DeNAはゲーム事業の収益基盤を固め、任天堂との資本・業務提携や新規事業により中長期の成長を目指す

2015/06/23

株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役社長兼CEO 守安功 × Longine IR部

株式会社ディー・エヌ・エー (証券コード:2432。以下、DeNA)代表取締役社長兼CEO 守安功氏に同社の地域ごとのゲーム事業の戦略や新規事業の取組み、コーポレート・ガバナンス強化策の内容についてお伺いしました。

 

Longine IR部から投資家に伝えたい3つのポイント

●DeNAにとって、ゲーム事業は、中長期でも主力事業であり続ける。日本・中国・欧米を注力地域と位置付けグローバルに展開。
●DeNAは、任天堂株式会社(以下、任天堂)との資本・業務提携を、ゲーム事業を成長させていくための戦略オプションとして、最良のプランであるととらえている。
●DeNAは各巨大産業のプレーヤーのインターネット事業展開のパートナーとして取り組んできた実績があり、今後も多くの産業でインターネット活用のポテンシャルがますます大きくなる中で、更なる事業機会を創出できると考えている。
2015年3月期の実績について

Longine IR部(以下、Longine):はじめに、2015年3月期の業績について教えてください。

株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役社長兼CEO 守安功(以下、守安):2015年3月期の業績につきましては、売上収益が1,424億円(前期比21.5%減)、営業利益が248億円(同53.4%減)となりました。通期ではゲーム事業における既存タイトルの利用低下を新規タイトルで補うには至りませんでしたが、費用面では、販売促進費・広告宣伝費をはじめとしたコストコントロールに努めました。

Longine:2015年3月期に注力した取り組みと、その進捗を詳しく教えてください。

守安:2015年3月期は、特に戦略面で非常に大きな一歩を踏み出した期となりました。モバイルゲームへの注力と再強化、及び、中長期を見据えた成長領域への積極投資の2つに当期は重点的に取り組みました。特に前者は順調に進捗し、アプリ市場向けタイトルのゲーム内仮想通貨の利用が国内外で大きく増加し、市場でも有数の規模に成長することができました。後者についても、電子マンガ雑誌「マンガボックス」や仮想ライブ空間「SHOWROOM」などのユーザベースが順調に拡大したほか、複数の領域で事業を立ち上げています。

Longine

株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役社長兼CEO 守安功

DeNAが中長期で目指す姿

Longine:2015年3月期の戦略進捗を踏まえ、中長期で目指す姿について聞かせてください。

守安:まずは国内既存事業の安定した運営を実現し、そのうえに、海外ゲーム事業の収支改善や、2015年3月に公表しました任天堂との資本・業務提携における取り組みを積み重ねていきたいと考えています。さらに、中期的には、ゲームに次ぐ新たな柱の創出を目指してまいります。

Longine:中長期で、ゲーム事業はDeNAにとってどのような位置づけなのでしょうか。

守安:ゲーム事業は、中長期でも主力事業であり続けると考えています。当社の収益にとっても非常に重要な事業です。ゲーム事業では、日本・中国・欧米を注力地域と位置付け、各地域のゲームユーザのトレンドや嗜好を十分に把握しながら開発・運営する体制を敷いています。また今後は、資本・業務提携に基づき、任天堂と協業でのタイトル開発・運営も行っていきます。同社のIP(知的財産)をグローバルで展開することで、従来アプローチができなかったゲームユーザとの接点もでき、収益機会は確実に増えていくと考えています。
DeNAがグローバルに展開するゲーム事業の戦略と任天堂との資本・業務提携

Longine:まず、日本国内の展開について教えてください。

守安:国内ゲーム事業では、ブラウザゲームの利用低下が利益の押し下げ要因になってきましたが、アプリゲームの売上収益増加でブラウザゲームの減少を補い、安定した利益を創出していける目途が立ったと考えています。

Longine:中国はいかがでしょうか。

守安:2015年3月期は、複数のヒットを創出できた年度でした。2016年3月期は、人気アニメ等の有力IPの活用と、高度に現地化した体制を活かした戦略を更に推進します。中国市場は今まさに大きく伸びているタイミングですので、継続的に投資を行なってまいりますが、2016年3月期末には構造的な黒字化へと向かう手応えがあります。

Longine:DeNAは、他の日本企業と異なり、なぜ中国市場で成功しつつあるのでしょうか。

守安:中国市場は非常に特徴的です。例えば、ユーザに長期で遊んでいただくには柔軟なサポート体制を通じた関係構築が重要ですし、中国で馴染みのあるオンラインゲームに似た運営手法がモバイルゲームでも受け入れられる傾向があります。日本や欧米市場とは異なりますので、現地を理解した戦略が肝となります。当社では、現地に即したゲームの開発・運用・マーケティングを一気通貫して担える体制を整えています。また、有力IPの活用にあたっても、その世界観を尊重しつつ、同時にゲームの運用スピードを落とさないよう、日本や欧米のIP提供パートナーと密接に連携しながら細部にまでこだわりを持ってゲームを開発しています。このように、中国に現地化された体制を持ち、かつIPの獲得と適切な活用まで全て行える企業は非常に稀だと考えています。

Longine:欧米のゲーム事業の概況を教えてください。

守安:新規タイトルの貢献で、既存タイトルの利用低下を補えるようになってきました。2016年3月期に入って、体制を見直していますが、欧米のモバイルゲーム市場は1兆円超にも及ぶといわれており、当社の強みである、欧米のユーザに受け入れられるようなデザインやグラフィックなどの制作能力の高さを活用し、引き続き収益拡大を狙っていきたいと考えています。

Longine:ゲームそのものはグローバルで受け入れられるコンテンツでありながら、地域ごとに趣味嗜好が異なり、それに伴い事業戦略も異なるのですね。

守安:はい、当社のゲーム事業では、日本・中国・欧米に拠点を持っている強みを活かし、成功タイトルの多地域展開や、グローバルでのIPの獲得・活用を進めていきたいと考えています。

Longine:任天堂との資本・業務提携の概要について教えてください。

守安:本提携の柱は2つです。任天堂のキャラクターを含む任天堂のIPを活用したスマートデバイス向けゲームアプリの共同開発・運営と、スマートデバイスと任天堂のゲーム専用機等をつなぐ一体型メンバーズサービスの共同開発を行っていきます。いずれも、グローバル市場が対象です。協業のアプリについては、2015年内に第一弾の配信を目指し、2017年3月期末までに5本程度配信していきたいと考えています。すでに両社で開発にあたっていますが、業績への本格的な貢献は2017年3月期以降を想定しています。

Longine:任天堂との提携での事業モデルとその中でのDeNAの具体的な役割について教えてください。

守安:両社で協業し開発しているタイトルに関しては、各社の役務に応じたレベニューシェアになるとご理解ください。また、タイトルごとに両社の役割分担は変わりますが、当社は、サーバーサイドや分析などのインフラ面を担当することが多くなると考えています。
ゲーム以外の事業領域について

Longine:新規事業などゲーム以外の領域での進捗と、多様な事業領域に取り組んでいく意義について教えてください。

守安:当社は創業以来、インターネットサービスを運営するノウハウを積み上げてきました。具体的には、協業パートナーの持つ固有の技術や強みをインターネットと掛け合わせ、特にモバイル端末に最適化した形でサービスを開発・運用し、事業として大きくしていくことを得意としています。そうした強みがある中で、当社は各巨大産業のプレーヤーのインターネット事業展開の協業パートナーとして取り組んできました。そして、そうした私たちのDNAは今後も変わることはありません。

Longine:新規事業に関して最近ではどのような取り組みがあったのか詳しく教えてください。

守安:2015年3月期には新規事業として、ヘルスケア、ライフスタイル領域などでの取り組みを進めました。ヘルスケアでは、東京大学医科学研究所との共同研究による遺伝子検査サービス「MYCODE(マイコード)」、住友商事株式会社との合弁会社による健康レコメンデーションメディア「KenCoM(ケンコム)」を展開しています。ライフスタイルでは、iemo株式会社・「MERY(メリー)」を運営する株式会社ペロリといったスタートアップ企業を買収し、キュレーションプラットフォーム 事業に参入しました。また2016年3月期に入り、株式会社ZMPとロボットタクシー事業の実現にむけ合弁会社の設立に合意するなど、新たに自動車領域での取り組みも開始しています。

Longine:DeNAにとっての新規事業のアイデアや投資機会は多いのでしょうか。

守安:インターネットの普及がPCからモバイル、IoT へと広がる中で、多くの産業でインターネット活用のポテンシャルがますます大きくなっています。当社はそうした産業の企業と組むことで更なる事業機会を創出できると信じております。

Longine:新規事業投資のリスクと経営資源配分のバランスはどのようにとっているのでしょうか。

守安:リスクを十分に管理する一方、成長領域には適切に経営資源を投入し、将来の事業機会を最大化したいと考えています。
今後経営体制はどう変わるのか

Longine:2015年6月より、経営体制はどのように変わったのでしょうか。

守安:コーポレート・ガバナンスの一層の強化を図りました。従来は、業務執行取締役5名、社外取締役1名の計6名体制でしたが、2015年6月の株主総会を経て、社外取締役を増員し、業務執行取締役3名に対して社外取締役2名、合計5名の体制となりました。

Longine:これまで以上にコーポレート・ガバナンスが強化されたように見えますが、新経営体制では具体的にどのような変化を期待できるのか教えてください。

守安:様々な業種の経営経験者を招聘することにより取締役会の多様性をさらに高め、意思決定および審議の充実をはかることに加え、社内と社外の取締役のバランスを見直すことで、社外取締役からのチェック機能が一層働く緊張感のある取締役会を運営することを目指します。また、社外取締役と社外監査役を構成員とする報酬コミッティーにより、取締役に対する評価の客観性を担保する仕組みも運用しています。

Longine:社外取締役にはどのような役割を期待していますか。

守安:業務執行者である経営者の監督という基本的な役割に加え、事業運営・方針に関しても有益な示唆をいただけることを期待しております。従来から当社社外取締役を務めていただいております鳩山玲人氏(株式会社サンリオ常務取締役)からは、事業のグローバル展開やIPの活用等についてアドバイスをいただいております。
新たに社外取締役となりました大塚博行氏は、国際的大手プライベートエクイティファンドの幹部として豊富な経営経験及び複数の事業会社において社外取締役を務めた経験を有し、幅広い産業に関して深い知見をお持ちです。今後当社が様々な産業領域にインターネット事業を展開していくにあたり、的確な助言がいただけるものと期待しております。
株主還元、資金使途について

Longine:配当と成長投資のバランスについてはどのように考えていますか。

守安:当社は、事業の成長を主とした企業価値の継続的な向上を重要な経営課題として認識しており、成長への投資を行いつつ、継続的な配当を実施していく方針です。また、株価や経営環境の変化に対する機動的な対応や資本政策及び株主に対する利益還元の一方法として、自己株式の取得等も適宜検討してまいります。事業成長へ向けた経営資源の配分は、資金及び人的資本の両面で、優先順位を決めて判断しております。具体的には、①ゲーム事業で競争優位性を構築する、②有望な新規事業の成長を加速させる、③中長期視点での新たな柱を創出する、の順で重きを置いています。これらの投資により事業を成長させ、継続的な利益の積み上げによりEPS(一株あたり利益)を向上させていくことで、株主の皆様に貢献したいと考えております。

Longine:新たな配当方針を打ち出しましたが、その概要を教えてください。

守安:この度、配当による還元につきましては、毎期の業績等を勘案しながら、連結配当性向15%あるいは1株当たり年間配当額20円のいずれかの高い方を下限とし、将来的には連結配当性向30%を目指し、継続的な配当を実施する基本方針といたしました。この方針に基づき、2015年3月期の1株当たり年間配当額を20円とさせていただきました。

Longine:最後になりましたが、株主・投資家の方にコメントをお願いします。

守安:株主・投資家の皆様のご期待に報いてまいりたいと考えておりますので、引き続き、ご支援賜りますようお願い申し上げます。

Longine:本日は長時間ありがとうございました。

守安:こちらこそありがとうございました。

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