(6890:JASDAQ) フェローテックホールディングス 成長シナリオ通り順調に進行

2018/07/12

ferrotec

今回のポイント
・18/3期は前期比22.7%の増収、同48.6%の営業増益。5期連続の増収・営業増益となり、共に3期連続の過去最高更新。活発な半導体投資と高水準の半導体生産を受けて半導体等装置関連事業の売上が同36.9%増と伸びる等、全てのセグメントで売上が増加。滞留たな卸資産の処分損の計上による太陽電池事業の営業損失増加を吸収して営業利益率の改善も進んだ。12円の期末配当を予定しており、6円増配した上期末配当と合わせて年24円(配当性向31.1%)。・19/3期予想は前期比8.2%の増収、同16.2%の営業増益。太陽電池事業の売上が同22.6%減少する他、電子デバイス事業の売上も同1.8%の増加にとどまる見込みだが、半導体等装置関連事業の売上が同33.0%増と伸びる。利益面では、増収効果に加え、太陽電池関連事業の整理一巡とサーモモジュール応用製品の高付加価値化で営業利益率の一段の改善が進む(9.3%→10%)。配当は、1株当たり上期末12円、期末12円の年24円を予定(予想配当性向16.8%)。

・国策である「中国製造2025」の下、中国では活発な半導体投資が続いており、同社はこの流れをつかみ、当面の目標としていた売上高1,000億円、営業利益100億円を近く達成する見通し。また、半導体製造時の消耗品であるマテリアル製品や装置の部品洗浄事業、更には、ウェーハ事業の強化・育成により、設備投資の波に左右され難い収益体質の構築に取り組んでいる他、半導体と並ぶ柱を育成するべく、サーモモジュール応用製品の高付加価値分野や自動車分野での展開を進めている。現状、成長シナリオ通りに進んでおり、今後の展開が注目される。

会社概要

消耗品を含めた半導体やFPD製造装置等の部品、冷熱素子「サーモモジュール」を核とする電子デバイス、太陽電池関連製品等の製造・販売、及び関連する各種技術サービスを手掛けている。傘下に子会社等42社を擁する(連結子会社35社、持分法適用非連結子会社1社、持分法適用関連会社5社、持分法非適用非連結子会社1社)。
1980年、NASAのスペースプログラムから生まれた磁性流体を応用した真空技術製品や冷熱素子として用途が広がっているサーモモジュール等、独自技術を核にした企業として誕生。創業から30年余りにわたって培われてきた多様な技術は、エレクトロニクス、自動車、次世代エネルギー等、様々な産業分野で応用されている。また、トランスナショナルカンパニーとして、日本、欧米、中国、アジアに展開し、マーケティング、開発、製造、販売、そしてマネジメントと、それぞれの国・地域の強みを活かした経営も同社の特徴。2017年4月、持株会社体制へ移行した。

【経営理念と行動規範】
 経営理念

顧客に満足を
地球にやさしさを
社会に夢と活力を

行動規範

私たちは、グローバルな視点のもと、常に国際社会と調和を図り、地域社会その他私たちに関係する世界の人々の生活に貢献できる製品とサービスを提供する企業として、各国の法令を遵守することはもちろん、確固とした企業倫理と社会的良識を持って、誠実に行動します。

フェローテックグループは、新エネルギー産業およびエレクトロニクス産業を中心に高品質な製品やサービスを提案し、コスト競争力のある製品やサービスを提供することにより、お客様から信頼されて、満足を頂くことを掲げます。

フェローテックグループは、地球環境に配慮した活動を積極的に推進することを経営上の重要課題の一つとしており、最新の環境規制要求への適応を順次進めます。また、新エネルギー産業で活用できる素材・製品などを開発し、地球環境問題の解決に貢献することを掲げます。

フェローテックグループは、コア技術を活用したものづくりを通して社会に貢献し、顧客、株主、社員、取引先、地球社会などステークホルダーの方々が成長する楽しみを持てる企業であり続けます。また、企業活動に当たり法令遵守、社会秩序、国際ルールなど社会的良識をもって行動することを掲げます。

【事業セグメント】

事業は、半導体・FPD・LED等の製造装置に使われる真空シール、石英製品、セラミックス製品等の半導体等装置関連事業、サーモモジュールが中心の電子デバイス事業、及びシリコン結晶やPVウェーハ、結晶製造装置に使われる坩堝等の太陽電池事業に分かれ、18/3期の売上構成比は、それぞれ48.7%(17/3期43.7%)、14.0%(同17.1%)、23.1%(同25.4%)、及びソーブレード、装置部品洗浄、工作機械等の報告セグメントに含まれないその他14.1%(同13.8%)。

半導体等装置関連事業

半導体、FPD、LED、太陽電池等の製造装置部品である真空シール、デバイスの製造工程に使われる消耗品である石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、この他、シリコンウェーハ加工や製造装置洗浄等も手掛け、エンジニアリング・サービスをトータルに提供している。

主力製品で世界シェアNo.1の真空シールは、製造装置内部へのガスやチリ等の侵入を防ぎつつ回転運動を装置内部に伝える機能部品で、上記の製造装置に不可欠。真空シールの内部には創業からのコア技術である磁性流体(磁石に反応する液体)シールが使われている。ただ、いずれの分野も設備投資の波が大きいため、比較的需要が安定した搬送用機器や精密ロボット等、一般産業分野での営業を強化しており、真空シールを組み込んだ真空チャンバーやゲートバルブ等(共に真空関連の装置で使われる)の受託製造にも力を入れている。

一方、石英製品、セラミックス製品、及びCVD-SiC製品は共に半導体の製造工程に欠かせない消耗品。石英製品は半導体製造の際の高温作業に耐え、半導体を活性ガスとの化学変化から守る高純度のシリカガラス製品。材料や加工技術を核とするセラミックス製品は国内外の半導体製造装置メーカーを主な顧客とし、半導体検査治具用マシナブルセラミックスと半導体製造装置等の部品として使われるファインセラミックスが二本柱。

CVD-SiC(※)製品は「CVD法(Chemical Vapor Deposition法:化学気相蒸着法)」(シリコンと炭素を含むガスから作る)で製造されたSiC製品の事。現在、半導体製造装置の構造部品として供給しているが、航空・宇宙(タービン、ミラー)、自動車(パワー半導体)、エネルギー(原子力関連)、IT(半導体製造装置用部品)等への展開に向け研究開発を進めている。

シリコンウェーハ加工は6インチ(口径)を基盤に8インチへの展開を進めており、製造装置洗浄は中国で過半を超えるトップシェアを有する。

電子デバイス事業

事業の核となっているのは対象物を瞬時に高い精度で温めたり、冷やしたりできる冷熱素子「サーモモジュール」である。サーモモジュールは自動車用温調シートを中心に、半導体製造装置でのウェーハ温調、遺伝子検査装置、光通信、家電製品等、利用範囲は広い。高性能材料を使用した新製品の開発や自動化ラインの導入によるコスト削減と品質向上により、新規の需要開拓や更なる用途拡大に取り組んでいる。この他、釣り具のリール(リール内部の防水用途)や4Kテレビのスピーカー向け等で新たな用途開発が進んでいる磁性流体の収益も含まれている。

太陽電池事業

2005年に太陽電池関連事業に参入し、シリコン結晶製造装置、石英坩堝等の消耗品、及び太陽電池用シリコン製品等の製造販売を手掛けてきた。現在は市場ニーズを踏まえて、太陽電池用シリコン製品(シリコンインゴットとウェーハ)の受託生産や、インゴットの製造時に使用される単結晶シリコン用坩堝や多結晶シリコン用角層坩堝(共に石英の加工技術がベースになっている)の製造・販売が中心。太陽電池で培った技術の転用が可能で、付加価値の高い半導体分野へのシフトを進めている、

【第4の成長期へ】

同社は1980年9月に設立され、磁性流体・応用製品(CPシール・真空シール)の製造・販売を開始した。ハードディスクドライブのシールとして使われたCPシールや真空装置のシールとして使われる真空シールをけん引役に事業基盤を固めた。1990年以降は、海外展開を積極化し、91年に米国マサチューセッツ州に法人を設立、その後、92年中国杭州、95年中国上海、97年シンガポール、と相次いで海外現地法人を設立。この間、中国でサーモモジュール・モジュールの製造・販売を開始(92年)した他、半導体関連事業向け石英製品の製造・販売を開始(98年)。99年には元親会社の米フェローフルイディクス社を買収して北米・欧州へ展開した。
2000年以降は、02年に部品加工から組立までの一貫した生産技術を活かしてシリコンウェーハ加工や工作機械等の受託事業を開始(上海工場)。05年には太陽電池関連事業を開始し、インゴット、結晶製造装置、坩堝の製造・販売を本格化。更に08年にはセラミックス製品の製造・開発も開始する等で、新たな収益基盤を確立した。
そして、今、中国、アジア、北米、ロシアを含む欧州、と世界4極での事業体制の整備も進み、第4の成長期を迎えている。

2018年3月期決算
前期比22.7%の増収、同48.6%の営業増益

売上高は前期比22.7%増の905億97百万円。活発な半導体投資と高水準の半導体生産を受けて半導体等装置関連事業の売上が同36.9%増と伸びる等、全てのセグメントで売上が増加した。

営業利益は同48.6%増の84億37百万円。太陽電池事業で滞留在庫の処分損を計上したものの、半導体等装置事業の収益性改善で吸収して売上総利益率は27.5%と0.8ポイント改善。販管費率も、0.8ポイント低下した。持分法投資利益が増加(2億38百万円→3億28百万円)したものの、為替差損の計上(2億13百万円→△6億40百万円)等で経常利益は同26.1%の増加にとどまった。訴訟損失引当金繰入額11億14百万円に加え、固定資産処分損や太陽電池向け角槽事業からの撤退に伴う減損損失、(株)アサヒ製作所にかかるのれん償却費など特別損失17億79百万円を計上したため当期純利益は同17.8%減少した。訴訟損失引当金とは2010年に販売した太陽電池関連装置の訴訟案件に係るもの。2月の一審判決を受けて引当金を計上したが、審議過程の不透明性や事実誤認等から即刻上訴し、受理された。為替レート(期中平均)は、1米ドル=112.04円(前期109.44円)、1人民元=16.63円(同16.41円)。

(2)セグメント別動向

真空シールは前期比44.1%増。半導体製造装置向けの好調が続いた他、FPD向けも、大型液晶向けや中国パネルメーカーの投資で有機EL向けが堅調に推移した。

マテリアル製品では、石英製品が同39.8%増。国内大手OEM3社、米国大手OEM2社、及び台湾DRAMメーカー向けがけん引した。また、国内大手OEM向けにSiエッチャーパーツの供給を開始した。セラミックス製品は同39.4%増。マシナブルセラミックス(MC)“ホトベール”が、半導体ロジック用検査治具(国内)を中心に、一般産機(国内)や医療品機器(海外)向け等が増加。ファインセラミックス(FC)は、国内で半導体成膜装置・FPD装置向けや過去最高の受注を記録した海外エッチング装置向けが増加した。CVD-SiC製品は同59.5%増。中国での国内・海外メーカーの新規投資に伴う半導体製造装置向け部材が増加した。新装置部品や最先端ニーズに対応したニッチ製品の量産化、大型部材や非半導体分野への参入等、今後の成長要因も豊富。

EBガン・LED蒸着装置は同3.1%増。IoT用途での通信・フィルター向け装置需要が増加。足元、5G通信基地局向け各種アプリケーション開発が進んでおり、今後の収益貢献が期待できる。ウェーハ加工は同33.9%増。アナログ、ディスクリート、パワー半導体向けの旺盛な需要を背景に、6インチは月産37万枚のフル稼働が続いている。8インチは量産認定用の生産を開始した(現在は環境対応で精査停止)。

利益面では、新工場の稼働等、増産に向けた能力増強や研究開発費の増加を吸収して利益率が改善した。

石英坩堝は前期比9.4%減。半導体向け単結晶坩堝が増加したものの、太陽電池向け単結晶坩堝の減少をカバーできなかった。また、不採算だった太陽電池向け角槽の生産撤退も減収要因。太陽電池用シリコンは同22.6%増。中国での駆け込み需要と米国顧客向け単結晶N型ウェーハの寄与で稼働率を維持できたため、売上が増加し、採算も確保。ただ、中国大手メーカーの増産と一時的な需要減少で18年初よりウェーハ価格が下落しており、太陽電池向けは楽観できない。太陽電池向けから半導体向けへのシフトを進めている。セル・その他は同13.5%増。通期で増収を維持したが、年後半以降は価格下落で単結晶・多結晶共に軟調な推移。PERC単結晶セルも競争が激しくなってきた。この他、受注残の減少でシリコン結晶製造装置が同82.7%減少した。シリコン結晶製造装置も半導体へのシフトを進めている。

損益面では、滞留在庫の処分損を計上したため損失が拡大したが、資産健全化に向けた取り組みが一巡し、資産面での懸念材料がなくなった。OEM、受託生産、資産売却、更には提携等、引き続き黒字定着に向けた取り組みを進めていく。

サーモモジュールは前期比1.0%減。半導体ウェーハの温調、その他産業用、バイオ・医療検査、及び家電用向けが増加したものの、北米市場での自動車販売台数の前年割れを受けて主力の自動車温調シート向けが苦戦した。自動車温調シート向けは、欧州・中国が堅調に推移したものの、カバーできなかった。今後のEV、自動運転等を睨み、自動車プロジェクトを発足させた。

磁性流体・その他は同21.5%増。産業、家電、自動車向けをけん引役にパワー半導体用基板の売上が増加した他、スマートフォンのリニアバイブレーションモーター向けを中心に磁性流体の売上も増加した。

利益面では、半導体機器、バイオ関連機器、パワー半導体基板向け等、高収益分野の売上構成比が上昇したため利益率が改善した。

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

期末総資産は前期末と比べて263億57百万円増の1,184億57百万円。新株(89億円)や私募債の発行により調達した資金で設備投資を積極化させた。有形固定資産の増加(うち17億54百万円は建設仮勘定の増加)は、8インチウェーハ用設備、石英製品・セラミクス製品の増産対応等が要因。無形固定資産では、(株)アサヒ製作所分の一時償却1億85百万円を含む3億92百万円の償却でのれんが前期の7億69百万円から3億78百万円に減少したものの、中国・杭州市に設立した8inch子会社の土地使用権12億60百万円の計上でその他が増加した。期末為替レートは、1米ドル=113.00円(17/3期116.49円)、1人民元=17.29円(同16.76円)。自己資本比率43.3%(前期末42.6%)。

利益や減価償却費41億88百万円(17/3期35億93百万円)の増加で営業CFは99億46百万円と前期比21.0%増加したが、有形・無形固定資産の取得等に伴う支出がこれを上回り、フリーCFは24億41百万円の支出となった。有形・無形固定資産取得支出の主な内容は、上海子会社34億85百万円、杭州子会社52億98百万円、銀川子会社14億円。
尚、設備投資は支払いベースで123億円(17/3期73億22百万円)。

2019年3月期業績予想
前期比8.2%の増収、同16.2%の営業増益

売上高は前期比8.2%増の980億円。製品全般に減収が見込まれる太陽電池事業の売上が同22.6%減少する他、米市場での自動車販売の影響を受けて自動車温調シート向けサーモモジュールの苦戦が続く電子デバイス事業の売上も同1.8%の増加にとどまる見込みだが、半導体等装置関連事業の売上が同33.0%増と伸びる。同事業では、マテリアル製品に対して半導体大手の顧客から増産要請が強く、ライン増設や製造工場の新設を含めて需要に応えていく。

利益面では、増収効果と太陽電池事業の整理一巡で、売上総利益率が28.5%と1.0ポイント改善。変動費の増加や減価償却費の増加等による販管費の増加を吸収して営業利益は同16.2%増の98億円と100億円に迫る。為替差損の減少を想定しているものの、支払利息の増加(6億33百万円→7億円)等で営業外損益は前期と同水準を想定。特別損失の減少と税負担率の低下(51.2%→37%)で当期純利益は53億円と同97.9%増加する見込み。

為替レート(期中平均)の前提は、1米ドル=105.00円(18/3期112.04円)、1人民元=16.00円(同16.63円)。為替感応度(ドル円)は、年間1円の変動で、売上高9億50百万円程、営業利益65百万円程。設備投資額は400億円(18/3期123億円)を計画しており、主な投資は、大手半導体装置メーカーからの要請に応えるマテリアル製品の増産投資80億円、パワー半導体用基板の増産投資30億円(現在10万枚の生産能力だが、新工場で35万枚上積み)、洗浄事業(1工場新設、1工場能力増強)40億円、及び設備更新等で計160億円、残る240億円は杭州・銀川での大口径半導体ウェーハ投資に充てる。減価償却費は50億円(同41億88百万円)を織り込んだ。前期に新株発行で調達した80億円に加え、前期末に国内金融機関で設定した50億円の借入枠の活用で上期の資金需要を賄い、下期は新たに国内金融機関から120億円の借り入れを行うと共に、中国子会社の借り入れ40億円・手元資金40億円、及びリースの活用で賄う予定。

(2)セグメント別見通し

真空シールは前期比27.5%増。有機EL向けは、大手パネルメーカーの設備投資延期で下期以降の調整が見込まれるが、半導体製造装置真空プロセス向けで旺盛な需要が続く。中国市場を中心に、受託加工の増加も見込まれる。

石英製品は同18.4%増。需要が供給を上回る状態が続く見込み。旺盛な半導体投資を受けて、国内大手OEM、米国大手OEM共に増加する他、デバイスメーカー向けも、新工場の稼働で石英スペアーパーツの増加が見込まれる。この他、国内大手OEMへのSiパーツ供給も拡大する見込み。セラミックス製品は同31.7%増。MC“ホトベール”は、国内半導体メモリー用検査治具が減少するものの、同ロジック用が伸びる他、国内一般産機向けや海外医療機器向けの堅調な推移が見込まれる。FCは国内FPD装置部品の減少が見込まれるが、同半導体装置部品の増加や海外成膜装置・エッチング装置向けの増加が見込まれる。CVD-SiC製品は同1.3%減。中国での新規投資に伴い、国内・海外の半導体製造装置向け部材が増加する他、大型部品の量産も始まるが、生産が能力上限に近く新規案件を取り込み難い中、一部の装置部品の代替材採用による減少が響く。

EBガン・LED蒸着装置は同8.5%増。IoT用途を中心に引き続き通信・フィルター向けの増加が見込まれる。ウェーハ加工は同45.3%増。6インチを現在の月産35万枚体制から年内に40万枚体制に引き上げる他、6月末から8インチの生産が始まる(5月末までは排水設備の強化など環境対応のため生産停止)。業界内ではウェーハ不足から値戻しが進んでおり、12インチから、8インチ、6インチへと波及している。
この他、前期までは、報告セグメントではないその他に区分していた装置部品洗浄を当セグメントに区分した。これを除いた当セグメントの実質的な前期との比較は24%増。

石英坩堝は前期比8.1%増。中口径を中心に半導体向け坩堝の需要が増加する見込みだが、半導体メーカー各社の中国工場の立ち上げが遅延傾向。半導体向けへのシフトを進め、太陽電池向けは、将来的な32インチへの展開を念頭に置きつつ、本命の半導体向けに経営資源を集中していく。太陽電池用シリコンは同36.3%減。2018年度も世界導入量の増加が見込まれる中、同社においては評価認定の拡大でN型ウェーハの出荷が増える見込みだが、ウェーハ価格の低迷が懸念材料。多結晶についてはOEMに集中し、稼働・採算の確保を図る。セル・その他は同1.6%減。中国内単結晶・PERCのOEMによる稼働率の維持とPERC技術の更なる向上による販売価格の確保に取り組む。

サーモモジュールは、半導体製造装置、バイオ・医療検査装置、美容家電等の民生向けで堅調な推移が見込まれるが、自動車温調シート向けの苦戦が続く見込み。自動車分野では、ヘッドアップディスプレイ、バッテリー冷却、その他の新用途の開拓に注力する。磁性流体・その他では、世界的な消費電力削減トレンドを追い風にパワー半導体基板が増加するものの、磁性流体が減少する。

中長期成長戦略

目標としていた売上高1,000億円に王手がかかった今、これを通過点とするべく更なる成長を目指して、半導体、自動車(EV)、及び通信・医療・家電分野向け電子デバイスにフォーカスして事業を進めていく。また、並行して、太陽電池事業の構造改革とヨーロッパ販売体制の強化にも取り組んでいく。

【成長分野での展開】

(1)半導体等装置関連事業への経営資源投入  マテリアル製品・8インチ・洗浄事業 (2)自動車産業(EV車)へ応用製品投入    温調シート以外のアプリケーション (3)電子デバイス事業の成長分野への展開   通信、医療、家電各分野の強化

(1)半導体等装置関連事業への経営資源投入   マテリアル製品・8インチ・洗浄事業

半導体分野は、アプリケーションの多様化によるスーパーサイクル入りが指摘される等、引き続き成長が見込まれる。こうした中、同社は自社製品が製造前工程のほとんどをカバーしている強みを活かして半導体分野の成長を幅広く取り込んでいく考え。

半導体分野のポイントは、マテリアル製品、8インチウェーハ、装置部品洗浄。
半導体の需要増で、石英製品やセラミックス製品等のマテリアル製品の市場も拡大しており、石英製品では、米国・国内の大手OEM顧客の旺盛な需要に応えるべく、増産投資を継続的に実施している。2018年10月頃に中国江蘇省で新工場が竣工し、20/3期以降、本格的な収益貢献が始まる。

セラミックス製品も国内外で増産投資が進行中だ。主に開発を担う国内では、2018年1月に石川開発センターが稼働した。今後、兵庫の関西工場も一本化して開発力を更に強化する。海外(中国)では、米国・国内大手の需要増に応えるべく杭州の既存工場内に新棟を建設中である。2019年1月頃に竣工し、20/3期以降、本格的な収益貢献が始まる。

8インチウェーハについては、中国でシリコン結晶(インゴット)とウェーハの量産体制の整備を進めており、インゴットの銀川 第2工場とウェーハの杭州工場が20/3期中の量産開始を目指している。この結果、21/3期中に、銀川の6~8インチインゴット、既に量産体制にある上海6インチ40万枚/月及び上海8インチ10万枚/月(台湾・グローバルウェーハズとの提携)、杭州8インチ35万枚/月(広州市との提携)の、体制が整う予定(6インチ40万枚/月+8インチ45万枚/月)。

洗浄事業(既に中国で60%のシェア)については、半導体の微細化・3D化等に伴い、顧客からの能力増強要請が増えている。このため、中国・安徽(アンキ)省で5か所目(上海、天津、四川×2、大連)の洗浄工場の建設が進められている。2018年末に稼働し、20/3期以降、本格的な収益貢献が始まる。洗浄事業は中期的に100億規模への成長が見込まれている。

上記の他、現在、欧州や中国で展開している受託生産を強化して、半導体製造装置等のOEM生産を育成していく。同社は自社で使用する各種製造機器を子会社が製造しており、受託生産のベースになっている。既に半導体製造装置のパーツユニット(ASSY:アッシー)の受託生産を行っている。

(2)自動車産業(EV車)へ応用製品投入   温調シート以外のアプリケーション

経済産業省製造産業局資料「自動車産業をめぐる構造変化とその対応について」によると、2020年に世界新車販売台数が1億台に達する見込み。自動車には次世代技術が集約されつつあり、自動車の生産販売台数の増加と相まって、車載半導体需要の加速が予想される。これを踏まえて、同社は、この1月に自動車プロジェクトを発足させた。日本、欧米、東南アジア、中国、それぞれの責任者も参加し、200億円程度の事業規模を念頭に、EVやハイブリット車にフォーカスして新たなアプリケーションへの対応を進めていく。

強みであるコア技術を活かしたサーモモジュール、磁性流体、パワー半導体を中心に、自動車の先進化に適う同社製品の提案を行っていく。

(3)電子デバイス事業の成長分野への展開   通信、医療、家電各分野の強化

サーモモジュールの対応領域の拡大に取り組んでいく。具体的には、通信、医療等への対応を強化すると共に、発電モジュールの開発にも取り組んでいく。また、2030年には4兆7,000億円弱(2017年2兆7,000億円)に拡大するとみられている産業用パワー半導体市場も有望分野。現在、同社の民生用が中心だが、顧客から増産要請が増えている。このため、パワー半導体基板(DCB基板)工場を江蘇省に建設中である。

【太陽電池関連事業の構造改革とヨーロッパ販売体制の強化】
太陽電池関連事業の構造改革

太陽電池で培った技術を転用して半導体向けを育成し、事業の軸足を移していく。既に、自社製の半導体用シリコン単結晶製造装置が自社工場で稼働しており、石英坩堝は半導体用途が約5割を占めている。また、12インチ用の引上げ装置の試作も進行中である。

ヨーロッパ販売体制の強化

自動車分野を中心にヨーロッパでのビジネスチャンスをつかむべく、欧州での販売体制を強化する。同社は、ドイツ本社を中心に、フランス、イタリア、スペイン、ロシアに拠点を有し、既に受託加工で欧州の有力機械メーカー3社と取引がある他、パワー半導体の大口顧客から増産要請が強まっている。また、ドイツとロシアの連携によるサーモモジュール事業の拡大にも取り組んでいる。

【ESG活動】

国内外のグループ企業を通じての奨学金制度や地域社会貢献に加え、ホールディングス内での人材育成等、ESGにも取り組んでおり、この取り組みを強化する。奨学金制度では、地域に根差した人材育成に貢献するべく、米国アナハイム大学と中国浙江大学で奨学金制度を実施しており、地域社会貢献では、子会社のアサヒ製作所が湘南工場(神奈川県)周辺で清掃や自治会との交流会の開催により地域住民との交流や環境改善に貢献している。また、ホールディングスでは、人材育成を念頭に、経営理念の継承や長期的な人材育成を念頭に、毎月、若手社員が経営トップと語らう機会を設けている。

今後の注目点
中国政府が進める「中国製造2025」では、産業用ロボットや航空宇宙分野など今後成長が見込まれる10産業を重点的に育成し、2025年に世界の製造強国の一つに、2049年に世界トップ級の製造強国になる事を目指している。また、半導体等、基幹部品や基礎材料での自給率の目標も掲げている。この一環として、中国では半導体投資が活発に行われており、2019年以降に供給能力が高まる見込み。同社はこの流れをつかみ、当面の目標としていた売上高1,000億円、営業利益100億円を近く達成する。また、半導体製造時の消耗品であるマテリアル製品や装置の部品洗浄事業、更には、ウェーハ事業の強化・育成により、設備投資の波に左右され難い収益体質の構築に取り組んでいる他、半導体と並ぶ柱を育成するべく、サーモモジュール応用製品の高付加価値分野や自動車分野での展開を進めている。現状、成長シナリオ通りに進んでおり、今後の展開が注目される。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書        更新日:2017年07月14日
基本的な考え方

当社は、企業価値を高め、株主、顧客、取引先、地域社会などステークホルダーに信頼され支持される企業となるべく、経営の健全性を重視し、併せて、経営環境の急激な変化にも迅速かつ的確に対応できる経営体制を確立することが重要であると考えております。
当社グループの主な事業内容は、半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)の製造装置等に使用される真空シール、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、太陽電池向けシリコン結晶製造装置、太陽電池向けシリコン製品、坩堝・角槽、温調機器等に使用されるサーモモジュールの他、シリコン製品、磁性流体およびその応用製品などの開発、製造、販売であります。
現在の取締役7名の内、社外取締役2名を選任しており、また、経営環境の変化に迅速に対応できるよう取締役の任期は1年としております。月一回の定例取締役会開催に加え、重要案件が生じたときは、機動的にその都度、臨時取締役会を開催しております。
業務執行につきましては、現在、執行役員9名[内、男性8名、女性1名 / 内、取締役4名(内、男性4名)]をそれぞれ担当職務・部門責任者として配置し、業務執行上の役割分担を明確にしております。
当社は、監査役会設置会社であります。監査役会は、現在、監査役3名(内、常勤監査役1名)全員が社外監査役で構成され、企業統治の強化を図っております。
当社は、後藤法律事務所とは法務顧問契約に基づき、業務上必要に応じて法務に関わる助言を受けております。
また、会計監査人である新日本有限責任監査法人とは、監査契約に基づき会計監査を受けており、東京証券取引所JASDAQスタンダードに上場する企業として、開示規定に定める事象がおきた場合は、遅滞なく情報の開示に努めております。

<実施しない原則とその理由>

当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。

<開示している主な原則>

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、会社の持続的成長及び企業価値の向上を目指し、株主の皆さまとの建設的な対話を促進し、当社の経営方針や経営状況を分かりやすく説明し、株主の皆さまの理解が得られるよう努めてまいります。
株主との建設的な対話に関する方針
(1)株主の皆さまとの対話の統括
IR担当である経営企画担当取締役を株主の皆さまとの対話を統括する経営陣として指定しております。
(2)株主の皆さまとの対話を補助する社内各部門の連携体制
経営企画室及び経理部が連携して、株主の皆さまとの対話を補助しています。
(3)個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組み
決算説明会、スモールミーティング、個人投資家説明会、株主総会後に開催する事業説明会、各種印刷物をはじめとする様々な情報伝達手段を活用しております。決算説明会及び事業説明会では、代表取締役が自ら説明を行っております。
(4)対話に際してのインサイダー情報の管理
内部情報管理規程に基づき情報管理を徹底しております。

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
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