(6184:東証1部) 鎌倉新書 社内計画を上回る進捗も今後の投資鑑み期初予想据え置き

2018/01/24

kamakura

今回のポイント
・18/1期3Q(累計)は前年同期比26.5%の増収、同12.0%の営業増益。優秀な人材を積極的に採用した結果、人件費や人材エージェントの手数料等の人材採用費を中心に販管費が増加したものの、WEBサービス(同30%の増収)をけん引役とする売上の増加で吸収した。・通期予想は前期比27.6%の増収、同28.3%の営業増益。3Q終了時点で社内計画を上回る進捗だが、今後の採用計画、新規事業への投資等を鑑み、期初予想を据え置いた。配当は未定だが、2017年7月の東証1部への市場変更を踏まえて前向きに検討している模様。

・同社が2017年12月26日に発表した「第1回 終活(ライフエンディング)に関する実態調査結果(2017年)」によると、約8割の人が死を意識しており、終活としては「持ち物整理」を行う方が最も多かったと言う。ただ、終活を何から始めるべきかわからず行動できない人が多い事や亡くなった方へ弔い不足を感じる人が多い事も今回の調査でわかった。残された方の気持ちまで考える「終活」や、葬式とは別に弔う場を作る「お別れ会」の啓発活動が課題解決の糸口となっていくと同社では考えている。

会社概要

「人と人とのつながりのお手伝い」をコンセプトに、ライフエンディング市場にフォーカスした事業展開を進めている。ライフエンディング市場とは、死別後に備えた事前準備から、葬儀、仏壇、墓、更には遺族の生活の再構築に関わる市場の事。葬儀社・斎場・火葬場検索サイト「いい葬儀」、霊園・墓地・墓石店検索サイト「いいお墓」、及び仏壇・仏具店検索サイト「いい仏壇」等のポータルサイト運営を中心に、日本初で唯一の供養業界を網羅したビジネス誌である月刊「仏事」やライフエンディングに関連する書籍の制作・販売を手掛けている。

【企業理念】

企業理念は、“私たちは、人と人とのつながりに「ありがとう」を感じる場面のお手伝いをすることで、豊かな社会づくりに貢献します”。
「親切」と「ありがとう」の交換は、豊かな社会を形成する土台である、との考えの下、人生の様々な局面で「ありがとう」を感じる瞬間を社会の中に増やしていく事、そのために鎌倉新書は存在していきたい、としている。

【沿革】

1984年4月、仏壇仏具業界向け書籍の出版を目的に設立されたが、清水祐孝氏の代表取締役就任を機に、「本を買う人は、紙の印刷物が欲しいのではなく、そこに書かれている情報を求めている」との考えの下、「自分たちの提供する価値は“情報”である」と改めて定義。情報加工業という視点から、事業領域を「インターネットビジネスを含めた情報ビジネス」として、2000年10月に全国の葬儀社や葬儀マナー等に関する情報サイト「いい葬儀」を開始した。

【事業内容】

事業は、お墓、葬祭、仏壇等のマッチングプラットフォームとなるポータルサイト運営を中心としたWEBサービス事業と、ライフエンディングに関わる書籍の企画・制作・賑売やセミナー等の書籍他事業に分かれる。17/1期の売上構成比は、WEBサービス事業86%、書籍他事業14%。

WEBサービス事業

終活から葬儀、仏壇、墓、遺産相続といったライフエンディング全域をカバーするポータルサイト群を通してサービスや商品の情報を発信すると共に、お客様センターで問合せや相談に応じる事で、サイト利用者の意思決定をサポートしている。一方、ポータルサイトに掲載される葬儀社、仏壇仏具店、石材店、寺院霊園等の事業者に対しては、販売支援サービスの提供や掘り起こした見込み客の紹介を行う。サイト利用者には無料でサービスを提供し、紹介した見込み客と事業者との間で契約がまとまった時に成約報酬を受け取る(成約金額の10~20%程度)。事業者にしてみれば、“後払いの広告宣伝費”と考える事ができ受け入れやすい。

同業者としては、葬儀サービスでは、流通大手イオングループのイオンライフ(株)、「小さなお葬式」や「葬儀本.com」等を展開する(株)ユニクエスト・オンライン等があり、墓では、「もしもドットネット」を運営する首都圏石材協同組合、メモリアルアートの大野屋、(株)日本仏事ネット等を挙げる事ができる。市場規模は、葬儀市場が1兆4,000億円、仏壇仏具が1,639億円。

KPI(重視する経営指標) 成約報酬 = 紹介数 × 成約率 × 販売単価 × 手数料率

成約報酬の拡大に向け、同社は紹介数の増加と成約率の向上に取り組んでおり、その結果としてのシェア拡大を手数料率の引き上げにつなげていきたい考え。紹介数の増加には、コンテンツの充実、導線の改良、デザインの改良、広告等の活用がポイントであり、成約率の向上には、サイトユーザーとのコミュニケーション強化や事業者との連携強化が必要となる。

書籍他事業

供養業界の事業者に向けたビジネス情報誌である月間「仏事」(年間購読料:税込み16,200円)等、葬儀や墓・仏壇等、供養に関連する様々な出版物を発行している。出版社としての知名度や信頼感、業界ネットワーク、コンテンツ生成力がインターネットサービスにも活かされている。売上や利益では測れない、シナジーを有する事業である。

【成長戦略】
社会的背景と鎌倉新書の役割

核家族化が進み、前の世代からの慣習や知識等の引き継ぎが減っているため、消費者は、ライフエンディング全般に、「誰に頼めばいいかわからない」、「どうすべきかわからない」、「選ぶ基準がわからない」、「費用が適正かどうかわらない」といった悩みを抱えており、インターネットで情報検索するケースが増えている。一方、事業者は、「集客やセールスのコストがかかり過ぎる」、「信頼感をもたれていない」といった悩みを抱えている。このため、10~20%程度の成功報酬で顧客開拓できる鎌倉新書のポータルサイト活用は魅力的であり、信頼感と言う点では、業界誌の発行体として30年以上の実績を有する同社が仲介する意義は大きい。

鎌倉新書の成長ストーリー

お墓事業、葬祭事業、仏壇事業の各事業において、新たに取引先業者のマーケティング支援サービスを展開する事で、既存サービスとのシナジーを追及しプラットフォーム型ビジネスの最大化を図っていく。また、ライフエンディング全域をカバーする同社の強みを活かして、相続、遺品整理、信託、高齢者の自己実現に向けた終活支援等、ライフエンディング周辺領域で一般ユーザーが抱えている複合的な課題の解決にも取り組んでいく。既存事業の最大化とライフエンディング周辺事業の育成により、圧倒的な知名度とブランド価値の獲得につなげていきたい考え。

組織変更

上記取り組みの一環として、18/1期期初に、営業企画部、事業開発部及びメディア開発室を新設した。営業企画部はユーザーへの営業強化(取引先業者のマーケティング支援)に取り組み、事業開発部とメディア開発室はライフエンディング周辺市場で事業展開していく。

事業開発部は、お別れ会(葬儀は一線を画す、人々の意識の多様化に対応した新しいお別れの形をプロデュース)、信託、更には、ライフヒストリーやメッセージの作成といった高齢者の自己実現等のニーズを取り込む事で新市場や新商品・新サービスの開発につなげていく。一方、メディア開発室は、遺産相続、遺品整理、看取り等の、新市場や新商品・新サービスの開発に取り組む。また、事業開発部とメディア開発室が連携して社会貢献のサポートにも取り組んで行く。

2018年1月期第3四半期決算
前年同期比26.5%の増収、同12.0%の営業増益

売上高は前年同期比26.5%増の12億50百万円。お墓事業が同34%増、葬祭事業が同27%増、仏壇事業が同16%増、と主要事業が揃って高い売上の伸びを示しWEBサービスが同30%増加した。

利益面では、人件費・採用費を中心に販管費が同41.8%増加したものの、売上の増加とスケールメリットによる売上総利益率の改善で吸収して営業利益が2億84百万円と同12.0%増加。株式公開費用32百万円を営業外費用に計上したため経常利益が同0.5%の増加にとどまったものの、税負担率の低下(37.2%→30.4%)で四半期純利益は1億75百万円と同11.4%増加した。

尚、人材の充足が進んでいる事に加え、採用も、直接採用や社員紹介採用にシフトしているため、今後採用費は減少していく見込み。第3四半期末の正社員数は70名(前期末51名)。

第3四半期は、売上、紹介数、成約数が、それぞれ過去最高を更新した。紹介数が前年同期比35%増と大きく伸び、単価も同2%上昇した。一方、成約率は1.9ポイント低下し、量よりも質による売上増となった。霊園・墓地・墓選びは意思決定までに時間を要するケースが多く、意思決定を支援するための様々な情報やサービスを提供する余地が大きい(霊園・墓地・墓の事業者に対する販売支援になる)。このため、当事業は同社が最も力を入れている事業であり、経営リソースの投入量も多い事業である。

前期第4四半期から上昇トレンドに転じた紹介数が第3四半期は前年同期比40%増と大きく伸び、過去最高を更新。一方、単価は3%低下し、成約率も3.8ポイント低下した。

当事業は、情報やサービスを提供する余地が必ずしも大きくないため(販売支援の余地が少ない)、経営リソースの効率化を念頭に事業を進めているが、第3四半期は紹介数が前年同期比21%増と伸びた。一方、単価が6%低下し、成約率も0.9ポイント低下した。

(3)成長を加速するための体制強化

成長を加速するための体制強化を念頭に、①葬祭事業責任者に元Rakuten.comのプレジデント招聘によるマネージャー陣の補強、②全社横断の開発室を設置、③元ベイン・楽天の事業推進室長の下、中長期戦略・アライアンス・M&A戦略・PR戦略の立案、及び④収益に直結する営業企画(アウトバウンド機能)の採用継続、4つの施策を進めている。

①により、葬祭事業は、売上、紹介数、成約数が、それぞれ過去最高を更新し、成長率も顕著に改善傾向を示している。②の効果で、有能なエンジニアの採用に成功した他(開発した資産については、計画に基づき資産化を行うため、利益率を毀損する事はない)、業務委託からの社員化にも取り組み人材の拡充が進んでいる。また、バックエンドやUI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)強化等、ユーザビリティを高め、業績向上に直結するプロジェクトも開始した。③により、第3四半期はメディアリレーションが前年同期比2.5倍に、媒体露出が同1.8倍に拡大した。また、複数の出資、買収案件を検討中である。中長期戦略については、次回決算発表の公開を予定している。④はお墓事業の売上増に寄与した。

(4)トピックス  「いい葬儀」(累計相談数30万件以上)が総合満足度でNo.1を獲得!

民間調査機関である(株)アイディエーション(代表取締役社長:白石章兼)が、2017年12月12日に発表した「葬儀検索サイト顧客満足度調査」において、「いい葬儀」が総合満足度でNo.1を獲得した。2000年に提供を開始した「いい葬儀」は、30年以上の業界知識とネットワークにより、厳選された全国800以上の優良葬儀社と提携し、希望地域や予算に合った葬儀見積りを簡単に比較できる。葬儀コールセンターは、これまでに累計30万件以上の相談を受けているが、今回の調査で、「いい葬儀」は、①葬儀の提案品質、②葬儀施行満足度、③オペレーターの対応力、④オペレーター知識力、⑤サイトの充実度、⑥サイトの使いやすさ、及び⑦見た目レイアウト、の7項目中全ての項目において1位となり、総合満足度No.1を獲得する事ができた。

第3四半期末の総資産は前期末に比べて12億28百万円増の23億50百万円。東証1部への市場変更の際に実施した公募増資(約10億円を調達)により、現預金及び純資産が増加した。自己資本比率90.20%(前期末81.0%)。

2018年1月期業績予想
通期業績予想に変更はなく、前期比27.6%の増収、同28.3%の営業増益

第3四半期終了時点で社内計画を上回る進捗だが、今後の採用計画、新規事業への投資等を鑑み、期初予想を据え置いた。配当は未定だが、2017年7月の東証1部への市場変更を踏まえて前向きに検討している模様。

通期予想に対する進捗率は、売上高74%、営業利益68%、経常利益63%、当期純利益69%。

今後の注目点
同社が2017年12月26日に発表した「第1回 終活(ライフエンディング)に関する実態調査結果(2017年)」によると、約8割の人が死を意識しており、終活としては「持ち物整理」を行う方が最も多かったと言う。ただ、終活を何から始めるべきかわからず行動できない人が多い事や亡くなった方へ弔い不足を感じる人が多い事も今回の調査でわかった。残された方の気持ちまで考える「終活」や、葬式とは別に弔う場を作る「お別れ会」の啓発活動が課題解決の糸口となっていくと同社では考えており、同社にとってはビジネスチャンスである。ビジネスチャンスを、どのようにしてとらえていくか。アライアンス・M&A戦略・PR戦略や今期の決算発表時に公開される中長期戦略に注目したい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書       更新日:2017年07月21日
基本的な考え方

当社は、企業価値を向上させ、株主利益を最大化するとともに、ステークホルダーと良好な関係を築いていくために、コーポレート・ガバナンスの確立が不可欠なものと認識しております。具体的には、代表取締役社長以下、当社の経営を負託された取締役等が自らを律し、その職責に基づいて適切な経営判断を行い、当社の営む事業を通じて利益を追求すること、財務の健全性を確保してその信頼性を向上させること、説明責任を果たすべく積極的に情報開示を行うこと、実効性ある内部統制システムを構築すること等が重要であると考えております。

<実施しない主な原則とその理由>

【補充原則4-1-2】
当社が属するライフエンディング業界は昨今変化が目覚ましく、このような環境の中、中長期の経営計画を株主の皆様にコミットメントすることは、環境の変化に対応する柔軟性や機動性を損なう可能性があると考えております。そのため、当社では中長期の経営計画は公表しておりません。

<開示している主な原則>

【原則1-4】
当社は、取引先との安定的・長期的な取引関係の構築、業務提携、又は協働ビジネス展開の強化の観点から、当社の中長期的な企業価値向上に資すると判断される場合、当該取引先等の株式等を取得し保有することが出来るものとします。政策保有株式のうち、主要なものについては、保有する上での中長期的な経済合理性や取引先との総合的な関係の維持・強化の観点からの保有効果等について検証し、取締役会において報告を行います。また、議決権行使にあたっては、提案されている議案について株主価値の毀損に繋がるものではないかを確認し、賛否を決定して行使いたします。

【原則5-1】
当社では、経営管理部管掌役員が、経営企画、経理財務等のIR活動に関連する部署を統括し、IR体制を整備するとともに、株主・投資家の要請に応じて対話(面談)を逐次、実施しております。また、投資家に対しては決算説明会を半期に1回開催し、代表取締役社長自らが説明を行っております。

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