フルインベストメントへの道~通貨危機は無い~

2014/02/03

以下は、四半期ごとに、日経Quick社の要請で、四半期ごとに掲載している相場分析です。

【金融相場の終焉】
米国連銀が昨年末から、量的緩和による資産買い入れプログラムの縮小を開始しました。今年すべてのFOMCで継続実施していたとすると、年内にほぼ終了することになります。28-29日のFOMCでも、連続してプログラムの縮小を決定しました。月額650億ドル分の金融緩和自体が行われているのは事実ですが、金融市場は、金融相場の終焉と見なすはずです。

【業績相場入り前の端境期】
目下株式相場は、業績相場入りする前の端境期ということになります。このため日米株式市場とも、マクロ指標はもちろんですが、企業業績に、より一喜一憂する展開が予想されます。当然、相場の中心軸は、景気敏感株ということになりますが、新興国経済の停滞が続く間は、米国では、ナスダック銘柄が牽引役を担います。日本株では、2014年3月期に対して、15年3月期の利益成長比較において、変化率が大きいと考えられるエレクトロニクスや機械が急先鋒になると考えます。また目先的には、3月年度末までの公共工事の駆け込み需要などから、土建セクターも対象になるかもしれません。ここは今後の変化率が非常に大きいと目されるところです。

【S&P500は25日線に沿ったバンドで上昇】
おおむねS&P500で見ると、25日線に沿って天底を形成しながら、上昇トレンドを維持していることがわかります。ダウ工業株、ナスダックいずれも同様。上方にしろ下方にしろ、乖離率はおおむね3-3.5%まで。S&P500の予想平均EPSは、$120前後と言われており、今年の無難なターゲットとしては1900ポイント。過去の極端な高金利時代のデータを除けば、強気で見て2000ポイントは想定できるでしょう。もちろんこれは年間のターゲットということになります。

【足元の波乱の相場状況】
足元で世界的に新興国からの資金流出で波乱となっていた金融市場は一段と混迷をきたしたように見えます。ただ97-8年のアジア通貨危機当時と違い、多くが為替の変動相場を採用しており、また外貨準備高の積み上げも遥かに改善されています。97-98年当時の通貨危機と違い、この問題が、先進国経済の屋台骨を揺るがすことにはならないと思っています。

【新興国の通貨だけが極端に暴落している】
現実には、政争に明け暮れ、内乱に近い状態のトルコでは、株式相場が下落の一途を辿っているものの、アルゼンチン、インドなど、同じく通貨急落をした国の株式相場はほとんど下げていないという事実は、金融危機があることを示していないでしょう。
また、こういう通貨危機ということになりますと、スイスフランが大変動を起こすものですが、まったくここにも劇的な変動は見られません。
ましてや、アルゼンチンであれば、債権の多くを保有しているスペイン、トルコであれば同様にドイツなどに、デフォルトの危機ということで、ユーロが極端に急落してもおかしくありませんが、下落してはいるものの、とても金融危機があるような動きではありません。
つまり、金融危機は発生していない、ということだと判断しています。

【元凶はヘッジファンド】
そうしますと、残る要因として考えられるのは、またしてもヘッジファンドということになるでしょう。
ヘッジファンドは、一昨年、まったくパフォーマンスがよくありませんでした。
昨年でさえ、一番好調だったイベントドリブン型のヘッジファンドでさえ、年間で13.53%のパフォーマンスで、一桁台のものも半分ほどあるくらいです。
米国が30%上昇、日本は60%の上昇という中でこのパフォーマンスはあまりにも落伍したものでした。
このため、一つありうることとしては、ヘッジファンドへの投資運用を見限り、資金を引き上げる最終投資家が出てきているのではないか、ということです。
毎月45日ルールが適用されているとすれば、月後半にその解約請求に基づく換金売りが行われてもおかしくありません。
もともと金や非鉄商品市況に資金投入していたヘッジファンドは、一敗地にまみれ、一昨年から昨年にかけて、金などを大量に売却処分したことは知られています。
今回は、これに連なるものとしては、新興市場通貨や株などの資産かもしれません。
実際、トルコもアルゼンチンも、昨年途中までは、世界的にもきわめて好調な株価パフォーマンスだっただけに、今年は一段と先進国選好のムードが強まることもあって、ここから換金売りがかさんだということではないでしょうか。

【鬼門は常に米長期金利】
金融相場終了で、業績相場に移行していくとして、最大のハードルは政策金利の引き上げでしょう。次のステージである政策金利の引き上げは、早くとも来年ということになります。このため、先行してこれを織り込む米10年国債利回りは、早ければ今年夏場あるいは、秋口以降に3%台から4%台を目指して上昇していく可能性があります。主要株式指数は、日米ともに、年央以降、(米中間選挙も控えていることから)大きく下落調整をするリスクは考えておくべきでしょう。

【今年前半の流れ】
とくに、春頃までは、通期の業績予想に関して、経営者は非常に慎重なスタンスで望むでしょうから、前半上昇をしたとしても5月までにはいったんの天井をつける可能性が高いと思っています。年央以降の調整を想定して、前半、できるだけ走れるところまで株式相場が上昇加速するところは、いったんポジションの撤収を図るつもりでいたほうが無難ということです。

【指数の目標値】
米国市場については、主要指数で唯一史上高値を取っていないナスダックが、相場の中心軸になると想定されますが、5132ポイントの大天井まで25%の上値余地。S&P500が、今年10%超という無難な上値余地だとして、ベータの違いから、十分可能な射程距離と考えます。
翻って東京市場は、ドル円という縛りがあります。このため、年間でも110円が限界線ででしょう。しかも、それが現実のものとなるには、米国長期金利の明確な上昇(3%突破から4%)が出てこない限り難しいでしょう。したがって、とくに今年前半は、105円前後がどうしても頭打ちになりやすいと思います。このため、日経平均の上値も、日経平均のEPS平均1000円として、為替の変数を入れなくても今年前半は17000円が可能到達点と考えます。

【今年前半の上昇加速】
年央以降、米国の中間選挙前の相場調整、サブプライムショック以来、初の利上げを先行織り込みする動きなど、大きな波瀾が予想される。中間選挙年の安値が、向う4年の上昇トレンドの起点となるため、そこは買い場ということになるが、その直前の株式相場の調整はそれなりに深いものになると考えておいたほうがよいと思います。

【東京市場は、指数よりも個別銘柄物色が旺盛に】
米国市場が好調に推移する一方で、東京ではドル円の伸び悩みが足かせになりやすいことは明らかです。
とくに2-3月は、円のレパトリエーションが顕在化するリスクがあり、国内機関投資家も決算前で動きが取りにくい。季節性があります。むしろポジションの整理をする向きもあるでしょうから、指数の伸びは限定的になりかねません。これに比べて、個人投資家は確定申告前後に波乱はあったとしても、かなり機動的な売買が可能なので、個別銘柄物色は旺盛さを維持するでしょう。
業績変化率の大きいエレクトロニクスや機械などに代表されるもの、あるいは為替や外部環境にあまり左右されない国内インフラ関連、ゲーム関連、年度末に向けての公共工事関連(土建)など物色の矛先が向かう対象には事欠かないでしょう。
1月中盤からの相場下落調整は、ハナから予想していたことでもあり、驚きではない。目先は底入れ形成プロセスに入ったと考えており、2月以降は、5月まで上昇サイクルに回帰する。問題は、先述通り、その後、夏場から秋にかけてが、今年最も危険なタイムゾーンであると考えています。

【相場底入れのシグナル】
このような観点からも、足元の下げは、当初から想定していたように、FOMCを転機として、底入れから反発をしていくプロセスが始まると考えています。
いくつか、その手がかり、指標となるものを列挙しておきます。

・ドル円
100-101円が限界線であろうと考えます。

・日経平均
昨年5月急落以降の、大きな三角持合から上放れたあとの押しと考えられます。
持ち合い放れの11月安値からの上げ幅に対して、61.8%押しは14903円。
上記の大きな三角持合上限は、ほぼ横一線で、この水準は14820円です。(ちなみに一目均衡表の抵抗帯下限もこれとほぼ近似値です)
米国勢が非常に重視する中期的トレンドラインである100日移動平均線が14556円です。
そして、国内機関投資家が気にする損益分岐点の昨年9月中間期末終わり値が14500円です。
以上を勘案すると、14900円~14500円という水準は、突っ込んだ場合の大底ということになりそうです。

・米10年国債利回り
すでに、2.6%台まで低下した米長期金利は、連銀が上にしろ、下にしろドクターストップをかけると思われるフシ目が、2.5%であろうと推定されます。

・米国主要株価指数
こちらは、S&P500、ナスダック、ダウ輸送株指数という一番重要な株価指数のうち、S&P500が100日移動平均線1766にほぼ接近してきています。ナスダック、ダウ輸送株指数はややまだ100日線まで余裕があります。まずはS&P500がこの100日線で反発できるかどうかは、最初の試金石になりそうです。

・日柄
昨年6月底値からの反発では、日柄的に1月27日あたりで、一致。
30日には、27日のザラ場の安値を割ったとはいえ、終わり値ではわずか2円ですが上回って終わっています。割った割らないというのは、多少の誤差なら近似値です。
要するに滑落が続いていないということが重要でしょう。
もしこの日柄が生きるのであれば、最初の安値から7-10日後に、ようやく反発基調が鮮明になってきた経緯から、2月4-6日当たりまでは、まだシェイクアウト(振るい落とし)が続くでしょう。
フリッパーが振るい落とされ、コアな投資家だけが残ることになります。

あとは、日経平均のRSIが、非常に短い期間としても、逆行現象が発生されそうな気配です。
また、MACDのヒストグラムのマイナス幅も、縮小に向かうような気配があります。
この二つのオシレーター指標の変化を、見逃さないようにしておきましょう。

【黄金銘柄リスト】
すでに、増田ソフトでは、PEGを各銘柄の企業業績の頁で確認できますし、また低PEG銘柄のランキングもリアルで見ることができるようになっています。
従来、黄金銘柄リストは、どちらかというと強気の東洋経済予想をベースで計算して作成してきましたが、保守的・慎重な企業側の予想をベースにして、増田足ソフトではPEGを算出していますので、わたしもこれに則って、黄金銘柄をやってみることにします。
ただ、通期上方修正銘柄という枠はそのままにしていますので、評価点で従来とはやや異動が出てきていると思います。この点ご注意ください。

ちなみに、30日の今年最大下落の当日、黄金銘柄の中では、前週末の段階ではリストの筆頭に上がっていた日立金属5486やディップ2379が、逆行高。それも、東証一部上昇率ランキングでも上位に食い込んでいました。
新興市場では、筆頭のコロプラ3668がやはり逆行高でした。
黄金銘柄リストは、連日、各市場で上昇率ランキング上位に食い込む常連銘柄が多いので、かなりホールドに耐えられるものが多いと思います。

(詳細は、増田経済研究所まで)

以上

増田経済研究所
コラム   増田経済研究所
増田経済研究所が、今週の東京株式市場の動向を展望します。米国を中心とした国際情勢を踏まえ、誰が今、何を考え、我々個人投資家はいかに対応すべきなのか、分かりやすく解説します。
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商号等:有限会社増田経済研究所/金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第1069号

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