2014年前半でパフォーマンスを上げる銘柄

2013/12/24

17日の東京市場では、FOMC結果が判明する前日にもかかわらず、大きく上昇。
この直接的原因として、イベントドリブン型のヘッジファンドが、FOMC結果がどうあれ、市場は好感するほうにベット(賭け)た買い仕掛けだったといわれています。
同じ現象は、10月から11月にかけての調整局面で、イエレン次期連銀議長の議会公聴会直前に、原稿のリーク報道もあったとはいえ、前二日間、東京市場から高騰し始めてしまったのも、そうでした。
このときと同じことが起こったのではないか、という観測が市場には出回りました。
ヘッジファンドの種別ごとに、年初来の平均パフォーマンスは以下の通りです。

(12月13日まで)
グローバルHF      +5.48%
CBアービトラージHF  +8.48%
ロング&ショートHF   +8.94%
イベント・ドリブンHF  +12.71%
M&AアービトラージHF +3.81%
バランス型HF      +5.39%

このように最も機動的に動き、最もパフォーマンスの良いイベントドリブン型が動いたというわけです。
イベントドリブン型にかかわらず、ヘッジファンドはどうやら、今後、来年3月までは、ほぼ手放しで相場が張れると算段しているという観測があります。
連銀の政策スケジュールがかなり明確になったことで、来年1月には取りあえず、まず資産買い入れ額を100億ドル削減する。
2月は無く(削減は恐らくない。自動的なものではなく、あくまで慎重にと述べていることから、FOMCごとに決定される模様。)、3月のFOMCで次の削減があるということになります。
従い、次の連銀のアクションとして「読めない」のは、3月であり、それまでは、織り込み済みの材料だけで、相場を動かす変数はほとんど無い、ということになります。
(後述するように、財政協議もあまり大きなネガティブインパクトにはもはやなりそうにありません。)
従い、来年3月まで、うまくすると彼らの買いポジションが積みあがるという見方をするヘッジファンドウォッチャーの見方があるようです。
とすると、4月に消費税増税があるため、本来5月までの相場を、3月までの間に一気通貫で仕上げてしまう、という可能性も十分にあるということです。
従って、セルインメイ(Sell in May 五月に売れ)ではなく、セルインマーチ(Sell in March  3月に売れ)というパターンになるかもしれません。
これは、最も急ピッチな相場シナリオです。
一応、こんなパターンもありうる、ということを一つ抑えておき、その上で、そのほかの一般的な、オーソドックスな来年5月までの相場想定を整理しておきましょう。

1. 連銀、ついに量的緩和縮小を決断。
12月18日、米国連銀はFOMCで、来年1月からの量的緩和縮小を決定しました。
市場が懸念していたいくつかの点は、すべて上手にクリアした内容でした。
量的緩和と、金利政策を明確に切り離し、早くとも2015年にならないと利上げはしないというシナリオを述べました。
失業率が6.5%を十分に下回らない限りは、利上げに踏み切らない、という判断。
そして、仮に失業率をクリアしても、インフレ率などが十分でなければ、やはり利上げは行わないというものです。
資産買い入れ額の縮小は、従来の850億ドルから750億ドルへと、100億ドル減額。
国債と、住宅ローン担保証券を半分ずつ削減するというものです。
米国市場はこれで、一気に史上高値を更新。
緩やかなドル高、緩やかな金利上昇を前提に、米10年国債利回りは2.9%にまで上昇。
本来でしたら、とっくに4%近くにまで上昇してもおかしくないところ、連銀の資産買い入れが続いていることから、抑えられているわけです。
ドル高もこれに伴って、緩やかな上昇をしていくことになります。

2. 2014年前半の波乱は、軽微になりそう。
もともと、来年前半はかなり波乱になるのではないか、という懸念を持っていました。
国内では、裁定の買い残の積みあがり。
為替市場では、円ショートの積みあがり。
そして、米国では高値にある米国株式市場の調整の有無と、そのきっかけになりがちな、財政債務協議、連銀の金融政策変更という二つの課題があったためです。

(米国政府財政協議)
このうち、最大のイベントと思われた財政債務協議も、18日に一応先日暫定予算が可決したことで、来年、財政債務協議が紛糾しても、行政機能が停止になることはなくなりました。
あとは、最終的な債務上限を巡る合意だけですが、超党派議員主導ですすめられていますから、多少の悶着があっても、これまで心配されていたようなことにはなりそうにありません。
債務上限期限は2月ですが、やりくりすれば、3月ごろまで大丈夫です。
今のところ、市場では議会予算局にとっては6月がヤマ場になるのではないか、という説が出てきているようです。
ただ、3-5月の税還付金が増えれば、国の借り入れが増えることになるわけですから、思ったより早めに日程の繰上げがあるかもしれず、その辺がまだリスクとして残っているようです。

(連銀の金融政策変更)
これは、冒頭で述べましたように、金利は低く抑えられたまま、一方では少しずつ慎重に、過剰流動性の回収を行っていくということで、実にゴールディロック(ぬるま湯状態)が株式相場には提供されることが決定しました。

(ドル円は、緩やかな上昇トレンド=米長期金利も緩やかな上昇トレンド)
これによって、ドル上昇が急加速したり、その結果、突っ込んでしまったりという波乱が起こるリスクは、かなり低減したと考えられます。
また、ドルはしばらく上昇しない、という悲観的な見方もやわらげられ、緩やかな上昇トレンドがほぼ約束された格好になりました。

(日米中銀の政策差)
この緩やかなドル高トレンドというもののエンジンは、日米の中央銀行の政策の差です。
具体的には、両者の資産買い入れ額の規模を見ればわかりやすいと思います。
米国の経済規模は日本のざっくり2倍ですから、同じ経済規模に換算して比較すると、明らかに日本の過剰流動性効果が大きいということになり、これがドル円上昇の基本的なダイナミズムだということになります。

(緩やかなドル高が、日本に都合がよい)
日本にとっても、ここですぐさま量的緩和の縮小に踏み切ったり、利上げが近いということですと、ドル高が加速してしまい、日本の物価上昇率や賃金などに代表される成長性がおいつかないという危険性が取りざたされていましたが、この危険なシナリオが無くなり、むしろ、量的緩和自体が慎重に減額されていくというだけのことですから、ドル上昇はマイルドな、長期的なものになります。

(国債急落のリスクも回避)
政策金利は、2015年まで据え置きの公算ですから、米国10年国債利回りも、国債暴落による急上昇というリスクは回避されることになりました。
東京市場においては、連銀が金融政策の変更を3月以降にようやく行うのではないか、というシナリオが早まったことで、外需性景気敏感株もようやく上昇できる機会が到来したということになりますから、東京市場は内需・外需ともに車の両輪のように回っていくことが可能となりました。

(投機筋の円ショートの積みあがり)
シカゴの投機筋の円ショートが記録的な水準へと積みあがっている問題も、いつこれがアンワインドするか、というリスクを感じていましたが、これも回避されそうです。
(ちなみに、ユーロはまったく売り買い拮抗で、ニュートラル状態です。)
円ショートは、合計で13万枚とも言われていますが、過去最大では18万8000枚というリーマンショック前の記録があります。
これは買い売りのネットですが、円売りだけでみますと、やはり現在は15万枚と記録的であることは確かなものの、過去最大は20万枚です。
ここで米国の金融政策が、慎重ながらも、まずは出口に一歩ふみだすということが決定されたことで、まだ円ショートの積みあがりは、場合によっては史上最高規模にまで拡大し、過熱していく可能性が現実のものとなってきました。
これは一種の地雷のようなものですから、つねに爆発するというリスクは念頭に入れておく必要がありますが、特段ノイズが発生しなければ、過熱し、行き過ぎるまで相場は終わらないという原則通り、当面ドル高トレンドを阻むものはなさそうです。
強いていえば、来年1-2月は、例によって日本企業の3月決算を控えて、海外マネーが日本に戻ってくる円のレパトリエーションの季節だけに、これで調整が「多少」あるかどうか、と言う点。
もう一つは、とくに米国の2014年の業績成長の程度が鈍いものかどうか、という点が残っているだけです。
この米国企業業績の見通しは、年明け1月下旬以降にガイダンス発表ですから、先の1-2月というリスクタイミングの一つの理由になっています。

(裁定買い残の積みあがり)
すでに信用買い残はかなり消化されましたが、裁定買い残のほうが記録的な水準に積みあがっていました。
これが、崩れるとかなりのネガティブインパクトになる、と警戒されていました。
これも、証券優遇税制打ち切りを控えて、かなり売りが出たことで消化され始めています。
ここ2週間で、2300億円、4000億円と、連続で大きく買い残は減少しており、重荷は軽減化されつつあります。

3. 年末年始の相場想定。
(来年1年の相場のイメージ)
一応型通り、来年1-2月の調整リスクについては、頭の隅に置いておかなければなりませんが、総じていえば、来年中盤、日本で言えば、ゴールデンウィークごろまでは、株式相場にとっては、非常に好調な環境になってきました。
連銀の判断のおかげで、不透明要因が払拭されてきたためです。
従って、前半でも上昇。夏場から秋に、米中間選挙もあることから、かなり本格的な調整があり、そこから年末まで一段と上昇(このころには、米国利上げの織り込みと、ドル急伸が想定される)というイメージが出てきます。
従い、5月までにいったん天井をつけ、長く深い調整の後、年末には、一段と高い天井をつけにいく、ということになるでしょう。

(12月相場の確率)
米国市場では、過去100年で、12月に上昇したのは、73回だそうです。1月も64回の上昇でした。
季節的には、今月来月と良い相場環境ということがいえそうです。
とくに過去30年に限ってみますと、12月に上昇したのは80回以上に及ぶようです。
2-3月でガス抜き調整があったとしても、トレンドが崩れることはなく、4-5月の過熱相場につながっていくことが可能でしょう。

(ドル円の趨勢)
ドル円については、すでに104円台にまで上昇したわけですが、この104から105円というのは、それなりに意味のある水準です。
サブプライムショックから計算しますと、為替市場では平均46週のサイクルでドル円が変動してきた経緯が知られています。
もし、ここからそのサイクルの節目を計算しますと、ちょうど4-5月ごろということになるようですから、先述の来年前半のイメージとオーバーラップしてきます。
目先については、今年5月以来の大三角を上放れたわけで、この三角の最大下落幅を倍返ししますと、103.56円から93.94円の落差、9.62円を、そのまま乗せて、113.18円という目安が一つ出てきます。
これは来年1年を通じての目安ということになるでしょう。
もちろん、ロングでは少なくともサブプライムショック前の水準、124円というロングターゲットがあるわけですが、これはまだ先のことでしょう。
そして、この124円から、昨年2月につけたドルの安値76.05円までの落差の、61.8%戻し(黄金比率)が、105円台ですから、目先104-105円というのは、かなりフシ目になりそうです。

(日経平均ターゲット)
これまでも試算してきましたが、改めてやってみましょう。
今期の通期ベース、日経平均構成銘柄平均EPSが予想通り1000円としますと(まず確実でしょう)、PER16倍として、16000円。企業の平均想定為替レートが95.39円ですから、すでに104.36円まで入ったことから、このプラス・インパクトは9.4%分に相当します。
単純に、かけてみますと、日経平均は17500円ターゲットということになります。
104円で今後数ヶ月推移したとして、17500円は理論的には可能な水準ということになります。
おそらくこれが、3月くらいまでの一つの目標値ということになるでしょうか。
さらに、来期を考えてみますと、先述の為替113円台の目標から、ざっくり、切りよく110円としましょう。これで、中間期末における今後の想定為レート95.36円からのプラス・インパクトは15.3%分ということになり、来期の企業業績が非常に保守的に見てわずか10%の平均増益として、計算しますと、日経平均ターゲットは20272円ということになります。
ついでなので、サブプライムショック前の水準120円台までドル円が回復するとして、プラス・インパクトは25.8%分ですから、結果は22140円になります。
来年は、5月まで走るとしても、夏場から秋口は、どうしても米国の事情で(利上げ観測の先行織り込みと、中間選挙)本格的調整に遭遇する羽目になると思われ、その押しを経て、上記のような2万円台への日経平均の飛躍が出てくるのではないか、と考えます。
2015年以降は、米国の利上げとあいまって、景気の過熱化が始まることでしょう。
従って、株式相場はオリンピック効果や、本格的な円キャリートレード(その頃には、新興経済国家も立ち上がっているでしょう。2014年後半には動き出していると思います。)が発生するでしょう。
ドル高加速はそこで鮮明となります。それが、120円台で止まるかどうかは、わかりません。世界的なインフレ期待にでもなれば、そこで止まることは難しいかもしれません。
いずれにしろ、2015年のその風景は、来年後半の後半あたりにはイメージできてくるでしょう。

(目先の気になること)
実は、米国市場では景気先行のダウ輸送株指数が、まだ史上高値を突破していないという点です。ダウ工業株、S&P500が高値更新となったのに、これが来ていないということに、やや一抹の不安を感じます。
また、国内市場では、指数主導の上昇という傾向がでてきがちである点でしょう。
バブル相場につきものですが、指数ばかりが上がって、個別でパフォーマンスが挙がらないということが往々にしてあります。
東京電力9501は87年4月高値の後、ブラックマンデーを経て、戻り高値は89年4月ですが、高値更新できませんでした。
三菱重工7011は、89年7月高値で、その後は下落しています。
三菱地所8802は、87年4月に高値をとって、その後はバブルの頂点まで下落しています。
こうした例はすべてではありませんが、けっこう多く見られ、指数がブラックマンデー前の26000円から38957円まで上昇していったのに比べると、あまりにも違和感があったものです。
そういう現象が、一時的にせよ、そして短期的にせよ、ちょくちょく見られ始めている(たとえば直近のトヨタ自動車7203)ので、この問題も回避しなければなりません。

(来年の最大のリスク~5年サイクル級の調整)
さて、連銀の政策転換を受けて、長期的なブル相場の楽観的シナリオを解説してきましたが、逆にここで、来年最大のリスクを書いておきます。
5月までと一区切りにしましたが、米財政債務上限問題が、今のところは2月が、やりくりして3月くらいになりそうだ、あるいは6月がヤマ場ではないか、とさまざま議論が分かれています。
米国株式相場は、5年サイクルで動いており、これがちょうど3月から5月に終焉するサイクルです。中間選挙の年に大きな調整があることはふつうですから、それがこのタイミングであろうと思われます。
直接的な引き金は、米長期金利3%突破が考えられます。
副次的効果として、日米の企業業績見通しが不透明、といったようなことが口実にされることになるはずです。
これで、先述の円ショートの積みあがり、日本株の裁定買い残の積みあがりなど、すべてがアンワインドする格好になるでしょう。
ドル円で、97-98円のバリアが破られれば、90円までの下落はありうるでしょう。
日米株式指数もそれなりの大きな下落調整を余儀なくされるでしょう。
下げの目処は現時点で考えるのもいささか想定の上の想定ですから、なんともいえませんが、ただ米国が下がるときには、200日線までは十分に考えられるということは念頭に入れておきましょう。NYダウは現在200日線は15225です。ただ、5月を中心値とした前後には、これは上昇しているでしょうから、15500当たりかもしれません。
これは、最低でもこのラインまでは下がる可能性がある、というものです。
日経平均の場合は、200日線が14000円ですが、その頃には14500円くらいにはなっているかもしれません。これも、最低でもここまでは下がる可能性があると見ておいたほうがよいでしょう。

【黄金銘柄の、2014年前半用の銘柄スクリーニング最終結果】
以上のようなシナリオ想定の下で、黄金銘柄のスクリーニングを最終的に行いました。
従来のものと違って、選択しやすく、評価点方式で列挙しています。
できるだけ、基準にもとるものは排除して、銘柄数を限定させようとしましたが、時価総額2000億以上で14銘柄、2000億未満で40銘柄、新興市場銘柄で9銘柄、合計62銘柄にまで絞り込むのが精一杯でした。
これでもかなり多いとは思いますが、ポートフォリオのメインテナンス上、活用いただければ幸甚です。
連銀の今回の金融政策変更決定判断が出るまでは、外需性景気敏感銘柄にはしばらく芽が無いと想定していましたが、これで、外需性にもチャンスが巡ってくることになります。
内需と外需の循環物色的な傾向が出てくることも容易に想像できます。
このスクリーニング最終結果が、当面はほぼ固定で行くことになるでしょうから、ポートフォリオ内で、劣後する銘柄などの入れ替え、加重の変更などの際に、選択肢を探すのに活用できるのではないか、と思います。
なお、欄外に「母集団リスト」にそもそも入ってこない銘柄のうち、「番外」として、いくつか注意しておくべきものも列挙してあります。
評価の加点方法も、欄外に列挙しています。
一応、ここで簡単に解説しておくこととします。

(以下、割愛。詳細は増田経済研究所へ。)

増田経済研究所
コラム   増田経済研究所
増田経済研究所が、今週の東京株式市場の動向を展望します。米国を中心とした国際情勢を踏まえ、誰が今、何を考え、我々個人投資家はいかに対応すべきなのか、分かりやすく解説します。
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商号等:有限会社増田経済研究所/金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第1069号

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