コンテンツ消費型ネイティブアド向けサービス―インタースペースのネット広告戦略

2015/11/13

株式会社インタースペース 代表取締役社長 河端伸一郎 × Longine IR

株式会社インタースペースの河端伸一郎 代表取締役社長に同社のインターネット広告事業での新たな取り組みや東南アジアのアフィリエイト事情、中期計画の数値目標への施策についてお伺いしました。

Longine IR部から投資家に伝えたい3つのポイント

・2015年9月期は、アフィリエイト部門に戦略的に人員を増やしたことや、サイト運営者の支援を強化したことで費用が売上高の伸び以上にかかった。
・ネイティブアド対応コンテンツ・ディスカバリー・ネットワーク「X-lift(クロスリフト)」のサービスを提供開始しましたが、顧客からの評価は良い。
・2016年9月期は、売上高の成長を目指しながら既存事業の人件費の支出を抑えつつ、新規事業への投資は継続し、営業利益で増益を目指す。

堅調なインターネット広告事業

Longine IR部(以下、Longine):初めに、インタースペースの売上高及び営業利益として最大の事業セグメントであるインターネット広告事業の2015年9月期の振り返りと新年度の考え方について教えてください。

株式会社インタースペース 代表取締役社長 河端伸一郎(以下、河端):インターネット広告事業は堅調に拡張することができたと考えています。同事業の主力部門であるアフィリエイトが好調に推移しました。アフィリエイトは、当社が広告主とメディアを持つサイト運営者の間に入り、両社をマッチングする役目を担っています。当社は、広告主から広告依頼を受ける商品やサービスを、当社が運営する「アクセストレード」上でサイト運営者にご紹介いたします。サイト運営者様は、その商品やサービスを自分たちのメディアに掲載、紹介し、成果が発生したことで報酬を得ることができます。2015年9月期は、そのアフィリエイト部門に戦略的に人員を増やしたことや、サイト運営者様の支援を強化したことで費用が売上高の伸び以上にかかりました。来期以降はインターネット広告事業としても売上高の増加に伴って収益も拡大していくと思っています。

Longine:インターネット広告事業が堅調ということですが、業種的な特徴はありますか。

河端:もともと金融カテゴリーが主力だったのですが、ここ1~2年でEコマース関連企業が好調です。機能食品・サプリメントや美容関連商材などが好調でした。ただ、そういった商品を取り扱う特定サイトが好調というより、商品そのものが人気であり、よく売れているという状況です。こうした状況は、直近1年だけではなく、継続的なトレンドだと言えます。

Longine:広告主の出稿意欲はいかがでしょうか。

河端:広告主も、どういった種類の広告でどのように顧客にリーチし成果を上げるかを十分に吟味したのち、予算を確保しています。たとえば、業界として盛り上がっており、ユーザーが明確に存在している商品にはしっかりと予算を確保して広告を行うという状況です。

アフィリエイターの底上げができている

Longine:今後インターネット広告事業を成長させるために必要な条件を教えてください。

河端:アフィリエイトの仕組みは今後も拡大していくと考えていますが、各商材の売上高には限界がありますし、次にどのような商品が出てくるかは事前にすべてを把握することはできません。したがって、当社としては、人気のある商材を確実に取り扱い、その品揃えを増やすことが重要となります。一方、そうした商材を紹介するアフィリエイターとよばれるサイト運営者様のすそ野拡大とメディアの品質強化が重要となります。

Longine:アフィリエイターの動向についてさらに詳しく教えてください。

河端:アフィリエイター同士の勉強会は頻繁に行われています。最近のアフィリエイターのサイト運営では、サイトを訪問した読者にいかに有益な情報を提供するか、またグーグルを始めとした検索サイトの上位に表示されるためのコンテンツ作成はどうすればよいのかなどの議論が活発に行われています。結果、アフィリエイターとしてのサイト運営における機動力や成果ボリュームは底上げが進んでいるとは感じます。

longin-1

株式会社インタースペース 代表取締役社長 河端伸一郎

ネイティブアド対応コンテンツ・ディスカバリー・ネットワーク「X-lift(クロスリフト)」

Longine:インターネット広告事業で新しい取り組みがあれば教えてください。

河端:ネイティブアド向けレコメンデーション・エンジンである「X-lift(クロスリフト)」の提供を始めました。

Longine:まずは用語を1つずつ理解するところから始めてもよいでしょうか。

河端:どうぞ(笑)。

Longine:ネイティブアドとは、記事広告ではあるけれども読者に広告そのものを記事として見てもらえるように、コンテンツとしての質を重視した広告ですよね。TVコマーシャルでも、クリエイティブがしっかりとしていて、十分に見応えのあるコマーシャルもありますよね。そのネイティブアドが新たな事業機会になっているのでしょうか。

河端:まずはネイティブアド市場について説明します。日本でもソーシャルメディアであるフェイスブックやツィッターのユーザー数は大きく増えました。ソーシャルメディアに表示されるタイムライン上のインフィード型広告は効果も高く、インフィード型広告から誘導してきたネイティブアドの評価は上がっています。特に、フェイスブックやツィッターのように、すでに圧倒的なユーザー数を持っているメディアでは、その相性が良いと言えます。

Longine:ネイティブアドはソーシャルメディアだけと相性が良いのでしょうか。

河端:既存のウェブメディアでも、今後はさらに広がっていくと考えています。最近では、既存のメディアも読み応えのある記事を増やそうと取り組まれている傾向にあると捉えています。スマホが普及して以降、ユーザーがインターネット広告に対して購買や資料請求などの行動を起こすことに加え、記事を読むという行動がこれまで以上に増えてきています。いわゆるコンテンツの消費です。そうしたトレンドの中、インフィード型広告をクリックし、記事を読んだ後で、さらに別の記事を読みたいという層も確実に育ってきています。

Longine:インタースペースはそうした事業環境の中でどのような事業を展開しているのでしょうか。

河端:今回、当社が提供を始めたX-lift(クロスリフト)は、レコメンド・ウィジェットと言われているものです。契約していただいたメディアにユーザーが読んだ記事の関連記事を提供するツールです。また、当社はツールを提供する一方、そのツールをお使いいただくメディアの一部を広告枠として調達することもビジネスモデルとしてやっています。

Longine:X-lift(クロスリフト)の反応はどうでしょうか。

河端:非常にいいですね。各メディアへの導入も比較的スムーズにいっています。アフィリエイトの仕組みではメディアが育たないと広告枠が提供されませんでした。一方、既存メディアの読みもの枠にはネイティブアドとしての広告は入っていません。関連記事領域に広告のウィジェットを入れましょうという提案は、メディアでこれまで収益化されていない領域です。メディアにおける広告収入が増えるならやりましょうという反応をいただいています。そうなると、たとえば、月間1億ページビューのメディアがあったとして、そのメディアに新たに広告枠ができますし、従来のバナーアドネットワークのように既存事業者がいないので、当社にとっても事業展開が進めやすいです。

Longine:新サービスとしてのX-lift(クロスリフト)と、インタースペースがX-lift(クロスリフト)を提供することでの競争優位はどこにあるのでしょうか。

河端:メディアごとにコンテンツ分析とユーザーの行動分析を行い、ユーザーにどのようなコンテンツあるいは広告を表示させるかを決定し提供するのが付加価値です。また、広告主からの記事も当社でライティングやクリエイティブができ、X-lift(クロスリフト)を通じて提供できることが価値になると考えています。これはテクノロジーだけではなく、アートの世界でもあります。ユーザーから見た視点と広告としての訴求を兼ね備える必要があると考えています。TVコマーシャルもそうした領域をうまい具合に組み合わせてきていますし、ネイティブアドも今後はそのようになっていくと見ています。

ゲーム事業テコ入れにより収益体質を強化したメディア事業

Longine:メディア事業について、まずは2015年9月期の振り返りをお願いします。

河端:2015年9月期の当社メディア事業は、「ママスタ」を中心としたメディア広告部門と、子会社にしていたmore games(モアゲームズ)を中心としたソーシャルメディア・アプリ部門がありました。ママスタを中心としたメディア広告は非常に堅調でした。2014年9月期から収益化を果たして、2015年9月期も成長しました。一方、more gamesは2014年9月期での収益化ができていましたが、2015年9月期は収益が厳しくなり、リストラ策なども実施しましたが、最終的には2015年9月に株式をすべて売却いたしました。

Longine:メディア事業の新年度の見通しはいかがでしょうか。

河端:不採算部門についてはコストの見直し等は実施済みですので、新年度収益化に向かうと考えています。

Longine:メディア事業全体を伸ばすためにはどのような施策が必要でしょうか。

河端:メディア広告部門ですが、現状は高収益の部門になってきています。ママスタを始めとして、今後ユーザー数をどのように伸ばすかというステージにあると考えています。そのための取り組みの1つとして、周辺メディアの立ち上げなども行っています。たとえば、株式会社セブン&アイ出版さんと一緒に「saitaPLUS」というメディアを開始しました。ママスタと近い分野のメディアの立ち上げや横展開も含めて、トラフィックを増やしていこうと考えています。

Longine:ソーシャルメディア・アプリ部門についてはどのような施策があるのでしょうか

河端:同部門の中心はゲームですが、今後はパブリッシング事業にフォーカスしていこうと思っています。過去にブラウザ向けに出したゲームを、現在ネイティブ向けに展開しています。売上高は小さいのですが、コストをかけないで運営できることもあり、収益性が高くなります。今後は、他社で過去にブラウザ向けに出されたゲーム資産を活用し、パブリッシングしていくことをやっていこうと考えています。そうしたコンテンツが積み上がり、高収益のモデルになると思っています。

東南アジアでじわじわとアフィリエイト部門を拡大している海外事業

Longine:海外事業について2015年9月期の振り返りをお願いします。

河端:タイ、インドネシア、ベトナムでアフィリエイトを中心に展開し、いずれも順調に積み上がり始めてきたという状況です。競合環境についても、本格的なコンペティターがあまりいないので、比較的大手の広告主をコンペなく取れています。

Longine:東南アジアにアフィリエイターは日本のように数多くいるものなのでしょうか。

河端:アフィリエイターについては、タイとベトナムは比較的いますが、インドネシアはあまりいません。ところが、タイやベトナムと比較してインドネシアの方が当社の売上高は大きくなってきています。というのは、インドネシアについてはアフィリエイターが少ないことと、タイなどと比べると所得水準がまだ低いので、金融系クライアントから開拓していきました。金融系クライアントの単価は高いので、インドネシアの売上高伸び率は高くなっています。

Longine:インドネシアの金融系クライアントのアフィリエイトサービスは口座開設関連のサービスでしょうか。

河端:そうですね。ただ、インドネシアといってもグローバルクライアントが多く、日系のクライアントもいます。FX会社やクレジットカード会社の中には、日系も含めた海外からの企業が出稿されています。現在はそうした事例をもとにして、ローカルクライアントをどのように開拓しようか思案しています。

Longine:海外事業は中長期的にはどのように見ておけばよいでしょうか。

河端:売上高や収益が全社に影響を与えるまでには時間は多少かかると思いますが、先ほどお話しした金融系アフィリエイトも含めて収益基盤は作れるかなと思っています。

2016年9月期の考え方

Longine:2016年9月期の会社計画の考え方について教えてください。

河端:基本的には、売上高の成長を目指しながら既存事業の人件費の支出を抑えつつ、新規事業への投資は継続します。結果、売上高総利益率は上昇し、営業利益で増益を目指します。

Longine:図表1は2013年9月期(実績)から2016年9月期(会社予想)の推移を示したものです。2015年9月期の売上高は前年比で成長しながらも減益になりましたが、2016年9月期は再び増益トレンドに入るということでしょうか。

河端:はい、ポイントは3点あります。第1点は、引き続きインターネット広告事業のアフィリエイトで収益を上げること、第2点はメディア事業の収益性は2015年9月期に実施した対応策により大きく改善すること、最後にネイティブアドへの投資はそこまで大きくないという3点です。

Lonjin-3

Longine:海外業についてはいかがでしょうか。

河端:海外事業は引き続き事業規模の拡大を狙っていくので、特段収支均衡を目指していません。売上高が拡大するとともに収支は改善していくと見ています。

Longine:本日は長時間ありがとうございました。

河端:こちらこそありがとうございました。

 

 

株式会社ナビゲータープラットフォーム
Longine企業IRレポート   株式会社ナビゲータープラットフォーム
産業・企業に精通した証券アナリストが集うLongineが、上場企業を株式投資家の目線で分析します。Longine企業IRレポートは、対象企業の依頼に基づき、対象企業の特徴を周知すること、読者に情報を提供することのみを目的として作成しています。掲載ページ(Longine:https://www.longine.jp、株1(カブワン):http://www.kabu-1.jp
企業IR記事に関する重要事項(ディスクレーマー)
  1. 本記事は、株式会社ナビゲータープラットフォーム(以下、「当社」)または執筆業務委託先が、対象企業の依頼に基づき、対象企業から対価を受け取って作成しています。対象企業の特徴を周知すること、読者に情報を提供することのみを目的として作成したものであり、投資に関する意見や判断を提供するものではなく、証券その他の金融商品の売買その他の取引の勧誘を目的としたものでもありません。
  2. 本記事は、当社または執筆業務委託先が、対象企業への取材で得た情報をはじめ、信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。
  3. 本記事で提供される見解や予測は、記事発表時点における当社または執筆業務委託先の判断であり、予告なしに変更されることがあります。
  4. 当社は、記事における誤字脱字等、記事の大意、結論に影響が無いと当社が判断する修正に関しては、読者に特段の通知をすることなく、行うことがあります。
  5. 本記事で提供される如何なる情報等および調査・分析記事に、またはそれらの正確性、完全性もしくは適時性等に、読者が依拠した結果として被る可能性のある直接的、間接的、付随的もしくは特別な損害またはその他の損害について、当社および当社に記事を提供する執筆業務委託先は責任を負うものではありません。
  6. 本記事に掲載される株式等の有価証券および金融商品は、企業の活動内容、経済政策や世界情勢など様々な影響により、その価値を増大または減少することもあり、また、価値を失う場合もあります。投資をする場合における当該投資に関する最終決定は、必ず読者ご自身の判断と責任で行ってください。
  7. 当社および執筆業務委託先は、記事の内容に関する読者からのご質問への対応など、個別相対性のある追加サービスは行いません。但し、記事内容につき不適切な内容があり、当該内容について確認、修正、削除依頼をいただく場合はこの限りではありません。
  8. 本記事に掲載されている内容の著作権は、原則として当社または執筆業務委託先に帰属します。本記事で提供される情報は、個人目的の使用に限り、配布また頒布が認められますが、原則として、読者は当社の承認を得ずに当該情報の複製、販売、表示、配布、公表、修正、頒布または営利目的での利用を行う権利を有しません。
  9. 本重要事項(ディスクレーマー)は随時アップデートされることがあります。最新の内容をご確認ください。
企業IR記事に関する当社および執筆者による表明
  1. 対象企業から対価を受け取って企業IR記事を執筆する場合、当該契約期間中、当社および執筆業務委託先がLongine(ロンジン)において、対象企業に対する投資に関する意見や判断に言及する記事を執筆することはありません(契約開始以前の記事は掲載を継続し、また、契約終了後は投資に関する意見や判断に言及する記事の掲載を行うことがあります)。但し、特定のテーマに関する関連銘柄として複数企業を紹介する場合において、対象企業がその内の一社であるようなケースでは、関連銘柄の一例として紹介することがあります。
  2. 当社及び本IR記事の執筆に関与した執筆業務委託先と対象企業との間に重大な取引関係、利益相反関係はなく、また、当者及び本IR記事の執筆に関与した執筆業務委託先は対象企業の株式(転換社債を含む)を保有していません。例外的に株式保有や重大な取引関係がある場合は、IR記事の末尾にその事実を明記致します。