サマーラリ-始動~メジャーSQの注意点

2014/06/09

サマーラリ-始動~メジャーSQの注意点

【マクロ分析】

▼一服か、続伸か、頭を抑えられるか。
TOPIXは、1月16日高値1308ポイントから、4月11日の安値1121ポイントの下げ幅の、61.8%戻しが、116ポイント分ということで、1237ポイントとなります。(週末金曜日、ザラ場で1238、終わり値で1234でした。)
つまり、達成です。
ここで、一服となるか、続伸するか、頭を打たれるか、が本日明日の課題になっているわけです。
ちょうどそこに例の重要イベントであるECB、米雇用統計がありました。

▼現時点での市場の反応。
前者は不完全ながら、今できる最善の政策をECBは打ってきました。後者は、伸びが鈍化しているとはいえ、4ヶ月連続で景気の分岐である20万人を超えたことで、少なくとも米国景気が正常な軌道を歩んでいることは証明されました。
いずれも、決定的ではないものの、マネーの循環には相応の材料になる内容です。
結果、週末の時点では、ユーロが一段叩き売られるという状況がありませんでした。不完全な政策、量的緩和への含みをもたせたECBですから、ユーロがもっと下落が加速してもおかしくないところですが、そうはなりませんでした。
ということは、下げの圧力がかなり後退したのではないか、と考えられます。ここから、出尽くしで積み上がったユーロ・ショートのポジションが買い戻されていくかどうかが注目されます。
ドルは、102.50円台と反応がまだ鈍いです。米長期金利も、週末2.6%にやっと乗せたという程度の反発でしかありません。
しかし、この長期金利のチャートは、5月8日から28日にかけて、直近の最低水準を大きく割り込んで2.4%台まで低下した期間、RSIは逆に切り上がるという、典型的なコンバージェンス(逆行減少)を形成しました。その後、週末の雇用統計まで、長期金利は実際に反転上昇して、とにもかくにも2.6%にまで回復してきています。
このパターンは、ダイバージェンスである以上、上値抵抗線に当たるこの50日線近辺2.62%で止まるとは思えず、当然、100日線2.67%、あるいは200日線2.72%まで戻ることを示唆しています。
本来マクロ指標の一連の好調さからいえば、2.75から2.8%あってもまったく不思議ではないくらいのはずですから、この米10年国債の積み上がったショート分も上記の逆行現象が正しければ、ユーロと同様、今後反転上昇の傾向を顕著にしてこなければおかしいでしょう。

▼上げても下げても、来週買いのタイミングとしてねらう。
来週は、週末にメジャーSQですから、需給的な波乱は間違いなく起こるでしょう。そこは、買いだと判断します。ユーロの反転上昇、米長期金利の反転上昇が、顕著になればなるほど、短期的には欧米日本の株式相場には、短期的なガス抜き調整のきっかけとなりますが、中期的には猛然とした上値追いの上昇相場の原動力になります。
つまり、典型的な押したら買えという、ブル相場の様相を呈するわけです。
個人的には、押しを待っています。
あるとすれば、来週でしょう。
6月のメジャーSQは、欧州勢が大きくポジション調整をする季節性があります。半期末を控えているからでしょう。今年は、銀行監督一元化、そのためのストレステスト、自己資本規制の強化、というものがありますので、なおさら需給ポジションが変動するのではないか、と思います。
ECBの政策発動はほとんどなにもなかったのと同じ効果ですが、この結果を見て、おそらくポジションの再構築を検討しているはずです。このまま、従来通りの国債買い優先で行くとはおよそ考えにくいものがあります。
ユーロは冒頭で述べた通り、ECBの結果で、最終的に大きく下落することがなかった、ということが重要です。
もし、これまでと同じ相場展開ならば、おそらくここをチャンスとユーロ売り叩きがでてもおかしくなかったはずですが、無かった。ということは、ユーロが反転上昇することは、今後十分にでてくるのではないか、と思います。
そうしたポジションの変更が中心となって、来週、東京市場にもそれなりの影響が及ぶ可能性は十分にあります。
雇用統計を経た週明け当初のスタートがどうあれ、週中盤以降は、どうしてもこのような意味で欧州勢の売りがでてくる可能性があるので、ここをねらいたいところです。
週中の日銀会合でもなにもないでしょうが、5月のときには、黒田総裁の市場をサポートする発言が今回の戻り相場のきっかけにもなっているわけで、そうしたリップサービスから意外な日本株支援の動きが出てくるでしょう。
悲喜交々の来週ですが、ここがポジション再構築の起点と考えてよいのではないでしょうか。

▼需給は申し分ない。
年末年始高値としたときの、信用取引の絶対期日到来で、取り組みは非常によくなっています。ぎりぎり最後、終盤にあたりますから、ここまで我慢した保有者たちの、投げが出るかもしれませんが、それは最後の処分玉でしょうから、迎え撃って構いません。
信用買い残は、5月末の段階で、2兆7730億円。裁定買い残は2兆8000億円。
一方、売り残は順調に増大しており、信用買い残の場合は、ここもと4000-6000億円のレンジの上限に達してきています。
売買をすべてネットにしますと、純粋に今後売り圧力となってくる分(仮需)は、4兆7000億円と算出されますが、これは、時価総額対比1.1%。
ほぼ、市場に与える影響は、ニュートラル、ゼロといっていいインパクトでしかありません。
市場における出来高に対する空売り比率は31%と、最大規模の基準となる30%を上回っています。
これが解消に向かって低下していく趨勢が、今後でてくるでしょう。つまり、売り方の踏み上げです。

▼テクニカル分析上は、下降ウェッジから大幅反騰示唆。
日経平均の日足チャートを見ますと、2月5日の安値13995円以来、底値がほぼ横一線、上値が切り下がるという傾向ですが、正確に見ますと、底値も4月11日に13885円に切り下がっていたわけですから、上値も下値も切り下がる下降ウェッジ、あるいは下降フラッグといっていい形状です。
これは、これまでも何度か解説した点ですが、一見非常に弱く見えるチャート形状ですが、実はまずこの後に来るものは、相当の上昇相場が用意されているものです。
同じことは、昨年7月19日の戻り高値14953円から、8月28日の安値13188円まで、この下降ウェッジの形状でした。その後、9月27日の高値14817円まで駆け上がっており、実はその後も、9月から11月にかけて、同じように下降ウェッジを繰り返し、それ以降年末まで16000円超えまで相場は走っています。
ずっと以前、それこそ日本の最後の金融危機と呼ばれた2003年にもこの現象は顕著に出てました。さらにそれ以前の95年にも同じことが発生していたことが確認されます。

▼日経平均がどこまで上がれるかの先行指標。
もちろん、今後とも、米国長期金利やドル円の趨勢で、日経平均の動きが判断できるわけですが、国内で日本株相場がどこまで上がれるのか、先行指標となりうるものがあります。
日経平均で、16000円台で落ち着いてしまうか、そこから思いのほか強い続伸相場に突入するか、REIT指数の先行性を定点観測するようにしましょう。
東証REIT指数がそれです。ほぼこれまで日経平均より2-3ヶ月先行して天底を形成するパターンが繰り返されていますから、これが、どうなってくかは、一つの参考になるでしょう。

▼国内勢先攻、外人後攻。
いままでにない現象です。胸がすくといえばこのことでしょうが、長年東京市場が停滞している期間、ついぞ見られなかった、国内勢が先行して買いを始めているわけです。
いわば、日本の国民・国家の資金による上昇相場が始まったわけです。
外人は、手をこまねいて、まだ動けずにいます。ただ、日本企業訪問がラッシュとなっているようですから、早晩動くでしょう。
日々のコラムでも述べましたが、80年代のバブルは、明らかに国内勢の手によるものでした。90年以降、国内勢が壊滅し、相対的に比率の大きくなった外人によって振り回されてきたわけです。
再び、国内勢の時代が到来したとすれば、これはアベノミクスの性格、世界的な異常なまでの金融緩和措置による超過剰流動性からいって、相当のバブル相場に発展していくことは、間違いないでしょう。
折しも、米中間選挙年。その年の前半の安値が、今後数年間のブルトレンドの起点ですから、つど春、秋には下落調整はあっても、このスタート地点は買いの局面としては申し分のないタイミングということになります。

▼残るは外人の去就。
昨年は、ご存知のように、15兆円に及ぶ日本株買い越しをした外人ですが、今年1-5月は、どうだったかというと、1.58兆円の売り越しです。
新興国やその通貨、あるいは各国の長期国債に流れていた彼らの資金は、もはやここから国債などでパフォーマンスを一段と上げていくことは、かなり難しいでしょう。
安易な道を選ぶ彼らが、最も標的にしやすいのは、やはり東京市場の買いしか残されていないというのが現状です。
最も一般的なPERで見て、東京市場は、世界のほぼすべての主要株価指数を下回っているという、おそらく30-40年ぶりともいうべき、驚く程の割安に位置しています。
トレンドが上でなければ誰も見向きもしないでしょうが、すでに、ここ足掛け2年、東京市場の年間パフォーマンスは世界でも群を抜いており、外人はその成功体験があります。
彼らが、入ってくるのは時間の問題でしょう。
おそらく、彼らはグローバルには今般のECB、米雇用統計を、そして、個別の東京市場への取り組みについては、今月の国家成長戦略の事実をもとに動くかどうか決めてくるのでしょう。
日本の国内資金は、国策によって動いていますが、彼らは顧客への説明責任があります。内容はどうあれ、事実をベースにアクションを取る以外にないわけです。
カジノ法案が先送りになってしまっただけに、非常に嫌な感じですが、この成長戦略が海外勢に受け入れられれば、彼らは買ってくることになるわけです。

▼短期的な過熱感。
確かに、日経平均など短期的な過熱感はありますが、ポイントは年初以来、延々と低迷してきた東京市場の蓄積されたエネルギーが放出されるときには、この短期的過熱感は不可避です。
現在、日経平均の25日移動平均線との乖離率は4%に達しています。騰落レシオは120を突破しました。教科書通りであれば、短期的過熱感はすでに発生しており、いつ調整してもおかしくない、ということになります。来週は、そういう意味では、欧州勢の中間期末の売りが発生するリスク・タイミングですから、押しがあるかもしれません。が、それはすでに解説してきたように軽微に終わるでしょう。
そして、十分に解消されない過熱感のまま走ることは十分にあるのです。
ちょうど、2012年年末当時、日経平均は10395円。衆院選挙の8829円から駆け上がったあとのことです。
この段階で、日経平均の25日移動平均線乖離はやはり4%にほぼ到達していました。
騰落レシオにいたっては、146に達しています。現在の120どころではありません。誰もが、調整やむなしと思っていた局面です。
ところがその後、2013年年初から5月まで、日経平均は16000円まで駆け上がったことを思い出しましょう。
教科書通りにいかないときもあるのです。
それはエネルギーが炸裂するときです。
また、騰落レシオというものの性格上、高原状態が続き、その間、相場は過熱化していくというのがふつうです。
米国市場が、まさに過熱感を抱いたまま、やや過剰流動性相場的に上値を取りに行くようなことにでもなりますと、この可能性はさらに高まることになります。
日米ともに、ここもとの上昇(とくに米国は新値)にもかかわらず、いずれも相場に過熱感がありません。
その最大の要因は、出来高がどちらも増えていないからです。とくに米国は漸減しています。出来高増大で相場は過熱化していくはずですが、この出来高増大が出てくるとすれば、米国債など中心に確定利回り商品からの資金シフトが鮮明になってくる局面でしょう。
いわゆる、忘れかけたグレート・ローテーションです。
おそらく、その一端が、この夏場に発生して、過熱感を抱いた相場の天井を形成していく過程がでてくるのではないでしょうか。

▼最後の鍵を握る外人の動向。
個人は、ここへきて、通算4800億円の売り越しですから、やれやれの売りを行ったと思われます。息切れでしょう。
粛粛と買っているのは、年金を主体とした部門であることは間違いありません。
外人は様子見。
この外人が、最後のワイルドカードになってきます。
おそらく最大のリスクとして彼らが考えているのは、米国株市場の大天井形成の問題でしょう。なにしろ5年の上昇相場を継続してきたのです。
S&P500の長期的トレンドライン200日移動平均線との乖離率は7.7%に達してきています。
8%というと、まず調整が入る帯域です。
出来高は漸減していっています。これが、一番の懸念でしょう。
ヘッジファンドあたりは、おそらくVIX指数は10―11ということで、たまに10割れということはありましたが、ほぼ最低の限界線です。2007年2月以来の低水準なのです。
どこまでこの状態が続くかわからない中で、いつ反転上昇するとも限りません。
米国株式相場が、急落的なことになれば、さすがにグローバルマネーもいったんは収縮の方向に向かいます。
外人は海外にあっては、この米国株のテクニカル上の不穏の種に警戒している点、そして国内では安倍政権の国家成長戦略の中身、この二点が懸念となって、動けない、あるいは不測の事態では日米株式を売る、円を買う、といったような腹案も練っている可能性はあるでしょう。
ここが、リスクです。
ただ、S&P500のVIX指数が、反転上昇して、米国株市場が5年の上昇相場をいったん終焉するにしても(秋までには発生すると想定)、現在過熱感があるわけではないため、目先すぐ起こるということは、やはり考えにくいでしょう。

▼対応迫られる日銀。
欧州が大胆な政策発動に打って出てきたことで、今度は日銀に対応が迫られます。
来週は日銀の金融政策決定会合です。
ドル円が動くかどうかにもかなり影響を与えるでしょう。
個人的には、欧米株式市場の利益確定による一般調整ができればあってほしいところと思っています。

【黄金銘柄リスト】

昨日の大引け段階のデータで黄金銘柄リストを更新しました。
母集団は122銘柄となります。
本日から、本表には、項目15が加わっています。
これは、当日(本日)、出来高が増大に転じたかどうかです。増大に転じた場合には、●印をつけています。それ以外は、微妙、変わらず、減少ということです。
黄金銘柄リストは、基本的に25日足のトレンドを維持する限りホールドを投資目的とするものですが、日々新規に買い入れる場合の参考ポイントとして、この出来高増大転換を加えましたので、これを最終的な銘柄絞込みの場合の要件の一つにして提示しようと思います。

(1)追加銘柄。

2158 UBIC

(2)除外銘柄。
ありません。

(3) 絞込み表。
母集団が122銘柄になっていますが、ここから「絞込み表」を作成すると合計で39銘柄になりました。
基本的に、新規買いの対象としては、投資適格性があると考えられるものです。

(4) コア銘柄。
「絞込み表」から、優先度の高いものを抽出します。
「コア銘柄」は、結局以下の通り銘柄です。
新たに設けた項目15(出来高増大)で、ぐっと絞込みが狭まることになりました。
合計で、16銘柄です。
この16銘柄のうちROEかPEGのいずれから、市場平均あるいは1倍以下のものは、以下の10銘柄です。

6473d ジェイテクト
4848c フルキャスト
6135w 牧野フライス
6674d GSユアサ
6355w 住友精密工業
6103w オークマ
2440d ぐるなび
2158c UBIC
5807dw 東京特殊電線
6072 地盤ネット

このうち、ちなみに、ROE、PEGともに要件を満たしているのは、オークマ6103の1銘柄だけです。
マクロ分析で解説したことからすると、来週前半は先週の地合いを引き継いで相場は強含で推移できるでしょうが、中盤からはメジャーSQを控え、欧州勢のポジション調整が入りやすいところですから、あくまでキャッシュをあるていど確保した上で、逐次ポートフォリオの銘柄再構築を始めて行く方針が良いでしょう。
めいっぱいのフルポジションは避けましょう。

以上

増田経済研究所
コラム   増田経済研究所
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