青い目の外人は、どの日本株を買いたいと思うか?

2013/09/24

~「第二のウォーターフロント」につづき、「日本の匠(リニア新幹線・ハイブリッド車)」~

▼連銀の政策変更。
今週9月17-18日のFOMCで、米国連銀は量的緩和の縮小に踏み切らず、政策変更無しとしました。
これで、米国・独の史上高値更新。最脆弱なインドの年初来高値更新となったことはご存知の通りです。
もともと、バーナンキ連銀議長は、失業率などマクロ経済指標次第だ、としており、失業率については具体的な目安(6.5%)まで提示していたわけですから、市場が今回の決定に驚いたというのは、考えてみればおかしなことです。
マクロ経済指標がまだ要件を満たしていないことと、外部的には新興経済国家からの資金流出にいったん歯止めをかけるため、また、米国内では債務上限問題がこれから紛糾することなど想定して、ここで政策変更を強行して景気と相場がハードランディングすることは回避したということになりましょうか。

▼今後の予定。
市場は、こうなりますと、次はいつだ、と取りざたします。
現時点では、10月説(10月29-30日)が多いようです。あるいは12月説(12月17-18日)でしょうか。
しかし、12月というクリスマス休暇直前でまず考えられないでしょう。来年1月(1月28-29日)も、バーナンキ議長続投にでもなれば別ですが、そうでもなければ、任期満了直前にやるとは考えにくいです。(続投の可能性もあります。)
となると、10月説が一番濃厚ですが、債務上限問題が片付けば、もしかするとマクロ指標によっては、ありうるかもしれません。
個人的には、1ヵ月でマクロ指標が急ピッチに改善するとも考えられないため、10月も無いと思いますが、あったとしても、要は資産買い入れ額の規模縮小がとにかくスタートすればいいだけのことで、実際に縮小から利上げへとステージがアップするのは、来年春以降ということで、まず間違いないでしょう。

▼10月危機説。
この調子で行きますと、9月、当初懸念された前半の波乱は乗り切って上に跳ね、後半に持ち越されたかと思われた波乱も、なんとか月足陽線で乗り切れそうです。
4月以来、初めてまともな月足が立つことになります。
来週は、3連休明けで小動きではないか、と想定しています(せいぜい、日経平均の銘柄入れ替えに伴う需給要因による押しがあるかどうか)。むしろ、最終週(再来週)が、日本では10月1日の日銀短観、消費増税決定、そして週末の米雇用統計、と波乱になるとすれば、イベントリスクが重なっています。
10月は、一般投資信託の損益通算締め切り、11月にはヘッジファンドの決算と、売り圧力が重なるのは10月に集中しそうですから、ここは乗り切る最後のハードルということになります。
ちょうど日米で決算発表ですし、日本は企業サイドが下半期のガイダンスを「白状」しなければならないタイミングです。これまで慎重に見ていた見通しを、かなり積極的な本音を言わざるを得ないわけです。
突っ込みがあっても、そこは買いということになります。
基本的には、内需株が中心で、外需が幕間つなぎ、というシナリオは変わりません。
ドル円が急変しない限り、このシナリオで行くべきでしょう。
ドル高・円安が無くても、走れるとすれば、内需株以外に考えられないでしょう。
そして、かつてはそれは不可能な話でしたが、今は内需が「脱デフレ脱却」に向けて材料がそろっているため、可能になっています。

▼内需を柱に、外需に目配りを。
内需関連を柱にしていくことは、変わらず。
とくに、ベンチマークとなっている大成建設1801については、SMBC日興、クレディスイス、シティなど3社が格下げをしています。利益成長の問題ではなく、急騰したため、割安感が剝げたというのがその理由ですから、外人が安い株価を拾いたいという意図が見え見えの格下げだと言えるでしょう。
あとは、いつドル円が急伸しても対応できるように、外需性景気敏感株にも目配りをしておく必要があります。(個人的にはしばらく無いと思いますが、冬場の雇用統計は強いことが普通ですから、場合によってはドル急伸ということも無いとは言えません。)

▼外需性景気敏感で、内需をオーバーラップしているもの。
その場合、一番手堅いのは、外需性景気敏感株でありながら、内需とオーバーラップしているものが望ましいでしょう。
そのうち利益成長率がもっとも安定的で、なおかつ高いものというと、低燃費自動車需要と、リニアモーター及び新幹線など鉄道関連の銘柄ということになります。
とくに低燃費自動車(ハイブリッド)は、日米で、燃費向上が国是となっています。
実際、国産車の平均燃費はこの10年で約30%も向上。車種によっては2倍も伸びており、ハイブリッドに匹敵する低燃費のガソリンエンジン車も登場しています。
燃費向上には、「排気量を小さくする」か、「回転数を下げる」か、2つの選択肢があります。
排気量を減らす(ダウンサイジング)は、欧州車に多いようです。
このダウンサイジングを可能にした要因のひとつがターボの進化でした。現在は燃料を大量消費せず、小排気量でも効率的にパワーを出せる装置になっています。
一方、ターボを使わず回転数を下げているのが日本のメーカー。そもそもエンジンは、発生するエネルギーの3割しか走行に使えていません。エンジンの構造を根本から見直し、細かい改良を加えることで、この割合を高めています。
将来の燃費規制ですが、欧州では、2015年までに約18km/リットルへの引き上げが義務付けられ、米国も2025年までに約23km/リットルに引き上げることを発表。日本でも、乗用車の燃費を2020年度までに約20km/リットルにすることを義務付ける案が国交省から提出された。
現在、トヨタが、プリウスでハイブリッドカーの市場を開拓する画期的な偉業をなしとげました。現在トップを走るトヨタのコンパクトHV「アクア」に強力な対抗馬として、ホンダが新型フィットHVを市場に登場しました。
新型フィットHVの最高燃費はガソリン1リッターあたり、36.4km。同35.4kmでトップだったアクアを凌駕。
この勝負、どうなるかもちろんわからないが、チャートはすでにホンダの上昇トレンドが、トヨタに先行している。
今回は、リニアモーターカーと新幹線といった鉄道関連と、内外の需要を取りに行く低燃費車関連、それも両者にオーバーラップするところにできるだけ焦点を当てて、内需株を補完したいと思います。
おそらく、この鉄道と自動車以外に、もっとも手堅く、成長率の高い業種はほかに無いでしょう。

▼リニア新幹線とハイブリッド車関連銘柄リスト。
先週のセミナーで、ウォーターフロント関連のリストを紹介しましたが、今回は、これに加えて、リニア新幹線とハイブリッド車関連銘柄リストを列挙します。
先週の分と併せて、日ごろの投資対象を考える場合の叩き台にご活用ください。
今後いずれも、リストの整備・更新をしていくようにいたします。

『リニア新幹線関連銘柄リスト』』

(鉄道会社)
京浜急行9006、JR東9020、JR東海9022

(鉄道向け工事)
第一建設1799、鉄建建設1815、東鉄工業1835、名工建設1869

(駅舎建設)
清水建設1803、鹿島建設1811

(信号)
日本信号6741、京三製作所5742、大同信号6743

(車両用配線、他)
タツタ電線5809、東京製綱5981
・・・・(以下割愛)

『ハイブリッド車関連銘柄リスト』

(ホンダ系)
丸順3422自動車用プレス、三ッ知3439カスタムファスナー、ニチリン5184自動車用ホース、アーレスティ5852ダイカスト、ジーテクト5970骨格プレス、サンコール5985バネ・リング、エイチワン5989骨格部品、東芝6502EV電池、新電元6844車載電装品、エフテック7212足回り部品、・・・・・(以下割愛)

(トヨタ系)・・・ホンダにも供給しているもの有り。
トヨタ紡織3116自動車内装・フィルター、共和レザー3553自動車内装レザー、大同特殊鋼5471自動車用鋼材、愛知製鋼5482高感度磁気センサー、中央可鍛工業5607エンジン・シャシー、中央発條5992トヨタ向け自動車バネ、ファインシンター5994モーターポンプ→鉄道にも、豊田自動織機6201コンプレッサー、・・・・・(以下割愛)

▼青い目の外人が、どこに着目するか?
さてこうなりますと、内需系、及びこれを補完するリニア・ハイブリッド関連の銘柄といっても、かなりの数になります。
一体、どうやってこの中で、あるていど「当たり」をつけていけばよいのでしょうか。
しょせん外人が日本株が買い上がることで、東京市場の上昇トレンドが決定されているならば、外人の目で銘柄を絞り込む必要があります。
ファンダメンタルズ分析です。
その代表的なものは、PEGです。
【東証一部銘柄(四季報秋号ベース)の、低いPEG銘柄リスト(絞込み)】をご覧ください。
(PDFファイルは、増田足のソフトで閲覧できます。)

この冒頭に、PEGとは何か、その計算式を表記しています。
また、トヨタ自動車の四季報データを使って、実際に計算方法を解説してありますので、お読みください。

▼米国では、常識のPEG。
ファンド運用の天才と呼ばれたピーター・リンチが使ったことで知られるこのPEGは、今では、米国では通常銘柄の絞込みを行う場合、常識となっています。
が、日本では青い目の外人だけが、まず間違いなく日本株を、業績面から割り出すときに必ず使っているはずですから、わたしたちもこの手法を取り入れるべきでしょう。
このPEGは、期待されている利益成長に対して、一体どのくらい株価は織り込んでいるか、という意味です。
1が両者はバランスが取れているという意味です。
1.4であれば、期待値1に対して、株価は1.4まで評価されているということですから、買われすぎです。
0.6であれば、期待値1に対して、株価は0.6までしか評価されていないということですから、まだまだ上昇余地がある、ということになります。
小さい数値であれば、あるほど上昇妙味がある、ということになります。

ちなみに、リンチは、この数値が0.5以下であれば、ベストだ、としていました。
0.5~1は、良好。投資対象として許容範囲なのは1~1.8です。それ以上の場合は、投資不適格、ということになります。
(ただし、景気先行型の業種は、この限りではない、とはしていますが)

▼なぜ、外人は日本株を買わなければならないのか?
現在、米国株式市場のPEGは、S&P500の平均で、1.66~1.7です。
これに対して、東京市場は、現在の「四季報秋号」の数値で試算しますと、全産業平均で0.27。金融(足を引っ張っている)を除く全産業平均で、0.2。そして、好調な製造業平均で0.17です。
いかに、日本株が割安かということです。
グローバルで運用をしている外人たちにとって、経済規模に対して、これまで日本株のポジション比率は、ずっと少なくしていました。デフレ経済だったからです。
それが、デフレ脱却が本物だとすれば、日本株比率を増加させなければなりません。
ましてや、四季報でこうしたデータがでてきてしまうと、もはや日本株を買わないでいるリスクが大変大きくなってきているわけです。
1年後、日経平均が大きく上昇していた場合、しかも、日本株を買っていなかったとしたら、彼らは説明責任があるため、答えに窮します。進退問題に発展してしまうわけです。
また、いくら日本株は上がるだろうと予想していたとしても、実際にこういうデータが出てこなかった過去には、買うにも買えませんでした。
しかし、今、そのデータがそろってきているわけです。
ちなみに、すでにリンチのいう、投資許容範囲1.8に近づきつつある米国市場全平均のPEGが1.66~1.7の中で、なぜアップルがそんなに上がるのか、といえば、アップルのPEGはこれだけ上がってもまだ0.65なのです。
ハイテク全体の平均が1.10です。
ちなみに、トヨタ自動車のような日本では最大級の時価総額の銘柄でも、驚くべきことに0.26です。
為替が、90円平均と仮定していて、この数値です。
後日このドル円相場が、100円以上で固めてきた場合に、PEGはさらに下がることになりますから、どうあっても日本株を買わなければならないというのが現状なのです。

▼10月に、投資ポジションを再構築する。
さて、それでは、このPEGの低いものを四季報秋号から、ざっくり抜粋してみましょう。
一応、抽出した銘柄群はPEGで1.2以下としました。
若干、リンチの許容範囲を甘くしてみました。
また、リンチは同時に、年率のEPS(1株当たり利益)が20%以上であること、を条件にしていたようですが、ここではこれも甘くして19%以上にしてあります。
この二つをクリアしている銘柄をすべて書き出してみました。
それが、【東証一部銘柄(四季報秋号ベース)の、低いPEG銘柄リスト(母集団)】です。
これは、後3時間ほどたってから、22日午前零時台に、別途、ダウンロードできるようにこの「編集長の独白」の欄にアップいたしますので、お待ちください。
『母集団』のリストは560銘柄ほどになりますが、すべて証券番号順になっています。
中には、けしてPEGが良くないものもありますが、一応業種の中ではそれなりの指標性の高い、著名な銘柄は、それでも含めてあります。
そして、『絞込み』のほうは、そのうち、月足ベースで、「長い停滞・ボックス圏を突破中、あるいは突破した」銘柄だけを、92銘柄。そして、「まだそれを突破の動意がない」銘柄だけを73銘柄。それぞれ分けて、列挙してあります。
実際の運用では、この『絞込み』リストを使って、日々、銘柄の検討をしていただければよいのではないでしょうか。
ウォーターフロント関連、あるいはリニア新幹線・ハイブリッド車関連にノミネートされているリストと照らし合わせれば、銘柄数はさらに絞り込むことができます。
もちろん、こうした材料のカテゴリーにとらわれず、ご自身のアプローチや切り口で絞り込んでいくこともトライしてみてください。
需給(貸借倍率)が低い(1以下)のものはこのうちどれか、なども一つの切り口でしょう。
銘柄の絞込みというのは、あくまで切り口のパターンですから、なにも一つとは限りません。
各位の創意工夫で、いくらでもその切り口を考えて良いのだと思います。
その際に、ここでご紹介した『母集団』『絞込み』の二つのリストがお役立ていただけることを願っています。

※リストの詳細は、増田経済研究所の「増田足・おためしコース」で。

以上

増田経済研究所
コラム   増田経済研究所
増田経済研究所が、今週の東京株式市場の動向を展望します。米国を中心とした国際情勢を踏まえ、誰が今、何を考え、我々個人投資家はいかに対応すべきなのか、分かりやすく解説します。
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商号等:有限会社増田経済研究所/金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第1069号

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