(3031:東証1部) ラクーン スーパーデリバリーの流通額、最高額に

2018/03/22

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今回のポイント
・18/4期第3四半期の売上高は前年同期比8.2%増加の18億87百万円。3事業共に増収だった。営業利益は同5.3%増の3億34百万円。引き続きSD export、Paid、URIHOへの広告投資、営業力強化やシステム開発などサービスの利便性向上のための人員増強などを進めたため販管費も増加したが増収効果で吸収した。・18/4期通期業績予想に変更は無い。前期方針を継続し、「SD export」、「Paid」に「URIHO」を加えた成長分野への集中投資を行う。売上高は前期比8.1%増の25億50百万円の予想。EC事業では海外流通額の拡大、国内流通額の更なる回復を見込む。Paid事業、保証事業は引き続き順調に拡大の予想。営業利益は同16.4%増の4億90百万円。広告宣伝費やシステム開発費等を集中的に投下する方針だが、2桁増益を見込んでいる。配当は現時点では未定。

・スーパーデリバリーの流通額合計は第3四半期(11‐1月)27.04億円と、第2四半期(8-10月)に続き2014年第1四半期以降の最高額となり、スーパーデリバリーは確実に成長ベースへ回復しつつあるようだ。ただ、詳細な内訳は開示されていないが、「SD export」の寄与が大きく、国内流通額は依然横ばいが続いており、本格的な回復となるには国内の回復がカギとなる。一方、第3四半期までの進捗を見ると、売上はほぼ平均的な一方、営業利益はここ数年と比較するとややスローにも見える。第4四半期、どれだけの上積みを行うのかを注視したい。

会社概要

中小企業間の取引を便利でスムーズに行うためのサービスを提供する企業として、インターネット上でBtoB(企業間電子商取引)市場である「スーパーデリバリー」というWebサイトを運営している。
「スーパーデリバリー」は、アパレル、雑貨を中心にメーカー、インポーター等の出展企業の取扱う商品を、全国の中小規模小売店に販売している。
2010年11月に売掛債権保証事業を行っている(株)トラスト&グロースを子会社化。これによって中小企業間決済事業を新たな事業ドメインと位置づけし、本格的に取組を開始し、更に2011年10月から、企業間取引を安心かつスムーズにする後払い決済サービス「Paid(ペイド)」の提供を開始している。2014年3月からは、第4番目のサービスとして、受注・発注を一元管理できるクラウド受発注ツール「COREC(コレック)」の提供を開始した。
また、「スーパーデリバリー」の越境EC版となる輸出販売サービス「SD export」を2015年8月より、ネット完結型売掛保証サービス「URIHO」を2016年8月よりスタートさせた。

【経営理念】

経営理念を「企業活動を効率化し便利にする」に刷新した。企業間取引に関し、これまで培ってきた情報と決済に関するノウハウを活かし、企業活動を効率化し便利にする仕組みを今後も提案していくというビジョンを表している。

小方社長は創業後、企業としての方向性をしっかり定め、経営者としてやっていく決意を固めるまでは安易に人を増やすべきではないという考えから従業員を一人も雇用せず、自分一人で同社を運営してきたが、方向性と決意が定まった2000年に初めて正社員30名を採用した。
当時の日本のEC業界は、米国に先例がある訳でもなく、自らがゼロから作り上げていかなければならない黎明期であったが、この最初のメンバーが中心となって、日本のBtoB ECを作り上げてきた。
同社においては、EC専門家の彼らが最大の経営資源であると小方社長は考えている。
今後、新しいビジネスモデルを創造していくにあたり、企業領域を明確にしていく必要性があると考え、経営理念を刷新することとした。

重要なポイントは以下の2点。

①事業領域の明確化の必要性

既存事業とのシナジーは特に意識しないが、同社のコア・コンピタンスであるノウハウを活用しながら、「中小企業向けBtoBインフラ」であること、「ECと決済の専門知識」を活かすものであること、に事業領域を絞りこむ。

②企業間取引のインフラサービス企業としての総合サービス化への転換

存在して当たり前のインフラとなるべく、今回の新サービス「COREC」に続き、第5、第6、第7と制限を設けず、新サービスを提供し続け、これまで以上に、よりインフラサービス業へと進化していく。

【事業内容】

「EC事業」、「Paid事業」、「保証事業」の3セグメントで構成されている。

(1)「EC事業」

「スーパーデリバリー」はファッション・雑貨業界のメーカーと小売店が出会い、継続して取引を行うことができるBtoB(企業間取引)サイトである。サイトを利用することで、これまで取引のできなかったメーカーと小売店に新たな取引機会が生まれ、さらに新商品の紹介や受発注のやりとりも効率化される。また、代金はスーパーデリバリーが小売店から回収し、メーカーへまとめて支払うことから、未回収リスクのない取引の実現が可能となる。

スーパーデリバリーに参加するためには、同社の審査をパスする必要がある。
この点、同業他社の中には「数=取引量の拡大」を最優先とし、ネット小売店を中心に緩い審査基準で加盟店を数多く集める事に注力しているところもあるが、同社の場合は、「質」と「数」のバランスを重視するため小売店に関しては、ネット小売店ではなく、実際に店舗を運営している小売店であるか?などを中心に審査を行っている。
また、サプライヤーに関しても、質の高さを重視している。スーパーデリバリーの立ち上げ当初は質の高い、ブランドを確立したサプライヤーは、他のそうでないサプライヤーと共に並べられるのを嫌がり、参加を拒むケースもあったが、現在では他のサプライヤーの質も高い事が理解され、そうしたことは無くなっている。小売店にとっても、質の高いサプライヤーと取引出来る点が大きなメリットとなっている。
BtoC取引と異なり、BtoB取引は、取引量を拡大させるためには、リピート取引を如何にして拡大させるかがカギとなるため、マーケットのクオリティ向上が最も重要であると同社は考えており、この点が同業他社との大きな違いの一つとなっている。

また、同社はEC企業ではあるが、他社が、ECのマーケットプレイスを開設・運営するシステム会社という側面が極めて強いのに対し、同社はただ単にそれにとどまらず、アパレル・雑貨を中心とした商品知識、業界知識がきわめて豊富な点も、他社との違いとなっている。
「スーパーデリバリー」の収益は、出展企業から得る出展基本料(月額4万円)、会員小売店から得る小売店月会費(月額2千円)、出展企業からのシステム利用料(会員小売店に卸した商品代金の10%)の3つから成っている。

商品は出展企業が会員小売店に直接配送するが、代金に関しては同社が出展企業の代わりに会員小売店から代金を回収し、出展企業に支払うため、売上高として商品代金を計上し、システム利用料を控除した額を売上原価として計上する総額計上を行っていたが、2015年4月期第1四半期より、売上表示を従来の総額表示から純額表示に変更した。純額表示における売上高は、出展企業から徴収するシステム利用料売上となる。
サービスの種類も増加しておりインフラサービス提供企業としてのポジショニングを明確にすることが目的。またマーケットプレイス事業を手掛ける同業他社との比較も容易になり投資家のメリットも大きいと判断した。

2018年1月末での各種経営指標は、会員小売店数 89,212店舗(前期末比18,692店舗増)、出展企業数1,206社(同17社増)、商材掲載数678,468点(同40,816点増)となっている。

2014年3月には、受注・発注を一元管理できるクラウド受発注ツールサービス「COREC(コレック)」を同事業内でスタートさせた。2018年1月末のユーザー数は14,892社となっている。
また、2015年8月には「スーパーデリバリー」の越境EC版となる輸出販売サービス「SD export」をスタートさせた。

(2)Paid事業

「Paid」は企業間取引の非効率な管理プロセスや内在する信用リスクを解消する決済サービス。
Paidを利用することで、バイヤーはすべての加盟企業と締め支払いで取引が可能となり、効率的にかつ運転資金にゆとりを持った取引が実現できる。サプライヤーは登録するバイヤーと代金未回収のリスクや請求督促の手間なく決済ができ、効率的かつ安全で顧客に喜ばれる取引が可能となる。
加盟企業数は2018年1月末には2,600社を超えた。18年4月期第3四半期の取扱高は、前年同期比17.1%増加の140億23百万円(うち、グループ内取引高 51億67百万円)となった。

(3)「保証事業」

11年4月期第3四半期から子会社化した(株)トラスト&グロースにおいて行っている事業である。「T&G売掛保証サービス」は、取引先が倒産した場合に、あらかじめ保証を掛けておけば、保証の枠の中で同社が損害分を代わって支払いするサービス。審査に際して、取引先に対する直接的なヒアリングや取引先からの申し込みなどは一切必要がない。独自の与信判断により90%以上の高い承認率を実現し、審査依頼から2営業日程度で回答も得られる。更に、顧客の商習慣に合わせた保証内容のカスタマイズが可能と利便性も高い。
加えて、2016年8月からは、中小企業向けネット完結型の売掛保証サービス「URIHO」をスタートした。
2018年1月末の保証残高は前期末比40.9%増の159億86百万円(うち、グループ内保証残高 14億22百万円)となっている。

「目標とする経営指標」にROEを掲げてはいないものの、ROEを意識した経営を行っている。
Paidの収益化、「COREC」の立ち上がり、またその後の新サービスなど、ITを駆使したサービス拡大の過程でROEはさらに上昇する余地が大きいと会社側は考えている。

2018年4月期第3四半期決算概要
3事業とも増収増益。

売上高は前年同期比8.2%増加の18億87百万円。3事業共に増収だった。
営業利益は同5.3%増の3億34百万円。引き続きSD export、Paid、URIHOへの広告投資、営業力強化やシステム開発などサービスの利便性向上のための人員増強などを進めたため(人件費、広告宣伝費はそれぞれ同7.4%増、13.3%増)販管費も同7.9%増加したが増収効果で吸収した。

*決算短信・有報で開示しているセグメント情報において、間接コスト(人件費・家賃・税金等の本社費用)はすべて「EC事業」負担となっている。その結果、EC事業のセグメント利益は、他の事業と比べて相対的に小さく表示されている。また、間接コストの増減がEC事業のセグメント利益の増減に大きく影響する結果となり、EC事業本来の成長がわかりにくい。そのため、同社では18年4月期第1四半期より、決算説明資料においては決算短信・有報のセグメント情報におけるEC事業のコストから本社費用を差し引いて計算した調整後のセグメント利益を開示することとした。なお、この調整によるPaid事業、保証事業のセグメント利益の金額変更はない。
営業利益率の構成比は売上高営業利益率。
◎EC事業

増収増益。
引き続き質の高い会員小売店及び出展企業を獲得した上で、客単価や稼働率の向上を図り、両者の継続した取引拡大による流通額増加に取り組んでいる。
低迷していた小売業の流通額がプラス成長となったことに加え、引き続き小売業以外の事業者の流通増加が増加したため国内流通額は前年同期比3.3%増加。成長ベースに回復しつつある。
海外流通額(SD exportと日本語版サイトでの海外向け流通額の合算)は同77.6%増。
この結果、「スーパーデリバリー」全体の流通額は第3四半期累計で前年同期比8.4%増の78億52百万円となった。
第3四半期(11-1月)でも同8.0%増となった。
「COREC(コレック)」のユーザー数(サプライヤーとバイヤーの合計)は同53.2%増の14,892社と大幅な増加が続いている。また、17年12月にバイヤーがCORECのシステムに入力した注文情報を、FAXやメールなど他の発注手段用のデータに変換し送信する一連の工程を自動化した部分で特許を取得した。
サービス向上のためのシステム開発投資やUI・UXの改善・向上を目的とした人材強化などにより販管費は増加したが、増収で吸収し増益となった。

◎Paid事業

増収・大幅増益。
引き続き、加盟企業の獲得増加と獲得した加盟企業の稼働率の向上に取り組んでいる。
今期は、前期の投資による成長を軌道に乗せながら、さらなる成長投資を行っている。18年1月にはAIによる与信審査を導入したことにより、企業の取引先企業(Paidメンバー)ごとの詳細な与信判定を瞬時に行えるようになり、各企業の信用度に応じて柔軟に利用限度額を付与することが可能となった。
2018年1月末の加盟企業数は2,600社を超え、トータルの取扱高は同17.1%増の140億23百万円となった。外部取扱高、外部売上高はそれぞれ同28.2%増の88億55百万円、同26.1%増の2億23百万円と順調に拡大している。

◎保証事業

増収・増益
引き続き営業力強化に取り組むことで保証残高の拡大を図っている。今期は、16年8月より開始した「URIHO」のターゲットとなる中小企業に対し、効果的なマーケティング活動を行うことでクライアントを増加させることに取り組んでおり、広告宣伝費が増加している。
すべてのサービスの保証残高が増加し、保証残高は前期末比40.9%増の159億86百万円となった。

売掛金の減少などで資産合計は前期末に比べ1億56百万円減少の54億9百万円となった。
買掛金の減少などで負債合計は同3億8百万円減少の33億49百万円。
利益剰余金の増加で純資産は同1億51百万円増加の20億59百万円。
この結果自己資本比率は前期末の34.2%から3.8ポイント上昇し38.0%となった。

2018年4月期業績予想
業績予想に変更無し。引き続き成長分野への集中投資を実施も、増収で2桁増益。

業績予想に変更は無い。前期方針を継続し、「SD export」、「Paid」、「URIHO」の成長分野への集中投資を行う。
売上高は前期比8.1%増の25億50百万円の予想。EC事業では海外流通額の拡大、国内流通額の更なる回復を見込む。Paid事業、保証事業は引き続き順調に拡大の予想。
営業利益は同16.4%増の4億90百万円。広告宣伝費やシステム開発費等を集中的に投下する方針だが、2桁増益を見込んでいる。配当は現時点では未定。

(2)各事業への取り組み&トピックス
①EC事業

<SD exportに新たな物流サービスとして低価格の航空便を導入>
2017年12月、越境EC「SD export」において新たな配送手段として株式会社ペガサスグローバルエクスプレス(本社:東京都)のPegasus My Choice(ペガサスマイチョイス)を利用した航空便を導入した。
ペガサスは国際宅配に強みを持つ総合物流企業で、Pegasus My Choiceは顧客の課題に応じ最適なコストと手段で輸送を提供するサービス。

現在 SD exportは全流通額の約80%をアジアで占めているが、国別流通額を見ると台湾、香港に続きアメリカが第3位で2017年は前年比300%増と急拡大している。またオーストラリアやヨーロッパでも利用が拡大している。
これまでSD exportの配送手段としては、DHL、EMS、日本郵便の航空便・船便、そして台湾・香港向けに特化した ECMS EXPRESS の利用が可能だったが、Pegasus My Choiceを利用した航空便は、北米、ヨーロッパ、オセアニア向けにSD export が提供する航空便の中で最安値の配送手段となり、これにより、アジア以外の国々でもSD exportの利用拡大が見込まれる。
今後は北米、ヨーロッパ、オセアニアへの積極的な広告投資も行い、効果を最大化させていく予定。

②Paid事業

<LIXILビバが、全国のビバホームにBtoB後払い決済サービス「Paid」を導入>
「Paid」は2017年7月より先行運用として業務提携先LIXILビバのスーパービバホーム三郷店(埼玉県三郷市)に導入されているが、その利便性の高さから他の店舗での利用を求める多くの声が事業者から寄せられた。
同社では先行運用を通じて仕組みを磨き上げた結果、2018年4月2日よりビバホーム全87店舗に「Paid」が導入されることとなった。
全店舗での導入に先駆け、LIXILビバが発行する「ビジネスサポートカード」のWeb申し込み受付を、2018年3月1日より開始した。
事業者は本カードを提示するだけで、全国のビバホーム店頭での後払い決済が可能となる。

③保証事業

<「URIHO」が「Ruby bizグランプリ2017」において、Fintech賞を受賞>
2017年12月、「URIHO」が「Ruby bizグランプリ2017」において、Fintech賞を受賞した。
Ruby bizグランプリ2017は、ビジネスの領域においてプログラム言語Rubyの特徴を活かして、新たなサービスを創造し世界へ発信している企業、団体及び個人を対象としたグランプリ。「事業の成長性と持続性」や「事業の社会的な影響度」といった事業の発展性が総合的に評価される。
「URIHO」は、これまで培ってきた金融とインターネットのノウハウを掛け合わせ、業界初となる「定額制・保証かけ放題」のビジネスモデルを実現した点が高く評価された。

<開業・起業を支援する「URIHOスタートプラン」を開始>
2018年1月、開業・起業を支援する「URIHOスタートプラン」を開始した。
「URIHOスタートプラン」は、開業・起業から3年以内かつ年商1億円以下の事業者を対象にした利用プラン。通常料金の半額である月額9,800円で利用することができる。連鎖倒産や資金ショートを防ぐセーフティネットとして企業を下支えし、営業に集中できる事業環境を整えることで生産性向上に寄与する。

<銀行との業務提携>
トラスト&グロースが、武蔵野銀行(2017年11月)および栃木銀行(2018年1月)と顧客紹介における業務提携を行った。
両行とも地域に根差した金融機関として幅広い金融サービスを提供し、中小企業の経営支援にも力を入れていることから今回の提携に至った。
取引先の支払い遅延や倒産による売掛金の未回収を解決する「T&G売掛保証」と、年商5億円以下に特化したネット完結型の売掛保証「URIHO」の2つのフィンテックサービスを両行の顧客にも提供し、企業の成長や地域経済の発展を共に支援していく。
今後も他の地域金融機関との業務提携を進め、販売チャネルの拡充を図り、地域に密着した販売網の構築に積極的に取り組んでいく。

今後の注目点
スーパーデリバリーの流通額合計は第3四半期(11‐1月)27.04億円と、第2四半期(8-10月)に続き2014年第1四半期以降の最高額となり、スーパーデリバリーは確実に成長ベースへ回復しつつあるようだ。ただ、詳細な内訳は開示されていないが、「SD export」の寄与が大きく、国内流通額は依然横ばいが続いており、本格的な回復となるには国内の回復がカギとなる。
一方、第3四半期までの進捗を見ると、売上はほぼ平均的な一方、営業利益はここ数年と比較するとややスローにも見える。第4四半期、どれだけの上積みを行うのかを注視したい。

<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

最終更新日:2017年7月24日

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