シェアNo.1はインテージが決める。古くて新しいマーケティングリサーチ会社の未来戦略とは

2015/08/20

株式会社インテージホールディングス 代表取締役社長 宮首賢治 × Longine IR部

株式会社インテージホールディングス(証券コード:4326)代表取締役社長 宮首賢治氏に同社の強み、国内の成長戦略、海外の成長戦略についてお伺いしました。

Longine IR部から投資家に伝えたい3つのポイント

●インテージホールディングスは国内随一のマーケティングリサーチ会社で、小売店での販売情報調査と消費者の購買履歴調査を並行しておこなうことができるオンリーワン企業。データの信頼性が高く評価されている。
●今後の成長戦略のキーワードはモバイル、グローバル、ヘルスケア。特にヘルスケアではアジア全域で良質な市場調査データに対する需要が高まる。
●消費者の購買とその属性やメディア(マスメディアとモバイル・PCなどをカバー)の接触履歴を網羅した調査も今後の有望分野。売上高1,000億円を目標に事業拡大を優先させる。

信頼の全国小売店パネル調査で、売れ筋ナンバーワンが決まる

Longine IR部(以下、Longine):御社の業績を長期的に振り返りますと、利益率を維持しながら着実に売上高を高めてきました。ここのところROEが注目されますが、御社ではずっと以前から高水準を維持しています。はじめに、現在の基幹サービスの強みを教えてください。

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出所:SPEEDAをもとにLongineIR部作成、2016年3月期は会社予想。売上高は左軸で単位百万円。ROEは右軸で%。

 

株式会社インテージホールディングス 宮首賢治(以下、宮首):現在の基幹サービスの一つである全国小売店パネル調査は、事業会社の株式会社インテージで提供しているサービスで、1994年の開始以来、データ質量の向上、パネル店数の拡大、設計変更など膨大な時間をかけて調査手法を確立し顧客から高い信頼を得ています。私たちの真摯な取り組み姿勢が評価され、これまで成長できてきたのだと考えています。

Longine:全国小売店パネル調査をもう少し教えていただけますか。

宮首:私たちは統計手法などに基づき全国で約4,000店の小売店を選びだし、そのPOSデータを毎日オンライン収集し、いつどこで何がいくらで売れているのか捕捉・分析しています。私たちのデータの代表的なお客様は、食品、飲料、化粧品、日用雑貨品などのメーカーで、それぞれのマーケティング活動に組み込まれているのはもちろんのこと、毎週の営業会議などで自社の販売戦略の評価をする際にも私たちのデータが活用されています。

Longine:他社がなかなか参入に成功しないですね。このビジネスの難しさはどんな点でしょうか?

宮首:4,000店というと多いように思いますが、全国の小売店数からみれば限られたサンプルです。限られたサンプル数でいかに日本の消費の縮図を過不足なく描き出すことができるのか、このノウハウが私たちの強みです。一朝一夕には他社がまねできないため参入が難しいのでしょう。

Longine:近年、ビッグデータの重要性が叫ばれたり、統計学が注目を浴びたりしていますが、御社は昔からビジネスとして取り組まれていたのですね。インテージが日本の売れ筋ナンバーワンを決める、と言われる理由がわかりました。

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 株式会社インテージホールディングス 代表取締役社長 宮首賢治

 

伝統ある消費者パネル調査でデータの信頼度が更に高まる

Longine:いつどこで何が売れたかを調査する小売店パネル調査に加えて、どんな人が何を買ったのかを調査する全国個人消費者パネル調査というサービスも行っていますね。

宮首:はい。1960年の創業期から手掛けているサービスで、現在では全国の男女モニター5万人の購買行動をフォローしており、質・量ともに日本最大のパネルに育ちました。具体的には、モニターが買い物をしたらそのバーコードをスマートフォンや専用の小型バーコードリーダーですべて読み取って、毎日インターネット経由で送信して頂いています。日本で小売店の販売データと消費者の購買データを同時に提供できる会社はわれわれだけです。自社でこの二つのデータを突き合わせて見比べることができるからこそ、私たちのデータの信頼性がますます高まるのです。

Longine:モニター5万人の維持・管理は大変そうですね。

宮首:その通りです。先ほどの小売店パネル調査と同じように、私たちが選んだ5万人がうまく日本の縮図にならなければいけません。また、モニターの方の取り組み具合も時間の経過とともに低下することがあります。きめ細かなモニターの運営ノウハウが私たちの強みです。

Longine:その他のサービスはどのような内容ですか?

宮首:連結売上高の約40%を占めるパネル調査のほかにも、業界最大555万人のインターネットモニター「マイティモニター」を使ってお客様のニーズに沿った調査を行うカスタムリサーチや、ヘルスケア関連のマーケティング支援サービスを手掛けています。

売上高1,000億円を目指すためにいま取り組むべきこと

Longine:2015年3月期の御社の連結売上高は439億円でしたが、中期的に1,000億円を目指すとしています。事業環境をどう見ておられるのかご説明ください。

宮首:最大の経営課題のひとつは日本の少子高齢化です。私たちはモノやサービスのマーケティングに必要なデータを提供していますが、消費動向は大きく変わっていくでしょう。たとえば10年後や20年後、アルコール飲料の販売量は現在の水準と変わらないと思いますか?今後の日本の変化を先取りして、私たち自身が新しいビジネスを開拓しないと先細りしてしまう危険性が高いのです。

「モバイル&シングルソース、グローバル、ヘルスケア」を強化する

Longine:ではどのような経営の舵取りが必要になるのでしょうか。

宮首:私は「モバイル&シングルソース、グローバル、ヘルスケア」がカギだと考えています。

Longine:「グローバル」のテーマから解説をお願いします。

宮首:先ほどのアルコール飲料の例でいえば、こうしたメーカーのお客様は活路を海外、特にアジアに求めるはずです。私たちもぜひこれに対応しお役に立ちたいと考えています。

2015年3月期の海外事業は、売上高が36億円でした。中国、タイ、ベトナム、インド、シンガポール、香港、インドネシア、韓国などに拠点を展開し「面展開」は進みましたので、これからは、モバイルの技術を駆使した新商品開発をはじめとする各国事情に応じた戦略の強化、人材の増強など「深堀り」を進め、アジア横断的に顧客をサポートしたいと考えます。2016年3月期は増収と黒字化を目指し、中長期で売上高の10%を海外で稼ぎたいと考えています。

ヘルスケアは次のインテージグループを担う重要な領域

Longine:次にヘルスケアについてお伺いします。先ほどのお話を踏まえると、国内の高齢化に伴って成長が期待できる分野にあたるのですね。

宮首:その通りです。既に医薬品メーカーなどのお客さまからは、当社グループが提供しているヘルスケアソリューションに高い評価を頂いており、今後も大変有望です。そこで2016年3月期からヘルスケア関連のマーケティング支援事業を明確に切り出すセグメント変更を行います。

Longine:2015年3月期実績は売上高94億円、営業利益約12億円、営業利益率約12%となっていて、最も高収益な部門になりますね。

宮首:ヘルスケア関連事業は、創業時までさかのぼることができる伝統ある事業です。現在は事業の整理を終え、主に3つの子会社を核に成長を目指しています。具体的には、株式会社アスクレップは、医薬品の市販後調査などを行っています。次いで、株式会社アンテリオは、医療用医薬品・医療機器の市場調査や、一般用医薬品のパネル調査などを行っています。最後に株式会社医療情報総合研究所は、調剤薬局から処方箋データを収集し、その分析データを製薬企業などに提供しています。各社はこれまでインテージグループが培ったデータ収集・分析のノウハウを生かしており、お客様の高い評価を得ています。

ヘルスケア事業の海外ポテンシャル

Longine:ヘルスケア部門では日系以外の顧客も獲得しているのですか?

宮首:はい。グローバル製薬企業のお客様にも好評で、国内だけでなく、中国をはじめとしたアジア諸国でも質の高い市場調査データの提供を期待されています。

Longine:アジアの国々では一人当たり所得の向上と生活水準の改善、また国によっては高齢化が進むなどでヘルスケアニーズは大きく伸びていきそうですね。

宮首:そうですね。私たちは、人材のローカル化を適切に進めながら、これまでのノウハウを発揮し、更に成長していきたいと考えています。

モバイル&シングルソース強化でスマホ時代のマーケティングリサーチをリードする

Longine:事業環境の変化の話に戻りますが、現在はインターネット、それもスマホによるモバイルインターネットが普及してきました。御社にはどのような影響があるのでしょうか?

宮首:私たちが築いてきた消費者パネルを一歩進めた事業展開にポテンシャルを見ています。

Longine:もう少し具体的に教えてください。

宮首:私たちはインテージシングルソースパネル(i-SSP)という個人消費者パネル調査を行っています。従来の新聞やテレビといったマスメディアだけでなく、インターネット広告や口コミサイトなどの情報が消費行動に大きな影響を与えるようになってきました。そこで同一個人(シングルソース)のさまざまな「購買行動」と「PC、モバイル、テレビなどのさまざまなメディア広告・情報接触」を一元的に収集分析して、適切な広告戦略や広告効果測定のサポートツールを提供したいと考えています。これは世界的にも類を見ないサービスで、サービス開始後3年目に入りますが、さまざまな業種にこのサービスが浸透しつつあります。

Longine:スマホやIoT(Internet of Things)の普及、あるいはEコマースの拡大によって、インターネット広告の接触履歴や各種の購買情報は以前より容易に収集できるようになるかもしれません。しかし個人ベースで一元的にこうした情報を収集し、かつ偏りなくそうした個人を集めて管理するとなるとなかなかむずかしそうですね。

宮首:私たちの活躍の場です。例えば、2015年4月には世界でNo.1の市場調査会社ニールセンと「インテージ・ニールセン デジタルメトリクス」という合弁会社を設立しました。ニールセンはデジタル広告の視聴率について膨大なデータを持っていますが、デジタル広告の消費行動へのコンバージョンのデータを持ち合わせていません。ここに私たちの個人消費者パネル調査やi-SSPのデータを掛け合わせることで、デジタル広告の効果測定に関する新しい提案をしていきたいと考えています。

株主、投資家へのメッセージ

Longine:成長投資に更にアクセルを踏むタイミングなのですね。

宮首:その通りです。戦略を着実に推進し、売上高利益率を維持しながら売上高1,000億円を目指したいと考えます。配当性向は当面30%を維持したいと思います。

Longine:ROEブームですが、御社は既に二桁のROEを上げていますね。

宮首:ROEを更に高めるために配当性向を上げるよりも、しっかり内部留保を厚くして成長投資に回していきたいと考えています。オーガニックな成長だけでなく、ヘルスケア・海外・ビジネスインテリジェンスといった領域ではM&Aも当然視野に入れています。長期的な収益規模の拡大を通じて株主の方の期待にしっかりお応えしたいと考えています。

Longine:本日は長時間ありがとうございました。

宮首:こちらこそありがとうございました。

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