パナソニックIS(4283)が提供するクラウド・サービスの「ミネラルウォーター」とは

2014/06/02

 
パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 代表取締役社長 前川一博 × Longine IR

パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社(以下、パナソニックIS)の前川一博 代表取締役社長に当社のクラウド・サービス事業の強さの背景や業界動向についてお話をお伺いしました。
 

Longine IRから投資家に伝えたい3つのポイント

●クラウド・サービスを積極的に活用したいという企業でも、業界大手のクラウド・サービス内では預けた内容の扱いが見えにくいので、信頼できる先に運用を依頼したいというニーズがあります。
●パナソニックISは松下電工の情報システム部門を源流としているため製造業におけるITについてお客様と問題意識を共有しながら現場密着型で問題解決をしてきたという強みがあります。
●パナソニックISのような従量課金制のクラウド・サービスを引き受けるためには、データセンターへの設備投資が必要となるだけではなく、一括で売上計上できないことから同社のような強固な財務内容が必要となります。

 
 
クラウド・サービスの普及は既存のIT企業にとっては脅威ではないのか

Longine IR:投資家はテクノロジー企業に投資をする際には、技術革新に特に気を付けます。これまでうまくいっていたビジネスモデルが一気にうまくいかなるケースを何度も見てきているからです。グーグルやアマゾンなどのICT(情報通信技術)産業での巨大なプレーヤーが超低価格のクラウド・サービスを提供しています。パナソニックISの事業モデルはマイナスの影響を受けているのではないでしょうか。

前川一博社長(以下、前川):クラウド・サービスと一言で言ってもお客様のニーズは様々です。クラウド・サービスが広がる中でも、お客様によっては、ミッション・クリティカルな環境は社内で運用したいという方もいます。また、クラウド・サービスを活用したいというお客様でも、大手のクラウド・サービス内では預けた内容の扱いが見えにくいので、信頼できる先に運用をお願いしたいというニーズがあります。当社はこうしたニーズを取り込んでいます。
 

パナソニックISのクラウド・サービスは日系競合他社とは何が違うのか

Longine IR:そうした顧客ニーズに対しては他の日系ITベンダーも同様に対応することで、パナソニックISとは差がつかないのではないでしょうか。

前川:当社が「質の高いクラウド・サービスを提供します」といったときに、ノンストップ率を99.95%で保証します。これは1年、つまり24時間×365日のうち99.95%の稼働をお客様に保証するというものです。保証までするというのは、この業界ではあまり見られない取り組みで、お客様から見れば、当社への発注する際の安心感へとつながっていると考えています。

 
ミッション・クリティカルのクラウド・サービスは「ミネラルウォーター」

Longine IR:ICTを運用する際にその質を求めるのは当然だと思いますが、その市場は大きいのでしょうか。

前川:「水」で考えていただければわかりやすいかと思います。水道は公共インフラで、日本人は水道水を飲めることを知っています。日本人はその水道水を使いながらも、普段、ミネラルウォーターを買うようになりました。水を買うという行為は、利便性もありますが、品質という安全性を求めているといえます。クラウドがインフラであると考えれば、当社が今後とも質の高いミッション・クリティカルのデータセンターを提供できれば、「水」を買うのと同様に品質の観点からも当社のサービスを必要とする市場は広がっていくといえます。

 
クラウド・サービスでの競争優位はバランスシートにあった

Longine IR:クラウド・サービスにより、グローバル大手ICT企業は、使用した分だけ、また使用するスペックごとにきめ細かい価格帯を提供しています。パナソニックISはこうした競争環境の中で、これまでの営業利益率で10%以上という高い収益性は維持できるのでしょうか。

前川:当社もすでにITインフラのクラウド・サービスに従量課金制を導入しています。一例として、数多くの海外企業のM&Aを実行され、事業規模を拡大されておられる日本電産様も当社のお客様です。日本電産様には完全従量課金制でITインフラサービスを提供させていただきました。

Longine IR:なぜそのようなリスクをとることができたのでしょうか。

前川:2つポイントがあります。一つは日本電産様のご要望に対し、これまでの経験から判断して完璧にこなせる自信があったからです。もう一つは、当社の財務内容です。クラウド・サービスというアウトソーシングを引き受けるためには、データセンターへの設備投資、つまり自前の資産を持つことになります。また、一括で売上計上できませんから財務内容がよくなければ、従量課金制というのは導入することは難しいです。

Longine IR:確かに、パナソニックISのネット・キャッシュ(現預金等-有利子負債)の売上高や総資産に対しての比率は競合企業と比較しても高いですね(図表1参照)。しかし、定額課金制の方が従量課金制と比較して事業リスクが少ないと思うのですが、なぜ従量課金制にこだわったのでしょうか。

前川:ご指摘のように、初期に提供したサービスにとどまり、そこから売上が伸びなければリスクです。しかし、当社のサービス、品質レベルをひとたびご評価いただければ、当社から新たな提案を聞いていただける機会が増え、サービス導入時以上にお客様のビジネスパートナーとしてお役に立てると思ったからです。当社の目指すITの「サービス」化を追求するためにはこうした挑戦を続けていかなければなりません。

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パナソニックISの産業顧客向けの競争優位とは

Longine IR:これまでお話しいただいた事業モデルで今後はどのように営業展開をお考えなのか教えてください。

前川:当社はこれまでのように産業向け、かつ質の高いITインフラを求めているお客様を中心に事業を展開していこうと考えています。

Longine IR:では、なぜそのような顧客なのでしょうか。競合企業と比較して、パナソニックISにその顧客セグメントの競争優位はあるのでしょうか。

前川:はい、競争優位があるといえます。まず、なぜ産業向けに注力するのかというと、当社は松下電工の情報システム部門を源流としているため製造業におけるITについてお客様と問題意識を共有しながら現場密着型で問題解決をしてきたという歴史があります。ここで培ってきた技術・ノウハウでは誰にも負けません。産業向けには、私たちが長年培ってきた技術・ノウハウを軸にしてお客様へのソリューションを掛け合わせることで最も役立てていただけると考えています。ただ、当社の従業員数は2014年3月末時点で687名(連結)です。大手の競合企業と比較して決して多いとは言えません。当社が最も強みを発揮できるテーマに、重点的、集中的に取り組んでいるというのが現状です。

image2代表取締役社長 前川一博

 
データセンターへの投資は人を伴わないM&A

Longine IR:今後はこれまで積み上げてきたキャッシュ(現金)を活用して過去よりも高い売上高成長率を求めるにはどのような事業展開がありますか。

前川:当社はデータセンターへも引き続き投資を行います。お客様のIT業務をアウトソーシングしていただき、クラウド・サービスをご提供することは実質的に人の伴わないM&Aということが言えます。こうすることで、M&Aで取り込んだ企業が期待通りではなかったというような「はずれ」をひくことを避けることができます。経営をする上で、M&Aというのは選択肢の一つですが、当社の規模でM&Aを行うことを考えれば、データセンターへの投資の方がより確度が高いということが言えます。ただ、経営環境は常に変化しますからすべての選択肢を否定するものではありません。常にとりうる選択肢の中でベストの判断を心がけています。

Longine IR:本日は長時間ありがとうございました。

 

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