集客施設における年間3,000万人分のビッグデータで顧客を創る-パナソニックISの「創客」システム

2015/01/08

 
パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 取締役 大西元 × Longine IR

パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社(証券コード 4283。以下、パナソニックIS)の大西元 取締役に当社のソリューションビジネス事業の戦略や今後の業界動向についてお話をお伺いしました。 

Longine IRから投資家に伝えたい3つのポイント

●パナソニックISのシステム・サービスが関わる集客施設の延べ来場者数は東京ディズニーランド及びシーと同水準の年間3,000万人。
●パナソニックISによる提案の最大の強みは、顧客がレベニューシェア型費用請求方式を選べること。
●フェイスブックやツイッターなどのSNSで発信されている情報を分析し、集客施設のリピート客を生むための「創客」をいかに実現できるかに取組み中。

 
 
一般市場向けサービスの伸長はパナソニックグループのバロメーター

Longine IR:パナソニックISが今後成長していくためには、現在売上高の大半を占めるパナソニックグループへの取り組みに加え、それ以外の顧客にあたる一般市場向けサービスでの成長が重要だと考えています。一般市場向けサービスが拡大することはパナソニックISのサービスがグループ以外にどのように評価されているかの判断材料になるだけではありません。パナソニックグループが現在取り組んでいるハードウエアと周辺サービスを含めて継続的に収益を計上することができる事業のロールモデルになると考えているからです。はじめに、一般市場向けサービスの事業規模について教えてください。

大西元 取締役(以下、大西):当社の一般市場向けサービスは、連結売上高の内、約20%程度です。2013年度は、連結売上高363億円に対して78億円でした。

Longine IR:パナソニックグループ向けと一般市場向けサービスの売上高のトレンドについて教えてください。

大西:パナソニックグループ向けの売上高は四半期ごとに増減があり、年間ベースで見ても微増成長傾向であるのに対し、一般市場向けサービスは年間ベースで2ケタ成長を達成する勢いです。一般市場向けサービスは、高い成長率とともに順調に事業を拡大しています(図表1参照)。

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Longine IR:利益率に関しては、パナソニックグループ向けと一般市場向けサービスとを比較するとどちらの収益性が高いのでしょうか。もしくは同じなのでしょうか。

大西:売上総利益率では、パナソニックグループ向けも一般市場向けも同じ水準です。しかし、一般市場向けサービスは、新規顧客獲得と既存顧客向けサービスの深堀のために人件費を含めた固定費が先行投資として必要となります。一方、パナソニックグループ向けは、長い時間をかけた事業上のつながりがあり、効率的に経営できています。結果、営業利益率では、一般市場向けサービスの収益率はパナソニックグループ向け事業よりも低くなってしまいます。これは一般市場向けサービスが成長過程にある段階では避けられないと考えています。次期中期経営計画において一般市場向けサービスがより大きく花開くように、現在お客様との接点を拡げ、深堀をしています。

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パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 取締役 大西元
 
 
集客施設向けソリューションの潜在力

Longine IR:一般市場向けサービスで現在一番期待できるサービスとはどのようなものでしょうか。

大西:私の担当分野として現在もっとも注力しているのは、集客施設向けソリューションです。

Longine IR:集客施設向けソリューションとは具体的にはどのようなサービスなのでしょうか。

大西:お客様施設の入場予約システムや入場券発行システム、パナソニックグループのハードウエアであるPOSレジを活用した飲食やお土産品の販売データ集計・管理システムの構築などが中心です。また、ディスプレイを活用したデジタルサイネージ運用、監視カメラを利用したセキュリティ管理など、ネットワークをつなぐことで実現する幅広いシステム・サービスをご利用いただいています。最近では、こうしたシステムをクラウドサービス化し、お客様とともに施設運営を担う取り組みも進めています。

 Longine IR:パナソニックISは、具体的にはどのような集客施設を扱っているのでしょうか。

大西:最近の事例でいえば、東京スカイツリーの展望台や、大阪ですとあべのハルカスといった大型施設で当社のシステム・サービスをご利用いただいております。その他、テーマパーク、美術館、水族館、スタジアムなど、導入施設の数は今年度末には20を超える見込みです。たとえば、東京スカイツリーの年間来場客数は600万人といわれておりますが、これを含め、当社システム・サービスが関わる集客施設全体の年間来場者数は延べ3,000万人にも及びます。

Longine IR:図表2は、国内における2013年度主要テーマパーク等の年間来場者数とパナソニックISが取り扱う集客施設の延べ来場者数を比較したものです。東京ディズニーランド及びシー(TDL/TDS)は年間3,130万人とパナソニックISの3,000万人とほぼ同水準です。また、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)来場客数の3倍近い水準ということになります。これだけの規模の人の動きを抑えることができれば今後様々な施策が打てそうですね。

大西:はい、現在は各集客施設に提供しているサービス内容も違います。今後は、当社の得意な予約や発券システムを軸にサービスの領域を拡げていく計画です。

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Longine IR:集客施設向けソリューションはどの程度の事業規模でしょうか。

大西:2014年度は集客施設ソリューションで売上高4億円を目標としておりますが、現状はその目標値を大きく上回るペースで進捗しています。数年以内に売上高を10億円の水準にまで到達させることができるように準備をしております。

Longine IR:東京スカイツリーやあべのハルカスといった大型集客施設は、パナソニックISのソリューションのどういった点を評価し、導入にまで至ったのでしょうか。

大西:多くのお客様が豊富な導入実績や運用の安定性などを挙げてくださいます。加えて、当社提案の最大の強みは、レベニューシェア型費用請求方式を選べる点です。これは、集客施設であるお客様の売上高に連動した収入をいただくモデルです。極端な話、スポーツ施設でオフシーズンに入り、その施設の売上がない場合は当社の売上もゼロです。しかし、お客様はシステム導入スタート時から固定費を抱えることなく、使用した分だけ費用を支払えば、当社のサービスをお使いいただくことができます。こうした料金体系を選択できることは、多くの集客施設のお客様にご評価いただいています。なお、このモデルの採用第一号である近畿日本鉄道様(注:あべのハルカスを運営)は、レベニューシェアでITの新たな可能性を示したとして平成26年度ITビジネス賞を受賞されました。ITをサービスとして利用する時代に理想的であり他の模範にもなりうると評価され、私たちも大変ありがたく嬉しく思っています。

Longine IR:ただ、集客施設向けソリューションの売上高目標が10億円では、パナソニックISの2014年度連結売上高目標である370億円に対してインパクトが小さいのではないでしょうか。中期的な目標値である10億円はどのようにとらえておけば良いのでしょうか。

大西:確かに当事業の売上高が10億円で成長が止まれば、全社に対しての影響は少ないということかもしれません。しかし、私が10億円と申し上げた理由がいくつかございますので、説明させていただきます。

Longine IR:お願いします。

大西:まず、私は常日頃から、新しいビジネスで最初に目指すべきは10億円だと思っています。この規模が一事業として独り立ちするための第一歩と考えるからです。さらに、当社のエネルギーマネジメントソリューションと融合させ、「施設」「空間」全体に対するご提案を行うといった相乗効果を生み出していくことができれば、さらなる成長も見込めます。

Longine IR:長期的に今後集客施設向けソリューションの売上高を伸ばそうとするなら、プラスαの取り組みが必要になるのではないでしょうか。

大西:おっしゃる通りです。現在は、予約などの施設に集客するお手伝いをする「援客」と施設に来られた方への「接客」を効率的にシステムで実現する提案をしていますが、今後、プラスαの取り組みとして重要なのは施設の来場者そのものを創出する「創客」です。「創客」を実現することができれば、お客様の事業も拡大しますし、当社も恩恵を受けることができます。

Longine IR:「創客」とは具体的にどのようにすれば実現できるのでしょうか。

大西:流行の言葉を使えば、ビッグデータの活用です。現在、いろいろ実験中ではありますが、施設に来られた方の活動情報、フェイスブックやツイッターなどのSNSで発信されている情報を分析し、次のリピートを生むための施策を行っています。たとえば、メッセージやイベント情報を送信したり、割引券の発行を通じて次の需要を喚起できるような工夫をできるようにしています。こうしたトライアルの一環として、国内企業・自治体等17団体で発足した「TRAVEL JAPAN Wi-Fiプロジェクト」にも参画することにしました。訪日外国人観光客向けWi-Fi環境の整備・提供で得られるビッグデータを活用したお客さまへの付加価値提供を検討していきます。

Longine IR:集客施設向けソリューションで考えれば、ちょっと気が早いですが、2020年の東京オリンピックは大きなビジネスチャンスとなりそうですが、いかがでしょうか。

大西:まだ構想段階ではありますが、都市にある集客施設同士を結びつけることで新たな需要を喚起できれば面白いなと考えています。たとえば、同一地域のスタジアムとアミューズメートパークの両方を訪問すると特典があるというようなシステムを提供できれば都市全体を盛り上げることができます。東京オリンピックも都市ぐるみで開催するわけですから、そうした先行事例をどこかの都市で事前に実現できればパナソニックグループが有している多くの製品・コンテンツと当社のITソリューション・サービスを融合させた提案をより理解していただけるのではと期待しています。

Longine IR:グループ内でハードウエアを取り扱っているがことで、次々とプロトタイプを打ち出すことのできる競争優位があるといえそうですね。本日は長時間ありがとうございました。

大西:こちらこそありがとうございました。

 

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