かに日経平均は上値を取ってきました。
昨年末の高値を抜きました。
しかし、25日線からの上方乖離率が、4%を超えたのは、なんと先週末19日の、たった一日だけです。
本日は現時点で、すでに3.43%前後ですから、4%を下回ってしまいました。
断続的にでもよいのです。ならしてみて、4%超という上方乖離率を見せてくれるようですと、いわゆるブル・チャートとしては、最強と言われる「チャネル」パターンが発生してくるでしょう。
典型的なのは、2012年11月から2012年5月までの、あのブルチャートです。
先週末、とりあえずまず一回目の4%超を見せてくれたわけですから、今週はきわめて重要です。
間が空いてしまってはいけません。
今週、急伸後のガス抜きが必要でしょうが、ただちに上値を取っていく勢いがなければ、持続性は発揮できないでしょう。
もしそれが出てこない、ということになった場合は、指数上昇にもかかわらず、意外に手持ちのポジションのパフォーマンスが上がっていない、という現実に直面する公算が高いと推測されます。
また、指数上昇期間も、上昇の起点からせいぜい1ヵ月ていどのものになることは、これまでのデータから一目瞭然です。
この場合は、9月1日の反発が起点として、(前日が8月29日安値)せいぜい10月上旬くらいまで、ということになります。
つまり、先般来述べている次の雇用統計(10月第一週の金曜日)~翌週のマイナーSQまでの間に、天井を形成する可能性が高いということです。
この短期的見通しが覆されるには、すみやかに日経平均の25日移動平均線からの上方乖離率が、4%以上に「過熱」する必要があります。
このように、過熱感というものは、一般的に相場の天井と目されるわけですが、実は本当のブル相場は、この過熱感が持続することこそが最低限の要件であることを認識しておきましょう。

(蛇足)
蛇足ながら、その他、たとえばモーメンタム指標でも似たようなことがいえます。
上記で解説した、ブル局面のRSIを振り返った場合、恒常的に50以上で往来を繰り返すようですと、さきほどのトレンド分析による25日線からの上方乖離率が4%以上を維持するタイミングと、ほぼ一致します。
これから判断しますと、まだ現在の状況は、捨てたものではない、ということになります。
一見、逆行現象になりかけたRSIがむしろ上にブレイクしてきわめて高い水準をヒットしました。
これだけ過熱感がモーメンタムに出ますと、そうそう簡単には、50以下には落ちにくいものです。
2012年11月から2013年5月までのあの、典型的なブル局面(いわゆる、チャネル形成局面)では、12月19日、現在と同じような100に迫る高水準までRSIが上昇しています。
これだけのところまで上昇しますと、その後、RSIが低下していっても、なかなか50割れになりません。
2013年2月末、3月末に一時的に50を割り込んだりしましたが、一時的ですんでおり、50以上の恒常的な推移は維持されました。
このことは、今年5月―6月の反転上昇タイミングでも見られます。
RSIは6月6日に、100に接近する高水準をつけました。その後低下したとはいえ、50わお一回も割っていません。
そこに、直近、25日線を4%以上上回った一日が、先週末にあり、同時にRSIが再びそのとき以来の100接近をしてくれました。
まだ、2012-2013年5月のあのブル相場が発生してくるという望みは、つながっているといっていいでしょう。

【ミクロ分析】
▼黄金銘柄リスト一覧。
19日大引け段階のデータで更新しました。
母集団は61銘柄です。

(追加銘柄)
追加銘柄は、ありません。
入れたいと思うものもありますが、来週の相場展開を見ながら判断することとし、一応保留しています。

(除外銘柄)
除外銘柄は、ありません。
ソニー6758をはじめ、本来であれば、除外処分のものは、ご存知の通りです。
25日足割れから、下方乖離を拡大しているものはこれに該当します。
しかし、状況が状況ですから、ここは踏ん張りどころと、除外の判断を保留しています。

(絞込み表)
「絞込み表」銘柄(本日時点で、投資適格性があると判断されるもの)は、合計で、21銘柄となりました。この内11銘柄が、高値更新です。
この「絞込み表」銘柄が、現時点で投資適格な銘柄群だということになります。

(総括)
個別銘柄の判断は、ここからとりわけ全体観とのかねあいになります。
一見、ドル高ですから、外需性景気敏感株中心に、主力大型のベンチマークが上がるというイメージが湧きます。
基本的にはそうでしょうが、かなり疑念を抱いています。
やはり、ヘッジファンドの買い仕掛けが主体であって、まともな外人が本腰を入れて買っている様子は少ないのです。
従って、ヘッジファンドが11月の損益通算までに一斉処分売りを先物でしてくるまでは、おそらく昨年11-12月に発生したような指数ばかりがどんどん上昇するブル相場がありうると考えます。
主力大型株は、確かにこれを享受するでしょうが、それほどパフォーマンスが劇的なものになるとは考えにくいです。225銘柄中心に、広く浅く買われてしまうためです。
このため、対応としては、結局従来のような個別銘柄の一本釣りでポートフォリオを管理していく以外にありません。
しかも循環物色でしょうから、めぼしい柱ははっきりしないのではないでしょうか。
外需・内需を問わず、あくまでトレンドの強い、株価変動率の高いものを集めてホールドし、いざというときには逃げ切りましょう。
打ち方止めの合図は、当コラムでも放つつもりです。
目先は、ドル円急伸がいささか度を越しているため、来週あたり押しをつくる場面あり、と想定しています。
そこを買いでねらいたいと思っています。
現時点では、ミシン・工作機械系の銘柄(JUKI、蛇の目、ペガサス、ツガミなど)は別格として、個人的な好みとしては、ゼンリン、ユニオンツール、サンリオ、山善、やや条件付ですが、オリンパスなどが、攻めどころか、と考えます。

以上

増田経済研究所
コラム   増田経済研究所
増田経済研究所が、今週の東京株式市場の動向を展望します。米国を中心とした国際情勢を踏まえ、誰が今、何を考え、我々個人投資家はいかに対応すべきなのか、分かりやすく解説します。
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