バブル相場に備えた銘柄の絞込み

2013/09/17

1.今後7年のトレンド。
相場は、いつも同じ経過をたどります。
まず景気拡大につれて利上げが断続的になされ、けっきょく市場はものわかりがあまりよくないので、けっきょく無視して史上高値を更新します。その結果、最後には金利に負けて、暴落します。が、この暴落はまだ本物の暴落ではありません。暴落の結果、金融緩和が発動され、再び景気が持ち直します。しかし金融緩和によって、過剰流動性が生まれ、最終的にはバブル相場に発展します。それが崩れるときがほんものの暴落ということになります。
従って、バブル相場が発生するためには、その前に金融緩和があり、その直前には暴落していなければなりません。
この経過は、1987年のブラックマンデーとその後のバブル相場。1996-97年のアジア通貨危機の暴落と、2000年のバブル相場を思い返せばわかりやすいでしょう。
今回は、サブプライムショックによる暴落と、世界的な異常なゼロ金利政策。そして、今、米国市場は史上高値を更新しつつあります。日本では、ようやくそのバブル相場の入り口に立ったところといえます。
自然に考えれば、米国連銀のFFレートは、最低でも4%。過熱が過ぎれば、5-6%も最大限ありうるかもしれません。
ドル円は、これまでのフシ目であった、124円、135円、147円というターゲットが想定されます。
日経平均の場合は、同様にデフレからの脱却であれば、18300円、20833円、22750円というターゲットが自明の結論となります。
ドル円で159円、日経平均で38957円という水準は、あたかも幻のように思えても仕方がないでしょう。

2.無謀ではない、日経平均38957円の幻。
一見すると、日経平均の38957円は無謀な目安のように思われますが、外需性の筆頭トヨタ7203は、すでに何度もこれを突破しているわけです。現在、受注不調の工作機械筆頭のファナック6954もそうです。それぞれ月足を見てください。
また、デフレ脱却の急先鋒である大手不動産デベロッパー(三井不動産8801、三菱地所8802)は、いずれも89年の高値にほぼ到達しているわけです。
89年の史上最高値に、このようなデフレで最もダメージを受けたはずの大手デベロッパーが、すでに到達しているという事実を見て、ほかにどう説明できるでしょうか。
日経平均は確かにいびつな指数ですが、それとて89年高値をとらないなどとは言い切れないわけです。
また、80年代のバブル相場が、成長実体の伴わない純然たるバブルであったのに対し、今回はデフレからの変化率や反動、そして東北大震災の復興需要や、オリンピックに向けてのインフラ再構築需要など、内需という成長実体を伴っているために、これらがあながち幻であると言い切ることはできません。

3.ナスダックの史上最高値更新予想。
米国のS&P500は、ようやく今年史上高値を更新したばかりです。ナスダックにいたっては、まだ2000年の高値に到達していません。
米国マネーは、このナスダックに集中投資をしていく公算が高いでしょう。
時価総額10社が、ナスダックの7割を占めています。今期の平均予想増益率は34%。ナスダックの史上高値までの上値余地は37%。
ナスダックの史上高値更新も、実はきわめて現実的な射程内にあるということがいえます。
とくに日本については、オリンピックによって、外需に頼らずとも走れる前提条件が整いました。かつてない環境と言えるでしょう。
なかなか動かない内需(いくら低金利にしても、銀行が貸し出しをしない)を、無理やり動かす絶好の環境です。しかも、日銀は米連銀が行ったのと同じく、株価と不動産の価値を押し上げて、資産効果と物価上昇によって、景気を動かそうとしているわけですから、この国策に沿った形で、東京市場は空前のブル相場を謳歌することになるのでしょう。

4.目先は要注意。
4月以来、月間では前半強く、後半弱いと言う相場展開がずっと繰り返されています。
現時点では日経平均の月足は、大きな陽線になっていますが、来週からこれがジリ貧になりますと、またぞといつものように、月初と月末が同じ水準になるということにもなりかねません。
来週17-18日のFOMCはおおむね観測は出揃っており、なにがでても基本的には織り込み済みですが、機関投資家がこの結果を得て、どういうポジション構成に切り替えるのか、とりあえず見る必要があるでしょう。
とくに、9月は、日本の機関投資家は、中間決算前ですから、ポジションを積み上げていくということはありません。
新設ファンドは潤沢なキャッシュがありますから、買いで向かうでしょうが、一般の機関投資家は買いか売りかといえば、基本は売りです。
また、外国の投資信託は10月が損益通算の締め切り、ヘッジファンドは11月が決算。
これも、ポジションをどうするか、不透明です。
通常は、秋の需給悪から、押しが入ってくるところです。例年10月終わりのハロウィンが転換点になることが多いのですが、先高感が強いために、このアノマリーもそのまま繰り返されるとも限りません。
非常に微妙です。
先は長く、大きな相場です。焦らず、じっくり確認してから入ってもなんら遅くはないので、その点、ご注意ください。

5.外需主導の景気循環ではなく、内需主導の景気循環。
従来、デフレ経済の下で、日本は内需が凍り付いていたため、つねに景気の循環は外需頼みでした。
それが内需主導で動くという、稀有な歴史的環境にあります。
唯一それが合ったのは、80年代のバブル相場でした。
ちょうど、米国連銀の超低金利政策からの脱皮が、思ったより手間取っており、ドルの先高感はあるものの、なかなか100円から離陸できずにいます。(また、日本も、目先は100円くらいで十分でしょう。下手に円安が急ピッチに進むのも、よくありません。)
シリアを巡る地政学的リスクも、ロシアの介入によって、かえって不透明感を増しました。結論が一体いつになるのか、むしろわからなくなりました。
このため、急ピッチなドル高はしばらく無いでしょう。少なくとも、米国連銀がまだ資産買い入れ規模の縮小を行っているような程度では、ドル円は本格的には上昇しません。
利上げに向かう目安をつけ始める頃(おそらく雇用統計で現在の7,4%から6,5%へ低下するころ。来年前半か。)、ドル円はにわかに本格的な上昇トレンドに向かうと考えられます。
日本のバブル相場は、一時的な調整を経て、そこから過熱化の一途をたどることになるのででしょう。
ただ、それがすでに見えてしまっている以上、今から日本株投資や日本の不動産投資へと外人が動き始めることは自然な成り行きと考えられます。
目先は、10月、11月と一般投資信託の損益通算、ヘッジファンドの決算などが控えているため、そう出来高が増大して過熱化するということはないでしょう。
個別銘柄物色が中心となると思われます。
それでは、この長いスパンでブル相場の時代が到来する前に、資産効果をどう計って言ったらよいのか、考えてみましょう。

6.投資対象の絞込み。

(1)内需性景気敏感株が主導。
ドル円が、再びドル高のピッチを挙げるときまでは、ポジションの中心は内需性景気敏感株で固めるほうが得策です。
内需性景気敏感とは、建設・不動産・各種インフラ、素材・資材(鉄鋼・化学)、人材、メディア、各種サービス(旅行、宿泊、ネット)、セキュリティ、鉄道、重機などです。
本来、鉄鋼・重機・商社などは、外需性景気敏感ですが、内需に手一杯となる可能性が出てくるでしょう。
外需性景気敏感とは、大雑把に自動車、エレクトロニクス、これに関連する部品・部材などが代表的なところです。
では、新興市場はどうでしょうか。圧倒的に内需依存の企業が多いため、内需性景気敏感に似た動きをすることでしょう。
相場の主軸が、建設を元とする内需性景気敏感であり、幕間つなぎで、外需性景気敏感や新興市場がつど循環物色で買われるという、従来見られなかった相場展開が主流となりそうです。

(2)相場を過熱させる「思惑」。
成長実体が存在するという、かつてない内需景気敏感株の相場ですが、東京オリンピック開催を控えて、その対象地域が渋谷から代々木、千駄ヶ谷を中心に、湾岸エリアに集中することから、80年代のウォーターフロント相場(土地の含み益を試算することで、解散価値一杯まで買いあがる無謀なバブル相場)の再来も考えられます。
とくに、今回は東京経済特区、あるいはカジノ特区構想も動き出していることから、こうした思惑は、嫌が上でも土地の含みをからめた過熱相場を現出する可能性が高いでしょう。
そうでなければ、鉄鋼株や日本冶金工業が、異様な強さを見せるということの説明ができません。(非鉄市況が冴えない中にもかかわらず。また、中国経済が底入れ観測といっても、停滞状況であることは疑いないわけです。)

(3)脱デフレ相場の銘柄群のチャートパターン。
今回はドル円が動くまで、とりあえず、脱デフレ相場の主役である内需性景気敏感に的を絞って考えてみたいと思います。
チャートから、ざっくり絞りこみましょう。
上場銘柄数が多いために、まだまだ漏れているものがたくさんあると思いますが、それは逐次、日々紹介していくこととして、直近、東証一部上昇率ランキングに名前が登場してきたような株価変動率の高いものを中心に、区分してみました。
チャートパターンは、月足で見て、新日鐵住金型、あるいは大成建設型の二つにわかれます。
新日鐵住金型ですと、二度にわたる高値水準が近似値ですから、次のブル相場で同水準まで駆け上がる可能性は高いでしょう。
大成建設型は、89年高値にまで駆け上がる確率は、新日鐵住金よりは低いものの、長年の停滞レンジからのブレイクを果たすでしょうから、期間益回りは非常に大きいものが想定されます。
たとえば、新日鐵住金ですと、現在株価から2.8倍~2.9倍という資産効果でしょう。
大成建設の場合は、2006年の高値632円(24%余地)、96年高値821円(62%余地)というハードルを越えれば、89年の1990円3.9倍の資産効果ということになります。
ただ、果たして大成建設が妙味があるでしょうか。あくまで相対的な比較なのですが、大成建設は、超えるべきハードルが複数あります(いわゆるフシ目)。
小型の建設株で、直近鉄建建設の暴騰が目を引きますが、これなどはほぼ2006年高値317円まで到達しつつありますから、出来高増加があれば、600-800円台のレンジに戻るだけでも、ほぼ2倍~2.6倍が想定されます(その分、日々のブレ幅は大きく、生きた心地がしない局面もあるかもしれません)。90年高値まで駆け上がるバブル性に乗った場合は、6,4倍の資産効果ということになります。
すべて絵に描いた餅でしかありませんが、そのくらいの過剰流動性相場が今後7年にわたり断続的に実現すると考えています。

まだ、こうした微妙な銘柄群というものが非常に多いので、今後投資対象が次第にはっきりしてくることでしょう。
気長に、焦らず柱を探していきましょう。

(4)脱デフレ相場の銘柄絞込みリスト。
土木建設、資材・素材、リノベーション・インフラ、サービス、メディア、カジノなど、ざっくりリストアップしてみました。
今後、まだ銘柄が出てくるわけですが、その叩き台に使っていただければ、と思います。
(今後、逐次このリストを更新していこうと思います。)
このリストでは、たとえば、駐車場やカーシェアのパーク24-4666などは除外しています。
この銘柄は、06年高値までほぼ到達しており、ここから史上高値を取りに行くということは十分ありうるのでしょうが、目安が立ちません。そのため、敢えてここは除外しています。
同様に、たとえば、三井不動産8801、三菱地所8802は除外しています。
あくまで、過去の株価の位置が明確であり、目安が立ちやすいものに限っていますので、悪しからず。
除外した銘柄には、東洋水産(2875)、ブリヂストン(5108)、日本金銭機械(4201)、日本ゼオン(4205)、パーク24(4666)、セブン銀行(8410)、キーエンス(6861)、などがあります。
また、新日鐵型にしろ、大成建設型にしろ、重要なハードルを越えているか、超えることをトライ中と思われるチャート形状のものを、★☆で印をつけています。
非常に「わかりやすい」月足チャートの例は、たとえば、大林道路1896、ライト工1926、乃村工藝社9716、東京ドーム9681、あるいは、いささか歴史が短いもののアスクル2678のような銘柄を挙げることができます。(アスクルは業績減額のニュースが本日でていますが、設備投資などの経費計上ですから、いったん押しを見て落ち着いてから、対応したほうが良いでしょう。)

(5)湾岸再構築、経済特区。

(京浜臨海部特区)
(7)までで、業種横断的に、カテゴリー別のチャート形状に醍醐味がありそうな銘柄を列挙してみたが、このアプローチとは別に、国策である「資産効果」は、80年代のウォーターフロント相場とは違い、成長実体を伴っていること(安倍政権の成長戦略)、ならびにデフレ脱却という大義名分・正当性があることで、際限のないバブル的様相を呈する可能性は十分あるでしょう。
米国連銀が来年前半に資産の買い入れ規模縮小にとどまらず、利上げに向かい始めた場合、一時的な株価調整にはなりやすいでしょうが、トレンドとしてはさらに日米の金利格差をはやし、また海外からの円資金調達需要(円キャリー)の誘発とあいまって、円安・ドル高に弾みがつきますから、内需に加え、再び外需セクターの勃興が想定されます。
目先は、前段で解説しましたように、内需主導の相場展開が柱となるでしょうから、いわば「第二のウォーターフロント」相場で、「●倍返し」を実現する絶好のタイミングとなってきたと言えるでしょう。
「特区構想」は、すでに「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」としてスタートを切っている。(横浜・川崎の、殿町・末広・みなとみらい・福浦の4地区)
医療の研究開発・製造・検疫・外人向け医療などの総合特区として動き出していますが、たとえば、日本冶金工業5480は、この「殿町」と通りを一本隔てた地区に工場を持っています。
それが、実際にどうなるかは別として、再開発などの潜在性からひたすら同社株価がうなぎのぼりで上昇している相場というものは、完全に「第二のウォーターフロント」相場の幕開けといっていいでしょう。
この類いは、すでに直近の日本製紙パルプ商事8032の急騰にも現れています。(有明地区)
このほか、日本合成化学4201(浮島町地区)、日本ゼオン4205(殿町・小島町地区)、花王4452(殿町・小島町地区)など、いずれもこれとしか解釈のしようがない、89年当時の史上最高値水準まで、音も立てずに到達しています。もう、含み益をはやすバブル的な相場の特質は、とっくに出現しているということがおわかりでしょう。
(そもそも、大手デベロッパーが、史上高値圏にまで到達しているくらいですから。)
これらの銘柄が、今後、投資妙味があるのか、と問われれば疑問符がつかざるをえませんが、まだ織り込まれていない銘柄群には注目しておく必要はあるでしょう。
【脱デフレ相場の銘柄リスト】では、ピンク色で銘柄網掛けしているものが、この「京浜臨海部特区」に相当するものですが、チャート的には、今が旬の日本冶金工業に続き、日本触媒4114、ニチユ4403が動意づき始めているようですし、ボトムからの動意では新日本理化4406がやや怪しい動きとなってきています。
ちなみに、日本触媒は、高吸水性樹脂SAPの世界的な生産企業として、トップを走っています。お馴染み爆発的な成長を遂げている紙おむつの重要素材です。
ニチユはもと、日本油脂ですが、世界で唯一という技術の多い企業です。ただ、あまりにも見えにくい部分なので、とても地味な印象があります。ロケットの化学燃料、洗剤などのベース油、水・油両方に馴染みやすい界面活性剤など。たとえば、ニチユの生産する素材は、クリーム、口紅、アスファルト、インク、接着剤、車のダクトやシール、パッキン、ホース、浄化槽、ブレーカー、アンテナなど数え切れない種類です。
新日本理化は、天然油脂を使って、金属石鹸、高級アルコール、やはり界面活性剤、グリセリンなどが有名ですが、ここが作る素材(添加剤)は、ビニールを柔らかくしたり、合成皮革を柔らかくしたり、液晶パネルを硬化させたり、とおよそ、多種多様の製品の添加剤として、不可欠なものばかりです。

(湾岸エリア)
今後、カジノも含めて特区構想が現実味を帯びてくるのが、東京湾の湾岸エリアです。
そもそも、オリンピック会場の中心地となってくることも大きなインパクトです。
【脱デフレ相場の銘柄リスト】では、ブルー色で銘柄網掛けしているものです。
重鎮的な銘柄では、かつて80年代のウォーターフロント相場の立役者だったIHI7013も含まれていますが、当時、IHIは150円ほどの株価から、最大1500円以上まで、10倍の相場でした。現在400円台。
ただ、IHIは、現在は晴海地区であり、オリンピック、カジノ特区構想のお台場・有明地区などからはずれていることから、一応リストではブルーに網掛けしてあるものの、取り扱いは微妙です。

※ 以下、詳細ならびに、【脱デフレ脱却銘柄リスト】は増田足経済研究所の増田足ソフトでご覧ください。

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