アールテック・ウエノ(4573)中期的かつ長期的な増益

2015/06/17

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創薬ベンチャー アールテック・ウエノは、中期的かつ長期的な増益を享受できる可能性が高い。現在の同社の収益の中核を占めるに至っている「AMITIZA®カプセル」に関しては、米国に引き続いて、日本での市場開拓が顕著に進んでいる。一方、2016年3月期以降に向けては、欧州、南米、中国で予定されている市場開拓の開始及び進展が、中期的に同社の収益拡大に寄与する見通しである。一方、新たな方針として「選択と集中による開発パイプラインの充実化」が掲げられた創薬事業に関しては、長期的な観点からの同社の収益への寄与がより確実になる方向性にあるとも考えらよう。2009年6月、眞島行彦氏が代表取締役に就任して以来、同社は、「アンメット・メディカル・ニーズ」に対応した医薬品を、日本から世界に発信することを経営目標としてきたが、ここにきて、複数の開発案件に関して、ライセンスアウトなどを通した将来に向けてのキャッシュフロー発生の可能性が高まりつつある模様である。また、同社の大きな特徴は、ここに至る経緯において拠出した創薬に向けての費用(研究開発費)を既存の事業の収益によって賄ってきた側面が大きいところである。過去5年間連続して、研究開発費が売上高の30%近くを占めてきた一方、同様に、売上総利益率60%超過が達成されてきている。

2015年3月期は、売上高6,681百万円(前年比18.9%増)、営業利益1,731百万円(22.0%増)での着地となった。また、営業利益率25.9%(0.6%ポイント上昇)であるが、これは、売上総利益率65.8%(1.9%ポイント上昇)、販管費売上高比率39.9%(1.2%ポイント上昇)の結果である。将来の創薬事業による収益獲得を目的として拠出される研究開発費が同社の売上高の27.4%(3.0%ポイント上昇)を占めるに至ったものの、これ以外の販売管理費の増加が限定的に留まった。一方、同社が受託製造サービスを展開する慢性特発性便秘症などの治療薬「AMITIZA®カプセル」に関しては、売上高5,293百万円(32.5%増、売上高構成比79.3%)と、大幅増収が達成され、これが同社の売上総利益の増加に大きく寄与した。従来からの投入先である米国がほとんどを占める海外で、売上高3,642百万円(15.9%増)、2013年3月期第3四半期より市場に投入された日本で、売上高1,651百万円(93.6%増)である。米ドル建ての取引が行われている米国においては、為替が円安に振れたことが増収率を引き上げた。米ドルに対する1円の振れは、通期の営業利益に対して20百万円前後の振れを発生させるとされているが、売上高に対しては、より大きな振れを発生させる模様である。一方、日本においては、そもそも市場開拓の途上にあったことに加えて、メディアを通してその優れた治療効果が広く一般に認知されるに至り、売上高が前年に対してほぼ倍増した。

2016年3月期に対する会社予想では、売上高7,483百万円(前年比12.0%増)、営業利益2,300百万円(32.9%増)、営業利益率30.7%(4.8%ポイント上昇)が見込まれている。同社の収益源である「AMITIZA®カプセル」に関しては、売上高6,200百万円(17.1%増、売上高構成比82.9%)が見込まれている。内訳は、海外で売上高3,600百万円(1.2%減)、日本で売上高2,600百万円(57.5%増)である。また、海外売上高に対する為替の前提レートは、1米ドル=115円である。研究開発費に関しては、売上高に対する比率が24.5%(2.9%ポイント低下)と、前年に対してやや低下することが織り込まれており、これが営業利益率向上の一つの要因となる。同社の経営戦略においては、既存の事業に基づく収益を積極的に株主に還元しつつ、これができる範囲内で効率的に創薬事業に対する先行投資を行っていく旨が示されている。2016年3月期に向けては、1株当たり配当金予定額35.0円(配当性向41.9%)と、前年の30.0円(配当性向42.0%)との比較で5.0円の増配となる。

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