年初以来、例年と逆の相場パターン~5-6月は高いという結論。

2014/04/14

【マクロ分析】

▼世界の金融市場は、まったくリスクを感じていないという事実。
(日経平均、2月の安値割り込み)
ここもとの下げを整理して、次の反発局面を想定しましょう。
年初以来、さまざまな原因や口実がありました。そのすべてがそれなりに根拠のあるものだったでしょう。
しかし、ほんとうにそれらは本当の株価下落の理由だったのでしょうか。
日経平均が、2月5日の安値13995円を割り、11日には13885円までザラ場安値がありました。
ナスダックも2月5日の安値を割る寸前まで下落しています。
これだけを見れば、明らかにリスクオフ(資金逃避)ということでしょう。
それでは、ほんとうに市場はリスクを感じているのでしょうか。

(リスク指標は、動いていない)
まず肝心の米国市場では、危機の際には大きく上昇するVIX指数(恐怖指数)があります。現地10日、ナスダックが大きく下落した当日は、さすがに一日で14%の高騰になっていますが、じつはそれまでほとんど上がっていませんでした。
過去2年ほどを振り返っても、高値・安値のちょうど中間くらいでしかありません。
とても、市場全体にリスクを感じているような動きとは言えないでしょう。
また、リスクという観点で言えば、米国の5年物のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は、ほとんど横這い。
クリミア問題があるというのなら、ロシアのCDSはどうでしょうか。また理財商品の問題があるというのなら、中国のCDSはどうでしょうか。いずれも今週はむしろ低下しています。
世の中で騒がれているほど、金融市場はまったくリスクを感じていない、ということになります。
なるほど、米国10年国債利回りが2.7%を割り込み、リスクを感じているように見えます。
しかし、これは、米国株が思わぬ下落となってきたことから、資金が米国債にシフトしただけのことで、リスクがあるから長期金利が低下しているというのと、やや温度差もあり、意味合いも違うようです。
つまり、世界の金融市場は、なにか具体的に材料や懸念があって、リスク回避で日本株や米国株を売っているのではない、という結論になります。

▼資産配分(アセット・アロケーション)のシフト。

(それまでの、グローバルマネーのコンセンサス)
それでは、一体なぜ、日米の株式はそこまで下がらなければならなかったのでしょうか。
あっけないほど、実に単純な理由だったようです。
つまり、資産配分(アセット・アロケーション)の変更を行ったということです。
これまでマネーは、米国景気の回復の強さを信じ、日本のデフレ脱却を信じていました。逆に、新興経済国家に不安を覚え、欧州にはクリミア問題とその拡大を懸念するリスクを感じていました。
ところが、肝心の米国では、目先は寒波の影響が大きい1-3月の企業業績発表が始まっています。内容はいいわけがありません。ただ、4-6月にどのくらい持ち直せるか期待したいのですが、数字を見ないと安心できません。

(年間のパフォーマンスを出そうとすると)
また、中長期的には、連銀の利上げは、来年であることは間違いないなさそうです。ということは、今年後半には米国長期金利の上昇が顕著になってくる恐れがあり、秋などには、需給悪の季節だけに、大きく株価は調整するかもしれません。
となりますと、前半できるだけ、どこかで利益をたたき出さなければならないことになります。
米国では、企業業績の改善にしろ、マクロ指標の改善にしろ、寒波の影響を脱してくるのに、数ヶ月という時間がかかってしまいます。
これでは間に合いません。とりあえず、米国ではいったん利益確定をしよう、ということになります。

(米国では一番もうかったセグメントを売った)
昨年来、最も上昇したのは、米国ではネット系の銘柄群とバイオ系です。これが、軒並み売られたということが今回の下落の実相でしょう。
PEGで、たとえば、S&P500の平均が2.37倍です。
これに対して、アマゾンAMZNは3.45倍です。想定される利益成長に対して、S&P500は、その2.37倍まで買われてしまっているのもかなり割高ですが、アマゾンにいたっては3.45倍まで買われていることになります。
米国市場全体が、いつこうした割高感から利益確定による調整があってもおかしくないことは、述べてきた通りですし、5年サイクルのブル相場が、3月で時間切れとなったこと、また半導体指数SOXが、西暦偶数年の前半につねに天井をつけるということから言えば、今年の1-6月のどこかで天井を打つということも想定されていたことです。
それが出た、それももっとも昨年来上昇の大きかったナスダックや小型株市場にとりわけ顕著に出た、ということです。

(システムへの疑問と、当局の調査開始報道)
とくに、HFT(超高速回転売買)システムの不正取引が問題になり、FBIまでが動き出したなどという報道があったものですから、これがとりわけ激しく行われていたのがナスダックなど小型株市場です。
相場操縦がからんでいたとするとかなり深刻な問題です。
そのため、マネーは一気にこれらを利益確定して、国債にシフトしたということでしょう。

(日本はつねにヘッジにされる)
こういうとき、常に日本の株式市場というのは、ヘッジに使われます。
なにしろ、規模が大きく、自由に取引できます。
しかも、国内の個人・機関投資家は底が浅く、スタンスも軟弱です。好きなように誘導できます。
理由は、ウクライナであれ、中国理財商品であれ、米国景気足踏みであれ、新興経済国家の通貨不安であれ、なんでも良いのです。
グローバル運用で、なんらかの動きをとるときには、そのヘッジに必ず日本株をヘッジに使うのです。
そのヘッジの方法は、日本株売りであり、同時に円買いをするということです。
ほとんどがヘッジファンドによるものですから、指数先物とドル円のリンクで行われます。
これで、不必要に上げ下げが増幅することになります。
今回も米国を売り、日本を売った最大の理由は、利益確定を米国で行い、そのヘッジに日本株を売り、円買いをした、というセットの動きでしょう。
では、世界的な金融市場にリスクが無いのなら、この日米市場での彼らのアクションは、その裏側になにをしているのでしょうか。国債に一部シフトしたことは間違いないでしょうが、これはヘッジファンドの資金というよりも、米国株の下落に驚いて、国債に逃げた人がいたことを示しているのでしょう。
この人たちは、確かに、「意味不明のリスク」を感じていたかもしれません。

(日米を売って、どこに行ったのか)
当然、新興経済国家です。
典型的なのは、豪ドルの強さによく出ています。
対米ドルで、25日移動平均線と200日移動平均線がゴールデンクロスです。
つまり、豪ドルは長期的に上昇波動入りしたということになります。
中国株上海コンポジット指数と日経平均の、3月以来の動きを比べてください。ほとんど真逆の動きです。
日本は下げ、上海は上昇しました。
フラジャイル5(脆弱な5カ国)と呼ばれたインドネシアが年初来11%以上の上昇、インドが7%以上の上昇、南アが5%以上の上昇、ブラジルでさえ、下げたといってもわずか1%以内の下落ですんでいます。
これにインド、トルコ、ブラジルなど、軒並み上昇です。
東京市場売りの新興経済国家買いは鮮明でしょう。
なぜなのでしょうか。日米の中央銀行が、彼らの思惑と違った動きをしたためです。
米国連銀は、イエレン議長がハト派かタカ派かともめにもめた迷走の議論の末、けっきょくやっぱりハト派だということになり、先述のように、早期利上げは無いと見切りました。
東京では、日銀が消費税にからんで、さらなる量的緩和をすると踏んだようです。が、予想に反してしませんでしたし、むしろ日本の景気の改善度合いに日銀はこれまで以上に自信を見せました。
米国経済の加速化、ドル高、円安、日本の超低金利政策のテコいれ、などことごとく「はずした」ことになり、日米でロングを積み上げたポジションを、いっせいに閉じるというアクションを取りました。
一方で、豪ドルや、新興経済国家を買った、ということになります。
それは、そもそもが、米国景気が回復しなければ、新興市場など買える代物ではないことは、わかりきった話ですが、ヘッジファンドにはこういう常識は通じません。ただ、ギャップをとりに行くだけの運用ですから、単純な話、割高なものを売り、割安なものを買った、というだけのことになります。

▼例年と違うアノマリーが発生している。
(いつもと違う5-6月の相場か)
以上のようなことから、話を単純化させれば、たんにヘッジファンドが、グローバルマネーのアセットアロケーション(資産配分)を、日米重点から、新興経済国家の株式や、下落し続けていた金価格などの商品市場を買った構図が明らかです。
リスクなど感じた話ではなく、純投資として、安いものを買い戻したというだけのことです。
ということはつまり、次は、日米の株価の水準によっては、なにかと口実をつけて、再び舞い戻ってくるということにほかなりません。
日米の株価の突っ込みが不条理なものになってしまえば(東京市場はすでに不条理な水準まで下落していると考えられます)、買戻しは早いでしょう。
なにしろ、今年前半でパフォーマンスを挙げたいのですから。5月末というヘッジファンドの中間決算までに、とりあえず稼げるものを稼ぎたいでしょう。ただ本決算ではないので、利益確定を完全にする必要もないででしょうから、まだいけると思えば、6-7月くらいまで暴れまわるかもしれません。

(年初から、例年のアノマリーは破られている)
もし、今日本の株式市場が割安だということになれば、例年と違い、セルインメイ(5月に売れ)のジンクスは破られるかもしれません。
事実、今年は、同じようなジンクスで、ジャニュアリーイフェクト(1月効果)というものがありましたが、これは毎年ニューマネーの流入で、米国市場が例外なく上昇するというアノマリーです。それが、まったく逆でした。
さすがに足元の米国株は、先述のように割高感がありますから、調整気味で推移してもおかしくはないのですが、日本市場は極端に売られ過ぎです。すでに売ってしまったということを考えますと、後は買い戻ししかありません。すでに時は4月の中旬にさしかかろうとしています。
日本の国内機関投資家は、ここから5月に向かって、ようやく今年度の資産運用を本格化させます。
日本が割高になってきているのであれば、昨年5月のようにこれに売りをぶつけることもしましょうが、このように自分たちが安くしてしまっていたら、これをさらに叩き落とすよりも、買戻しで上昇を煽るほうが、楽ではないでしょうか。
彼らが考えそうなことはこのていどです。
思ったよりも早く、米国が停滞していたとしても、日本株の戻りは先行するかもしれません。
とくに、6月というのは、消費税後の状況がわかりはじめる最初の段階です。日銀が動くとしたら、このときは一番早いタイミングでしょう。
安倍政権の国家成長戦略、戦略特区構想の最終結論がやはり6月です。
今から、この6月に向けて、国内機関投資家の買いと合わせて、東京市場を動かそうとすれば、やはりなにかをテイクチャンスして、上に押し上げることしかないのではないか、と考えます。

▼テクニカル指標。
すでに、2月5日に日経平均が最初の安値を叩いたときと同様、11日の突っ込みでは直近の最大出来高をつくりました。
折りしも、ポジションが転換しやすいSQでした。
空売り比率は、34%。この水準がいつまでも維持されることはまず確率的には無いに等しいでしょう。早晩解消に向かうはずです。
ナスダック指数も、日経平均も、ドル円も、すべてRSIは安値更新の中、逆行する形状(逆行現象)になり始ようとしています。
米国依存で景気回復するしかない新興市場どころではなく、慌てて日本の相場の反転に舞い戻ってくる可能性は十分にあるでしょう。

【黄金銘柄リスト】
11日大引け段階での黄金銘柄リスト(ここをクリック)です。

1. 追加銘柄
まだ「のろし」は上がっているものの、反発局面ではないため、追加銘柄を出すのは控えました。
サニックス4651など、組み入れたり、削除したりと繰り返しになっています。
現時点では、再び組み入れの資格がでてきていますが、続伸まで待とうと思います。

2.除外銘柄。
除外銘柄は、一つあります。サカイオーベックス3408のみ、リストから削除しました。
75日足が、完全に下方乖離拡大となりました。
これが底値かもしれませんが、致し方ありません。

3. 絞込み表
「黄金銘柄リスト」は61銘柄です。
そこから「絞込み」を行い、残ったのは、以下の10銘柄です。

8572d アコム
2158dw UBIC
2379c ディップ
1605w 国際石油帝石
6482c ユーシン精機
2540w 養命酒
6373 大同工
4848 フルキャスト
1934w ユアテック
4527c ロート

4. コア銘柄
「絞込み表」の10銘柄のうち、強いてコア銘柄を抽出しようとしますと、やはり項目6-9をすべてクリアしているもの、ということになります。
これに該当しているものは、以下の4銘柄です。

8572d アコム
2158dw UBIC
2379c ディップ
4848 フルキャスト

UBICは本日13%上昇と、勢いがむしろ加速していることから、来週、指数全体の底上げが発生する局面ではむしろ、利益確定で押すかもしれないということは、念頭にいれておくべきでしょう。
アコムは、11日の段階では、終わり値ベースで高値更新です。
ディップは、4月2日の高値更新トライに入ろうとしています。
フルキャストは、2月以来のボックス圏をブレイクできるかどうか、かなり抵抗の熱いところでしょうから、ここが正念場です。打ち返されれば、また時間を待たされることになりますが、ブレイクすると週足ベースでも、昨年5月以来という長きにわたる高原状態の上放れですから、とんでもない上昇がでてくるかもしれません。もっと言えば、300-400円超という上値の帯域というのは、2011年以来、つねに打ち返されている磐石の壁でもあります。よほどのことがないと、そう簡単には抜けるとは思えませんが、期待したいのは、もちろんです。出来高の飛躍的な増大が出てきたら、この2011年以来の底練り状況からの脱却することになります。
東京市場が反発局面にはいった場合、これまでは多少キャッシュが温存されていれば、とくだん投げる必要なく、ただ静観しているだけでよかったのですが、ここからは違います。
戻り局面で、劣化したパフォーマンスの銘柄を切り、初動で強い銘柄からどんどんついていくという銘柄入れ替えをしていく必要がでてきます。
黄金銘柄リストをその段階で、活用されると良いでしょう。

以上

増田経済研究所
コラム   増田経済研究所
増田経済研究所が、今週の東京株式市場の動向を展望します。米国を中心とした国際情勢を踏まえ、誰が今、何を考え、我々個人投資家はいかに対応すべきなのか、分かりやすく解説します。
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