(3034:東証1部) クオール 来春持株会社体制へ 事業ポートフォリオ拡充

2017/12/13

qol

今回のポイント
・18/3期上期は前年同期比17.9%の増収、同79.7%の営業増益。M&A効果に加え、技術料の改善等で既存店も堅調に推移した調剤事業が増収をけん引。利益面では、医薬品発注コントロールや在庫管理の精度向上で売上総利益率が改善する一方、継続的な経費コントロールの成果で販管費率が低下した。・通期予想に変更はなく、前期比11.0%の増収、同23.8%の営業増益。通期予想に対する進捗率は、売上高48.9%、営業利益50.0%。上期の業績が上振れする中で通期予想を上方修正しなかったが、現状では下期に特段の不安材料はなく、上期は減収・減益だったBPO受託事業も通期では増収・増益が見込まれる。期末配当は12円を予定しており、上期末配当と合わせて年26円となる。

・2017年9月21日開催の取締役会において、2018年4月1日(予定)を目処に持株会社体制へ移行する方針を決定した。持株会社クオールホールディングスの傘下に、調剤事業を行うクオール及びその他関連会社、BPO事業を行うアポプラスステーション等を置く事になる。M&Aを中心に調剤薬局の出店を加速させ、BPO受託事業は質的向上による成長を目指す。加えて、海外展開も含めた新事業の創出で事業ポートフォリオを拡充していく。

会社概要

首都圏を中心に全国展開を進める業界3位の調剤薬局チェーン。従来、調剤薬局と言えば、大病院の近くに出店し顧客獲得を競う門前薬局が主流だったが、同社は創業から一貫して医療機関とのマンツーマン体制による出店戦略を推進し独自の勝ちパターンを確立。近年では、異業種との提携等による人々が集まる導線上への出店に力を入れており、(株)LAWSONとの資本業務提携による「コンビニエンスストア(以下、CVS:Convenience Store)併設型調剤薬局」(調剤薬局とCVSの融合)の街ナカ展開、家電量販店大手の(株)ビックカメラとの連携による駅チカ展開、更にはJR西日本グループとの業務提携による「駅クオール薬局」といった駅ナカ展開が進行中である。また、CSO事業(Contract Sales Organization:MR派遣)や派遣紹介事業、治験支援事業といったBPO受託事業も手掛けている。

企業理念    わたしたちは、すべての人の、クオリティ オブ ライフに向きあいます。いつでも、どこでも、あなたに。
【事業概要】

事業セグメントは、クオール(株)等が手掛ける調剤事業とCSO事業、治験支援事業等のBPO受託事業に分かれ、17/3期は調剤事業の売上が全体の91.7%を占めた。調剤事業は調剤薬局の経営が中心だが、CVS併設型調剤薬局(「LAWSON」の法人オーナーとして展開)における物販の収益も含まれている。一方、BPO受託事業は、アポプラスステーション(株)によるCSO事業や薬剤師の派遣紹介事業、クオールRD(株)(2017年4月、アポプラスステーションが吸収合併)の治験支援事業、メディカルクオール(株)の出版関連事業からなる。MRの派遣は製薬会社のコスト削減(MRの削減)に対応したもの。

調剤事業
クオール薬局

「処方箋は病院の近くで処理するもの」と言う固定観念が強いため、処方箋を受け取った患者が自ら薬局を選ぶ事は稀で、病院等の近くの薬局(門前薬局)を利用するケースが一般的であった。このため、調剤薬局は大病院など大手医療機関の門前に店舗を構え、好立地を活かした店舗運営を志向してきた。これに対して、同社は門前薬局の出店を進めつつも、多くの医療機関と1対1の密接な関係(処方元医療機関の医師との強固な信頼関係)を構築するマンツーマン薬局を志向すると共に、1店舗で複数の医療機関が発行した処方箋を応需する面対応の店舗展開も進めてきた。

クオール薬局はマンツーマン薬局が中心だが、近年、面対応タイプが増加している。首都圏中心に出店しており(出店の約50%)、全国のクオール薬局で利用可能なクオールカード(235万人)、処方せん送信アプリと言ったIT化により、近隣の大病院に頼らない面対応の継続的な取り組みが成果をあげており、新患率は毎月8%前後で安定して推移している。

面対応強化の一環として異業種と連携  -広範囲な市場をカバー-

2010年以降は異業種との連携により多様なチャンネル展開にも力を入れており、LAWSONとの提携による調剤薬局併設のCVS運営(2014年4月以降は、調剤、CVS、ドラッグストアのヘルスケア融合型にシフト)、駅前の好立地に店舗展開し、高い集客力を誇るビックカメラ店舗でのインストア展開、JR西日本グループとの提携による駅構内での店舗展開を進めている。現在、患者の20%超は能動的に調剤薬局を選択していると言われており、こうした患者の取り込みを図るための差別化戦略であり、患者との接点を点から面に広げる事で広く処方箋を獲得しようとするもの。将来的には宅配サービスも視野に入れており、薬だけでなく、介護用品や弁当等を届ける体制を整備したい考え。

流通改革

2014年3月に立ち上げた医薬品の競争入札を行う医薬品調達機構は、現在全国から18社が加盟している。医薬品調達機構は、先発品を新薬創出加算品目、特許品目、長期収載品目の3カテゴリーに分け、一般競争入札を行っている。これまで同社はすべての医薬品の価格を卸と単独で交渉していたため、値引き率には限界があったが、医薬品調達機構への加盟により、適正かつ公正な価格での交渉・妥結が可能となり現在に至っている。

BPO受託事業

製薬企業は生き残りをかけ、事業の選択と集中のプロセスに移行している。このため、先発品に特化し、長期収載品については売却も含めて縮小を進めている。また、販管費の低減(固定費の圧縮・変動費化)にも取り組んでおり、メーカーMRや開発人員の削減等による人員整理を進める一方で、CSO(MR派遣)・CRO(医薬品開発支援)企業の利用を増やしている(外注先の利用による費用の変動費化)。
こうした製薬企業の動きに対応して、同社グループではアポプラスステーション(株)が「メーカーMR(自社のMR)からCMR(Contract MR:派遣MR)への切り替え」(固定費の変動費化ニーズ)に対応したサービスを提供している。

2018年3月期上期決算
前年同期比17.9%の増収、同79.7%の営業増益

売上高は前期比17.9%増の713億97百万円。BPO受託事業の売上が同4.0%減少したものの、調剤事業の売上が同20.1%と伸長。BPO受託事業の減収はCSO事業がプロジェクトの端境期にあった事が要因で計画通り。調剤事業では技術料の改善と処方箋枚数の増加で既存店が堅調に推移する中、M&A等が売上を押し上げた。

営業利益は同79.7%増の42億51百万円。調剤事業における医薬品発注コントロールや在庫管理の精度向上で売上総利益率が13.2%と1.2ポイント改善。本社部門の経費見直し(経費比率が4.1%と3ポイント改善)やグループ人財の交流・活用(原価と販管費合計の総人件費率が19.3%と0.1ポイント改善)等による継続的な経費コントロールの成果で販管費率が7.2%と0.9ポイント低下した。

上期末の従業員数は、薬剤師2,048名(前年同期末1,746名)を含む4,565名(同3,984名)及び臨時雇用者1,889名(同1,758名)。前期末は、薬剤師1,914名を含む4,361名及び臨時雇用者1,928名。

調剤事業

売上高661億26百万円(前年同期比20.1%増)、営業利益39億03百万円(同97.1%増)。既存店が堅調に推移する中、M&A効果(前期125店舗、今期9店舗)等で売上が増加した。かかりつけ薬剤師・薬局の促進や後発医薬品の使用推進の成果で技術料収入が同28.0%増と大きく伸びた事も上期の特徴。数量と単価の面からみると、店舗数の増加と上記の取り組みで処方箋応需枚数が同23.1%増加する中、調剤報酬改定やC型肝炎治療薬売上減少等の影響がピークアウトし処方箋単価の減少幅が縮小した(前年同期:5.0%減⇒今上期:1.3%減)。利益面では、増収効果に加え、新在庫システムを全店に順次導入し、適正な在庫管理と医薬品調達コストのコントロールに努めた成果が現れてきた。

上期末の店舗数は717店舗(前年同期末587店舗)。出店は、新規出店がローソン+クオール薬局1店舗、売店1店舗を含む16店舗(前年同期4店舗)、M&A9店舗(同25店舗)の計25店舗(同29店舗)。一方、閉店は4店舗(5店舗)。

BPO受託事業

売上高52億71百万円(前年同期比4.0%減)、営業利益7億55百万円(同4.5%減)。医療スタッフの派遣(医療系人材派遣事業)が増加したものの、プロジェクトの端境期にあるMR派遣(CSO事業)が減少した他、CRO(治験業務の受託・代行)事業の売上も一時的に減少した。CRO事業は4月にアポプラスステーションに統合され、事業の再構築を進めている。当初の計画通りに進捗している。上期の売上減少は当初から織り込み済みで計画通り。継続的な稼働率の向上により通期では前期比2.6%の増収、同13.6%の営業増益が見込まれる。

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

上期末の総資産は前期末に比べて72億10百万円増の885億円。8月以降、行使価額修正条項付新株予約権付社債(CB)の転換が進み現預金及び純資産が増加した。2017年9月末で、15億円(15個)が転換されており、11月1日時点では85億円(85個)が転換された。上期末のネットD/Eレシオ0.67倍(前期末0.97倍)、自己資本比率28.0%(同26.2%)。
尚、上記CBは2015年10月27日の払い込みで調達額100億円、下限行使価格1,799円。100%転換後(試算)のネットD/Eレシオ0.25倍。自己資本比率37.6%

CFについては、税金等調整前四半期純利益が増加する一方、運転資金が減少したため、前年同期は18億04百万円だった営業CFが61億48百万円に増加した。

事業概況・トピックス

2017年9月21日開催の取締役会において、2018年4月1日(予定)を目処に持株会社体制へ移行する方針を決定した。調剤事業では、調剤事業の進化と薬局機能の強化(健康サポート薬局)に向けた取り組みを進めた他、新たな異業種連携として、スーパーマーケットをチェーン展開するライフコーポレーションとの協業店舗「ライフ千川駅前店」を11月にオープンした。BPO受託事業は、MR派遣で質的向上に向けた取り組みを進めており、医療系人材派遣事業は事業拡大に向け広島に拠点を開設した。

調剤事業
持株会社体制への移行

2017年12月1日に開催する臨時株主総会の承認を前提に、2018年4月1日を目処に持株会社体制へ移行する。目的は、(1)グループ経営戦略推進機能の強化、(2)権限と責任の明確化による意思決定の迅速化(コンプライアンス管理体制強化)、(3)コーポレート・ガバナンスの強化、及び(4)グループシナジーの最大化、の4点。M&Aを中心に調剤薬局の出店を加速させると共に、新事業の創出、海外事業の展開も視野に入れた更なる成長を目指す考え。また、持株会社が、グループ経営戦略に沿って各事業会社への経営指導を行う事でグループ全体のガバナンスを強化し、これにより経営の透明性を高める。
持株会社クオールホールディングスの傘下に、調剤事業を行うクオール及びその他関連会社、BPO事業を行うアポプラスステーション等を置き、更には新規事業を育成していく。

調剤事業の進化と薬局機能の強化(健康サポート薬局)

かりつけ薬剤師・薬局や健康サポート薬局機能等、変化する医療提供体制の変化に柔軟に対応しつつ、利用者が安心・安全・納得するヘルスケアサービスの提供に注力していく。かかりつけ薬剤師・薬局については、2017年10月現在、かかりつけ薬剤師数959名、かかりつけ薬局算定店舗577店舗(店舗全体の83.6%)。また、2017年10月現在、23店舗の「QOLサポート クオール薬局」(健康サポート薬局として厚生労働大臣が定める基準に適合した店舗)を2018年3月末までに100店舗体制とするべく、健康サポート薬局研修修了薬剤師の育成に力を入れている(10月現在、211名)。
健康サポート薬局とは、厚生労働大臣が定める一定基準を満たしている薬局として、かかりつけ薬剤師・薬局の機能に加えて、市販薬や健康食品に関することはもちろん、介護や食事・栄養摂取に関することまで気軽に相談できる薬局のこと(日本薬剤師会)。「QOLサポート クオール薬局」は、店舗での地域住民向け講演会の定期開催や全店にOTC・サプリの充実でセルフメディケーションに貢献しており(健康サポート薬局に必要な健康サポート機能)、クオールカードの活用等で服薬情報の一元管理・継続的把握も可能。また、医療機関との連携によるICTを活用した在宅患者の情報管理機能を有し、24時間体制で対応し在宅にも対応する。医療機関とは、マンツーマン薬局の強みを活かした情報交換や医師への服薬情報提供書の提出等で連携を強化している。この他、健康サポート薬局としての基準として定められたものではないが、昭和大学病院と連携して抗がん剤使用者への退院後フォローを実施する等、高度薬学管理機能も有する。

新たな異業種との連携  ライフ千川駅前店

これまでに、コンビニ、駅、家電量販店、と様々な業態との連携を強化してきた同社だが(物流面ではヤマトグループとも連携)、スーパーマーケットをチェーン展開するライフコーポレーションとの協業店舗「ライフ千川駅前店」を11月にオープンした。スーパーはターゲットの年齢層が近いため、親和性が高いと考えている。

BPO受託事業
CSO業界概況

CMRの需要は安定しており、CSO活用企業も増加傾向にある。2016年はCSO活用企業が過去最多となった。アポプラスステーションのCSO事業の上期末の契約社数は国内メーカー中心に44社と業界No.1。専門性を高め後発薬から新薬への展開を進める考えで、質的向上による単価アップでの成長を目指している。癌や慢性疾患等、領域別MRの育成に力を入れる。

医療系人材派遣事業

広島に拠点を開設し、中国・四国に展開する等で医療従事者派遣・紹介が拡大している。この上期は売上が前年同期比16%増加した。

2018年3月期業績予想
通期予想に変更はなく、前期比11.0%の増収、同23.8%の営業増益

通期予想に対する進捗率は、売上高48.9%、営業利益50.0%、経常利益50.5%、純利益52.5%。上期の業績が予想を上回ったものの、通期予想(第1四半期決算発表時に上方修正)を上方修正しなかったため、下期は前年同期比5.2%の増収ながら、同5.6%の営業減益と慎重。しかし、現状では下期に特段の不安材料はなく、上期に減収・減益だったBPO受託事業も通期では増収・増益での着地が見込まれている。

期末配当は1株当たり12円を予定しており、2円増配した上期末配当と合わせて年26円となる。

今後の注目点
中期目標は売上高3,000億円。調剤事業では、M&Aと異業種との連携も含めたクオール薬局の新規出店を進める。また、かかりつけ薬剤師・薬局や健康サポート薬局機能等、変化する医療提供体制に対応しながらヘルスケアサービスの提供に注力していく。そして調剤事業の安定成長を基盤に利益率の高いBPO受託事業の実績を積み上げていく。BPO受託事業では、主力事業であるCSO事業において、後発薬から新薬への展開を進めると共に、癌や慢性疾患等、専門性の高い領域別MRの育成に力を入れ、質的向上による成長を目指す。また、足元好調な医療従事者派遣・紹介事業やグループ再編でアポプラスステーションが取り込んだCRO事業を拡大させる。更に、持株会社体制の下、海外展開を含めた新事業の創出に取り組んでいく考え。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書       更新日:2017年06月29日
基本的な考え方

当社は、企業理念、スローガン、クオールビジョン、クオールグループ企業行動憲章に基づいた企業活動を通じ、継続的に企業価値の向上を図ることが、株主の皆さまや患者さま、従業員をはじめとする全てのステークホルダーのご期待に応えるものと認識しております。この実現のため、経営の健全性、透明性、効率性を確保する基盤として、コーポレート・ガバナンスの継続的強化を経営上の重要課題としており、独立役員の要件を満たす社外取締役・社外監査役の選任により、経営監督機能を強化しております。さらに、株主との対話方針として、株主・投資家との対話を積極的に行うこととし、経営計画の進捗をはじめとする経営状況に関する情報、定量的な財務情報、コーポレート・ガバナンスやCSRなどの非財務情報の開示を適時・適切に行うほか、株主の権利行使のための適切な環境整備に努めるなど、株主・投資家を含めたステークホルダーからのご期待に応えるよう努める方針としております。

<実施しない主な原則とその理由>

実施しない理由の説明が必要となる各原則については、全てを実施しております。

<開示している主な原則>

【原則3-1】情報開示の充実
(1)当社は、企業理念、スローガン、クオールビジョン、クオールグループ企業行動憲章を定め、これらを当社ホームページ(http://www.qol-net.co.jp/)に公開しています。また、経営戦略及び経営計画についても、決算発表、決算説明会、株主総会、個人投資家説明会、海外IRを実施し、積極的に開示・公表しております。
(2)当社は、企業理念、スローガン、クオールビジョン、クオールグループ企業行動憲章に基づいた企業活動を通じ、継続的に企業価値の向上を図ることが、株主の皆さまや患者さま、従業員をはじめとする全てのステークホルダーのご期待に応えるものと認識しております。この実現のため、経営の健全性、透明性、効率性を確保する基盤として、コーポレート・ガバナンスの継続的強化を経営上の重要課題としており、独立役員の要件を満たす社外取締役・社外監査役の選任により、経営監督機能を強化しております。さらに、株主との対話方針として、株主・投資家との対話を積極的に行うこととし、経営計画の進捗をはじめとする経営状況に関する情報、定量的な財務情報、コーポレート・ガバナンスやCSRなどの非財務情報の開示を適時・適切に行うほか、株主の権利行使のための適切な環境整備に努めるなど、株主・投資家を含めたステークホルダーからのご期待に応えるよう努める方針としております。

【原則5-1】株主との建設的な対話に関する方針
当社は、株主との建設的な対話を促進し、透明性の高い情報開示と対話を心掛け、良好な関係の構築を目指し、積極的にIR活動を実施しております。具体的には、株主・投資家とのコミュニケーションの機会として、アナリスト・機関投資家向けに年2回以上の決算説明会や海外の機関投資家向けに海外IRを実施しており、積極的に決算情報及び経営戦略の説明を行っております。また、個人投資家向けに年10回以上、説明会を開催し、事業内容及び経営戦略の説明をしております。その他に店舗見学等を実施しております。

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