幻の評価軸の変化、結局はFOMC待ち

2013/12/13

先週末に発表された、注目の米11月雇用統計の結果ですが、非農業部門雇用者数が前月比で2カ月連続の20万人超えだったほか、失業率も7.0%まで低下し、5年ぶりの水準となるなど、雇用市場の復調を示す結果でした。これを受けた欧米株市場が上昇で反応し、週明けの日経平均もこの流れに乗って前日比で350円高となりました。

雇用統計の発表前は、米国で強い経済指標の結果が出ると、金融緩和縮小の早期開始が意識されて、むしろ株価のマイナス材料だったことを考えると、ガラリとムードが一変したことになります。米国景気は想定以上に強く、緩和縮小の逆風を克服できるという見方も出始めるなど、経済指標の結果に対する金融緩和縮小への評価軸がシフトした印象です。

ただし、木曜日の日経平均は大きく下落しました。その主な理由ですが、米議会の超党派委員会で今後2年間の予算の大枠で合意に達したことを受け、米株市場が下落したことでした。来年明けに懸念されていた米財政問題に対する不安が後退し、緩和縮小の早期開始観測が強まりました。

足元の景況感の改善を評価しつつも、緩和縮小の開始はしばらく先だろうという構図が依然として続いていたことになり、雇用統計直後の「金融緩和の縮小開始を織り込んだと」という評価軸の変化はまだちょっと早かったことになります。少し過去を振り返ると、今年5月下旬に米金融緩和の縮小観測が出てから、9月のFOMCでいよいよ実施される(結果的に見送られましたが)という段階に至るまで、緩和縮小を受け止める「地ならし」にかなりの時間がかかりました。

 

本来であれば、金融緩和の縮小開始自体は、金融相場から米経済自体の回復による相場へのバトンタッチを意味するため、悪いことではなく、いかにスムーズに移行していけるかがポイントとなります。結局は来週(12月17日~18日)に予定されているFOMC待ちの状況です。

仮に、現在警戒されている12月の縮小開始でも、縮小の規模やペース次第では、先週から今週にかけての株式市場の値動きによって、評価軸のシフトを織り込む動きになっていくと考えられます。とはいえ、緩和縮小による資金流出懸念で新興国市場の反応が心配されることや、FOMC後のクリスマス休暇入りの薄商いが想定されること、また、9月の縮小開始を見送った際に、バーナンキFRB議長が、「①財政の悪影響が弱まって景気回復基調となること」、「②労働市場の改善が続くこと」、「③物価上昇率が目標に近づくこと」に注目していると述べていますが、足元では①と②はクリアしていますが、③が微妙となっていることなどを考えると、12月の縮小開始は見送りというのが基本シナリオと考えて良さそうです。

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