(9616:東証1部) 共立メンテナンス ホテルの稼働・単価の着実な上昇

2018/03/14

Kyoritsu

今回のポイント
 
・18/3期3Q累計は前年同期比7.5%増収、7.0%経常増益。ホテル事業においてはドーミーイン事業で7棟、リゾート事業で4棟を開業した。既存店においては前年を上回る高稼働、高客室単価で推移した。寮事業では期初稼働率は、前年比1.0ポイント増の98.3%と好調にスタートし増収増益となった。

・通期予想は上方修正。18/3期は11.2%増収、6.8%経常増益を計画する。売上高で28億円、営業利益で4億円、経常利益で6億円、親会社株主に帰属する当期純利益は2億円の上方修正となった。当初は中期経営計画に基づく先行的開発に伴うホテル開業費用負担により、1.6%経常増益と見込んでいたが、ホテルの稼働・単価の着実な上昇に加え、不動産流動化の推進も寄与する結果、開業費用を吸収し6.8%増益に上方修正した。配当は年36円(うち上期18円)を予定している。

・上期は期初予想減益から増益で着地。今回は通期予想を上方修正と着実な進捗となっている。来期を見据えると、寮事業では期初稼働率を前年比0.2ポイント増の98.5%を見込んでいる。ホテル事業においては今期開業したホテルの通年寄与が考えられ、見通しは明るい。訪日外客数は毎月2桁増が続くなど事業環境は良好。課題は人材の確保になりそうである。コーポレートスローガンを、『よい朝のために。』に刷新、コーポレートシンボルも策定し顧客への訴求を進める。

 
会社概要
 
“ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」さらに「癒し」のサービスを通じて、広く社会の発展に寄与する”と言う経営方針の下、「現代版下宿屋」(食事付きの寮の運営)を中心にした寮事業、「温泉感覚を取り入れた大浴場」と「美味しい朝食」といった寮事業のノウハウを活かしたホスピタリティ重視のビジネスホテルや「リーズナブルで質の高いリゾートライフ空間の創造と提供」をテーマに掲げたリゾートホテルのホテル事業、オフィス(事務所)・レジデンス(住居)のビルメンテナンス、ビル賃貸及び賃貸代行、駐車場運営等の総合ビルマネジメント事業、外食やレストラン運営受託のフーズ事業等を展開。知名度と実績で他社を凌駕する主力の寮事業を安定収益源とし、ホテル事業の育成により成長を加速している。
事業の種類別セグメントと売上構成(17/3期)は次の通りである。
 
 
【沿革】
設立は1979年9月。食の世界に長く携わった創業者 石塚晴久氏が調理人として企業の給食施設の運営受託を開始した。翌80年には千葉県佐倉市に、木造2階建て(四畳半が28室)の民間学生寮「学生会館」第一号棟が誕生。「食」を第一として、「学生の健康と元気こそが親の安心」との考えのもと、提携先の学校名を冠した学生会館事業を展開。東京・神奈川地区、名古屋地区、大阪地区へとエリアを拡大した。85年4月には、「一室から借りる事ができ、朝夕2食付き」を特徴とし、ゆっくり身体を癒せる「大浴場」も重視した社員寮事業を開始。87年5月には、学生寮、社会人寮、給食施設等の受託事業で培った「賄いのノウハウ」を活かし外食事業に展開。93年6月に本社移転(東京都千代田区)を経て、同年7月に長野県でリゾートホテル事業に、8月に埼玉県でビジネスホテル事業に参入した。翌94年9月、現在のJASDAQ市場へ上場(店頭登録)、99年3月の東証二部上場を経て、01年9月に東証一部上場となった。
 
 
新中期経営計画「Kyoritsu Jump Up Plan」:18/3期~22/3期の5ヶ年計画
 
(1)「Kyoritsu Jump Up Plan」骨子
名称
「Kyoritsu Jump Up Plan」
 
基本方針
Ⅰ.顧客満足度の向上
顧客満足度向上に繋がる商品・サービスを創造し、 顧客からの当社への評価を高め、さらなる信頼を得る。
Ⅱ.開発の先行的実施
事業拠点を拡大し、盤石な基盤を構築する。
 
期間
2017年4月~2022年3月
 
定量目標
22/3期 売上高:2,200億円 営業利益190億円(年平均10%成長)
 
将来の環境変化に打ち勝つ強固な事業基盤を早期に構築するため「顧客第一」を再認識し、顧客からのさらなる信頼を得ながら、「先行的開発」を実施する方針。
 
(2)顧客満足度向上のための重点施策
1.人材育成強化
事業の拡大スピードに応じた人材確保を図る。
積極的に新卒採用をするとともに、顧客の気持ちに応えることのできる、能力の高い人材の安定確保に取り組む。
 
 
人材の安定的確保 … 採用力の更なる強化に加え、定着(離職防止)の促進
研修プログラムの充実 … サービスレベルの維持・向上、階層別研修制度の充実
多様な人材の活用 … グローバル化へ対応すべく、多様な人材の確保と活用
顧客満足度の向上
 
2.寮事業
商品ラインナップの拡充、付加価値の強化
 
3.ホテル事業
自社サイトを活性化させ、販売チャネルとしての影響力を強める。
会員専用プランなど、自社サイトへ誘導
エージェントフィーなどのチャネルコストを削減
ロイヤルティを高め、リピーター獲得へ
支持層(ファン・リピーター)の拡大へ
 
HOTESPA.netサイトのリニューアルでリピーターの拡大を図る。
自社サイトの利便性・会員特典を改善。顧客情報を蓄積、リピーターを生み出すサイクルを構築し、顧客基盤を強化する。
 
(3)開発計画
持続的な成長に向けた開発計画
 
(4)定量目標の見通し
飛躍のための「開発先行型」プラン
18/3期~19/3期を「開発先行期」と位置付け、20/3期~22/3期に加速した成長を目指す考え。
 
 
(5)財務方針
開発投資は5年間で総額1,400億円が見込まれる。
キャッシュフロー700億円、オフバランス(セール&リースバック)300億円、外部資金調達400億円で賄う考え。
これまでと同様にネットD/Eレシオ1.0倍以下で財務健全性を維持させる。
 
(6)目標配当性向
13/3期以降連続して増配しつつも10%台にとどまる配当性向は、22/3期までに20%超を目指す。
 
(7)追加施策
今上期に中期計画に絡んだ新たな施策を打ち出した
①顧客との関係構築を進める。新たに社長直轄の組織として、「総合顧客ネットワーク室」を設立した。同社の利点である、学生、社会人、中高年、シニア、そして次世代へ生涯を通じて各事業との接点を保ち、同社の全商品、サービスをタイムリーに届ける。具体的には、顧客の情報を統合、分析し、宿泊申し込みからチェックアウトまでより簡素に迅速化する。特にWebによる簡素な予約システムを充実させ、顧客の利便性を高めるだけでなく、収益効果としても代理店手数料の軽減が図れる。
②オフバランスを前倒しで実行する。当初、開発コスト増加により、中計の前半2年間を「開発先行期」として、緩やかな成長を目指していた。しかし、市場からはより高い成長を望まれる声も聞かれた。そういったことを踏まえ、新組織「不動産流動化事業部」を組成した。当初の計画上、オフバランスは中計の後半で見込んでいたが、これを前倒しで取り組む。開発先行期間中にもオフバランスによる売却利益を計上することで、開業コストのインパクトを吸収でき、安定的な利益成長も図れる。有利子負債増加を抑制し、財務バランスの改善にも繋がる。尚、開発計画そのものの変更はない。
 
 
2018年3月期第3四半期決算
 
 
前年同期比7.5%の増収、同7.0%の経常増益
売上高は前年同期比7.5%増の1,087億26百万円。寮事業は好調な期初稼働率となり3.4%増収、ホテル事業ではインバウンド需要の続伸等を背景に16.2%増収となった。営業利益は前年同期比5.5%増の102億14百万円。寮事業、ホテル事業とも先行的開発による開業準備費用を吸収し増益を確保した。投資事業組合運用益の増加や支払い利息の減少などで、経常利益は同7.0%増の99億85百万円、固定資産売却益の計上や前期の災害による損失がなくなったことにより親会社株主に帰属する四半期純利益は同13.9%増の66億61百万円となった。
取り巻く環境は、インバウンド需要の続伸、企業の採用人数増加や海外からの留学生の増加などが追い風となった一方、労働力不足、当社グループ基幹事業である寮事業、ホテル事業への他業態からの新規参入なども見受けられた。また、地政学リスクによる影響なども語られた。
こうした中、今期を初年度とする5ヶ年の中期経営計画「Kyoritsu Jump Up Plan」を策定し、中期経営計画の骨子である「顧客満足度の向上」及び「開発の先行的実施」を着実に推進した。
 
 
営業利益率は前年同期比0.2ポイント低下して9.4%。寮事業、ホテル事業とも先行投資もあり低下した。
 
寮事業
売上高は前年同期比3.4%増の343億78百万円、営業利益は同2.3%増の51億68百万円。
寮事業において同社がKPI(Key Performance Indicatorの略で、企業目標の達成度を評価するための主要業績評価指標)とする期初の定員稼働率が前期と同水準の98.3%と好調にスタート。12月末契約者数は前年同期比628名増の33,143名と好調を維持している。社員寮事業において、積極的に新入社員を採用する企業や、新たに寮制度を導入する企業が増加したことなどにより、契約数が増加した。
 
 
ホテル事業
売上高は前年同期比16.2%増の530億29百万円、営業利益は同6.5%増の67億14百万円。
 
ドーミーイン(ビジネスホテル)事業
3Q累計に「明神の湯 ドーミーインPREMIUM神田」、「天然温泉 日向の湯 ドーミーイン宮崎」、「天然温泉 八雲の湯 ドーミーイン出雲」、「天然温泉 海神の湯 ドーミーインEXPRESS仙台シーサイド」、「天然温泉 勝運の湯 ドーミーイン甲府丸の内」、「天然温泉 吉野桜の湯 御宿 野乃 奈良」、「global cabin 東京水道橋」の7棟がオープンした。また、既存の事業所においては、インバウンド顧客の大幅な増加や、国内の顧客利用数が堅調に伸びたことも寄与し、客室稼働率、客室単価共に前年同期を上回り、好調に推移した。
稼働率、客室単価とも前年を上回っており、3Q累計のRevPARは前年比0.5千円増の10.0千円となった。
 
 
 
リゾート(リゾートホテル)事業
3Q累計に出雲大社の膝元に中国・四国エリア初出店となる「いにしえの宿 佳雲」、「お宿 月夜のうさぎ」の2棟がオープンしたほか、共立リゾート初のペット同伴ホテル「ルシアン旧軽井沢」及び箱根地区4棟目としてハイグレードな「強羅温泉 雪月花 別邸 翠雲」がオープンした。また、既存の事業所においては、台風の影響もあったが前年同期を上回る客室稼働率、客室単価にて推移したほか、稼働状況に応じた柔軟な人員配置をすることなどにより、コストコントロールを徹底した。
稼働率、客室単価とも前年を上回っており、3Q累計のRevPARは前年比0.9千円増の36.2千円となった。
 
 
 
その他の事業
売上高は前年同期比2.8%減の393億41百万円、営業利益は同2.3%減の7億26百万円。
総合ビルマネジメント事業は売上高が前年同期比8.5%減の102億89百万円、営業利益は同16.0%減の2億24百万円。前年同期に大型建設案件が発生した影響により減収減益となった。
フーズ事業は売上高が前年同期比4.8%増の50億95百万円、営業利益は同552.4%増の1億17百万円。ホテルレストラン受託事業の案件増加や不採算店舗の閉鎖に伴い増収増益となった。
デベロップメント事業は売上高が前年同期比5.4%減の151億円、営業利益は同13.9%減の6億10百万円。分譲マンション開発が減少したことに加え、ホテル開発案件の一部に遅れが生じたこと等により減収減益となった。
その他事業(報告セグメントに含まれない事業、シニアライフ事業(高齢者向け住宅の管理運営事業)、PKP事業(自治体向け業務受託事業)、単身生活者支援事業、保険代理店事業、総合人材サービス事業、融資事業及び事務代行業が該当)は売上高が前年同期比5.5%増の88億55百万円、営業損失2億26百万円(前年同期は2億51万円の損失)となった。
 
 
3Q末の総資産は前期末比144億77百万円増の1,880億86百万円となった。主な要因は、仕係販売用不動産、建物及び構造物の増加などによるもの。
負債は同83億17百万円増の1,176億6百万円となった。主な要因は、短期借入金の増加などによるもの。
純資産は同61億59百万円増の704億80百万円となった。主な要因は、利益剰余金の増加などによるもの。
自己資本比率は37.5%となり、前期末比0.5ポイント増加した。
 
 
2018年3月期業績予想
 
 
上方修正、前期比11.2%の増収、同6.8%の経常増益予想
通期予想は上方修正。18/3期は売上高が前期比11.2%増の1,510億円、経常利益は同6.8%増の123億円を計画する。売上高で28億円、営業利益で4億円、経常利益で6億円、親会社株主に帰属する当期純利益は2億円の上方修正となった。当初は中期経営計画に基づく先行的開発に伴うホテル開業費用見込額12億70百万円の負担により、1.6%経常増益と見込んでいたが、ホテルの稼働・単価の着実な上昇に加え、不動産流動化の推進も寄与する結果、開業費用を吸収し6.8%増益に上方修正した。配当は年36円(うち上期18円)を予定している。
 
 
今後の注目点
上期は期初予想減益から増益で着地。今回は通期予想を上方修正と着実な進捗となっている。
来期を見据えると、寮事業では期初稼働率を前年比0.2ポイント増の98.5%を見込んでいる。ホテル事業においては今期開業したホテルの通年寄与が考えられ、見通しは明るい。
訪日外客数は毎月2桁増が続くなど事業環境は良好。同社の開発も着実に進行しており、今後の課題は人材の確保になりそうである。同社では中期計画の重点施策でも「人材の安定確保」を挙げており、採用・教育にも力を入れていく考え。人材不足が慢性化している中、今後いかに事業拡大に見合う人材を確保するかにも引き続き注目したい。
コーポレートスローガンを、『よい朝のために。』に刷新した。現在まで各事業にわたり共通認識・展開してきた‘わが家のようなくつろぎ’のスタンスを再認識し、同社の全ての活動は、顧客が活力に溢れた朝を迎える為であり、‘よい朝のための活動’と定義する。
コーポレートシンボルも策定した。
 
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
コーポレート・ガバナンス・コード適用後の直近のコーポレート・ガバナンス報告書提出日、2017年7月26日。

<基本的な考え方>
当社は、創業以来顧客第一を経営理念として、ライフステージの様々な場面でのサービスの提供を通じて広く社会の発展に寄与することを経営方針としております。また、永続的発展と長期的な株主利益の最大化を目指すため、コーポレート・ガバナンスの充実が不可欠と考え、経営の意思決定の迅速化、経営の監督機能の強化、説明責任の重視・徹底、迅速かつ適切な情報開示等を行っており、透明性、健全性等を確保することが重要な経営課題であると認識しております。
また、当社は会社法に基づく機関として、株主総会、取締役、取締役会、監査等委員会、会計監査人を設置しており、これらの機関のほかに、経営情報会議、コンプライアンス委員会、グループ経営情報交換会を設置しております。
<コーポレート・ガバナンス・コード各原則の実施について>
同社は各原則すべてを実施している
 
<開示している主な原則>
 
 

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