残る懸念は、6月中間期末の欧州勢の去就のみ~黄金銘柄リスト、改訂版

2014/06/16

【マクロ分析】

▼売り手の撤退。
今回は、あまりマクロ的に大きな課題はありません。
一時、一日の売買に占める空売り比率が30-36%と極大化していたのですが、先週は一気に落ち込み、26%まで低下。
売り手が、総撤退に追い込まれたことが確認できます。
信用・裁定のネットの買い残(将来の売り需要)の比率、いわゆる仮需も1.08%まで低下。
事実上、信用取り組みの整理は完了したといっていいでしょう。
需給的には、まったく問題がなくなっています。
あとは、誰がこの戻り相場の小天井の上値を買いにいくか、ということだけです。

▼株先行の動き。
米長期金利、ドル円、日経平均のパラメーターからは、ややいびつな状況です。
米長期金利は2.6%台回復、ドル円は102円回復ですが、日経平均が押し目を一気に挽回しかねない勢いを見せたのに対して、米長期金利とドル円の動きは緩慢です。
日経平均が15000円に戻っているわけですから、米長期金利は本来2.8%台へ、またドル円は103円台に復帰していなければおかしな話です。
株だけ先行していることになります。
国内要因としては、安倍政権の成長戦略期待が大きかったことが挙げられるでしょう。
海外要因としては、前週、ECB(欧州中央銀行)が、マイナス金利導入に踏み切ったことで、すでに低い国債利回りとはいいながらも、まだ着実に確定利回りが取れる南欧債券など、先進国の国債買いに拍車をかけてしまった効果もあるでしょう。
スペイン国債利回りが、米国債利回りを下回るほど買われたというのも、この流れであると思われます。

▼次の転換は、ユーロの反転上昇。
このため、ECBの量的緩和期待が続き、市場ではユーロの空売りが記録的な水準に達したままです。
ただ、ユーロも下落が足踏みをしてきていることから、6月中間期末を控えて、欧州勢がポジション調整に入ってきてもおかしくありません。
つまり、ユーロ売りの利益確定、手仕舞い、買い戻しです。

▼ECBの神通力はどこまで続くか。
まだユーロ圏では、日米がやって効果がでた量的緩和を行うという期待があるので、ユーロ安であったり、国債買いになったりしているのでしょうが、このECBの神通力がどこまで通じるかです。
過去の日本の例を見れば、デフレに陥ってしまえば、なにをやっても、結果は逆効果、裏目に出てしまいます。
実際、今回のマイナス金利導入でも、欧州の市中銀行はその割を食った分を、融資先に転嫁、つまり貸し剥がしが横行しはじめているといった日経報道もあります。
まさに過去の日本のデフレ状態に似てきています。
この場合、ECBの量的緩和がどうなろうと、デフレが続く限りは、ユーロ高になって、さらに自縄自縛に陥ります。
今のところは、まだ市場は、日米の成功体験を見て、欧州でそれが再現されるとの期待感があるため、ユーロ安ですが、どこで転換するかが問題です。

▼欧州大手銀行の資金捻出事情。
日々のコラムでも解説しましたが、BNPパリバ、UBS、ドイツ銀行など、三大欧州銀行は、それぞれ、膨大な資金捻出の必要に迫られています。
パリバの場合がとくに騒動となっていますが、経済制裁国家への不正取引で、米国当局からおよそ1兆円相当の課徴金のリスクが浮上しているような例です。
このため、三大銀行は、今月中間期末を控えて、一番換金売りをしやすいのが株式ですから、東京市場にこのネガティブインパクトがあるか、週明け以降の課題として残っています。
また政治問題もからんでいますから、今すぐ、判断や結論が出ないのかもしれず、もっと先に発生してくるのかもしれません。
いずれにしろ、たとえばパリバの問題では、金額の多寡はともかくとして、米国当局が、制裁国との不正取引を、見逃すということは万万が一にもありえないでしょう。

▼ストレステスト真っ最中の欧州銀行群。
今、株の換金売りの売り手としては、なんといっても実需として欧州系の銀行群に注意を払っておくべきでしょう。
それでなくともストレステスト(銀行の健全性審査)の真っ最中ですから、先述のイレギュラーな問題がなくとも、株への換金圧力があっておかしくないところです。
実際、これまで6月のSQというのは、大いに荒れるのがふつうでした。
今回は、きわめてすんなり通過したので、文字通り、この問題はたいしたインパクトがないということで済むか、これから出てくることなのかは、定かではありません。
一応、来週以降、欧州系の動向には注意を払いつつ、積極策でポジション再構築に動くということで良いでしょう。

【黄金銘柄リスト】
黄金銘柄リストを、改訂いたしました。
追加、変更の諸点があります。
これを解説しながら、個別銘柄選択の活用に供したいと思います。

(1) 期間パフォーマンスの変更。
項目13です。
これまで、昨年末から、現時点までの指数・株価上昇率や下落率を記載していました。
これを、今年2月5日から、現時点までの期間に変更しました。
2月5日は、日経平均の年前半における最初のボトムです。以降、完全なボックス圏で推移してきた、その起点にあたります。
ちなみに、もっとも株価変動を恐れるキヤノン7751が、この2月5日を境に、現在まで一貫した上昇トレンドを見せ、日経平均と明確な「差」を示したことは、これまでも解説済です。

(2) 日々の出来高増大をチェック。
項目15です。
日々、新規に個別銘柄を買い入れるという場合、重要な目安になる出来高動向を入れました。
マス目に、濃い青で網掛けを施している銘柄は、その日、出来高が前日より増大しているものです。
もっと長い増減傾向が重要なのでしょうが、日々のデータ更新ということでは、一応前日比較で行っています。

(3) ROEを導入。
項目16です。
「黄金銘柄リスト」は、一番大きな投資主体である、外人を重視してきました。
そのため、評価点上も、項目4のPEGを導入してきたことはご存知の通りです。
しかし、デフレ脱却過程では、当然80年代と同様、国内勢力の勃興が目立ってきます。
このため、国内機関投資家が注目する共通項として、ROEを導入しました。
政府が、GPIFなど年金資金を株式投資の積極かを促しています。そのためにこそ、にわかに日経JPX400を創設し、わざわざROE17%という目標値まで設けています。
日経平均の構成銘柄のROE平均は8.6%です。
NISAが同時にスタートを切ったことは偶然ではなく、機関投資家・個人投資家こぞって、株を買えという国策が打ち出されたようなものです。
しかも、JPX400の設定によって、(GPIFの実弾買いという紐付き)上がる銘柄はなにか、ということを、具体的に指定したようなものですから、あとは、政府を信じるか否か一つです。
PEG、ROEと外人、国内勢、いずれの観点からも銘柄を評価できるように、今回ROEを黄金銘柄でも導入することとした次第です。
項目16のマス目に、数値の上にピンクで網掛けしてあるものは、日経平均構成銘柄の平均ROE8.6%を上回るものです。
各位で、JPX400の目標値である17%でハードルを切ってもいいでしょう。
より絞込みが進みます。
ちなみに、この項目で記載しているROE数値は、まず増田足ソフトの企業業績欄にある、会社側予想をベースにした数値にしています。
会社側が予想を出していない場合には、ありません。その場合には、四季報ベースの予想数値を入れています。
混在しており、統一性がありませんが、要するに高いか低いかがわかれば良いのです。
また、数値自体も、分割など資本移動があった場合には異常値になったりしている場合もありますが、精査せずにそのまま記載していますので、各位疑問に思えばチェックして判断してください。

(4) 指数組み入れの可否。
項目17と項目18です。
項目17は、日経225採用銘柄には、マス目に赤で網掛けをしています。
項目18では、日経JPX400採用銘柄に、同じく赤で網掛けをしています。
リストAの30番、アマダを見てみましょう。
日経225採用ですが、JPX400には採用されていません。従って、経営者の判断によりますが、JPX400に組み入れて欲しいという場合(アマダはその典型的な例でしょう)、積極的な株主還元策や、経営策を打ち出してきます。
この観点から、株価が上昇するということがあるわけです。
ただ、当該リストでは、それ以上に、以下のケースを重視しています。

・日経225に含まれていないが、JPX400には採用されている銘柄。
これは、機関投資家の保有が少ないと推測されますから、彼らとしてはJPX400に連動させるためには、どうしても組み入れなければなりません。この買い需要は、かなり確度が高いと考えられる。

・日経225にも、JPX400にも採用されていない銘柄。
一見どうしようもない銘柄に思えたりしますが、「黄金銘柄リスト」に入っているものは、基本的にPEGが非常に割安なものばかりですから、かなり内容が良いものが多いはずです。
従って、今後、日経225に採用されることはないにしろ、JPX400には採用される可能性は十分にあるということです。とくに、ROEが高い場合はそうでしょう。

・日経225には採用されているが、JPX400には採用されていない銘柄。
これが三つの中では、一番見劣りするわけですが、日経225に入っていることから、あるていどは機関投資家が保有している可能性があります。ただ、JPX400に入ったということで、買い増しを強いられるというケースも出てくるでしょう。ここに注目しています。

以上三つのパターンがあると思われ、最終的に「絞込み表」あるいは「コア銘柄」などから、各自の銘柄選択判断をする場合に、参考としていただければ、と思います。

(5) 「絞込み表」へノミネートされてからの、パフォーマンス。
項目19、20、21です。
リストAの1番目、DDSの例で解説しましょう。
DDSの、2月5日の株価水準から、直近までは705.5%の上昇率です。
つまり、8倍ということになります。
この間、日経平均は、直近の戻りがあったとはいえ、6.5%上昇です。
これは、項目13でわかります。
それでは、「黄金銘柄リスト」で一体、いつ、(2月5日以降で)一番最初にこのDDSを「絞込み表(その日の投資対象適格銘柄)」にノミネートしたのでしょうか。
振り返ってみますと、3月24日です。(項目19参照)
その時の終わり値は609円です。
もし仮に、上げ下げに動じず、放置プレイでホールドした場合にどうなったかというのが、項目21です。つまり、210.8%。約3倍超ということになります。
ちなみに、空白の銘柄は、まだいつ最初にノミネートしたか、作業の途中ではっきりしません。時間を見て、順次確認して、記載していくようにします。

(6) ロングホールドか、それとも緩急をつけてつどトレーディングすべきか。
ここで、最大の運用上の問題に直面します。
このDDSの例で見ますと、「絞込み表」で最初にノミネートした3月24日(実際には翌日の寄付きということでしょう)から買ったと仮定しましょう。
「黄金銘柄リスト」の大原則は、25日足トレンドキープです。
それでは、DDSの5月14日1545円高値から、5月21日安値855円までの滑落局面に、どう対応したらよいのでしょうか。ここで投資家はみな、苦痛を強いられるでしょう。
ホールドすべきなのか、それともいったん利益確定するべきなのか、です。
場合分けをしてみます。

・あくまでホールド、というケース。
25日足を割らない限りはホールドというのが、「黄金銘柄」の大原則です。
これを貫徹するという方針の場合は、5月14日以降の滑落で、「一体どうなるんだろう。この銘柄の相場は終わったんだろうか。」と悩みます。が、あくまで、3日足が25日足を割るまでは、ホールドし続けることになります。
このケースの場合、最大のポイントは、5月20日に25日足に到達・タッチ。21日に割り込んだ、この局面での対応です。
わたしがどうしたかというと、(つまり、黄金銘柄リストから、DDSを除外するか、どうかということ)ホールドでした。
それは、つど解説していますように、25日足(あるいは25日移動平均線)で、株価というものがぴったり反転して動くなどということは、無く、大抵は、その前後で多少の許容範囲というものがあります。
黄金銘柄では、その許容範囲を「25日足割れから、2日間は持ちこたえる」としています。
3日目、まだブルー足の幅が大きく、滑落が続くようなら、あきらめて処分という判断にしています。
このときのDDSは、ブルー足の二日目、22日がコマ足で下げ渋りとなり、23日にはピンクで反転しています。
つまり、辛くもぎりぎりで、踏みとどまったケースということになります。
なぜ、二日待つのかというと、経験則としか言えません。急速にして、極点での動きというのは、「続いたとして三日」という経験則です。暴騰でも、暴落でも同じです。
増田足が、3日足を使っているのも、それです。
変化が起こるとすれば、三日目だという経験則です。
実際に、DDSの三日足が、25日足を割って二日め、つまり、5月22日にカーソルを移動して、F3キーを押し、5月22日にタイムスリップしてみましょう。
そこで、「先読み」を見てみますと、次の一本はコマ足ながら、ピンクに転換想定となっていたことがわかります。
つまり、25日足割れから、三日目には、ピンクに変わる可能性が出てきた、ということです。
実際には、その日になってみなければわかりませんが、結果的に翌23日(25日足割れから三日目)に、相場は反転しています。
このときは、「黄金銘柄」としての管理上、22日の段階で、「翌日反転」一つに希望をつないで、「除外(処分)」せずに、黄金銘柄リストに組み入れたままと判断しました。
もし、このとき、三日目も、幅をとったブルーになってしまったら、間違いなく、DDSは「黄金銘柄リスト」から除外、処分対象となったことでしょう。
それでも、800円台ですから、3月24日の600円台からすれば、余裕で利益確定です。

・緩急をつけて、つどトレーディングするケース。
ひたすらホールドするのでは、芸がない、5月14日以降滑落したのだから、そこで売るべきだ、という議論もあるでしょう。
この場合、なにをもって利益確定売りの判断をすべきでしょうか。
せっかく積み上げた含み益をできるだけ失わないようにするという方針が、このケースですが、一つの尺度として、滑落一日目のブルーの幅が、それまでの上昇トレンド(つまり3月14日以来、あるいは2月以来)を振り返っても、かつてない大きな幅のブルーがでたときには、とりあえず処分するというのが一つの方針でしょう。
このときのDDSはまさにそれです。
その後、DDSは先述のように、25日足割れまで滑落していったわけですが、25日足奪回で、再び買い戻せば良いということになります。
あるいは、もし、25日足割れまでいかずに、反転上昇しても、同じです。
どちらのケースでも、「黄金銘柄リスト」の銘柄というのは、上昇率ランキング上位に食い込んでくる習性のある、株価変動率(βベータ値)が高いものばかりを選んでいますから、反転上昇局面では、25日足を上回っている段階であれば、必ず「絞込み表」にノミネートされてきます。新たな、買いタイミングということで理解いただければ良いでしょう。

(9) 今週の「絞込み表」
さて、本論です。
今回は、上記のような改訂版となったことから、黄金銘柄の母集団は、合計で109銘柄です。
たとえば、新日鉄住金のように、日経225にも採用されており、JPX400にも採用されているような銘柄は、機関投資家の買い需要が、相対的に低い、とみなして、黄金銘柄にはいれないようにしています。
新日鉄住金が上がらない、という意味ではありません。あくまで、相対評価です。
今週末の時点での「絞込み表(投資適格)」の銘柄は、合計で31銘柄となりました。

(10) 今週の「コア銘柄」
さらにとんがった銘柄を抽出したものが、コア銘柄ですが、それでも23銘柄と多いので正直閉口します。
無理やり絞り込むそのやり方を、ぎりぎりまで突き詰めるとどうなるでしょうか。
たとえば、出来高増大、日経225不採用、なおかつ、ROEが高い、と三拍子そろったものは、この23銘柄中、実はそんなに多くありません。
かなり無理やりですが、以下の銘柄となります。

JUKI 6440
エプソン6724
日成ビルド1916
日本オラクル4716
マーベラス7844
地盤ネット6072

以上6銘柄だけです。
もちろん、これは、あくまでも無理やり割り切った場合です。
なにもROEに固執する必要もありません。
またこの黄金銘柄リストそのものは、中長期投資を目的としていますが、絞込み・コア銘柄については、その日その日の投資対象適格です。

以上

増田経済研究所
コラム   増田経済研究所
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