(2477:東証マザーズ) 手間いらず 前年比21%の大幅増収

2018/03/22

temairazu

今回のポイント
・18/6期上期は前期比21.1%の増収、同43.7%の営業増益。宿泊予約サイトコントローラー(複数のオンライン予約サイトの情報を一括管理するサービス)のユーザー(宿泊施設)の増加と既存ユーザーのバージョンアップで主力のアプリケーションサービス事業の売上が同25.1%増と伸びた。増収効果とインターネットメディア事業の広告宣伝費の抑制等による販管費の減少で営業利益率が62.7%と10ポイント弱改善した。・通期の業績予想に変更はなく、前期比14.8%の増収、同25.9%の営業増益。3期連続の営業最高益更新が見込まれる(経常利益、当期純利益は4期連続)。通期予想に対する進捗率は、売上高51.0%(前期実績48.4%)、営業利益56.2%(同49.2%)、経常利益56.2%(同49.3%)、純利益58.3%(48.0%)。1株当たり10円の期末配当を予定している(予想配当性向17.5%)。

・日本政府が目標として掲げている「2020年にインバウンド4,000万人」を達成するためには宿泊施設を大幅に増やす必要がある。加えて、民泊の活用も含めて空き家問題をビジネスチャンスと考える不動産業界も有力なターゲットになる。国内の賃貸物件は約200万件にのぼり、既に6万件が「Airbnb」に掲載されている。宿泊施設にとって、販売チャネルの拡大と予約業務の効率化に寄与する宿泊予約サイトコントローラーの潜在需要は大きい。

会社概要

宿泊予約サイトコントローラー「TEMAIRAZU(手間いらず)」シリーズの開発・提供を中心に、比較サイトの運営を行っている。宿泊予約サイトコントローラーとは、複数のオンライン予約サイトの在庫・料金等の情報を一括管理するシステム。宿泊施設の予約業務を効率化する事で、販売チャネルの拡大を可能にすると共に運用コストの低減を実現する。

【事業内容】

事業は、宿泊予約サイトコントローラー「TEMAIRAZU」シリーズの開発・提供を行うアプリケーションサービス事業と、比較サイトの運営を通して広告収入を得るインターネットメディア事業に分かれ、17/6期はアプリケーションサービス事業が売上高全体の92.8%を占めた(連結調整前の営業利益ベースで96.2%)。

アプリケーションサービス事業

ホテルや旅館等の宿泊施設を顧客とし、宿泊予約サイトコントローラー「TEMAIRAZU」シリーズの開発・提供を行っている。予約サイトコントローラーとは、複数のオンライン予約サイトの情報を一括管理するシステムで、販売チャネルの拡大による収益の向上と宿泊施設の予約業務の効率化(運用コストの削減)を図る事ができる。同社が提供する「TEMAIRAZU」シリーズは、複数の宿泊予約サイトを操作一つで簡単に管理でき、スピーディーかつ自動更新のためオーバーブッキングも回避できる。また、ASP型サービスのため、インターネットが接続できれば場所を選ばず、面倒な設定をする事なく利用が可能だ。

複数の宿泊予約サイトも操作一つで簡単管理

在庫や料金の管理を一括で行い、面倒な管理業務から解放。宿泊予約サイト管理の業務フローの統一化が管理コストの削減につながる。

スピーディー&自動更新でオーバーブッキング抑止

予約情報の取得間隔が短いため、素早い在庫調整が可能。急な予約が入った場合でも、一括で各宿泊予約サイトの部屋を手仕舞う事ができる。

インターネット接続できる環境があればOK!

インターネット経由での使用のため、施設・本部等場所を問わず管理可能。専用サーバでの情報管理のため、故障等による急なPCの買い替えでも同じアカウントで利用できる。
自社宿泊予約システム、海外宿泊予約サイト、ホールセラー(法人向け卸売)のシステム等の各種Webサービス、PMS(予約から客室管理、請求までを処理する宿泊施設の基幹システム)、リアルエージェント(店舗展開する旅行会社)の予約システム、更にはCRS(航空会社系のコンピュータ予約システム)等、多様なチャネルからの集客機能の強化を目的にシステム連携を積極的に進めており、インバウンドの集客にも有効なシステムとなっている。

宿泊予約サイトコントローラーとは、複数のオンライン予約サイトの情報を一括管理するサービス。販売チャネルの拡大による収益の向上と宿泊施設の予約業務の効率化による運用コスト削減に寄与する。

(同社資料より)

2015年にブランドを「TEMAIRAZU」に改め、現在、「TEMAIRAZU」シリーズとして、インテリジェントな機能を搭載したシステムである「手間いらず.NET2」及び「TEMAIRAZU YIELD」をラインナップしている。「TEMAIRAZU YIELD」は、従来からの機能に加え、需要予測に基づく客室単価の値上・割引機能や販売先の制限等で収益の最大化に寄与するイールドマネジメント機能をフルに搭載しており、「手間いらず.NET2」は一部の最新機能を省く事で価格を抑えた。両システム共に、在庫・料金等の情報を一括管理する利便性だけでなく、稼働率と平均客室単価の向上が可能で、開発に当たって労働コストの削減もより意識された。月額の固定料金と利用件数に応じた従量制の料金体系をとっている。

インターネットメディア事業

比較サイト「比較.com」を中心とした広告媒体の運営を行っている。広告主のウェブサイトへユーザーを誘導し、成約件数に応じた手数料収入を得る「顧客誘導サービス」と保険や引越しの各種見積もり・資料請求等に応じた手数料収入を得る「情報配信サービス」のアフィリエイト広告を中心に、バナー、テキスト、記事コンテンツ等の広告業務を行っているが、広告に依存した事業構造から脱却するべく、事業構造の見直しを進めている。

2002年、オンライン宿泊予約サイトが出現して間もない頃、インストール型アプリケーション予約サイトコントローラー「手間いらず!」は誕生した。2010年6月に予約サイトコントローラーをASP化した事でAPI連携も可能になり使い勝手が劇的に向上。国内の宿泊予約サイトはもちろん、自社宿泊予約システムや海外宿泊予約サイト・ホールセラーとの連携が進んだ事に加え、PMSとの連携やリアルエージェントとの予約情報の連携もできるようになった。更に、CRSとの連携も可能となり、インバウンド集客にも有効なシステムとなった。
現場ニーズに応えるべく様々な機能追加や改善を行い、2015年に新生「TEMAIRAZU」としてリニューアル。2016年7月には、自動で料金調整やサイト掲載の手仕舞いを行うインテリジェント機能を搭載した「TEMAIRAZU YIELD」と搭載する新機能を絞り込む事で価格を抑えた「手間いらず.NET2」を発売。2017年10月、宿泊予約サイトコントローラー「TEMAIRAZUシリーズ」の更なる認知度・ブランド力の向上と効果的な事業展開を図るべく、手間いらず株式会社に商号を変更した。

2018年6月期上期決算
前期比21.1%の増収、同43.7%の営業増益

売上高は前期比21.1%増の5億38百万円。構造改革を進めているインターネットメディア事業の売上が減少したものの、予約サイトコントローラーのユーザー(宿泊施設)の増加と既存ユーザーの「手間いらず.NET2」及び「TEMAIRAZU YIELD」へのバージョンアップで主力のアプリケーションサービス事業の売上が同25.1%増の5億07百万円と伸びた。

営業利益は同43.7%増の3億37百万円。エンジニアの人件費やデータセンターコストが中心の売上原価が45百万円と同19.3%増加したものの、増収効果で売上総利益率は91.6%と0.2ポイント改善。一方、販管費は、費用対効果を踏まえた比較サイトの広告宣伝費抑制や「TEMAIRAZUシリーズ」の代理店手数料の減少等で1億55百万円と同9.4%減少した。

アプリケーションサービス事業

売上高5億07百万円(前年同期比25.1%増)、セグメント利益は3億73百万円(同34.1%増、利益率73.6%)、全社共通費配賦後利益3億27百万円(同47.0%増、利益率64.5%)。

営業体制強化

営業体制強化の一環として、営業人員を増員すると共に福岡営業所を開設した。福岡営業所は、アジアからの旅行者が多い九州・沖縄地区の営業拠点としての位置付けで、地域に密着した営業を行い、新規契約及びバージョンアップの獲得につなげていく。

民泊需要への対応強化

システム連携では、2018年6月の住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)の施行をにらみ、民泊仲介大手「Airbnb」(2017年7月)や台湾の民泊仲介最大手「AsiaYO」(同年12月)、更には民泊対応ホテルシステム「mister suite」(同年8月)やホテル運営向け民泊導入サービス「m2m Hotels」(同年9月)とシステム連携した。
株式会社SQUEEZE (東京都港区、代表取締役:舘林真一)が提供する「mister suite」は、集客に関わるチャネルマネジメント、最適価格を弾き出すイールドマネジメント、24時間のゲスト対応、物件管理のプロパティマネジメントをクラウドでサポートする。「TEMAIRAZUシリーズ」と並行して利用する事で、管理負担を増やす事なく販売チャネルを拡大する事ができるようになる。
一方、matsuri technologies株式会社(東京都新宿区、CEO:吉田圭汰)が提供するホテル運営向け民泊導入サービス「m2m Hotels」は、ホテル・旅館事業者向けのAirbnb導入サポートサービスで、「Airbnb」に対応したメッセージ管理や返信業務代行、登録物件管理システムを提供している。「TEMAIRAZUシリーズ」を導入している宿泊施設は、「m2m Hotels」と並行して利用する事で簡単に「Airbnb」へ掲載できるようになる。

予約サイト・システムとの連携

また、民泊関連以外でも、4つの予約サイト・システムとの連携を開始した。熊本の魅力を発信している宿泊予約サイト「おるとくまもと」(同年7月)、韓国ホールセラーであるHANATOUR JAPANの宿泊予約サイト「JAPANTOMARU」(同年7月)、米国TravelClick社が運営する海外向け自社予約システム「iHotelier Booking Engine4.0」(同年10月)、及びケーキの総合宅配サイト「cake.jp」である。予約サイトは成功報酬で手数料を徴収するため、宿泊施設は多くの予約サイトを利用する事で販売チャネルを広げる事ができるが、コストは変わらない。このため、「TEAMAIRAZUシリーズ」のシステム連携先を増やす事は宿泊施設への訴求力を強める(システムの利用頻度も増えるため同社の収益にもプラス)。一方、株式会社FLASHPARK(東京都新宿区、代表取締役:高橋優貴)が運営する「cake.jp」との連携は在庫コントロールでの連携ではなく、商品の発注を担うシステム連携である。新たな分野での連携により、宿泊施設の集客力や客室販売単価の引上げと共に機能性や利便性の向上も追求していく考え。

インターネットメディア事業

売上高31百万円(前年同期比20.3%減)、セグメント利益15百万円(同5.0%減、利益率48.7%)、全社共通費配賦後利益10百万円(同16.2%減、利益率33.0%)。比較サイト「比較.com」において、広告出稿の見直しやサービスの最適化等、構造改革に取り組んだ。

上期末の総資産は前期末との比較で1億90百万円増の27億95百万円。主な増加科目は現預金と純資産。自己資本比率は93.0%(前期末94.1%)。

2018年6月期業績予想
業績予想に変更はなく、前期比14.8%の増収、同25.6%の経常増益

通期予想に対する進捗率は、売上高51.0%(前期実績48.4%)、営業利益56.2%(同49.2%)、経常利益56.2%(同49.3%)、純利益58.3%(同48.0%)。売上高・利益供に順調に推移している。

期初予想が保守的だった事もあり、上期は売上・利益共に期初予想を上回った。通期予想を据え置いたため、下期(通期予想と上期実績の差分)は利益率が低下する事になるが、下期に特段のコスト増加要因はないようだ。このため、下期が期初予想に沿った着地であれば通期の営業利益は6億50百万円程度、上期のペースを維持すれば7億円程度になると思われる。

配当は、1株当たり10円の期末配当を予定している(予想配当性向17.5%)。

(2)アプリケーションサービス事業の今後の事業展開

引き続き、民泊市場への対応強化、営業体制の強化、サイト接続連携強化、及びTEMAIRAZUの機能強化に取り組んでいく。「Airbnb」に掲載されている国内物件は約6万物件に上り(「Airbnb」を利用する訪日外国人数は400万人超)、国内で営業許可を受けたホテルや旅館等の宿泊施設総数(8万施設)に迫る勢い。同社は物件を管理している不動産会社との連携も視野に入れ、民泊市場への対応を強化する事で膨大な需要を取り込んでいく。
また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、更なるインバウンドの増加が期待できる。インバウンドの増加に伴う宿泊需要を取り込むべく、人員増強を含め営業体制を強化すると共に、サイト接続連携強化と効率化・省力化の追求によるTEMAIRAZUの機能強化に取り組んでいく。

今後の注目点
国内の宿泊施設は8万件を数えるが、ITリテラシィー等を考慮すると、予約サイトコントローラーのマーケット規模としては楽天トラベルに登録している3万件程度。このうち、1.2万件は既に予約サイトコントローラーを導入しており、残る1.8万件の中には、集客に必ずしも積極的でない家族経営の宿泊施設も含まれるため、ターゲットとしてはその約50%の9,000~10,000件、と言うのが同社のマーケット感。ただ、日本政府が目標として掲げている「2020年にインバウンド4,000万人」を達成するためには宿泊施設を大幅に増やす必要がある。加えて、民泊の活用も含めて空き家問題をビジネスチャンスと考える不動産業界も有力なターゲットになる。大手賃貸サイトの掲載物件は約200万件にのぼり、既に6万件の民泊物件が「Airbnb」に掲載されている。宿泊施設にとって、販売チャネルの拡大による収益の向上と予約業務の効率化による運用コストの削減に寄与する宿泊予約サイトコントローラーの潜在需要は大きい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書        更新日:2017年09月29日

基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、企業価値を継続的に高めていくために不可欠な経営統治機能と位置づけており、コーポレート・ガバナンス体制の強化及び充実に努めております。また、迅速かつ適切なディスクロージャー(情報開示)の実施と、意思決定における透明性及び公平性を確保することがバランスのとれた経営判断につながり、コーポレート・ガバナンスを有効に機能させるうえで重要であると考えております。

当社におけるコーポレート・ガバナンスは、取締役会の適時適切な意思決定により、各取締役がその担当職務の執行を迅速に行える体制を整えております。また、当社は少人数小規模組織ではあるものの、社内規程や業務マニュアルを制定し、その規程等に従って業務活動を行っております。これらの経営上の意思決定や業務活動については、定期的な監査役監査および内部監査により内部統制を働かせております。

また、当社ではコーポレート・ガバナンスを経営統治機能と位置づけており、企業価値を継続的に高めていくための不可欠な機能であるとの認識に基づき、コーポレート・ガバナンス体制の強化および充実に努めております。また、株主に対する説明責任を果たすべく、迅速かつ適切な情報開示の実施と意思決定における透明性および公平性を確保した経営を行って参ります。さらに、健全な倫理観に基づくコンプライアンス体制を徹底し、株主、投資家および事業パートナーをはじめとするステークホルダー(利害関係者)の信頼を得て、事業展開を行って参ります。

<実施しない原則とその理由>

当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

コラム&レポート Pick Up