(7839:東証1部) SHOEI アジア展開や南米でのマーケティング強化

2018/04/19

SHOEI

3月23日(金)から3月25日(日)にかけて、東京都江東区有明の東京ビッグサイトにおいて「第45回東京モーターサイクルショー2018」が開催されました。東京モーターサイクルショーは、春のバイクシーズンに先がけて毎年3月下旬に開催されるオートバイと関連アクセサリーの見本市。例年、国内外の車両メーカー、販売代理店、パーツ・アクセサリー関連企業等、100社以上が出展し、10万人以上の来場者を集めています(モーターサイクル関連の展示会では国内最大の規模を誇る)。また、今回は、自動車整備士(国家資格)の育成に取り組む国土交通省認定の教育機関等が参加している事も特徴です。
高品質・高付加価値の「プレミアムヘルメット」が世界の有力ライダーから高い評価を受けているヘルメット・メーカー SHOEIのブースを訪ねてみました。2018年9月期第1四半期決算の概要及び業績見通しと共に、ご報告致します。

「東京モーターサイクルショー」は、オートバイ産業の振興と文化の育成・普及を目的に1971年(昭和46年)に第1回が開催された。「第34回大阪モーターサイクルショー2018」と連動している(3月16~18日)。

第45回東京モーターサイクルショー2018 -3日間で14.6万人が来場-

2018年のモーターサイクルショーには、ホンダ、カワサキ、ヤマハ、スズキといった国内の車両メーカー、ハーレーダビッドソン(米)やドゥカティ(伊)等の海外車両メーカー、パーツ・アクセサリーメーカー、関連団体、更には出版社や教育機関等135社・団体が出展し(3ホールの他、ステージ、アトリウム、屋外)、来場者は前年比0.2%増の146,823人。国内二輪車市場はリターンライダー効果で中小型の成長が続いており、これを反映して入場者数も前年を上回る高水準なものとなった。

同社のブースはヘルメット・メーカーのブースとしては大きく、また、白を基調とし、隅々まで十分な照度が確保されているため展示品が見やすい。シンプルではあるがしっかりと自己主張がなされていた。2018年の新製品であるサンバイザー付きシステムヘルメット「NEOTECⅡ」とオフロード用のモトクロスヘルメット「VFX-WR」をメインに、昨年末に発売されたスタンダードモデル「RYD(アールワイディー)」、前年春の新製品レーシングフルフェイスヘルメット「X-Fourteen(エックス・フォーティーン)」、インナーシールド付きジェットヘルメット「J・O(ジェイ・オー)」、更には根強い人気を誇る「Z-7(ゼット・セブン)」、「GT-Air(ジーティー・エアー)」、「HORNET ADV(ホーネット エーディーブイ)」、「J-Cruise(ジェイ-クルーズ)」、及び「J-FORCE IV(ジェイ-フォース フォー)」といったロングセラー製品も展示されており、All Starといった印象。機種毎のわかりやすい展示も同社ブースの特徴だ。
IRを担当されている宮川経営管理部長とスタッフの皆さんにお話を伺った。

「NEOTECⅡ」(メーカー希望小売価格:税抜63,000円)は、毎年60,000~70,000個は生産される人気機種で、フランス警察にも採用されたサンバイザー付きシステムヘルメット「NEOTEC」の後継機種。ロングツーリングから日常的な市街地走行まで、様々な状況での快適なライディングを想定して開発され、欧州では1月に、北米では4月に発売されており、海外で人気の独Schuberth(シューベルト)社製プレミアムヘルメット「C4」対抗製品としても期待されている。
また、前世代の「NEOTEC」も、ビギナーの開拓も含め、ユーザー層を広げるべく値ごろ感を出して販売を続ける。

左画像:様々なバイクとの組み合わせが考えられるため、あらゆるライディングポジションに応じてエアロダイナミックスを追求している。アップライトなライディングポジションではトップエアアウトレットが、前傾となるライディングポジションでは帽体と一体のリアスポイラーがエアロデバイス(風圧による浮き上がりの防止)として機能する。

中央画像:フェイスカバーの両端にボーテックスジェネレーターを設け、シェルとの接合部から回り込む風を流すことで風切り音を低減する。

右画像:フェイスカバーのデザインにアクセントを加える下端のチンカーテンブラケットを兼ねたエアロディフレクターは、空力性能を向上させるエアロパーツとして機能する。

上記に加え、シールドは部分ごとに曲率を最適化した光学設計が施されている。サンバイザーを使用する場合、PINLOCK®EVO lens、シールドの3層を通した視界においても、歪みを極限まで抑えたクリアな視界を実現した。また、風洞実験により数値上と体感の両面から通気性能を研究する事で、最適なベンチレーションシステムを実現している(ヘルメット内の熱気のこもりはライディングへの集中を妨げる一因となる)。また、グローブをした状態での操作性や、長期間の使用に耐えられるか等についても性能と実用性の検証を重ね進化させた。

「VFX-WR」(メーカー希望小売価格:48,000円)はオフロード用のモトクロスヘルメット。VFXシリーズのスタイリングを残しながら同社の新技術を注ぎ込み、衝撃吸収ライナー、内装、ノーズカバー、バイザーなど全てを刷新。イノベーションと生産性の葛藤の中で生まれた(石田社長)先進の形状は、同社ならでは。新たな成型技術の開発が、より進化した立体的なフォルムを可能にした。オフロード人気の高い北米で先行発売しており、今春に欧州で、今夏に国内で発売される。

バイザーやノーズカバー等のパーツとシェル形状を一体化させ迫力あるフォルムを特徴とし、後頭部のリブ形状をサイドまで拡大した事で、激しく動く走行時のゴーグルの固定性を高めると共に、ゴーグル装着時の最適な装着位置を見つけやすくした。一方、バイザーから頭頂部にかけてはエアロダイナミックスを追及し、流れるような連続したラインを描いている。

また、競技中に転倒も多いモトクロスレースはもちろん、オフロードライディングにおいてもヘルメットの衝撃吸収性能は非常に重要な要素。「VFX-WR」は衝撃吸収ライナーの硬さを部位毎に変え、最適な衝撃吸収性能を実現している事に加え、同社が新たに開発した独自の衝撃吸収構造「M.E.D.S.」(Motion Energy Distribution System)が採用されている。「M.E.D.S.」とは、従来の直線加速度に対する衝撃吸収性能を確保しながら、回転加速度を低減する効果を持った機構。転倒時ヘルメットに衝撃が加わった際、インサートライナー中央にある突起を中心にインサートライナーがスイングすることで回転加速度を低減する。従来モデルと比較し、VFX-WRの回転加速度は15%減を達成している。

2010年に「webBikeWorld」でヘルメット・オブ・ザ・イヤーを獲得した「QWEST」の後継機種であるオンロードフルフェイスタイプのプレミアムヘルメット。欧州(製品名:RYD)及び北米(同:RF-SR)で2017年4月に発売したが、生産能力を踏まえて国内での発売を12月に遅らせた。若者やチョイ乗りライダーを念頭に置いた製品であり、これまで対応が弱かったビギナーズ向けスタンダードモデル。このため、メーカー希望小売価格38,000円(税抜)と同社のヘルメットとしては値ごろ感のある価格である。

「RYD」は帽体そのものをコンパクトにしただけでなく、ベンチレーションパーツに黒を採用するなど視覚的にもコンパクトさを追及したデザインを特徴とし、前頭部2ヶ所のインテークから風を取り入れ、後頭部2ヶ所のアウトレットからヘルメット内部の熱気を排出する。このため、暑い中でのライディングもヘルメット内に風を通して快適!センターパッド、チークパッド、イヤーパッド、チンストラップカバーは全て取り外してクリーニングが可能。また、3D形状のウレタンパッドによりライダーの頭を内装全体でしっかりホールドする事による快適なフィット感に加え、メガネのつるが当たる部分には、より柔らかいウレタンを配置し、こめかみへの負荷を防ぎ、メガネの装着性を高めた。

根強い人気を誇る製品群

「Z-7シリーズ」(メーカー希望小売価格:税抜45,000円~)、「GT-Airシリーズ」(メーカー希望小売価格:税抜48,000円~)、「HORNET ADVシリーズ」(メーカー希望小売価格:税抜48,000円~)、「J-Cruiseシリーズ」(メーカー希望小売価格:税抜44,000円~)、「J-FORCE IVシリーズ」(メーカー希望小売価格:税抜45,000円~)等も、シーズン毎に新しいデザインがラインナップされている。価格も同社製品としてはミッドレンジにあたるため、根強い人気があり販売は堅調だ。

2018年9月期第1四半期決算及び業績見通し
前年同期比14.4%の増収、同2.5%の営業増益

販売数量の増加と対ユーロ・対ドルでの円安で売上高は37億61百万円と前年同期比14.4%増加した。販売数量は、タイトな生産状況による前期からの期ずれもあり、前年同期比4%増加。

利益面では、フル生産に伴う労務費の増加や新製品発売に向けての材料費等の増加に加え、減価償却費の増加等もあり、売上総利益率が低下する中、人件費を中心に販管費も増加したが、売上の増加で吸収して営業利益が7億39百万円と同2.5%増加。為替差損益の計上(△41百万円→16百万円)等で営業外損益も改善し、経常利益は7億55百万円と同11.4%増加した。

為替は、同社売上換算レートが、1ドル=112.60円(前年同期比1.01円の円安)、1ユーロ=133.23円(同15.40円の円安)。海外子会社換算レート(2017年9月29日)は、1ドル=112.73円(前年同期比11.61円の円安)、1ユーロ=132.85円(同19.49円の円安)。

販売数量は、欧州市場が同8%増と堅調に推移する中、販売チャネルを強化(1代理店制→2代理店制)した北米が同23%増と伸長。同11%増と高い成長を続ける中国をけん引役にアジアも同1%増加した(その他地域の売上高が減少したのは前年同期に166%増と大きく伸びた反動)。一方、日本では、依然タイトな生産状況を踏まえて、海外向けの生産を優先した結果、販売数量が同1%減少した。
尚、北米市場では、昨年10月に販売代理店を1代理店から2代理店に増やした。

業績予想に変更はなく、通期で前期比4.0%の増収、同2.8%の営業増益予想

通期のヘルメット販売数量の前提は前期の506千個を1.4%下回る499千個と保守的。ただ、前期は期初の円高時に行った為替予約の影響で享受できなかった円安効果を今期はフルに享受できる事に加え、前評判がよく単価も高い「NEOTECⅡ」を中心に新製品効果も期待できる。また、昨年12月に2018年4月1日からの4%の賃上げについて組合と合意済みで、賃上げに伴う人件費の増加も織り込まれている(4年連続の賃上げ)。

為替の前提(同社期中平均レート及び海外子会社換算レート)は、1ドル=110.00円(前期:110.92円)、1ユーロ=130.00円(前期:122.36)。為替感応度は、概ね、ドルが1円の変動で、売上高19百万円・営業利益7百万円、ユーロが1円の変動で、売上高45百万円・営業利益17百万円。

配当は1株当たり3円増配の期末配当88円を予定している(予想配当性向49.9%)。

設備投資額及び減価償却費 -年50万個体制から同60万個体制へ-

18/9期の設備投資は、生産性向上のための設備更新や需要増加に対応した設備増強で12億68百万円(前期比18.2%増)を計画しており、減価償却費は9億28百万円(同53.4%)を織り込んだ。今後2~3年内で、年50万個体制から同60万個体制へ生産能力のアップを図る考え。このため、人員の増強と設備の更新・能力増強を進めている。人員については、期末従業員数が493名と前期末と比べて19名増加する見込み。18/9期設備投資の主な内容は、金型(3億99百万円)、ヘルメットの原型を作る帽体成形プレス機(1億32百万円)、ヘルメットの素材であるグラスファイバーの事前成形を行うオープンプリフォーム機(1億25百万円)、及びヘルメット・メーカーとして世界に先駆けて導入した塗装前のヘルメットを研磨するロボット研磨機(91百万円)等。

第2四半期以降の見通し

国内の二輪車販売は(2017年)、126cc以上250cc(車検なし)以下が前年比22%増、250cc以上が微増、と好調が続いており、これを受けてプレミアムヘルメットの販売も引き続き堅調な推移が見込まれる。

欧州は元来の二輪車人気の高さに加え、主要国の景気が堅調。財政の悪化から金利が急騰した一部ユーロ加盟国も、金融市場が落ち着きを取り戻し、景気も回復基調にある。

米国は二輪車市場の伸び悩みでプレミアムヘルメットの市場も芳しいとは言えないが、同社の販売は好調。第1四半期は在庫調整が一巡した従来からの代理店がけん引役となった。2代理店制の導入により競争原理が働き、販売が活性化している。新たに代理店となった1社は販売網(小売店のネットワーク)の整備を進めており、2代理店制の効果が本格的に現れてくるのはこれからだ。

南米は、アルゼンチン、チリ、ブラジルでの販売個数を約6,000~7,000個見込む。チリでは、2009年に「ダカールラリー」の新しい舞台に選ばれて以来、モータースポーツ人気が高まっている。チリは2016年の1人当たりのGDPが13,575ドル(IMF)とアルゼンチン(12,493ドル)を上回り、ラテンアメリカ諸国の中では上位に位置する。また、アルゼンチンでは、年間のバイク販売が70万台を超えており、2輪車ブームとなっている。このためマーケット深耕の余地が大きそうだ。

その他の地域は、アジアが好調。株式会社ナップス(神奈川県横浜市)の新規出店効果(2店舗目)で台湾での販売数量が増加しており、MOTO GP開催国であるマレーシアではモータースポーツ人気が高まっている。中国も引き続き好調だ。尚、株式会社ナップスは国内のオートバイ用品・部品の小売・開発企業であり、SHOEI製品の販売店。一都三県を中心に東北・上信越、東海、中・四国、九州・沖縄に23店舗を展開。17/1期の売上高は83.6億円。

取材を終えて
国内では、結婚や子の誕生等でバイクを離れた方が何十年かぶりに趣味のバイクを復活させる等で、プレミアムヘルメットの販売と相関性の高い小型以上のバイク人気が高まっている。筆者が取材したのは3月23日(金)10:00~13:00の特別公開時間だが、十分にバイク市場の熱気を感じる事ができたし、13時過ぎに会場を出た際、入場口に向かう一般公開の来場者の列の長さに驚いた。新聞報道によれば、バイク(二輪車)販売国内トップのホンダは、国内二輪専売店の刷新と2020年までに店舗網を4割増の200店に拡大する計画を発表している。現在5系列の販売網を、全モデルを取り扱う専売店「ホンダドリーム」と他社モデルと小排気量(250cc以下)のモデルを販売する「ホンダコミューター」に集約し、4月時点で145店舗のドリーム店は中大型の販売を強化し店舗数も増やすと言う。プレミアムヘルメットの愛用者が多い中大型の販売強化は同社にとって悪くない話だし、「RYD」、「J・O」の投入や「NEOTEC」の値ごろ感の演出で新たな客層の取り込みに向けた施策も講じている。一方、海外では台湾やマレーシアでのアジア展開や南米でのマーケティング強化等の施策を講じており、国内外で今後の展開が注目される。

<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレート・ガバナンス報告書        更新日:2017年12月25日

当社は、中長期的な安定成長と安定利益、企業価値の向上を経営の重要課題としております。その実現のために、株主やお客様をはじめ、取引先や従業員、各ステークホルダーとの良好な関係を築くとともに、お客様に満足いただける製品を提供することが重要と考えております。この考え方は、当社の経営方針でもある三つの世界一(世界一の品質、世界一のコスト競争力、世界一楽しい会社)並びに「基本方針」にも記載し、社内に周知しております。このような中でコーポレート・ガバナンスの充実に向け、様々な施策を実施してまいります。

<実施しない主な原則とその理由>

【原則4-2】取締役会の役割・責務(2)
当社において、役職員の立場は常に公平であり、提案を妨げる環境にはありません。経営陣幹部(当社においては「参与及び部長」をいいます。)は担当する職務を遂行する上での課題を認識し、経営会議等の議論の場において、問題点とその解決策の提示を行います。提案者と取締役及び経営陣幹部とは、闊達で公明正大な議論を行っております。また、経営陣幹部の報酬は、生活給的要素を考慮し、能力並びに前年度の業績貢献等に基づき評価した年俸ランクに応じた固定給としております。

<開示している主な原則>

【原則1-4】いわゆる政策保有株式
政策保有株式を保有しないことはもちろん、リスクの高い有価証券投資を行わないことが当社の基本方針であり、その旨の開示を有価証券報告書やコーポレート・ガバナンス報告書等で説明しております。

【原則1-7】関連当事者間の取引
当社は、子会社との販売代理店取引、代理店管理委託取引、マーケティング委託取引及びこれらに付随関連する取引以外に関連当事者取引を行う予定はなく、過去にもこれらの取引以外の関連当事者取引の実績はありません。また、役職員並びにその関係者の支配する会社との取引を、コンプライアンス規程にある「行動指針」にて公私の区別を厳しくする旨定めており、子会社との取引以外の関連当事者取引に関しては、一切行いません。

【原則5-1】株主との建設的な対話に関する方針
株主、投資家の皆様には、常に公平な姿勢で接するように努めており、経営陣並びにIR担当部署(経営管理部)による、個人投資家向け説明会の開催並びに機関投資家、マスコミ、金融機関対象の決算説明会を始めワンオンワンミーティング等により、積極的な対話に努めております。また、外国人投資家の持株比率は33%前後であり、外国人投資家との透明度の高い誠実な対話とIR活動を続けております。

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