(1433:東証1部) ベステラ 高度経済成長期の設備が解体更新期迎える

2018/04/05

besterra

今回のポイント
・18/1期は前期比7.5%の増収、同2.9%の営業減益。大型案件が一巡した鉄鋼向けが減少したものの、エチレン製造設備の解体で石油・石化向けがほぼ倍増した他、LNGタンクの解体でガスが2.8倍に拡大。中期的な注力分野である電力も同20%弱増加した。ただ、複数の工事案件で着工・完工の遅れが発生した事に加え、3D計測事業の伸び悩みもあり、売上が期初予想を下回り、人材投資等が負担になった。即戦力となる工事監督の確保が課題である。・19/1期予想は前期比13.4%の増収、同9.3%の営業増益。売上高については、前期末受注残高のうちの19/1期売上計上分をベースに「見積提出案件」及び「解体見込み案件」の内容を精査して積み上げた。利益面では、人材投資や3D計測事業への研究開発等の先行投資に伴う販管費の増加を売上の増加と売上総利益率の改善で吸収する。配当は、上期末5円、期末10円の年15円を予定(配当性向43.8%)。

・高度経済成長期に建造された設備が物理的な老朽化や経済的陳腐化等の理由で解体・更新期を迎える事に加え、事業再編や海外移転等に伴う需要も見込まれ、プラント解体事業の見通しは明るい。事業環境に恵まれる中で18/1期は苦戦を余儀なくされたが、この要因分析を踏まえて、19/1期は収益構造改革と人事構造改革に取り組むと共に、改めて3D事業の価値を追求する。また、M&A等による資本提携も積極的に進めていく考え。21/1期に売上高64億円、営業利益5.2億円の達成を目指している。

会社概要

プラント解体のスペシャリストとして、製鉄、電力、ガス、石油等、プラント(金属構造物)の解体工事をマネジメントしている。“プラント解体の工法・技術”をコア・コンピタンスとし、国際特許も含めた21件(申請中7件)の特許工法を有する。エンジニアリング(提案・設計・施工計画)とマネジメント(監督・施工管理)に経営資源を集中しており、実際の解体工事は協力会社に外注するため、工事用重機や工事部隊を保有せず(資産保有リスクを回避)、材料等の仕入・生産取引も発生しない(在庫リスクを回避)。社名の「べステラ(BESTERRA)」は英語の「Best(goodの最上級)」とラテン語の「Terra(地球)」を合わせたもので「素晴らしい地球を造っていこう」という思いが込められている。

【企業理念・行動規範】

「柔軟な発想と創造性、それを活かした技術力により地球環境に貢献します」という企業理念の下、下記の行動規範を掲げている。

行動規範

プロとしての責任を果たします。
我々は常に新しい技術を生み出し、「安全を何よりも優先」し、「より早く、より安く、より安全に」を合言葉に
さらに安心を加えて、お客様に提供します。

【事業の特徴】

プラント解体事業が売上高全体の98%以上を占める(この他、人材サービス等を手掛ける)。プラントの解体工事は、製鉄・電力・ガス・石油等のプラントを有する大手企業が施主であり、多くの場合、施主系列の設備工事会社あるいは大手ゼネコンが工事を元請けし、同社が一次下請け、二次下請けとなっている。18/1期の顧客業種別完成工事高(構成比)は、電力22%(17/1期20%)、鉄鋼37%(同56%)、石油・石化27%(同15%)、ガス13%(同5%)、その他1%(同4%)。
尚、工事の施工に必要な重機や職人は直接保有しないファブレス経営を徹底している(複雑な構造を持つプラントのどのような設備に対しても柔軟に対応できる)。

工事の進行に伴って発生するスクラップ等の有価物は、同社が引き取ってスクラップ業者に売却する。このため、同社は受注に際して有価物の価値を、材質、量、価格(鉄、ステンレス、銅等の材質毎の相場)等から総合的に見積り、それを反映した金額で交渉し、請負金額を決めている。会計上、有価物の売却額は解体工事に伴う収益の一部と位置付けられており、完成工事高に含めて計上している。尚、発注者(施主)が独自でスクラップ等の処分(売却)を行う事もある。

【強み -優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的解体マネジメント、特許工法等の知的財産-】

強みは、優良な顧客資産、豊富な工事実績に基づく効率的解体マネジメント、及び特許工法等の知的財産。顧客は、製鉄、電力、ガス、石油等の大手企業のエンジニアリング子会社等、与信の不安がない優良顧客であり、中長期にわたり継続して受注が見込める。これら優良企業から、約40年間の実績に裏打ちされたプラント解体のトータルマネジメント(低コスト・高効率)が高く評価されており、参入障壁になっている。更に、環境対策工事等で蓄積してきた様々な技術やノウハウも強みであり、発生材の再資源化も含めて、顕在的・潜在的な知的財産となっている(特許取得済14件、同申請中7件)。

※ 2つの収益計上基準と同社収益計上の季節性について

工事契約における収益の計上基準には、工事が完成した時に収益を計上する完成基準と工事の進捗に応じて収益を計上する進行基準がある。スクラップなど有価物の引き取りがあるプラント解体工事は工事の収益が最終のスクラップ売却時まで確定しないため、同社においては、請負金額50百万円超、工事期間3ヶ月超の大型工事について原則工事進行基準を適用しており(18/1期以降)、上記に該当しない工事については完成基準を適用している。完成基準適用工事の収益計上(完工)時期は顧客(施主)の設備投資計画の影響を受ける事が多く、同社の場合、第1四半期(2月~4月)と第4四半期(11月~1月) に収益が計上される割合が高い(収益計上の季節性)。しかし、四半期業績の変動が投資家をミスリードする可能性があるため、同社は工事進行基準の適用範囲を段階的に広げており、収益計上の平準化に継続的に取り組んでいる。

2018年1月期決算
前期比7.5%の増収、同2.9%の営業減益

売上高は前期比7.5%増の44億96百万円。前期に高炉解体が寄与した鉄鋼(売上構成比37%)が減少したものの、エチレン製造設備の解体で石油・石化(同27%)がほぼ倍増した他、LNGタンクの解体でガス(同13%)が2.8倍に拡大。中期的な注力分野である電力(同22%)も同20%弱増加した。

利益面では、目標としていた売上総利益率20%を確保したものの、売上が下振れする中、人材の積極採用に伴う人件費・採用費の増加や市場変更に伴う支払手数料・支払報酬の増加が負担になり営業利益が3億86百万円と同2.9%減少。株式公開費用17百万円の計上等で営業外費用も増加したが、実効税率の低下で最終利益は2億63百万円と同2.7%の減少にとどまった。

予想との差異要因

老朽化や経済的陳腐化等で解体・更新期を迎える設備は増加しているが、複数の工事案件で計画等の準備期間が長期化し着工・完工が遅れた事、旺盛な需要に対して工事監督が不足している事、更には3D計測事業の受注の伸び悩みもあり、売上が期初予想を下回り、利益も下振れした。

期初の受注残高は前年同期の水準を31.5%下回っていたが、受注(工事高)が前期比42.3%増の43億44百万円と伸びた事と工事の順調な進捗で完成工事高は44億29百万円と同7.7%増加した。期末受注残高は前期末比3.7%減の22億18百万円。受注残高の内訳は、電力業界の高効率化に伴うプラント解体需要の取り込みが進み、電力が前期末比18%程度増加し、構成比が14%から40%に上昇。鉄鋼は前期末と比べて減少したものの、大型プラントの受注で高い構成比(40%)を維持した。ガスの構成比は12%にとどまるものの、LNGタンクの解体で3倍に拡大した。受注残高の約9割が、来19/1期完工・売上計上予定である。

大型の進行基準工事の進行による未成勘定の減少で期末総資産は39億05百万円と前期末との比較で3億17百万円減少した。自己資本比率59.7%(前期末51.7%)。

未成勘定が減少した事でCFが改善し、前期は7億59百万円のマイナスだった営業CFが3億69百万円の黒字に転換。3億65百万円のフリーCFを確保し、有利子負債の削減を進めた。

2019年1月期業績予想
(1)株式会社ヒロ・エンジニアリングの第三者割当増資の引受(子会社化)及び連結決算への移行

株式会社ヒロ・エンジニアリング(東京都新宿区、代表取締役社長 戸坂 功)が実施する第三者割当増資を引き受け、(株)ヒロ・エンジニアリングを子会社化する。また、これに伴い19/1期より連結決算に移行する。

株式会社ヒロ・エンジニアリングは、航空・宇宙・プラント・産業機器業界を中心に機械・電気・制御・情報システム等の技術支援を中心に、企業の事務支援や若手技術者育成を目的とした教育支援等を手掛けており、ベステラ(株)が原子力発電所向け3D計測を実施した際には高度な人材の提供と技術支援を受けた。今回の資本提携を機に、株式会社ヒロ・エンジニアリングが持つ高度な技術や人材サービスのノウハウを、ベステラ(株)のサービス品質の向上や技術労働者の確保につなげていく考え。
2018年3月30日付けで、株式会社ヒロ・エンジニアリングが実施する第三者割当増資により発行する900株(議決権の90%)全てを45,000千円で取得する予定。

尚、株式会社ヒロ・エンジニアリングは、2015年5月の設立で資本金5,000千円。労働者派遣事業、航空宇宙用機器・エネルギー関連機器・産業機械の設計請負を事業とし、17/3期の売上高が57,196千円(16/3期8,473千円)、期末純資産△13,638千円(16/3期末△3,263千円)、同総資産15,288千円(同5,875千円)。

前期比13.4%の増収、同9.3%の営業増益予想

売上高は前期比13.4%増の51億円。前期末受注残高のうち19/1期売上計上分19億80百万円(売上総利益4億58百万円)をベースに「見積提出案件」及び「解体見込み案件」の内容を精査し積上げた。

利益面では、大型チャレンジ案件が前期に終了している事もあり、売上総利益率が20.4%と0.3ポイント改善する見込み。人材投資(人員増)や3D計測事業への研究開発投資等の先行しによる販管費の増加を吸収して営業利益が4億22百万円と同9.3%増加する見込み。

配当は1株当たり上期末5円、期末10円の年15円を予定している(配当性向43.8%)。

(3)利益配分・株主還元方針

利益配分については、「将来の成長への投資」、「事業基盤強化のための内部留保」、及び「40%を株主様への利益還元(配当)」を3本柱としている。このうち成長投資については、人材投資(採用費用、教育費用)、技術開発投資(工法開発、ロボット開発)、システム投資(3Dシステム、BIM・CIM)、及び戦略的事業投資(M&A)に合理的に配分していく。

また、株主優待として、権利確定日(1月末)に保有する株数に応じて下記の通りQUOカードを贈呈する。

中期経営計画(19/1期~21/1期)

今後30年間で建設後50年以上経過する施設の割合が加速度的に増加する。プラントも同様で、1960年代の高度成長期以降に建設された設備の老朽化が進み解体・更新の要に迫られる。加えて、経済的陳腐化、企業の再編、海外移転等による解体・更新の増加も見込まれる。また、事業再編や新エネルギーへの設備更新に伴うプラントの解体・更新に対して補助金の支給等を行う産業競争力強化法やエネルギー供給構造高度化法の施行、エネルギー使用合理化等事業者支援補助金制度(2015年度補助金410億円、2016年度同515億円、2017年度同予算額510億円)等、政策面でも解体・更新を後押ししている。
この他、2016年6月の建設業法改正に伴い、建設業許可業種区分に「解体工事業」が新設された事も同社にとって追い風だ。「解体工事業」の新設は解体工事における施工管理体制の強化(安全品質向上)を目的としたもので、各種特許工法の開発等で解体工事の安全・効率を追求してきた同社の強みを活かす事ができる。

プラント業界の動向(同社の独自調査による)

電力業界のプラント・ストックは約13.6兆円(同社試算。以下同じ)。同社の資料によると(出所:資源エネルギー庁電力調査統計)、国内の発電出力は、火力が総出力174,014MW(発電所数451箇所)、原子力が同41,482MW(廃止・解体中含めた発電所数59基)、水力、風力、太陽等のその他が59,653MW。電力業界ではエネルギー構造の見直しが課題である。
製鉄業界のプラント・ストックは約1.7兆円。同社の資料によると(出所:各社IR資料)、高炉数32箇所、粗鋼生産量90.4百万トン。電炉数44箇所、普通電炉生産量8.8百万トン、特殊鋼生産量4.2百万トン。製鉄業界では企業再編が進んだが、重複した設備の撤去や設備の更新はこれから。
石油・石油化学業界のプラント・ストックは約28.5兆円。同社の資料によると(出所:経済産業省調査2012年)、製油所は14地域・22箇所、精製能力3,520(千バレル/日)。石油化学コンビナートは9地域・15箇所、エチレン生産能力6,155千トン。多くのコンビナートは高度経済成長期に建造されており、国際競争力の観点から設備の高度化や再編等を避けて通れない。
上記の他、各業界で競争力強化のための合併・再編が進みつつある。例えば、電機業界における三菱重工業と日立製作所の事業統合による三菱日立パワーシステムズの誕生、シャープや東芝等の家電事業の合理化、製紙業界における、王子ホールディングス(王子製紙×本州製紙×神崎製紙)の誕生や業界2位の日本製紙と大昭和製紙との合併。造船業界では、ユニバーサル造船とアイ・エイチ・アイマリンユナイテッドジャパンの合併によるマリンユナイテッドの誕生等である。

【中期経営計画2020(19/1期~21/1期)】

同社の中期経営計画は経営環境の変化等に柔軟に対応するためローリング方式が採用されており、毎期、見直し・改定が行われている。18/1期(中期経営計画:18/1期~20/1期)は、成長戦略の推進、制度・仕組みの革新、新しい社会価値の創造、及びM&A等の提携促進、という4つの課題に取り組んだが、着工・完工の遅れ、人材採用の未達と育成の遅れ、及び新規事業の伸び悩みにより、売上高・利益共に計画値(期初予想)を下回った。この結果を踏まえ、19/1期は、収益構造改革と人事構造改革に取り組むと共に、改めて3D事業の価値を追求する。また、M&A等による資本提携を積極的に進める。

(1)19/1期の取り組み
収益構造改革

受注案件数・規模の拡大、工法の充実、及び営業力強化に取り組んでいく。

受注案件数・規模の拡大
下記の通り、電力、鉄鋼、石油・石油化学、及びガスその他の分野毎にターゲットを定め個別戦略を推進する。

同社は「エネルギーミックス(望ましい発電方法)の実現に向けて、環境負荷が低く高効率な発電設備への更新が進む」と考えている。ターゲットは環境負荷が大きい火力発電分野であり、その半数が運転開始から30年以上経過している原子力発電(16個所、59基)分野も大きなポテンシャルを有する。同社は、ボイラ、煙突、タンクの解体での豊富な実績と独自の特許工法を強みに解体需要を取り込んでいく。また、国際特許として申請中の発電用風車解体工法(風力発電)、解体における独自の無火気工法(トランス等の電力関係設備)、更には圧倒的な安全性、価格競争力を有する「リンゴ皮むき工法」及び「りんご☆スター」(タンク類の解体)等の営業にも計画的に取り組んでいく。

<鉄鋼業界>
粗鋼生産の4分の3を高炉メーカーが、その他を電炉・単圧等のメーカーが、それぞれ生産しているが、同社は全ての高炉メーカーや電炉・単圧等のメーカーと取引実績がある。高度経済成長期に建設された溶鉱炉(コークス炉)が今後10年以内に改修時期を迎える事に加え、高炉各社は価格競争力強化のため生産拠点の集約と集約先の設備強化を進めている。同社は特許工法やこれまでに培ってきた安全かつ効率的な解体工事を強みに解体需要を取り込んでいくと共に、3D技術を用いた工事の提案にも力を入れる。

<石油・石油化学業界>
国内の製油所は14地域に22箇所あるが、人口減少や低燃費自動車の普及に加え、燃料転換等もあり、需要減少が続いている。このため、石油・石油化学業界は企業再編や設備縮小等の対応に迫られており、政府もエネルギー供給構造高度化法や産業競争力強化法等で再編を後押ししている。一方、国内の石油化学コンビナートは9地域に15箇所あるが、大半がナフサ由来(石油精製物)のエチレンを原料としており、安価なエタン由来(天然ガスや石油の副産物)が主流の海外勢と比べて原料コストで劣る。規模的にも劣勢は否めないため、企業再編や設備縮小等の必要に迫られている。同社は、製油所やエチレンプラントに加え、川下のプラント設備の解体でも豊富な実績を有する事を強みに解体需要を取り込んでいく。具体的には、いわゆる「太平洋ベルト地帯」と呼ばれる港湾地域に事業所を設置し、独自の解体技術の提案営業に注力していく。

工法の充実
競争力のある特許工法による解体方法を提案し、実用化に繋げていく。

<「リンゴ皮むき工法」と溶断ロボット「りんご☆スター」>
「リンゴ皮むき工法」とは、ガスホルダーや石油タンク等の大型球形貯槽の解体において、リンゴの皮をむいていくように、外郭天井部の中心から渦巻状に切断する工法。切断された部分は重力(自然のエネルギー)に従って、渦巻きを描きながら徐々に地上に落ちていく。工期、コスト、安全性に優れ、競合優位性の高い工法であり、「より早く、より安く、より安全に」を実現する。また、「リンゴ皮むき工法」を自動化する溶断ロボット「りんご☆スター」も提供している。従来、大型球形貯槽の解体は、球体ホルダー表面に足場を溶接し、手作業で本体を解体し、切断面をクレーンで降ろしていた。このため、手間と時間を要し、かつ、安全面でもリスクの大きい作業だった。同社は新アタッチメント開発による「りんご☆スター」の用途拡大に加え、京都大学・山口大学との共同研究による「点群3D Map利用ロボット」の開発にも取り組んでいる。

<環境関連工法>
火気を使用しない「無火気工法」により、数々の環境関連工事の実績を重ねている。例えば、PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、現在、有害物質として全廃されているが、優れた熱安定性や化学的安定性(電気絶縁特性)から、長年、トランス(変圧器)やコンデンサ(蓄電器)に使われてきた。プラントの解体工事に伴いトランスやコンデンサを処理するケースが多いが、PCBを高温で処理するとガス化するため吸引する恐れがあり、解体・撤去に際して火器(ガス溶断等)が使えない。同社はセーバーソー(往復運動する鋸刃により切断する)等による無火気工法・準無火気工法を得意としており、モーター焼きつき対策や刃を再生利用する等の工夫で業界常識を超える厚みを切る事が可能だ。

<風車解体工法>
同社の資料によると、世界の風力発電量は486,790MWと年率約20%の成長を続けており(陸上約340,000基、洋上約4,000基)、国内でも2017年末で2,225基を数え、毎年約90基のペースで増加している。一方、耐用年数は15~20年程で初期に設置された発電用風車は使用限界を迎えている。更に、落雷・台風等により破損や致命的な故障が起きて解体が必要となっている機体も少なくない。発電用風車の解体は、通常、支柱の外側に足場を組んで行われるが、山岳部や洋上等にも設置されているため、解体の難易度は高い。同社は、足場を必要としない風車解体工法を考案し、「発電用風車の倒し方法(国際出願)」、「基礎部を活用した搭状構造物の倒し方法」、及び「塔型風力発電設備の解体方法(国際出願)」として特許を出願中である。これらの特許に基づく工法を使う事で、作業員の安全性が飛躍的に向上し、工期も短縮できる。

営業力強化
元請工事の比率を高めると共に営業拠点を拡充する。現在、同社は、元請会社からの1次請けの受注割合が多いが、顧客の工事計画に基づいて解体計画を提案する立場にあるため元請工事の施工体制に関する知見を有する。このため、直接受注を増やし元請工事の比率を高め、収益率の向上につなげる。具体的には、展示会への出展に加え、ホームページ、販促物、各種メディア等、広告媒体の充実に取り組む。更なる体制強化にも取り組み、資格取得制度の推進、営業サポート人員の増員、人事構造改革等の施策を実施していく。また、ストック型(顧客グループ単位からの継続的受注や構内常駐等)案件の受注拡大のため、京浜地区、仙台等の工業地帯での新たな事業拠点の設置も検討していく。

人事構造改革

解体工事の施工管理に特化している同社は全ての工事に監督を配置する必要がある。持続的成長には工事監督の増員が不可欠だが、建設技能労働者は慢性的に不足している。このため、完全週休2日制を導入すると共に育成プログラムの確立に取り組み、採用と育成を強化する。

完全週休2日制の導入にあたっては、「マネジメント層によるシフト(時間)管理」と「現場(労務)ローテーション」を強化し、余裕のある働き方による工事品質の向上を図っていく。一方、育成プログラムの確立では、先ず工事監督の実態に即した評価制度として「工事専門職コース、マネジメント職コースの導入」、「資格取得推進制度の拡充」を行う事で、個人の働き方を重視した人事制度を策定し運用していく。その上で、経験豊富な技術者より経験の浅い技術者へ技術継承を図るための制度として「育成プログラム」を推進していく。

3D事業の価値の追求

解体工事に伴う3D計測・データサービスの提供(3D解体シミュレーションの強化)と現場3Dデータ活用サポート(リモートサポート導入)により、プラント解体工事業の付加価値として3D技術を活用していく他、3D計測技術と解体計画・ロボット・マニピュレータの制御技術を組み合わせて原子力廃炉分野に参入する。

3D解体シミュレーション強化の一環として、大規模設備見積り時の3D計測サービス及び設備改修に伴う解体計画作成サービスを提供する。3Dレーザー計測は精度の高い解体計画と見積り書の短期間での作成を可能にする上、設備改修に伴う解体作業の際には、3D-CADによる重機や機器入替作業・干渉シミュレーションを実施・提供できる。また、リモートサポートを導入し、現場での3Dデータ活用を本社からリモートサポートする体制を整える(これまで3Dデータを現場で利用する際には、ソフトウェアの習熟やPCスペックの制限等から3D技術者を常駐させる必要があった)。

更に、3D技術とロボティクスを融合し、原子炉の廃炉分野にも参入する。同社は、他社に先駆けて遠隔解体ロボット(りんご☆スター)をプラント解体で実用化したが、こうしたロボティクス(ロボット工学)と3D技術を融合し、ロボット等によって取得した各種3Dデータを廃止措置となった原子力発電所の解体に活用する自律・遠隔解体技術の確立に取り組んでいく。

M&A戦略

事業規模の最大化と革新的な新サービスの開発を念頭に、解体、システム、ロボット、人材、設計等の分野で、業務提携やM&Aに積極的に対応していく。既に説明した通り、2018年3月30日付けで、人材サービスを手掛ける株式会社ヒロ・エンジニアリングを連結子会社化する。

(3)利益配分方針・株主還元

既に説明した通り、「将来の成長への投資」と「事業基盤強化のための内部留保」に配慮しつつ、配当性向40%を目途に配当を実施していく考え。

今後の注目点
高度経済成長期に建造された設備が物理的な老朽化や経済的陳腐化等の理由で解体・更新期を迎える事に加え、事業再編や海外移転等に伴う需要も見込まれ、プラント解体事業の見通しは明るい。事業環境に恵まれる中で18/1期は苦戦を余儀なくされたが、既に説明した通り原因ははっきりしている。原因の一つは、工事監督の確保。期末36名(17/1期末22名)の確保を計画していたが、29名にとどまり、しかも未経験者の採用が多かったため戦力化に時間を要した。もう一つは、3D計測事業。ポテンシャルは大きいが、受注の本格化には時間が必要なようだ。期待先行だった感が否めない。こうした反省を踏まえて、19/1期の施策が示された。収益構造改革と人事構造改革は中長期的な取り組みであり、単年度で明確な成果をあげる事は難しいかも知れないが、それだけに進捗状況の丁寧な説明に期待したい。また、3D計測事業をプラント解体事業の付加価値化として活かしつつ育成していく発想は的を射たものと考える。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎コーポレート・ガバナンス報告書      更新日:2017年9月15日
基本的な考え方

当社では、健全な経営の推進と社会的信頼に十分に応えるべく、コーポレート・ガバナンスを最も重要な経営課題として位置付け、経営の健全性・透明性および公平性を高めることに重点を置き、法令遵守を社内に徹底させることは当然のこととし、役員全員が常に「法令違反は即経営責任に直結する」との危機感を持ち経営に臨んでおります。具体的には、経営の意思決定、職務執行および監督ならびに内部統制等について、適切な体制を整備・構築することにより、法令・規程・社内ルールに則った業務執行を組織全体に周知徹底しております。また、株主重視の経営に徹するべく、「適正な株価形成」・「株価の持続的上昇」のための経営改革を実現し、経営のチェック機能を強化することでグローバルに通用するコーポレート・ガバナンスを確立することも重要であると考えております。その結果が、社会からの信頼の獲得に繋がることとなり、自ずと企業価値も高まり、株主の皆様にも満足して頂けるものと考えております。

<実施しない原則とその理由>

【補充原則4-10-1】
当社は、独立社外取締役を2名選任しており、企業経営者としての専門的な知識と豊富な経験を活かして、取締役会や各取締役へ意見を述べるとともに、必要に応じて助言を行っております。
任意の諮問機関としての委員会は設置しておりませんが、現時点では、取締役会の場において、独立社外取締役から適切な関与・助言を得られていると考えております。

<開示している主な原則>

【原則1-4 いわゆる政策保有株式】
当社は、取引先との長期的・安定的な取引関係の維持・強化及び関係強化による当社事業の拡大等の観点から、当社の中長期的な企業価値の向上に資すると判断した場合、取引先等の株式を取得及び保有する場合があります。当社は、前項に基づき保有する株式(政策保有株式)に関し、定期的に取締役会において、当社の企業価値向上に繋がるかを検証し、これを反映した保有のねらい・合理性の確認を行ってまいります。当社は、政策保有株式について、当社の企業価値向上の観点から総合的に判断し、適切に議決権を行使いたします。

【原則1-7 関連当事者間の取引】
当社は、役員及び従業員持株会ならびに主要株主との取引に関する調査を毎年実施し、関連当事者取引の有無を確認しております。また、財務報告作成に関するマニュアルを定め、当社が役員、及び従業員持株会ならびに主要株主等との取引を行う場合には、当該取引が当社および株主共同の利益等を害することの無いよう、内部監査部門、管理部門、取締役会、監査役会において、当該取引の必要性について、十分な審議等を行うこととしております。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主からの対話(面談)の申込みに対しては、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、合理的な範囲で前向きに対応すべきと考えております。当社は、株主との建設的な対話を促進するため、企画部をIR担当部署として、金融機関や投資家に対して決算説明会を半期に1回開催し、適宜会社情報をホームページ、東証の任意開示を活用し、情報公開を行っております。

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