(2435:JASDAQ) シダー スケールメリットを活かし人材確保に期待

2018/04/26

cedar

今回のポイント
・18/3期3Q累計は11.0%増収、経常損益は前年同期1億21百万円の損失から2億55百万円の利益に転じた。主に前期に開設した施設において、新規利用者の獲得と充実したサービスを提供すること等、施設稼働率の向上に努めた。施設サービス事業が大幅な増収増益で牽引。デイサービスも運営コストを抑えて2桁増益となった。・2月22日に通期予想を上方修正、18/3期は9.6%増収、経常利益は2億4百万円で黒字に転じる見込み。デイサービス事業および施設事業の主要2事業において売上高が計画を上回る推移となり、営業費用・求人費用等の販管費は増大したものの、増収効果により吸収、各利益も計画を上回る見通し。3月1日には横浜市に「ラ・ナシカ 鶴見横浜」(100室)を開設。デイサービスで開設後15年、有料老人ホームで10年を経過した施設があり、リニューアルを検討している。

・同社にとって新規開業は開業時の負担が重いだけでなく、開業当初の稼働率は低く、利益への影響が大きい。こうした中、新規開業が少なかった今期は、同社の通常運転における実力が発揮できたといえる。18年度の介護報酬改定や人材不足への対応も進めている。スケールメリットを活かした人材確保や社員のスキルアップにも期待したい。

会社概要

デイサービス及び有料老人ホーム「ラ・ナシカ」を中心とした介護サービスを、本社のある福岡県を中心に全国展開。リハビリテーションに重点を置き、より人間らしく生きるための生活支援を行う事を経営方針とする。総勢600名近くに及ぶ職員資格者を有しており、介護サービス事業者の中では出色。

【沿革】

前身は医療機器の販売会社だった(株)福岡メディカル販売。2000年10月に社会医療法人池友会系列の医療機関でリハビリ業務に従事していた山崎嘉忠氏(現会長)等が中心となり(株)シダーに商号を変更し介護事業へ参入。01年1月にデイサービス施設4施設を開設した。デイサービス事業が順調に拡大し、05年3月にジャスダック証券取引所に上場、同年9月には有料老人ホーム事業(現在の、施設サービス事業)に参入した。
06/3期、07/3期と有料老人ホーム事業の先行投資(新施設の立ち上げ費用)が利益を圧迫したものの、08/3期以降は施設の累積効果(ストック効果による事業規模の拡大)で、新規開設負担を吸収して利益を増やせる体制が整った。11/3期は新卒40名の入社による人員の増加や新規開設施設の増加(3事業合計で10/3期:3施設→11/3期:5施設)、更には既存施設のリニューアルもあり利益が減少したものの、12/3期は既存施設の新規利用者獲得が順調に進んだ事に加え、施設オペレーションの効率化で増益に転じた。しかし、13/3期は12年に行われた介護保険法改定の影響を受けた。同社の場合は、デイサービス事業における介護報酬改定の影響が大きく減益となった。14/3期は、その影響を解消する1年であった。尚、16/3期にも介護報酬改定の影響を受けている。

【事業戦略 -地域のリハビリセンターを目指して-】

同社はデイサービスセンターや有料老人ホームにおいて近隣の一般・健康な高齢者向け健康教室等を開催し、地域の病院、ケアマネージャー、老人会等とネットワークを構築すると共に地域に溶け込む事で、施設の稼働率や入居率の向上を図っていく考え。また、このネットワークを活用して訪問介護ステーションやリハビリステーション(在宅サービス事業)とのシナジーも高めていく。
その成功例ともいえるのが山梨県甲府市での取組み。09年5月にラ・ナシカ甲府を開設、10年には甲府デイサービスを開設した。好評を得て、13年には甲府南デイサービスを開設することとなった。
尚、06年度の介護保険の改定の際に、「訪問看護計画において、理学療法士等の訪問が保健士又は看護師による訪問の回数を上回るような設定がなされることは適切ではない」との規制が盛り込まれたため、在宅リハビリには大きな逆風が吹いた。この影響で同社も在宅サービス事業の積極的な活動を控えたが、09年度の改定でこの規制が緩和されたため積極的に在宅リハビリのニーズに応える事が可能となった。
また、施設を集積させる事は3事業のシナジーを高めるだけでなく、理学士等の職員が地元で安定して働く事のできる環境作りにもつながる。

同社の介護事業の考え方

リハビリテーションを重視して、永く、元気でその人らしく、健康に暮らすためのお手伝いをしている。
同社におけるリハビリテーションとは、リハビリを頑張れば、将来元気になれる・・・だから頑張るというものではない。今日自分らしく、明日も自分らしく過ごしながら、来月、来年もっと自分自身の力で、自分らしく毎日を過ごす為の準備を行うということを目的としている。
社会参加などを重視しクラブ活動や外出イベントなどを積極的に行っている。

【事業セグメント】

事業は、同社の施設の来場者にサービスを提供するデイサービス事業、有料老人ホーム等の施設の入居者を対象にサービスを提供する施設サービス事業、及び利用者の自宅を訪問して日常生活訓練や機能訓練等を行うリハビリサービスや日常生活の手伝いを行うホームヘルパーサービス等の介護サービスを提供する在宅サービス事業に分かれる。17/3期の売上構成比は、それぞれ26.4%、66.6%、6.6%。また、16/3期よりその他事業として、要介護要支援認定者などに対し、福祉用具のレンタル及び販売を行っている(17/3期の売上構成比は1.0%)。
2018年1月31日現在の拠点状況は以下の通り。

デイサービス事業

デイサービス施設では60~80人規模の大型デイサービス中心に展開している。トレーニングルーム・カラオケ・シアター・大浴場・マッサージ・喫煙ルームなど各個人にあった活動を楽しめるゆとりある空間造りが可能となる。小規模施設では実現が難しい専門スタッフの配置や、充実した設備の施設を可能にしている。
デイサービスの施設基準は利用者1人当たり3平方メートル以上となっており、リハビリテーションに軸足を置いた施設運営が同社の特色。午前、午後にそれぞれ上級・中級・初心者にコース分けされた80分の個別リハビリテーションを行う。

専門スタッフによるリハビリテーション

同社のデイサービスでは、本格的なリハビリテーションを積極的に取り入れている。様々なトレーニングマシーンを使用し、日常生活では使うことの少ない筋肉を動かすことをはじめ、理学療法士や作業療法士など資格をもった専門家が、利用者ひとりひとりの体調に合わせたプログラムを作成し、様々な角度から元気な体づくりをサポートする。

選択できる多彩なサービス

豊かな毎日を過ごす為に様々なサービスを選べるのもシダーの特徴。カラオケ・シアター等に設備に加え、外出レクリエーションや各種イベントを随時開催している。施設内にある季節に合わせたディスプレイは、心地よく五感を刺激し、アクティブな時間を演出する。利用者が施設に来ることが楽しみになる環境づくりを行っている。

介護報酬改定の影響と対策

15年4月の介護報酬改定では要介護者(7時間以上9時間未満の場合)については小規模型通所介護で8.8~9.8%、通常規模型・大規模型(I・II)通所介護で4.4~5.6%の基本報酬減、要支援者Iは月当たり22.1%減、IIは同20.3%減となった。17年9月現在の登録者数は要介護登録者が(15年3月2,599人、16年3月2,745人、17年3月2,892人)、要支援登録者が843人(同1,378人、1,017人、890人)。同社では要介護登録者を重点的に増加させる方針をとっている。一方、要支援登録者については、時間短縮及び、利用回数の調整を行っている。
18年度にも改定の予定があり同社は対応を進めている。

施設サービス事業

有料老人ホーム「ラ・ナシカ」は24時間・365日体制で介護スタッフが常駐している。近隣の医療機関との万全の連携・協力体制に加えて、看護師も8時30分から21時30分(一部施設では異なる場合あり)まで勤務しているため、緊急を要する場合でも安心して任せ預ける体制が整っている。

充実のリハビリテーション

「ラ・ナシカ」では全ての施設でリハビリテーションを積極的に取り入れている。充実の施設に加え、専門のリハビリスタッフが、ひとりひとりの体調に合わせた最適なトレーニングメニューをアドバイス。健康な体づくりをサポートする。

自分好みに部屋をコーディネート

「ラ・ナシカ」の居室は、全て個室。プライバシーを考慮し、マンションのような構造になっている。部屋のアレンジはもちろん自由。自分好みの快適な空間で毎日をくつろぐことができる。

仲間との楽しいひと時

フロアへ出て積極的に運動に参加したくなるような環境づくりを行っている。中でも、カラオケルーム・シアタールームは入居者が自由に利用できる大人気の施設。

美味しく栄養豊富な食事

看護師による健康チェック項目に基づいた食事を提供している。また、嗜好やアレルギー、好みのご飯の柔らかさまで個別にオーダーすることが可能。

季節の催し

季節の移ろいを楽しむことも忘れていない。四季を彩るディスプレイは、毎回スタッフの力作。その他にも入居者が楽しめるようたくさんのイベントを企画している。

施設サービスでは、1階フロアではスタッフがデイサービスと同等のサービスやリハビリテーションを提供、居室では自宅に居るのと同様に訪問リハビリ、訪問看護・ヘルパーのサービスを提供する。18年3月は総居室数2,415室、入居者数2,317人、稼働率95.9%を計画している。

在宅サービス事業

「住み慣れた自宅が一番安心できる」そんな声に応える在宅サービス。介護や療養の必要な人が自宅で安心して生活できるよう、理学療法士や作業療法士をはじめとする国家資格者の指導の下、様々なサービスを提供している。

自宅療養を支える訪問看護・リハビリテーション

医師の指示のもと、看護師が自宅で療養している人の世話や診療補助などのケアサービスを行い、在宅療養を続けられるようサポート。ひとりひとりの身体の状態に合わせてリハビリテーション計画を作成。リハビリの専門スタッフが、日常生活訓練や身体機能訓練などを行う。

日常生活を支えるホームヘルプサービス

ホームヘルパーが身体介助サービスや生活援助サービスを提供し、日常生活をお手伝いする。また、全てのヘルパーステーションが訪問看護ステーションと併設されており、緊急時は看護師と連携して対応する。

最適なケアプラン作成

介護サービスを利用するのに必要不可欠となるのがケアプラン。同社では、専門知識はもちろん豊かな人間性を備えたケアマネージャーが、利用者やその家族の意向を伺いながら、最適なケアプランを作成する。

介護職員の人材確保と人材育成

介護業界では現在においても人材不足に悩まされているが、今後はさらに深刻化する見通しである。同社では17/3期の年間の求人費用が1億146万円で前期比18.2%増加している。

こういった背景により、介護の現場で働く外国人材を拡充するため、在留資格に「介護」を新設した【改正出入国管理・難民認定法】が成立。また、働きながら技術を学ぶ技能実習制度を拡充、実習期間を最長3年から5年に延長する【外国人技能実習適正実施法】が成立した。この法律の制定後、EPAの枠組みにより来日していた人達と違う形で、介護現場では研修または働く外国人が増えると予想される。同社では専門性、語学力等を配慮した企業側の労働の提供及び、基盤作りが重要としている。

2018年3月期第3四半期決算
前年同期比11.0%の増収、経常損益は黒字転換

売上高は前年同期比11.0%増の105億6百万円。12月1日に福岡市に「舞松原デイサービス」(移転)、「舞松原ケアプランセンター」(併設)を開設した。主に前期に開設した施設において、新規利用者の獲得と充実したサービスを提供すること等、施設稼働率の向上に努めた。すべてのセグメントが増収となったが、特に施設サービス事業が大きく伸びた。
労務費を中心としたコスト管理を徹底し、売上総利益率が前年同期7.9%から11.4%へ大幅に伸びた。営業利益は前年同期比462.5%増、約6倍となる4億68百万円。営業利益においても施設サービス事業が倍増し、増益をけん引した。デイサービス事業も2桁増益。営業外では支払利息の増加などはあったものの、経常損益は前年同期1億21百万円の損失から2億55百万円の利益に、親会社株主に帰属する四半期純損益は同1億82百万円の損失から1億63百万円の利益に転じた。

デイサービス事業

売上高は前年同期比5.1%増の26億90百万円、セグメント利益は同17.1%増の3億76百万円。既存デイサービス施設のサービスの質の向上により施設稼働率の向上に努めた。

施設サービス事業

売上高は前年同期比14.0%増の71億14百万円、セグメント利益は同92.6%増の7億56百万円。既存有料老人ホームの入居者獲得に注力し、入居率の向上に努めた。

在宅サービス事業

売上高は前年同期比4.1%増の6億53百万円、セグメント損失は48百万円(前年同期は41百万円の損失)。利益率の改善のため人員配置や業務手順の見直し等、効率的な運営に取り組むことに注力した。

18/3期第3四半期末の総資産は前期末比3億25百万円増の183億69百万円となった。流動資産が現預金や売上債権の増加等により4億69万円増加した。
負債合計は前期末比1億61百万円増の173億16百万円となった。有利子負債は短期有利子負債が減少、長期有利子負債が増加して前期末比56百万円増の145億58百万円となった。
純資産は主に利益剰余金の増加により、前期末比1億63百万円増の10億52百万円となった。
自己資本比率は前期末比0.8ポイント上昇し5.7%となった。

2018年3月期業績予想
前期比9.6%の増収、経常黒字に転じる見通し

2月22日に通期予想を上方修正、18/3期は9.6%増収、営業利益は前期比3.3倍の4億90百万円、経常利益は2億4百万円と大幅な増益を見込む。デイサービス事業および施設事業の主要2事業において売上高が計画を上回る推移となり、営業費用・求人費用等の販管費は増大したものの、増収効果により吸収、各利益も計画を上回る見通し。
3月1日には横浜市に「ラ・ナシカ 鶴見横浜」(100室)を開設予定。デイサービスでは開設後15年、有料老人ホームでは10年を経過した施設があり、リニューアルを検討している。
介護サービス業界においては、高齢社会の進行に伴い、介護サービスの需要は一層拡大することが予想される。一方、2015年度介護保険法が改正され、介護報酬の引き下げにより、サービスの質の向上及び人財の確保が経営上の最重要課題となっている。また、2017年度の介護報酬改定では、介護人材の処遇改善について、職場定着の推進、介護サービス事業者等による昇給や評価を含む賃金制度の整備・運用状況などを踏まえ、事業者によるキャリアアップの仕組みの構築を促すため、更なる加算の拡充が行われている。

今後の注目点
経常利益は通期予2億4百万円に対して3Q累計では2億55百万円に達している。2月22日に通期業績予想を上方修正し、4年ぶりとなる復配(1株あたり4.00円)を計画。同社にとって新規開業は開業時の負担が重いだけでなく、開業当初の稼働率は低いため、開業時は利益への影響が大きい。こうした中、新規開業が少なかった今期は、同社の通常運転における実力が発揮できたといえる。
18年度の介護報酬改定や人材不足への対応も進めている。引き続きスケールメリットを活かした人材確保や社員のスキルアップにも期待したい。
尚、同社はSOMPOホールディングスの持分法関連会社で、提携もしている。SOMPOホールディングスの介護事業における諸施策にも注目したい。
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