ブリッジレポート (9616:東証1部) 共立メンテナンス ホテル事業の好調 インバウンド需要で寮事業も上向き

2018/01/17

Kyoritsu

今回のポイント
・18/3期上期は前年同期比3.6%増収、2.9%経常増益。期初予想は減益であったが増益を確保した。寮事業の期初稼働率は、前年比1.0ポイント増の98.3%と好調なスタート。ホテル事業においては特にドーミーイン事業においてインバウンド需要が牽引し、稼働率、客室単価が想定を大きく上回った。好業績を背景に、今期よりスタートした新中期計画「Kyoritsu Jump Up Plan」はハイペースで進捗。顧客との関係強化を目指し、新たに「総合顧客ネットワーク室」を設立した。また、ホテルの開業コストを吸収するため、「不動産流動化事業部」を新設。オフバランス計画を前倒しで実行する。・通期計画に修正はなく、18/3期は、前期比9.1%増収、1.6%経常増益を計画する。上期実績ベースにおける利益の上乗せや堅調な足元業績の推移があるものの、下期にはドーミーイン4棟、リゾート2棟の開業を予定しており、その動向の見極めもあり、現段階では据え置きとした。配当は年36円(うち上期18円)を予定している。

・上期は減益予想だったが覆して増益で着地。ホテル事業では10、11月の稼働率は堅調に推移している模様。来期を見据えると寮事業では98.5%の契約稼働率、1,525室の契約増を見込んでいる。ホテル事業だけでなく寮事業も明るい。訪日外客数は引き続き2桁増が続くなど事業環境は良好。あえて課題を挙げるとすれば人材の確保だが、既に対策は打っている。

会社概要

“ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」さらに「癒し」のサービスを通じて、広く社会の発展に寄与する”と言う経営方針の下、「現代版下宿屋」(食事付きの寮の運営)を中心にした寮事業、「温泉感覚を取り入れた大浴場」と「美味しい朝食」といった寮事業のノウハウを活かしたホスピタリティ重視のビジネスホテルや「リーズナブルで質の高いリゾートライフ空間の創造と提供」をテーマに掲げたリゾートホテルのホテル事業、オフィス(事務所)・レジデンス(住居)のビルメンテナンス、ビル賃貸及び賃貸代行、駐車場運営等の総合ビルマネジメント事業、外食やレストラン運営受託のフーズ事業等を展開。知名度と実績で他社を凌駕する主力の寮事業を安定収益源とし、ホテル事業の育成により成長を加速している。
事業の種類別セグメントと売上構成(17/3期)は次の通りである。

【沿革】

設立は1979年9月。食の世界に長く携わった創業者 石塚晴久氏が調理人として企業の給食施設の運営受託を開始した。翌80年には千葉県佐倉市に、木造2階建て(四畳半が28室)の民間学生寮「学生会館」第一号棟が誕生。「食」を第一として、「学生の健康と元気こそが親の安心」との考えのもと、提携先の学校名を冠した学生会館事業を展開。東京・神奈川地区、名古屋地区、大阪地区へとエリアを拡大した。85年4月には、「一室から借りる事ができ、朝夕2食付き」を特徴とし、ゆっくり身体を癒せる「大浴場」も重視した社員寮事業を開始。87年5月には、学生寮、社会人寮、給食施設等の受託事業で培った「賄いのノウハウ」を活かし外食事業に展開。93年6月に本社移転(東京都千代田区)を経て、同年7月に長野県でリゾートホテル事業に、8月に埼玉県でビジネスホテル事業に参入した。翌94年9月、現在のJASDAQ市場へ上場(店頭登録)、99年3月の東証二部上場を経て、01年9月に東証一部上場となった。

新中期経営計画「Kyoritsu Jump Up Plan」:18/3期~22/3期の5ヶ年計画
(1)「Kyoritsu Jump Up Plan」骨子
名称
「Kyoritsu Jump Up Plan」
基本方針
Ⅰ.顧客満足度の向上

顧客満足度向上に繋がる商品・サービスを創造し、 顧客からの当社への評価を高め、さらなる信頼を得る。

Ⅱ.開発の先行的実施

事業拠点を拡大し、盤石な基盤を構築する。

期間
2017年4月~2022年3月
定量目標
22/3期 売上高:2,200億円 営業利益190億円(年平均10%成長)

将来の環境変化に打ち勝つ強固な事業基盤を早期に構築するため「顧客第一」を再認識し、顧客からのさらなる信頼を得ながら、 「先行的開発」を実施する方針。

(2)顧客満足度向上のための重点施策
1.人材育成強化

事業の拡大スピードに応じた人材確保を図る。
積極的に新卒採用をするとともに、顧客の気持ちに応えることのできる、能力の高い人材の安定確保に取り組む。

人材の安定的確保 … 採用力の更なる強化に加え、定着(離職防止)の促進

研修プログラムの充実 … サービスレベルの維持・向上、階層別研修制度の充実

多様な人材の活用 … グローバル化へ対応すべく、多様な人材の確保と活用

顧客満足度の向上

2.寮事業

商品ラインナップの拡充、付加価値の強化

3.ホテル事業
自社サイトを活性化させ、販売チャネルとしての影響力を強める。
会員専用プランなど、自社サイトへ誘導

エージェントフィーなどのチャネルコストを削減

ロイヤルティを高め、リピーター獲得へ

支持層(ファン・リピーター)の拡大へ

HOTESPA.netサイトのリニューアルでリピーターの拡大を図る。
自社サイトの利便性・会員特典を改善。顧客情報を蓄積、 リピーターを生み出すサイクルを構築し、顧客基盤を強化する。

(3)開発計画

持続的な成長に向けた開発計画

(4)定量目標の見通し

飛躍のための「開発先行型」プラン
18/3期~19/3期を「開発先行期」と位置付け、20/3期~22/3期に加速した成長を目指す考え。

(5)財務方針

開発投資は5年間で総額1,400億円が見込まれる。
キャッシュフロー700億円、オフバランス(セール&リースバック)300億円、外部資金調達400億円で賄う考え。
これまでと同様にネットD/Eレシオ1.0倍以下で財務健全性を維持させる。

(6)目標配当性向

13/3期以降連続して増配しつつも10%台にとどまる配当性向は、22/3期までに20%超を目指す。

(7)追加施策

今上期に中期計画に絡んだ新たな施策を打ち出した

①顧客との関係構築を進める。新たに社長直轄の組織として、「総合顧客ネットワーク室」を設立した。同社の利点である、学生、社会人、中高年、シニア、そして次世代へ生涯を通じて各事業との接点を保ち、同社の全商品、サービスをタイムリーに届ける。具体的には、顧客の情報を統合、分析し、宿泊申し込みからチェックアウトまでより簡素に迅速化する。特にWebによる簡素な予約システムを充実させ、顧客の利便性を高めるだけでなく、収益効果としても代理店手数料の軽減が図れる。
②オフバランスを前倒しで実行する。当初、開発コスト増加により、中計の前半2年間を「開発先行期」として、緩やかな成長を目指していた。しかし、市場からはより高い成長を望まれる声も聞かれた。そういったことを踏まえ、新組織「不動産流動化事業部」を組成した。当初の計画上、オフバランスは中計の後半で見込んでいたが、これを前倒しで取り組む。開発先行期間中にもオフバランスによる売却利益を計上することで、開業コストのインパクトを吸収でき、安定的な利益成長も図れる。有利子負債増加を抑制し、財務バランスの改善にも繋がる。尚、開発計画そのものの変更はない。
2018年3月期上期決算
前年同期比3.6%の増収、同2.9%の経常増益

売上高は前年同期比3.6%増の709億36百万円。寮事業は好調な期初稼働率となり、ホテル事業ではインバウンド需要の続伸を背景に増収となった。営業利益は前年同期比0.6%増の72億15百万円。先行的開発による開業準備費用を吸収、期初予想は減益であったが増益を確保した。
今期を初年度とする5ヶ年の中期経営計画「Kyoritsu Jump Up Plan」を策定し、「顧客満足度の向上」、「開発の先行的実施」を推し進め、堅調なスタートとなった。

営業利益率は前年同期比0.3ポイント低下して10.2%。寮事業は伸びたが、ホテル事業が先行投資もあり低下した。

寮事業

売上高は前年同期比3.5%増の233億43百万円、営業利益は同4.3%増の36億98百万円。
寮事業において同社がKPI(Key Performance Indicatorの略で、企業目標の達成度を評価するための主要業績評価指標)とする期初の定員稼働率が前期と同水準の98.3%と好調にスタート。9月末契約者数も前年同期比597名増の34,305名と好調を維持している。社員寮事業において「積極的に新卒採用する企業が増加したこと」、「福利厚生や研修目的とした社員寮制度を新設または増強する企業ニーズを取り込めたこと」が背景にある。受託案件の増加と合わせて寮事業全体の増収に寄与した。
上期を通じて堅調に稼働率が推移した結果、主に社員寮契約の増加に加え、受託・ドミール契約の増加による寄与により、営業利益が1億52百万円のプラスとなった。尚、増益の内訳は、学生寮・社員寮の契約の増加が1億9百万円、受託・ドミール契約の増加が43百万円。

ホテル事業

売上高は前年同期比15.6%増の347億69百万円、営業利益は同1.6%増の46億99百万円。ドーミーイン5棟、リゾートホテル2棟がオープンした。既存の事業所では、台風の影響があったものの前年同期を上回る客室稼働率、客室単価にて推移した。また、稼働状況に応じた柔軟な人員配置をすることなどにより、コストコントロールを徹底、営業利益は開業費用等を吸収して増益となった。
ホテル事業の増減益要因は以下の通り

ドーミーイン(ビジネスホテル)事業

上期に、「明神の湯 ドーミーインPREMIUM神田」、「天然温泉 日向の湯 ドーミーイン宮崎」、「天然温泉 海神の湯 ドーミーインEXPRESS仙台シーサイド」、「天然温泉 八雲の湯 ドーミーイン出雲」、「天然温泉 勝運の湯 ドーミーイン甲府丸の内」の5棟がオープンした。
既存店舗では、上期の客室稼働率は、89.0%から90.6%と1.6ポイント上昇した。地域別には、首都圏では渋谷神宮前100%、浅草96%、上野96%、関西圏でも京都駅前99%、梅田東96%、心斎橋96%、なんば2棟で98%等。また、名古屋96%、札幌96%、博多2棟97%、仙台3棟94%と大都市圏での高稼働率が全国をリードした。一方、今期には、高松96%、倉敷95%、姫路96%と地方中核都市にも拡がりを見せた。客室単価は11,100円と400円、3.7%の上昇、RevPARは6.3%アップとなり計画値の4.0%を2.3p上回る当初予定以上の伸びとなった。66ヶ所の内、稼働率95%を超える事業所が16ヶ所を数え、ホテルの供給増による需給バランス悪化懸念の声が聞かれる中で好業績を続けている。
そして、昨今のドーミーインでは、ビジネス利用のみならずレジャー目的の顧客の取り込みも進んでいる。高稼働を維持しながら、同伴係数も1.34から1.36と堅調に推移しており、客室単価の上昇につながっている。

インバウンドの状況

上期の売上高に占めるインバウンドの比率は上期25.2%と前年同期比7.3p増、宿泊者数は633千人で同じく72%増と勢いを増している。客室単価においても13,900円とインバウンドの単価自体も前期比3.0%増と上昇を続けているが、同時期の国内11,100円に対して約25%高く、利益率の向上にも繋がっている。これは、インバウンドは家族や友人同士で利する顧客が多く、同伴係数1.77と、国内の顧客の1.27に対して高くなる傾向に起因している。
インバウンド比率の高い事業所は9月を例にとると、大阪では、野乃なんば95%、プレミアムなんば76%、心斎橋80%、東京では、浅草55%、渋谷52%、上野・御徒町43%等。東京・大阪に加え、名古屋・栄54%、奈良51%、博多2棟43%など全国的に利用が拡大している。
尚、国別シェアは韓国28.6%(前年同期比2.3p増)、香港25.5%(同7.1p増)、台湾12.6%(同8.0p減)、中国6.2%(同3.6p減)、米国5.6%(同3.6%増)と分散されている。尚、実数ベースでは韓国87%増、香港138%増、米国370%増、台湾5%増、中国9%増とシェアが低下した国を含めて何れの国も純増している。

リゾート(リゾートホテル)事業

上期に出雲大社のお膝元に「いにしえの宿 佳雲」、「お宿 月夜のうさぎ」の2棟がオープンした。既存店では、今期は稼働率が1Qに上昇2Qは台風等自然環境の要因でマイナス(台風影響1.0%)、客室単価はそれぞれ前期を上回った。累計では稼働率は、85.5%から85.7%と0.2p、客室単価は42,500円と2.6%、RevPARは3.1%上昇した。地域別には旗艦事業所となった函館が95%、草津93%、箱根・強羅91%、京都・秀峰閣97%、沖縄94%など主力事業所に加え、伊勢神宮お膝元の伊久93%、前期開業の箱根・湯本91%など新しい事業所が着実に業績を引き上げた。その他地域でも好調を維持した。

その他の事業

売上高は前年同期比5.3%増の264億88百万円、営業利益は同16.5%減の4億61百万円。
総合ビルマネジメント事業は売上高が前年同期比0.2%増の64億78百万円、営業利益は同8.5%減の1億38百万円。増収となったものの前年同期に大型建設案件が発生した影響により減益となった。
フーズ事業は売上高が前年同期比6.9%増の33億80百万円、営業利益は59百万円(前年同期は26百万円の損失)。ホテルレストラン受託事業の案件増加や不採算店舗の閉鎖に伴い増収増益となった。
デベロップメント事業は売上高が前年同期比8.2%増の106億76百万円、営業利益は同26.4%増の3億95百万円。ホテル開発案件の増加等により増収となったが、分譲マンション開発が減少したことに伴い減益となった。
その他事業(報告セグメントに含まれない事業)は売上高が前年同期比5.2%増の59億52百万円、営業損失1億31百万円(前年同期は1億8百万円の損失)となった。

2Q末の総資産は前期末比119億16百万円増の1,855億26百万円となった。主な要因は、建物及び構造物、土地及の増加などによるもの。
負債は同77億67百万円増の1,170億57百万円となった。主な要因は、短期借入金の増加などによるもの。
純資産は同41億48百万円増の684億68百万円となった。主な要因は、利益剰余金の増加などによるもの。
自己資本比率は36.9%となり、前期末比0.1ポイント減少した。
尚、有利子負債が増加しているが、同社が重視するDEレシオ(有利子負債-現預金)÷自己資本は1.0倍(前年同期は0.9倍)と同社が中期計画で目指す水準でもあり、健全な財務体質が維持されている。

18/3期上期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比16億17百万円増加し、164億70百万円となった。
営業CFは売上債権の増減額及びたな卸資産の増減額の影響により、前年同期比2億98百万円収入が減少し、30億70百万円の収入となった。
投資CFは有形固定資産の売却による収入及び敷金及び保証金の差入による支出の影響により、前年同期に比べ7億95百万円支出が減少し、132億29百万円の支出となった。
財務CFは短期借入金の純増減額及び長期借入金の返済による支出の影響により、前年同期に比べ125億84百万円収入が増加し、118億3百万円の収入となった。

2018年3月期業績予想
前期比9.1%の増収、同1.6%の経常増益予想

通期予想に修正はなく、18/3期は売上高が前期比9.1%増の1,482億円、経常利益は同7.9%増の117億円を計画する。上期実績ベースにおける利益の上乗せや堅調な足元業績の推移があるものの、下期にはドーミーイン4棟、リゾート2棟の開業を予定しており、その動向の見極めもあり、現段階では据え置きとした。配当は年36円(うち上期18円)を予定している。

今後の注目点
減益予想だった上期の期初予想を覆して増益で着地。通期予想については、下期6棟のホテルの開業を控えており、その動向見極めのため、今回は据え置きとなった。尚、足元の稼働率はドーミーインでは10月が92.2%で前年同月比+0.7p、11月は91.2%で同+1.3p。リゾートホテルでは10月は87.6%と台風の影響等で前年同月比-1.7pとなったものの、11月は90.5%で同+4.6pと盛り返し、引き続き堅調に推移している模様。
今期スタートした中期計画「Kyoritsu Jump Up Plan」は早々と見直されようとしているが、これもインバウンド需要をはじめとした好環境が背景にある。前中期計画「共立フルアクセル・プラン」は1年前倒しで達成したが今回も同様の展開が考えられる。また、中期計画で新たな方針として示された「総合顧客ネットワーク室」の設立は、中期的な顧客の拡充につながりそうで楽しみなところ。
来期を見据えると寮事業において、早稲田大学向けのシェアハウスタイプ寮500室を始めとして、沖縄・那覇市内の専門学校向け学生寮と海外初出店のタイ郊外のサービスアパートメントなど、新たな市場の開拓にもチャレンジ、1,700室の開業を予定している。満期閉寮を差し引いた定員室数に対して98.5%の契約稼働率、1,525室の契約増を見込んでいる。高稼働が続きそうなホテル事業だけでなく寮事業も明るい。
訪日外客数は毎月2桁増が続くなど事業環境は良好。同社の開発も着実に進行しており、今後の課題は人材の確保になりそうである。同社では中期計画の重点施策でも「人材の安定確保」を挙げており、採用・教育にも力を入れていく考え。人材不足が慢性化している中、今後いかに事業拡大に見合う人材を確保するかにも引き続き注目したい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

コーポレート・ガバナンス・コード適用後の直近のコーポレート・ガバナンス報告書提出日、2017年7月26日。

<基本的な考え方>
当社は、創業以来顧客第一を経営理念として、ライフステージの様々な場面でのサービスの提供を通じて広く社会の発展に寄与することを経営方針としております。また、永続的発展と長期的な株主利益の最大化を目指すため、コーポレート・ガバナンスの充実が不可欠と考え、経営の意思決定の迅速化、経営の監督機能の強化、説明責任の重視・徹底、迅速かつ適切な情報開示等を行っており、透明性、健全性等を確保することが重要な経営課題であると認識しております。
また、当社は会社法に基づく機関として、株主総会、取締役、取締役会、監査等委員会、会計監査人を設置しており、これらの機関のほかに、経営情報会議、コンプライアンス委員会、グループ経営情報交換会を設置しております。
<コーポレート・ガバナンス・コード各原則の実施について>
同社は各原則すべてを実施している

<開示している主な原則>

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