(3633:JASDAQ) GMOペパボ ハンドメイドマーケット流通額の着実な成長を期待

2018/03/07

pepabo

今回のポイント
・17年12月期の売上高は前期比8.1%増加の73億65百万円。「minne」の成長に加え、主力事業が堅調だった。営業利益は同6.6%増の1億43百万円。minneの広告宣伝費はWeb広告の積極的な展開に加え、TVCMを放映したため同9.4%増の11億円となるなど、販管費も増加したが増収効果で吸収した。前期にあった関係会社貸付金貸倒損失が無くなったため当期純利益は同41.0%増の1億19百万円となった。「minne」の流通額が想定を下回ったため売上高は期初予想・修正予想を下回ったが、「ロリポップ!」や「カラーミーショップ」の顧客単価が上昇したことから利益率が改善し、利益は予想を上回って着地した。・18年12月期の売上高は前期比5.9%増の78億円を予想。ホスティング事業、ハンドメイド事業で堅調な推移を見込んでいる。営業利益は同129.7%増の3億30百万円の予想。ハンドメイド事業の損失が縮小する。配当は50.00円/株の予定。予想配当性向は50.9%。

・2018年1月、「カラーミーショップ」サービスにおいて不正アクセスが発生し、ショップオーナーおよび購入者の情報が流出した可能性があることが判明した。佐藤社長を委員長とした「再発防止委員会」を設置し、事実関係の調査、原因の調査、再発防止策の提言、調査報告書の公表などに取り組み、再発防止に全社で取り組んでいく。

・ハンドメイドマーケットの市場性からすればまだまだ成長余地が大きいと会社側が考えている「minne」だが、前回のレポートでも述べたように、前期実績18.2%、今期予想15.9%という増収率は残念ながら物足りないと言わざるを得ない。また流通額も、17年12月は初の100億円超えとなったが2017年の期初目標125億円には20億円以上及ばない結果となってしまった。急成長を望むのは難しいビジネスモデルではあろうが、アプリDL(ダウンロード)数、流通額の着実な成長を期待したい。

会社概要

インターネットを使って自己表現したい個人ユーザーに対し、レンタルサーバー、ドメイン取得、オンラインショップ構築ASPなど各種サービスを提供。内製化による多様なサービス提供、独自の企業文化などが特長・強み。
既存のストック事業の安定収益に加え、2012年にスタートしたハンドメイド作品の CtoCサービスであるハンドメイドマーケット「minne」(ミンネ)による更なる成長を目指している。

【沿革&社長プロフィール】

2003年1月、同社創業者である家入 一真(いえいり かずま)氏が個人向けホスティング事業を目的とし、有限会社paperboy&co.を設立した。
当時日本におけるインターネット環境は既に草創期から普及期に入ってはいたものの、ウェブサイトを通じて情報を発信するためには自らサーバーを持たないと活動ができない時代で、各種サービスは法人向けが主流で価格も高額であり、個人が気軽に利用することは難しかった。
そうした中同社は、「自己を表現したい個人」にインターネットのインフラを安価に提供することを目指し、月額数百円でのホスティングサービスを開始した。また1年後には、ドメイン取得代行サービスを開始するなど、インターネットを利用して情報発信、自己表現をしたい個人ユーザーのニーズを多角度から捉えて事業は順調に拡大した。
さらに当時米国で普及の兆しが見えていたブログにもいち早く注目して日本語で利用できる環境を構築したことも、成長の大きな原動力となった。
2004年3月にはGMOインターネット株式会社(当時:グローバルメディアオンライン株式会社)を割当先とした第三者割当増資を実施し、GMOグループの一員となった。
当時、paperboy&co.に対しては複数の大手インターネット企業が強い関心を持ち、資本参加を申し入れていたが、法人中心にサービスを展開していたGMOグループが、シナジー効果や新サービスの作り易さ等から最適と判断した。
その後も、オンラインショップ構築ASPサービス、クリエイター向けレンタルサーバー提供サービス等の新サービスを相次いでリリースし業績は順調に拡大。2008年12月、JASDAQ市場に上場し、2014年4月、現社名に商号を変更した。

佐藤 健太郎社長は1981年1月生まれ。自らHPの制作などを行い、学生時代から家入氏に乞われ同社の前身会社の手伝いをしていた同氏は、2003年1月同社設立に参加。社長室長、代表取締役副社長経営企画室長などを務めた後、2009年3月に代表取締役社長に就任した。GMOインターネット社の取締役でもある。

【経営理念など】

以下のような、経営理念やミッションを掲げ、個人ユーザーに対しより魅力的でより使いやすいインターネット環境を提供する事を目指している。

【事業内容】

以上の、経営理念やミッションの下、「インターネットで何かを始めたい」個人ユーザーに対し様々なインターネットサービスを利用しやすい価格で提供し、インターネットを通じた個人の表現活動を支援している。
事業は「ホスティング事業」、「EC支援事業」、「ハンドメイド事業」、「コミュニティ事業」の4分野を中心に構成されている。

<ホスティング事業>

ウェブサイトやホームページを開設するためのサーバーや各種機能、ドメイン等を提供。各サービスの利用料が主な売上となっている。

<EC支援事業>

電子商取引(EC)の運営を支援するオンラインショップ構築サービス、オンラインショッピングモール運営、店舗ホームページ構築サービスを格安の料金で提供。サービスの利用料金や手数料を主な売上としている。

<ハンドメイド事業>

現在同社が育成に最も注力しているのがハンドメイド作品のCtoCハンドメイドマーケット「minne」である。

<概要>

2012年にスタートした「minne」は、自分が制作したハンドメイド作品を発表・販売したい作家と、一点ものや個性豊かな作品を購入したい消費者をインターネット上でつなぐ CtoCのハンドメイドマーケット。
2017年12月末現在、登録作家数39万人、出品作品数689万点と国内最大のサービスへと成長しており、今後もさらに拡大のスピードを上げ、圧倒的なNo.1を目指している。
成長スピードを加速させるための様々な新企画を社内で検討している中で、「自己表現者を支援する」という同社の方向性に合致していることから、同サービスの開発に着手した。
ウェブとアプリでサービスを提供しており、現在はアプリ経由の利用者が多数を占める。2017年12月末現在のアプリのダウンロード数は863万DL。

<市場規模と成長の背景>

インターネットを介して消費者間でモノの売買やサービスの提供を行う「CtoC」ビジネスが急速に拡大している。
オークション、フリーマーケット、チケット売買、民泊など扱うモノやサービスは様々であるが、国内ホビー市場におけるC to C市場およびハンドメイドサイト流通額はそれぞれおおよそ1,000億円、200億円で、ともに2桁成長が続いていると同社では推計している。
minneの2017年の年間流通額は102.9億円で前期比22.6%の伸長となった。

*CtoC市場成長の背景

CtoC市場の成長には、主に以下の3つの背景があると言われている。

①スマートフォンの普及
PCを用いて作家が自分の作品を出品する場合、作品の撮影、PCへの画像取り込み、説明原稿の入力・アップといった作業が必要となるが、現在は多くのサービスがスマホに最適化しているため、スマホのカメラで写真を撮影し、必要なテキストをフォームに入力するだけで簡単に出品することができ、出品のハードルが大きく下がっている。

②所有からシェアへの意識の変化
大量生産・大量消費の時代から、環境やサステナビリティなどモノを大切にする考え方が普及し始めたことで、自分が所有していても使わないものをシェアする「シェアリングエコノミー」が拡大しており、オークション、フリーマーケットなどはまさにそうした流れに対応したものである。

③個人が実力を発揮できる場
インターネットは世界中と繋がることが出来るため、個人でも実力さえあれば無名でも、著名人や大手企業等と同等に活躍することが可能であることが多くの事例で明らかになっている。そうした流れに刺激を受けてCtoC市場での自己表現や活躍を目指す個人が増加している。「minne」に出品する作家もまさにそうした個人である。

*ビジネスモデル、決済手段
売買が成立した際、同社は販売金額の10%を手数料として引いた金額を売主(作家)へ支払う。
販売代金のやりとりに関しては、「買主:商品を受け取ってから、代金を支払いたい。」および「売主:代金を受け取ってから、商品を発送したい。」といった双方のニーズを満たすために同社が仲介を担うエスクローサービスを採用している。

<minneの進捗>

minneのアプリダウンロード数及び流通額の推移は以下の通り。
流通額、DL数ともに順調に増加しているが、更なる拡大を追求し各種施策を推進している。

<コミュニティ事業>

ブログなどインターネット上でのコミュニケーションを軸としたサービスを提供しており、無料サービスについては広告掲載料、有料サービスについては利用料金が主な売上となっている。

【特徴と強み】
1.内製化による多様なサービス提供

【事業内容】の項にあるように、同社は極めて多様なサービスを提供しており、この点が同業他社に比べた大きな違いとなっている。
佐藤社長によれば、こうしたサービスの多様性は、開発のみでなくデザインやマーケティングまで全てを内製化できる仕組みを有しているからこそ可能で、これはスピードやクオリティにおける優秀性にも繋がっており、インターネットビジネスを成功させる上で極めて重要なポイントであるということだ。

2.独自の企業文化

同社は「自己表現したい個人」を応援することをミッションとしているが、そのためには同社自身も表現者でなければならないと考えており、インターネットを通じた積極的なアウトプットを行う事が企業文化として定着している。

今期予想の売上高当期純利益率は3.3%。今期も高水準なROEとなる見込みである。

2017年12月期決算概要
前期比増収増益。計画に対しては売上高は未達ながらも利益は上回る。

売上高は前期比8.1%増加の73億65百万円。「minne」の成長に加え、主力事業が堅調だった。売上総利益は同14.9%増加し、粗利率も3.5%改善。
営業利益は同6.6%増の1億43百万円。minneの広告宣伝費はWeb広告の積極的な展開に加え、第4四半期(10-12月)にTVCMを放映したため同9.4%増の11億円となるなど、販管費も増加したが増収効果で吸収した。
前期にあった特別利益「関係会社株式売却益50百万円」及び特別損失「関係会社貸付金貸倒損失73百万円」が無くなったため当期純利益は同41.0%増の1億19百万円となった。
「minne」の流通額が想定を下回ったため売上高は期初予想及び17年10月に発表した修正値を下回ったが、レンタルサーバーサービス「ロリポップ!」やショッピングカートASP サービス「カラーミーショップ」の顧客単価が上昇したことから利益率が改善し、利益は予想を上回って着地した。

第4四半期の売上高は過去最高を更新した。

①ホスティング事業

増収・増益。
レンタルサーバーサービスの契約件数は前期比微増の43.8万件となった。
このうち、「ロリポップ!」ではリブランディングの一環として、機能開発やUI(ユーザーインターフェース)の改善を行い、アップセル(顧客に対して一段階グレードの高いサービスを勧めて販売すること。)の推進に努めた結果、顧客単価は前年より上昇した。また、新プラン「マネージドクラウド」の開発を進め、正式リリースに先駆け、17年7月にクローズドα版を、11月にはオープンβ版の提供を開始した。
ドメイン取得代行サービス「ムームードメイン」では、ドメインの複数年契約に対し割引を行うなど継続率の向上を図ったことなどから、更新率は高い水準で推移し、期末の登録ドメイン数は同3.0%増の123万件となった。

②EC支援事業

増収・増益。
「カラーミーショップ」では、機能開発やUIの改善及びリアルな場でのセミナーの開催(年間31回開催、のべ参加者数800人以上)のほか、Amazon Payや楽天ペイにも対応するなど決済機能の拡充を図るなど、継続的にアップセルの推進に努めたことから、顧客単価は前期比7.2%増の1,538円となった。
オリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」では、作成可能アイテムの拡充に努める中で、新アイテム「サコッシュ」がSNSを中心に話題になったことや各種キャンペーンにより、累積会員数は前期末比32.8%増の18.5万人となった。

③ハンドメイド事業

増収、損失幅は拡大した。
「minne」では、首都圏におけるCM放映をはじめ、年末商戦に向けたキャンペーン及びプロモーションの強化を図った結果、2017年12月の月間流通額は10億円を超え過去最高額となる10.6億円となった。年間流通額は前期比22.6%増の102.9億円。注文単価も同8.6%増の2,930円となった。
作家がモノづくりに集中できるよう作家活動の効率化を図りWebによる納品書・作品管理・アクセス解析機能を拡充したほか、欲しいものを見つけやすくするために検索やレビューの充実など購入者向け機能の強化も図った。
加えてロゴおよびトップページのリニューアルやブランドムービーの公開などブランディングの強化にも注力した。
17年12月末の作家数、作品数、アプリダウンロード数はそれぞれ、39万人(前期末比29.9%増)、689万点(同48.6%増)、863万件(同27.2%増)と順調に拡大した。

④コミュニティ事業

減収・増益だった。
ブログサービス「JUGEM」での広告売上の減少が影響し減収となったが、コストコントロールによる利益確保に注力し増益を確保した。

売掛金の増加などで資産合計は前期末比6億65百万円増加の53億76百万円となった。
未払金、前受け金の増加などで負債合計は同6億26百万円増加の41億53百万円となった。
利益剰余金の増加で純資産は同39百万円増加の12億23百万円となった。
この結果自己資本比率は前期末より2.2%低下し21.6%となった。

16年12月期の非連結キャッシュ・フローは開示していない。税引前当期純利益計上、未払金の増加などで営業CFは入超。有形及び無形固定資産の取得により投資CFは出超だったが、フリーCFはプラスだった。
配当金の支払いにより財務CFは出超。キャッシュポジションは23億円。

(4)トピックス
◎「カラーミーショップ」における情報流出について
2018年1月7日、「カラーミーショップ」サービスにおいて独自アプリケーションの機能を悪用した不正アクセスが発生し、情報が閲覧され、ショップオーナーおよび購入者の情報が流出した可能性があることが判明した。
その後、直ちに侵入経路を遮断し、不正なプログラムが実行されないよう、悪用されたアプリケーションの機能を停止した。

(流出もしくはその可能性のある主な情報)

流出したショップオーナーのクレジットカード情報 22件
流出した可能性のあるショップオーナーのクレジットカード情報 最大9,430件
流出した可能性のある購入者のクレジットカード情報 最2,711件
この他利用中または利用したことのあるショップオーナーのログインID、住所、氏名など 最大77,385件

(同社の対応)
1月22日までに全てのショップオーナーのパスワードリセットが完了し、ショップオーナーへの個別の連絡を行っているほか、クレジットカード情報が流出した可能性のある購入者へは連絡対象となるショップオーナーから詳細について連絡を行っている。

また、佐藤社長を委員長とし、外部の専門家アドバイザーを含めた「再発防止委員会」を設置した。
同委員会では、事実関係の調査、原因の調査、再発防止策の提言、調査報告書の公表などに取り組み、再発防止に全社で取り組んでいく。

(今後発生すると予想される影響)

カラーミーショップを中心とした売上高への影響
全社的なセキュリティ強化による販管費の増加
インシデント対応による特別損失の発生
保険会社からの受取保険金による特別利益の発生

現時点ではカラーミーショップの退会者が顕著に増加しているというような影響は無いということだ。

2018年12月期業績見通し
増収増益

売上高は前期比5.9%増の78億円を予想。ホスティング事業、ハンドメイド事業で堅調な推移を見込んでいる。
営業利益は同129.7%増の3億30百万円の予想。ハンドメイド事業の損失が縮小する。
配当は50.00円/株の予定。予想配当性向は50.9%。

①ホスティング事業
増収増益。
サービスの付加価値を高めることで契約件数、顧客単価、利益率の3方向から収益力を向上させる。
マネージドクラウドも正式にリリースし、従来のドメイン取得サービスから様々な機能を使うことが出来るドメイン総合サービスへの進化を図る。

②EC支援事業
微増収減益。
インシデントの影響を最も受けると考えている。
毎月一定額の料金を支払うと商品が指定した期間単位で定期的に届く販売モデルである「カラーミーリピートの提供を17年11月に開始した。
カラーミーリピートは、決済機能付き定期販売専用ページを最短3ステップ(約10分)で開設が可能。
費用は、初期費用無料・月額9,800円・決済手数料3.4%+1件ごと30円。安定したストック型収益に流通量拡大に伴う手数料をオンするモデルで同事業の更なる成長を図る。

③ハンドメイド事業
増収損失幅縮小。
引き続きWebプロモーション等による新規利用者獲得と継続率向上に加え、『ハンドメイドと言えば「minne」』という、をハンドメイドの想起ブランドとすべく渋谷ヒカリエでの展示、東京ビッグサイトでのイベント、梅田ロフトでのキャンペーンなど、「リアル」な露出、プロモーションにも注力する。
流通量は前期比21.4%増加の125億円を目標とし、広告宣伝費も適宜コントロールしつつ収益性を改善させる。

今後の注目点
ハンドメイドマーケットの市場性からすればまだまだ成長余地が大きいと会社側が考えている「minne」だが、前回のレポートでも述べたように、前期実績18.2%、今期予想15.9%という増収率は残念ながら物足りないと言わざるを得ない。また流通額も、17年12月は初の100億円超えとなったが2017年の期初目標125億円には20億円以上及ばない結果となってしまった。急成長を望むのは難しいビジネスモデルではあろうが、アプリダウンロード数、流通額の着実な成長を期待したい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

最終更新日:2017年3月21日
「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。」と記載している。

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