(6250:東証1部) やまびこ 各セグメント各地域総じて堅調

2017/12/21

yamabiko

今回のポイント
・17年12月期2Qの売上高は前年同期比2.3%増の626億円。北米では需要期に多雨が続いた関係で小型屋外作業機械が低調だったが、国内は農業用管理機械、小型屋外作業機械が伸長。ロシアが好転、中国も伸長して第2四半期の最高を記録した。営業利益は同18.4%減の45億円。増収で円安も寄与したが、在庫に関わる未実現利益が影響したほか、販管費の増加を吸収できなかった。前年同期の為替差損が為替差益に転じたため経常利益は同14.8%増の50億円、前年同期にあった製品保証引当金繰入額5億円がなくなったため四半期純利益は同35.3%増の36億円とそれぞれ増益となった。売上高、営業利益はほぼ計画通り、経常利益、四半期純利益は為替の影響により期初計画、修正計画(17年8月発表)を共に上回った。・期初に発表した業績予想を8月に下方修正したが、11月に上方修正した。売上高は前期比4.1%増の1,020億円、営業利益は同21.0%減の63億円、経常利益は同14.8%減の67億円、当期純利益は同63.0%増の51億円。修正の要因は、米国のハリケーン上陸に伴い復旧機材としてチェンソー需要が発生したこと、想定よりも円安で為替が推移していることなど。為替の前提は、1USDは110円で変わらず、1ユーロは前回の120円から130円へ修正した。配当は9か月決算ではあるが前回予想から5円増額修正し、前期より10円増配の35円/株を予定。予想配当性向は28.4%。

・各セグメント、各地域ともに総じて堅調な展開となった第2四半期であった。第3四半期ではハリケーン、円安という要因が織り込まれるので、ハリケーンを除いたベースとなる北米市場動向が気になるところだが、変則決算となる今期の進捗率がどの程度上積みされるかが注目される。一方、中期的には横須賀事業所は各工程とも自動化、省人化を進めており、製品競争力の着実な向上が今後も期待できそうである。ドローンを始めとした新製品及びやや開発が遅れ気味のロボット芝刈機がどの時期から収益に貢献してくるかもウォッチしたい。

会社概要

小型屋外作業機械(刈払機、チェンソーなど)、農業用管理機械(防除機、畦草刈機など)、一般産業用機械(発電機、溶接機など)の3事業における各種製品の開発・製造・販売をグローバルに展開。海外売上比率は約60%。小型屋外作業機械では国内首位、米州上位と高いシェアを有する。独自の生産技術、豊富なラインアップ、充実したテクニカルサポート体制等が強み。

【1-1 沿革】

同社は、国内で農業機械、グローバルで小型屋外作業機械を扱っていた株式会社共立(東・名・阪一部上場)と、グローバルで小型屋外作業機械及び一般産業用機械を扱っていた新ダイワ工業株式会社(東証2部上場)の2社が2008年12月に設立した共同持株会社「株式会社やまびこ」が、2009年10月に両社を吸収合併して事業会社化した会社である。

株式会社共立は、1947年、東京で創立された株式会社共立農機を前身とし、農業機械事業において「国産初のスピードスプレーヤ(農薬散布機)」、小型屋外作業機械事業において「国内初の背負動力刈払機」、「世界初の手持ち式パワーブロワ」を開発するなど、両事業におけるリーディング企業であった。また、創業時より小型屋外作業機械のエンジン自社開発に注力し、合併前の2008年のエンジン累計生産台数は4,000万台に上っていた。

一方、新ダイワ工業株式会社は1952年、広島で創業した浅本精機製作所が前身。小型屋外作業機械事業において「国産初の電動チェンソー」を開発したほか、一般産業用機械事業においてエンジン発電機、エンジン溶接機などを製造販売。また、世界初の混合燃料使用の4サイクルエンジンを開発するなど、高い技術開発力を特長としていた。

1990年代後半に入り温室効果ガスを要因とする地球温暖化問題への関心が高まるとともに、欧米、特にアメリカでエンジンの排出ガス規制が強化され、新基準をクリアするための研究開発費が増大。これに対応できない中堅・小型企業を対象として小型屋外作業機械市場において2000年代に入りグローバル規模での業界再編が急速に進行した。加えて、新興国企業による安値攻勢や顧客ニーズの多様化などにより、事業環境は一段と不透明なものとなっていた。
そうした中、激化する競争を勝ち抜くためには一段と企業体力を強化する必要があるとの判断から、両社は将来的な経営統合を前提として2007年5月に業務・資本提携契約を締結。
開発、生産、物流、販売、管理を始めとした全ての事業における効率化と拡充を目指して2008年12月共同持株会社、株式会社やまびこを設立し、2009年10月、株式会社やまびこが両社を吸収合併し事業会社化した。

社名「やまびこ」は、山の神「山彦」を由来としており、「人と自然と未来をつなぐ」を経営理念とし、自然と環境の育成・整備への貢献を掲げる同社の姿勢を表している。

【1-2 経営理念など】

やまびこグループの理念は「エッセンス」、「存在意義」、「行動指針」という3つの要素で構成されている。
「エッセンス」は、「存在意義」と「行動指針」を凝縮した、やまびこグループとして目指すべき企業の姿・企業活動の本質を表現したもの。
「存在意義」は、やまびこグループが社会の中で担うべき役割と責任を宣言し、約束するもの。
「行動指針」は、やまびこグループの社員一人ひとりが業務に臨むべき姿勢をまとめたもの。

これに加えて、行動指針を補完し、具体的な対応方法を示した14項目からなる行動指針細目を制定し、企業理念に則った事業活動が行われるように努めている。
永尾社長はこれら「エッセンス」、「存在意義」、「行動指針」を念頭に置いたメッセージを日頃から様々な機会を捉えて発信している。また各部門・部署ごとに実際の行動に結び付けるよう日々取り組んでいる。

≪永尾 慶昭社長プロフィール≫

永尾 慶昭社長は1953年2月生まれの64歳。子供の頃からプラモデルなど「モノ作り」が大好きだった永尾社長は、中学に入ると所謂「アメ車」を始めとした自動車に大きな関心を持ち始め、大学院ではエンジンを研究する「燃焼工学」を専攻。1978年4月に(株)共立に入社した。
入社後は研究部に配属。自ら関心のある課題を見つけて自由に取組むという社風もあり、チェンソーを中心に
様々なエンジンの研究、開発に携わった。また、研究室内で研究に没頭するのではなく、山へ出かけユーザーである樵(きこり)の方々からの製品評価や要望などをきめ細かく汲み取る事にも力を注いだという。

ほぼ技術畑を一貫して歩んできた後、2006年2月に米国の子会社エコー・インコーポレイテッドの代表取締役に就任。米国における排出ガス規制の状況とその対応、そうした中でユーザーの満足度をどうすれば高められるかに注力。また共立、新ダイワ工業の合併時には現地販売ルートの整理をスピーディーかつドラスティックに進めるなど、ご自身でも「仕事の幅が広がる重要なステップであった。」と振り返る。
やまびこ設立後、取締役兼執行役員産業機械本部長として、新ダイワ工業の本社所在地である広島で統合後のスムーズな一体化にも注力。2011年6月、(株)やまびこの代表取締役社長に就任した。

【1-3 市場環境】

小型屋外作業機械市場についての明確な統計は存在していないが、米国を始めとする北米市場が最大市場とされ、ついで欧州地域が続いており、日本は100万台という統計がある。
同社の収益動向に影響を与える関連指標としては、海外市場においては「住宅着工件数」、「穀物価格」、「原油価格」等、国内市場においては「米価」等が挙げられる。

小型屋外作業機械でグローバルに展開するメーカーとしては、欧州(ドイツ・スウェーデン)に2社存在すると会社側では認識している。

【1-4 事業内容】
1.セグメント

小型屋外作業機械事業、農業用管理機械事業、一般産業用機械事業の3事業を展開している。
報告セグメントは、今期より、「小型屋外作業機械」、「農業用管理機械」、「一般産業用機械」の3セグメントで売上、利益を開示している。
2017年12月期より下記の様に事業セグメントの変更を行うこととした。

従来「その他」には、3事業で供給している機械のアクセサリーや部品を含めていたが、関連する製品と同じ事業セグメントに振り分ける。
従来、「農業用管理機械事業」に含めていたロボット芝刈機を「小型屋外作業機械」に変更する。
今期より「その他」は、3事業に含まれない商品などとなる。
『小型屋外作業機械事業』

「手で持つ」または「背負って」使用する小型エンジンを搭載した山林・緑地管理用などの機械の製造・販売を行っている。
主要製品は、チェンソー、刈払機、パワーブロワ、ヘッジトリマーなど。
2014年11月に、業務用ロボット芝刈機を開発、製造、販売するベルギーのベンチャー企業「ベルロボティクス社」を買収した。(2017年1月、欧州における販売強化を目的としてベルロボティクス社は「やまびこヨーロッパ」へ商号変更。)

長年をかけて蓄積してきたノウハウや顧客ニーズにきめ細かく対応する高い開発力をベースに、高性能・高耐久・高品質エンジンを産み出し続けている。

(ガソリンエンジンの仕組み)

小型屋外作業機械のチェンソーや刈払機などの動力には主に2ストロークガソリンエンジンが用いられている。
後述するように、同社のエンジン開発能力の高さは最も重要な特長・強みの1つとなっている。
ガソリンエンジンの仕組みおよびエンジンの種類による特長を知っておくことは同社事業を理解する上でも有用なので以下簡単に解説する。

ガソリンエンジンとは、基本的に以下の4つのステップを経てガソリンが燃焼する力でピストンを押し下げて動力を発生させるもの。

ピストンの往復運動は、クランクシャフトと呼ばれる部品によって回転運動に変換され、自動車の車軸やチェンソーの回転軸を回転させる。

この4つのステップ「1周期」をピストンの往復運動何回で完結するかによって、ガソリンエンジンは2ストローク・エンジンと4ストローク・エンジンの2つに概ね大別される。

「2ストローク・エンジン」

2つのストロークで1周期を完結させる。すなわち、「ピストン1往復、クランクシャフト1回転」ごとに動力を1回発生させる。
1回目のストローク(ピストンの上昇):混合気の「吸入」と「圧縮」を行う。
2回目のストローク(ピストンの下降):混合気の「膨張」によりピストンが下降し、その後半で「排気」を行う。

「4ストローク・エンジン」

4つのストロークで1周期を完結させる。「ピストン2往復、クランクシャフト2回転」ごとに動力を1回発生させる。
1回目のストローク(ピストンの下降):混合気の「吸入」を行う。
2回目のストローク(ピストンの上昇):混合気の「圧縮」を行う。
3回目のストローク(ピストンの下降):「膨張」によりピストンが急速に押し下げられる。
4回目のストローク(ピストンの上昇):燃焼済のガスが「排気」される。

4ストローク・エンジンは、吸気と排気をコントロールしやすいといったメリットがある反面、吸・排気バルブをシリンダーヘッド部に設置するため、シリンダーの胴体に設置されるポートから吸・排気を行う2ストロークに比べ構造が複雑になる。また、そのため重量も重くなる。

これに対し、2ストローク・エンジンは、混合気の吹き抜けやピストン運動を円滑にするために用いられるエンジンオイルが燃料と一緒に燃焼する割合が4ストローク・エンジンに比べると多いため、排気ガス中に有害物質が多くなるといった面があるものの、構造がシンプルで部品数も少ないため小型・軽量化が可能で、同じ理由からオーバーホールも容易といったメリットがあり、小型屋外作業機械には2ストローク・エンジンが最適である。

『農業用管理機械事業』

国内向けに農薬散布のための機械である防除機械、北米向け農作物収穫機械などの製造・販売を行っている。
主要製品は、防除機(スピードスプレーヤ、乗用管理機、動力噴霧機)、畦草刈機、大豆収穫機など。
共立が長年にわたって蓄積してきた送風技術、噴霧技術、ポンプ技術、機器の軽量化や小型化等が同事業における技術的な強みである。

『一般産業用機械事業』

建設・土木・鉄工用機械の製造・販売を行っている。
主要製品は発電機、溶接機、投光機、切断機、高圧洗浄機など。

新ダイワ工業が創業時から蓄積してきたAC(交流)モータ開発技術を進化、発展させた発電体設計技術や、電子制御技術、防音技術などが同事業における技術的な強みである。

(アクセサリーや部品)

各種機械用のアクセサリーやアフターサービス用部品の製造・販売も行っている。高収益性が特長。

2.ブランド

2社の統合によって設立された同社だが、両社製品は長年にわたり日本およびグローバルで認知されているため、ブランド名はそのまま、KIORITZ 、Shindaiwa 、ECHO の3ブランドを展開している。
更なるブランド価値の向上を目指し、積極的なマーケティング投資、新しい販売ルートの開拓を進めている。

3.開発体制
各事業では以下のような重点課題を設定し、開発に取り組んでいる。

排出ガス規制は今後もさらに厳しくなることが予想されるため、最重点課題である。
この他、電子制御分野において制御技術の研究を進めている。

4.生産体制

国内3事業所(横須賀、盛岡、広島)と4社の生産関連子会社を、海外では、アメリカ、ベルギー、中国、ベトナムに合計8社の生産関連子会社を有している。

5.販売ルート&販売方法

世界90か国以上、約2万8千店舗に同社製品は供給されている。
全売上高の6割以上が海外売上となっている。

<国内市場>

2017年4月に販売子会社7社の合併(※)により、やまびこジャパン株式会社が誕生。
やまびこジャパンが販売代理店、全農(全国農業協同組合連合会)、ホームセンター、建設機械レンタル会社等に販売し、エンドユーザーである農林業家、建設・土木・鉄工業者、緑地管理業者などに供給される。

※管理体制の一元化・事業資産の一体運用を目的として、主に地域別に分かれていた販売子会社を統合。経営資源の効率化、販売力強化と顧客サービス向上を目指す。

販売店や代理店と協力しながら展示会を各地で実施し、実演や試乗などを通じて販売に繋げている。
また、販売店と同行してエンドユーザーを訪問。ユーザーのニーズを汲み取ったうえで製品開発に活かしている。

<北米市場>

子会社エコー・インコーポレイテッドグループがホームデポ(※)や代理店に販売し、エンドユーザーである緑地管理業者、ホームオーナー、農林業家、建設・土木業者などに供給される。

※ホームデポ(The Home Depot)
世界最大の住宅リフォーム・建設資材・サービスの小売チェーン。1978年設立。2016年の売上高945億ドル(約10.3兆円)、純利益79億ドル(約8,700億円)。米国、カナダ、メキシコに2,278店舗を有する。NYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場。(同社WEBSITEより抜粋)

ホームデポでは、GOOD、BETTER、BESTの区分で品質ごとに分類されており、高品質なBESTとして製品を供給しているのは同社のみである。これが、同社製品が北米市場で高く評価されている証左の一つとなっている。

中南米市場においては子会社エコー・インコーポレイテッドが各国代理店に販売し、その後販売店を通じてエンドユーザーに供給される。
欧州・アジア・その他地域では、やまびこが各国代理店に販売している。

海外の販売店では、ブランド別に製品を展示しており、エンドユーザーのニーズを聞きながら販売員が対面販売を行っている。
またホームセンターでは、各機種群別・価格別に製品が展示されており、エンドユーザーはニーズや予算、CM等で得たイメージを基に購入する。

【1-5 特長と強み】
①独自の生産技術力・一貫生産能力

同社最大の特長・強みは「独自の生産技術力・一貫生産体制」である。
中心事業である小型屋外作業機械に搭載される2ストローク・エンジンに関しては、開発、材料となるアルミの調達、鋳造、部品製造、加工、組立てまで全て自社で一貫して生産する体制をとっているが、世界的に見ても他に例がないという。なお、農業用管理機械事業と一般産業用機械事業の製品も動力源はエンジンであるが、主に外部調達をしている。
また、様々な課題を鉄めっき、放電加工などの自社独自技術で解決し、製品の品質向上や生産能力向上に結び付けている。
具体的には下記のような技術を確立している。

<具体例①:鉄めっき>

めっきとは金属などの材料の表面に金属の薄膜を被覆した表面処理のこと。エンジン製造においては、ピストンとの摩擦による摩耗防止のためシリンダー内部にめっきを施す必要がある。
従来は耐久性やコストからクロムめっきが一般的であったが、環境への悪影響、生産効率の低さといった問題点から、他の材料によるめっき加工が求められてきた。

同社では、環境負荷低減の観点などから1978年より「鉄めっき」に取り組んでいる。
当初日産能力は数百個であったが生産性向上、めっき精度の向上、環境負荷削減などを進めた結果、現在では仕上げ加工が不要で環境負荷を大幅に削減した鉄めっき技術を確立することが出来、日産能力も数千個と大幅に拡大させることができた。
現在保有する鉄めっき関連特許件数は5件。

<具体例②:放電加工>

前述の様に、2ストローク・エンジンは、部品数が少なく構造も4ストローク・エンジンに比べシンプルであるため、「手で持つ」、「背負う」小型屋外作業機械には最適であるが、混合ガスの一部が排気されるという側面があり、世界的に強化が進む排出ガス規制に対応するためには、混合ガスの流れをコントロールして効率よく燃焼させることが課題であった。
そのためには、シリンダー内面形状を変更(混合ガス通路とシリンダー内面の間に壁を設ける)する必要があり、生産方法の検討が必要となった。

ダイカスト鋳造(※)により「壁」を形成する事は可能だったが、その壁に混合ガスを燃焼室に導くための横穴を開ける必要があり、ダイカスト鋳造では横穴を開ける事は出来ず、また狭い箇所であるため切削加工も困難であった。
そこで同社では、ダイカスト鋳造の特長を活かしながら切削加工できない形状を加工するために「放電加工(※)」を採用することとした。
放電加工は複雑な形状も加工が可能である一方、加工時間が長く電極消耗が多いなどコスト面での課題があった。
同社は量産化に向け加工条件の研究、特殊電極形状の設計などに取り組み、加工時間の短縮、省人化、電極の低コスト化、能率向上など量産化に成功した。
放電加工関連特許保有件数は3件であり、他社には真似のできない同社独自技術を確立した。

(※)ダイカスト鋳造
金型鋳造法のひとつで、金型に溶融した金属を圧入することにより、高い寸法精度の鋳物を短時間に大量に生産する鋳造方式のことで、薄肉化、低コストを可能にする。(※)放電加工
電極と非加工物との間に短い周期で繰り返される放電によって、非加工物表面の一部を除去する機械加工の方法。極めて硬い鋼鉄などに複雑な輪郭を切り出すことができる。
同社はこれらの技術を始めとした「高度なモノ作り力」によって、排出ガス規制対応以外にも、軽量化、高耐久性、更なるコスト削減など様々なニーズに対応し、「排出ガス規制対応・軽量化・高耐久性2ストローク・エンジン」の開発・量産に成功している。
これらの課題に対応できず市場から退出を余儀なくされた企業も世界的に多数ある中で、同社はトップクラスのメーカーとして更なる成長を続けている。

②各事業固有の研究・開発力

環境問題の対応力は高く、同社エンジンに対する米国EPA(Environmental Protection Agency、環境保護庁)によるエンジン認証数は世界でもトップクラスとなっている。
また、小型屋外作業機械に限らず、農業用管理機械、一般産業用機械においても固有の研究開発力を有している。
共立、新ダイワ工業それぞれが長い年月を経て培った技術力をベースに、更に磨きをかけている。

③豊富なラインアップ・販売ネットワークおよび国内サービスネットワークの拡大

様々な顧客ニーズに対応し、3事業それぞれにおいて豊富なラインアップを有している。
また、現在世界90カ国以上、約2万8千店舗に同社製品が供給されている。
2社の合併によって、ラインアップおよび販売ネットワークは更に拡充された。
多様化するユーザーの満足度向上を目指し、2013年から国内に“やまびこサービスショップ(YSS)”を立ち上げ、故障時に整備・修理などを行う他社にはないサービス体制を全都道府県で展開している。2017年8月現在の加入店舗数は411店。

④充実したテクニカルサポート体制

製品に対する信頼性を高め、代理店や販売店との関係をより強固なものとするためにテクニカルサポート体制の充実にも注力している。
2015年4月から2017年3月の2年間に、15か国で115回に及ぶサービススクールを実施した。

⑤高い製品シェア

上記①から④の特長・強みを総合的に発揮してグローバルで高い競争力を実現しており、小型屋外作業機械事業では最大市場の北米で上位、日本においては30%以上のシェアを持つNo.1企業である。

ROEは大きく低下したが、これは、製品リコールに伴う製品保証引当金繰入額5億円および厚生年金基金の解散に伴う損失引当金繰入額33億円を特別損失に計上したため。
中期経営計画では2019年12月期 10%以上のROEを目標としている。

2017年12月期第2四半期決算概要
増収・営業減益

売上高は前年同期比2.3%増の626億円。北米では需要期に多雨が続いた関係で小型屋外作業機械が低調だったが、国内は農業用管理機械、小型屋外作業機械が伸長。ロシアが好転、中国も伸長して第2四半期の最高を記録した。
営業利益は同18.4%減の45億円。増収で円安も寄与したが、在庫に関わる未実現利益が影響したほか、変則決算に伴う一時費用や販社統合費用など販管費の増加を吸収できなかった。
前年同期の為替差損13億円が為替差益2億円に転じたため経常利益は同14.8%増の50億円、前年同期にあった製品保証引当金繰入額5億円がなくなったため四半期純利益は同35.3%増の36億円とそれぞれ増益となった。
売上高、営業利益はほぼ計画通り、経常利益、四半期純利益は為替の影響により期初計画、修正計画(17年8月発表)を共に上回った。

◎小型屋外作業機械

売上高は前年同期比1.2%増の444億円。
(国内)
軽量を強調したキャンペーン効果などにより刈払機を中心に伸長したことに加え、ホームセンタールートの拡大などにより増収となった。

(米州)
主力市場の北米が、需要期前半の多雨低温の影響で低調だったが、中南米は回復。円安もありほぼ前年同期並みだった。

(米州以外の海外)
西欧は天候不順やオリーブの不作などで低迷したが、円安、ロシアの回復、中国の増収により全体では増収だった。

◎農業用管理機械

売上高は前年同期比7.2%増の113億円。

(国内)
畦草刈機やモアが引き続き好調を維持。天候不順の影響による防除機需要の高まりから動力噴霧機が堅調で増収となった。

(海外)
穀物価格は低迷が続いているが拡販活動の効果もあり増収となった。

◎一般産業用機械

売上高は前年同期比4.0%増の57億円。
(国内)
投光機は低迷したが主力の発電機が建機レンタルの回復やインフラ整備需要から堅調に推移した。溶接機、エンジンカッターも好調で増収となった。
(海外)
発電機が堅調で増収となった。

◎その他

売上高は前年同期比10.6%減の11億円。

売上債権の増加等で流動資産は前期末比32億82百万円増加。建物及び構築物の増加で固定資産は同5億90百万円の増加。資産合計は同38億73百万円増加の992億16百万円となった。
長短期借入金の増加で負債合計は同17億94百万円増加の496億53百万円。
純資産は同20億79百万円増加の495億63百万円となった。この結果自己資本比率は前期末より0.2%上昇し50.0%となった。
長短借入金残高は同 9億83百万円増加し193億36百万円となった。

たな卸資産の減少額が前年同期に比べ縮小したため、営業CFのプラス幅は縮小。
有形および無形固定資産の取得による支出の増加で投資CFのマイナス幅は拡大し、フリーCFのプラス幅は縮小した。長短借入金の増加で財務CFのマイナス幅は縮小した。
キャッシュポジションは低下した。

2017年12月期業績予想
業績予想を上方修正。

期初に発表した業績予想を8月に下方修正したが、11月に上方修正した。
売上高は前期比4.1%増の1,020億円、営業利益は同21.0%減の63億円、経常利益は同14.8%減の67億円、当期純利益は同63.0%増の51億円。
修正の要因としては、米国のハリケーン上陸に伴い復旧機材としてチェンソー需要が発生したこと、想定よりも円安で為替が推移していることなどを織り込んでいる。
(8月、9月の2つのハリケーン上陸に伴い、復旧用機材としてチェンソーや発電機の需要が大幅に増加し、第3四半期の期間となる9月の米国子会社のチェンソー出荷台数は前年同月比で85%増加した。)
為替の前提は、1USDは110円で変わらず、1ユーロは前回の120円から130円へ修正した。
配当は、9か月決算ではあるが前回予想から5円増額修正し、前期より10円増配の35円/株を予定。予想配当性向は28.4%。

中期経営計画2019 ~主力市場における取組~

2019年12月期「売上高 1250億円、営業利益88億円」達成に向けた各セグメント・市場における主要施策および足元の取り組みは以下のような状況となっている。

(北米)

前述のように需要期における天候不順の影響で好調だった前期に比べ今期はここまで微減で推移。販売ルートも、ホームデポ、代理店共に前年同期を下回っている。
こうした中、同社製品の開発ターゲットでもあるプロ向け販売の強化に取り組んでいる。
プロの作業効率向上に資する最高級クラスの製品を「Xシリーズ」という名前を冠してシリーズ化したほか、「Landscaper Blitzプログラム」というディーラー販売支援強化策を展開している。
これは新規の中・大規模プロ顧客への訴求を目的とした販売プログラムで、同社製品を試用して同社製品の優秀性を実感してもらうというもの。北米市場参入時、最初のターゲットであったプロ市場への浸透を改めて強化する。

共通部材の使用により生産効率向上、原価低減を図る「グローバルエンジン」を搭載した新製品を、刈払機、チェンソー、パワーブロワ、ヘッジトリマーなどで今年以降相次いで投入する計画である。
また新型ロボット芝刈機に関しては、電波規制対応などで計画よりリリースが遅れているが、2018年よりブランド力向上のため「ECHO」ブランドでの試験販売を開始し、2019年の本格販売を予定している。

(欧州)

2017年1月に誕生した、やまびこヨーロッパでは、代理店が営業しやすい環境づくりに力を入れており、国や地域に応じた販売施策の構築、販売・サービススキル向上に資するための代理店内トレーナーの育成、ディーラー情報の収集・分析、ブランド認知度の向上などに取り組んでいる。
また、販売戦略としては、北米同様プロ向け製品「Xシリーズ」の展開、アクセサリー販売の強化、「ECHO」ブランドモデルの新型ロボット芝刈機の投入(2018年)などを挙げている。
欧州においてもグローバルエンジンを搭載した新製品の投入を進める。また、環境規制の強化が進む欧州市場においては、同社製初のチェンソーを含めた「バッテリーシリーズ」のリリースも進めてニーズを取り込み、シェア向上を図る。

(日本)

シェア拡大のための取り組みは以下の通り。
軽量化を追求した新製品であるクラス最軽量の刈払機、チェンソーをそれぞれ4月、9月に投入した。
DCMグループ、LIXILビバ、コメリといった有力ホームセンターの開拓・深耕を進めたほか、大手取引先において定番商品の採用が進んだ。
国内7社の販売会社が統合した「やまびこジャパン」が本格稼働を開始した。販売力・サービス力を強化するとともに、農機・産機製品の販売一元化による販売の効率化も進めている。

ヤマハ発動機(株)との業務提携によりマルチローター型ドローンによる農薬散布システムを共同開発。
やまびこの散布装置をヤマハ発動機製のドローンに搭載したもので、二重反転ローターと散布ノズルの最適配置により高い散布品質を実現した。2018年末からの本格販売を予定している。
この他、新製品として自動散布モードを搭載したスピードスプレーヤを投入した。
速度に合わせて自動で圧力を調整するほか、低騒音で大風量の送風システムが特徴。

新製品として「Wondastic溶接機」をリリースした。エンジン溶接機にキャパシタを搭載し、瞬時に作業開始できる制御技術が特色でプロユーザーに評価が高い。低燃費・低騒音のエコ製品。

横須賀事業所について

「特長と強み」で触れたように、同社最大の特長・強みは「独自の生産技術力・一貫生産体制」である。
中心事業である小型屋外作業機械に搭載される2ストローク・エンジンに関しては、開発、材料となるアルミの調達、鋳造、部品製造、加工、組立てまでを自社で一貫して生産しているのは世界的に見ても他に例がないという。
また、製造における様々な課題を鉄めっき、放電加工などの自社独自技術で解決し、製品の品質向上や生産能力向上に結び付けている。
この「独自の生産技術力・一貫生産体制」の源泉となっているのが、同社横須賀事業所である。

<横須賀事業所概要>
1947年に横須賀市浦郷町で生産を開始したのち、1961年からは現在の横須賀市夏島町にて操業中で、生産開始から今年でちょうど70年となる。
約8,000坪の敷地で約400名の従業員によりエンジンの各部品であるピストン、シリンダ、クランクシャフト、クランクケースなどを製造したのちエンジンブロックへの組立を行っている。
エンジン生産台数は17年3月期で128万台。これはやまびこ全体(279万台)の46%にあたる。
1994年にISO9001(品質マネジメントシステム)、2001年にはISO14001(環境マネジメントシステム)の認証を取得している。

こうして完成したエンジンはチェンソー、刈払機などOPE製品組立工程に送られ、または海外生産拠点や各事業所へ送られる。

<横須賀事業所における設備投資>
現在同社では同事業所を「よりエンジン生産に特化した製造拠点」と位置付けており、計画的・戦略的な設備投資を進めている。

今後も自動化の推進を中心として更なる生産能力の増強とコスト低減を目指している。
「鉄めっき」、「放電加工」ともに長年の取り組みの中で磨き上げた同社独自の技術となっている。
(両技術の詳細は「特長と強み」を参照。)

<独創性を生み出す組織力>
こうした独創性を生み出す源泉は、組織力にあると同社では考えている。
材料研究、鋳造、金属処理、機械加工、組立の各工程について研究開発および生産現場のスタッフ全員が課題を共有、「高度な研究・生産技術力」と「豊富なノウハウが蓄積された現場力」が相互に有機的に作用することで他社には真似のできないモノづくりを実現している。
加えて、鋳造から組立までの一貫生産体制を有していることも品質や性能の向上と安定生産の確立に繋がっている。

今後の注目点
各セグメント、各地域ともに総じて堅調な展開となった第2四半期であった。第3四半期ではハリケーン、円安という要因が織り込まれるので、ハリケーンを除いたベースとなる北米市場動向が気になるところだが、変則決算となる今期の進捗率がどの程度上積みされるかが注目される。
一方、中期的には横須賀事業所は各工程とも自動化、省人化を進めており、製品競争力の着実な向上が今後も期待できそうである。ドローンを始めとした新製品及びやや開発が遅れ気味のロボット芝刈機がどの時期から収益に貢献してくるかもウォッチしたい。
<参考1:「中期経営計画2019」について>

2017年3月期を最終年度とする「中期経営計画2017」の終了に伴い、新たに2019年12月期を最終年度とする「中期経営計画2019」を策定した。

「中期経営計画2019」概要
①基本方針・ビジョン

中長期的にどのような会社を目指していくべきか、より具体的なイメージを共有するために2つのビジョンを掲げた。

また、「中期経営計画2019」を前中期経営計画期間で実行した積極投資の効果を具現化する期間と位置付けている。

②重点施策

上記、基本方針に掲げたビジョンの実現に向けて、以下の項目を重点施策として取り組んでいく。

(北米)
引き続きMLB(Major League Baseball)や、MLS(Major League Soccer)のスタジアムなどにおける看板広告によるホームオーナー向け市場の深耕とともに、新たなイメージCMを製作・放映し、プロ向けプロモーションも展開する。
また収益性の高いアクセサリーの拡販、販売ネットワークの活用にも取組む。

(欧州)
2017年1月に販売機能強化に合わせて商号変更を行った「やまびこヨーロッパ」を本格稼働させる。
主な施策は、主要代理店の成長戦略の実現、ロボット芝刈機の拡販、デジタルマーケティングの強化。
ロボット芝刈機に関しては、より進化した新型芝刈機の販売を開始する。
ロボット芝刈機市場(出荷台数)は年平均成長率20%の拡大が予想される成長市場。現在はほぼ欧州のみという状況だが、同社では米国でもビジネスチャンスは大きいと見ており、積極的な市場開拓を進める。

中国を始めとしたアジアで大幅な伸長を目指す。

米国を中心に海外売上の拡大を図る。

設備投資、研究開発投資共に継続的、積極的に実行する。17/12期の設備投資には、米国子会社の本社増改築費用約12億円を含んでいる。

⑤株主還元について

引き続き安定的に配当を継続することに加え、連結財政状態が改善していることから前中計では「25%を目安に」としていた連結配当性向目標を、今中計より「25%以上」へ変更することとした。

<参考2:コーポレートガバナンスについて>

社外取締役を1名増員した。

◎コーポレートガバナンス報告書

最終更新日:2017年6月29日

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