(3927:東証マザーズ) アークン 営業損失が縮小 ラインナップの拡充進む

2018/03/07

ahkun

今回のポイント
・18/3期第3四半期は前年同期比8.1%の増収、17百万円の営業損失(前年同期は92百万円の営業損失)。エンドポイントセキュリティに対するニーズの高まりが追い風となる中、販路の開拓や製品ラインナップの拡充が成果を上げつつある。売上総利益率の改善と全社的な経費の削減で前年同期は92百万円だった営業損失が17百万円に縮小した。・通期予想を上方修正し、前期比7.7%の増収、33百万円の営業損失を見込む。オールインワン製品「Secure Ace」や№1社との共同企画商品の発売でラインナップの拡充が進んでおり、九州・四国地域でのOA機器販売会社との連携による販売店開拓にも手ごたえを感じているよう。

・通信機器メーカー向けのソフトウェアのプログラム供給が安定してきた。

会社概要

情報セキュリティソリューション開発会社。インターネットを悪用した外部からのマルウェア攻撃を防御する「Ahkun EX-AntiMalware」や企業の内部関係者による情報データベースへの不正アクセス及び情報漏洩等を防止する「Ahkun PasoLog」等の企業向けセキュリティ製品を販売すると共に、それら製品の保守サービスを提供している。OA機器販売会社、通信機器販売事業者、通信機器メーカー、システム・インテグレーター等を販売代理店とし、OA機器販売会社の比率が高い。
尚、マルウェア(malware)とはコンピュータを不正に動作させる悪意のあるソフトウェアの事。コンピュータウイルスやワーム等。

【企業理念】

企業理念は「中小事業者のIT部門であり続けることで社会貢献をしたいと考えます」。社会(Social)的役割や責任をベースとして、会社の目的や組織共通の価値基準を設定し、同時にそれを従業員の行動規範としている。

Security    ITセキュリティ事業を推進する
Objective    目的意識、目標を常に持つ
Contribution  社会貢献する
Innovation   技術革新を怠らない
Ace       分野でのNo.1を狙う
Love      社会、人、地球環境への慈愛を持つ

【沿革】

産業界の投資拡大や電子政府の実現に向けた政府の取り組み等もあり、インターネットを軸とする高度なネットワーク社会が形成されつつあった2001年5月、ITセキュリティ対策に特化したサービス及びソリューションを通じて、ネットワーク社会の実現に貢献するべく設立された。
2004年6月に業務提携していたImperva Inc.(米国)の情報漏えい防止、データ・リスク管理ツール「Secure Sphere」の販売を開始。2005年6月に国内初のスパイウェアリサーチセンターを設立し、同年11月に総合的なアンチマルウェア対策を可能とする「Ahkun Antimalware-V4」の販売を開始。2006年5月には、「Ahkun Antimalware-V4」のASP版である「AntiMalware-ASP」が、(株)ぷららネットワークが運営する「Business Plala」に採用された。
2007年2月にはソフトウェアとハードウェア(ファイアウォールサーバー)の一体型であるアプライアンス製品「Ahkun Antimalware-V5」の販売を開始。その後、全て国産製品で構成される「Ahkun EX-AntiMalware」(2012.年9月発売)や企業のPC業務管理の支援を目的とする「Ahkun AutoDaily Server」(2013年8月発売。現在は後継品の「Ahkun PasoLog」)の投入でラインナップを拡充。2015年12月に東京証券取引所マザーズに株式を上場した。

【製・商品ラインナップ】
オールインワンサーバ「Secure Ace」    2017年6月発売

マルウェア対策、内部統制対策、情報保護対策の3つのセキュリティ対策を実現できるローコスト・ハイパフォーマンスなオールインワンセキュリティサーバ。50名までの中小企業のオフィスであれば、この1台で万全なセキュリティ対策を実現できる。後述するアンチマルウェア「Ahkun EX-AntiMalware」、業務管理システム「Ahkun PasoLog」、及びファイルの自動暗号化&バックアップ「OfficeCrypt」の機能を統合したオールインワン製品として2017年6月に発売された。

「Secure Ace」は、全てのソフトウェアがフルバンドルされたエクストラパッケージと、既存の「Ahkun EX-AntiMalware」ユーザ向けに、内部統制対策ソフト「PasoLog」と情報保護対策ソフト「OfficeCrypt」をバンドルしたベーシックパッケージの2つのモデルが用意されている。どちらも必要なソフトウェアがプリインストールされたアプライアンス製品であるため、セキュアな環境を簡単に構築する事ができる(クライアントPCへのインストールは別途必要)

アンチマルウェア「Ahkun EX-AntiMalware」

法人向け IT全般統制支援ソリューション。独自のマルウェアデータベースを、世界最高レベルの検知能力を誇るウイルス対策ベンダーのデータベースと統合する事で、海外のデータベースに依存する他社セキュリティベンダーでは対応できない、クライアントレベルの「不正プログラム対策 + 使用禁止ソフト対策」をワンストップで提供する。

OA機器販売会社を代理店として販売されるアプライアンス製品(OEM製品のNRシリーズと非OEM製品がある)、ゲートウェイセキュリティ製品等を手掛ける通信機器メーカーに対するソフトウェアのOEM(通信機器メーカーの自社製UTM製品の組込み用ソフトウェアとして提供)、「Ahkun EX-AntiMalware」にクライアント管理ツール「AntiMalware Manager」を加えた法人ネットワーク向けのアプライアンス製品(エンタープライズ:「Ahkun EX-AntiMalware Enterprise」)等、取引先のニーズに応じて製品や製品の供給方法が変わる。尚、UTM製品とは、複数の異なるセキュリティ機能を一つのハードウェアに統合した製品。

取引先のニーズに応じた製品や製品の供給

・OA機器販売会社を代理店として販売されるアプライアンス製品(ハードウェアにセットアップ) ⇒ OA機器販売会社 ⇒ 販売店
・通信機器メーカーに対するソフトウェアのOEM供給(ソフトウェアのライセンス販売) ⇒ 通信機器メーカー ⇒ 販売店
・法人ネットワーク向けアプライアンス製品(多数のクライアント管理に必要なクライアント管理ツール搭載)
業務管理サーバ「Ahkun PasoLog」

社内の各PCにインストールしたクライアントプログラムが収集した操作ログを集計・分析しブラウザで確認できる(可視化する)管理プログラム。各クライアントの作業履歴(作業状況やソフトウェアの使用状況等)の一元管理(収集&集計)が可能で、企業の内部関係者による情報データベースへの不正サクセスや情報漏洩等を防止する。

自動暗号化&バックアップ「OfficeCrypt」

自動暗号化による情報漏洩防止とバックアップによる早期システムリカバリー機能を有する。PC内の重要情報を自動暗号化、自動バックアップするソフトウェア。

Imperva社「SecureSphere」シリーズ(輸入商品)

Imperva社(米国カリフォルニア州)の大企業・金融機関向けWebデータベースセキュリティ商品(高性能のWAF)である。システム・インテグレーター経由で販売しており、システム変更やサーバの入替えの際に需要がある。WAFとはWeb Application Firewallの略で、Webサイト上のアプリケーションに特化したファイアウォール。従来のファイアウォールは不正アクセスをネットワークレベルで管理するが、WAFはアプリケーションレベルで管理を行う。このため、従来のファイアウォールでは防ぎきれないWebアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃に対して有効とされている。

2018年3月期第3四半期決算
前年同期比8.1%の増収、17百万円の営業損失(前年同期は92百万円の営業損失)

売上高は前年同期比8.1%増の5億9百万円。製品売上、保守売上共に増加した。エンドポイントセキュリティに対するニーズの高まりが追い風となる中、販路の開拓が成果を上げつつあり、UTM製品の販売が堅調に推移した。

損益面では、売上総利益率の改善と全社的な経費の見直し及び削減で前年同期は92百万円だった営業損失が17百万円に縮小。パワードプロセスコンサルティング(株)社債にかかる有価証券利息の計上と為替差損の減少よる営業外損益の改善と前社長(5月辞任)の役員退職慰労金の返上に伴う特別利益(役員退職慰労引当金戻入額21百万円)の計上、更には税効果会計の影響もあり、四半期純損益は6百万円の利益に転じた。

第3四半期末の総資産は前期末に比べて48百万円増の9億85百万円。借方ではCFの改善で現預金が増加し、貸方では保守契約(通常、契約期間は5~6年)の積み上げで前受金及び長期前受金が増加した他、ストックオプションの行使で純資産が増加した。前受金及び長期前受金は、今後、売上計上されていく。流動比率360.8%(前期末383.5%)、自己資本比率40.5%(同39.7%)。

業績回復に向けての取り組みと進捗状況

業績回復に向けて、販路の開拓、No.1社との商品共同企画・販売、及び製品ラインナップの充実、に取り組んでいる。

マルウェア対策(守る)では、外部からのウィルス・ワーム等への対応だけでなく、社員による不適切ソフトの利用防止等の機能も備えている。
業務ログ管理(見張る)では、ネットワークの利用状況を可視化する。業務ソフト等の利用状況を把握し生産性向上に役立てる事も可能なため、働き方改革の一環で引き合いが増えている。
早期システム回復(助ける)は重要ファイルを暗号化して安全な場所に隔離する。
(同社資料より)

九州・四国地域において、通信キャリア系OA機器販売会社との連携によりセミナー開催や同行営業を積極的に展開した結果、販売代理店の開拓が進んだ。また、情報セキュリティ機器の自社企画も手掛けるOA機器販売代理店であるNo.1社(証券コード3562)と共同で商品開発に取り組み、第3四半期に2機種の販売を開始した(後述)。現在、通信機器メーカー2社にプログラムを提供しているソフトウェアのOEM供給では、新たに2社からの引き合いを受け、今期中の提供開始に向けた商談が進行中である。
一方、システム・インテグレーター経由で販売しているWebデータベースセキュリティ商品(高性能のWAF)は、システム変更やサーバの入替えの際に需要がある。

株式会社No.1(以下、No.1社)との共同企画商品

No.1社との共同企画商品として、2017年10月2日より「WALLIOR NWS-2T500SS」の販売を、2017年11月20日よりClub One Systemsシリーズ「NR-C500A」の販売を、それぞれ開始した(現在、営業社員に対する販売教育を実施中)。No.1社は2012年から取引を続ける同社の有力顧客であり、2017年3月に東証JASDAQ市場に株式を上場した。

「WALLIOR NWS-2T500SS」は、改正個人情報保護法に対応した中小企業向けエンドポイントセキュリティ商品。パソコンのログ収集、監視とファイル共有、マルウェア対策機能に加え、感染したデータを感染前の状態で別に保存する「情報資産保護対策機能」と、情報が社外に漏洩した場合に漏洩データを解読出来ないようにする高度な暗号化対策「高度な暗号化機能」を搭載している。同社のオールインワンサーバ「Secure Ace」と同等の機能を有するが、従来の同社製品ではカバーできなかったより小規模のユーザの利用を想定している。
一方、Club One Systemsシリーズ「NR-C500A」は、Club One Systemsシリーズの普及版としての位置づけ。「従業員1名の企業」でも導入できる敷居の低さを特長とし、ゲートウェイセキュリティとエンドポイントセキュリティの機能に加え、パソコンのログ監視機能も搭載しているが、同シリーズの既存商品と比べて価格を抑えた。同社の説明によると、日本には380万社の中小企業があると言われているが、意識の低さに加え、コストや技術的な問題もあり、必要なセキュリティ対策を実施(導入)している企業は全体の10~15%程度にとどまっている。No.1社の顧客でセキュリティ製品を導入している約20%にとどまっており、残りの約80%への導入を図るべく開発された商品である。

製品ラインナップの充実

同社は、「中小企業のIT部門」として顧客企業の業務活動を支援するために、「情報セキュリティ対策三本の矢」を開発の基本戦略として掲げ、既存顧客を満足させ、新規顧客の獲得につながる製品を念頭に開発を進めている。三本の矢とは、マルウェア攻撃からパソコンを守る「マルウェア対策(セキュリティ対策)」、パソコンの不正使用抑制や業務効率化に寄与する「業務ログ管理(IT統制)」、及び重要ファイルを暗号化して安全な場所に隔離する事で情報漏洩防止と早期システムリカバリーを可能にする「早期システム回復(リカバリー)」である。

ファイルの自動暗号化&バックアップソフトウェア「OfficeCrypt)」の開発完了を受けて、「マルウェア対策」、「業務ログ管理」、「早期システム回復」を可能とするオールインワン製品「Secure Ace」の販売を2017年6月に開始した他、上記の通り、No.1社との共同企画商品2機種を開発し、第3四半期に販売を開始した。また、「マルウェア対策(セキュリティ対策)」では、特許取得予定の未知ランサムウェア検知技術が搭載されるExAntiMalwareシリーズの新製品であるV7(仮称)の社内品質テストを実施中である。19/3期第1四半期の発売を目指している。

(2)中長期の取り組み

中小企業のセキュリティ対策は遅れており、未だ潜在需要は大きいと思われ、既存販路の深堀に最優先に取り組むが、並行して、新規販路の開拓と新機能・新製品の開発に取り組む。また、中長期的な視点から新規事業の開発にも取り組む。

新規販路の開拓は、販路の拡大と特定販路への依存度引き下げ(販路の多様化)を念頭に置いたもので、販売店やプログラム供給先の開拓を進める。新機能・新製品の開発では、製品の深化(機能改良)と製品の進化(新製品の開発)に取り組み、製品の訴求力の向上や既存顧客の再購入(リプレイス)及び新製品購入の促進、更には新規顧客の獲得につなげる。

2018年3月期業績予想
通期業績は上方修正し、前期比7.7%の増収、33百万円の営業損失

「マルウェア対策」、「業務ログ管理」、「早期システム回復」を可能とするオールインワン製品「Secure Ace」やNo.1社との共同企画商品の発売でラインナップの拡充が進んでおり、九州・四国地域でのOA機器販売会社との連携による販売店開拓にも手ごたえを感じており、通期予想を上方修正した。

今後の注目点
新製品の販売開始や他社との製品共同企画等による製品の拡販、販路の開拓による売上高への貢献に期待。
また、2017年5月に改正個人情報保護法が全面施行され、取り扱う個人情報が5,000人分以下の小規模事業者にも同法が適用されるようになったため、情報セキュリティ対策のすそ野が広がり今後の業績に反映されることが期待される。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書     更新日:2017年07月06日
基本的な考え方

当社は、すべての利害関係者に対し企業としての責任を果たすため、経営の透明性、活動の公平性、意思決定の迅速性、および適切な情報開示を行うことが経営の重要課題として考えております。そして、これらの重要課題に取り組むことにより、継続的な企業価値を向上させることが、当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方であります。

<実施しない原則とその理由>

基本原則のすべてを実施してまいります。

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