(2708:JASDAQ) 久世 物流センター業務を自社運営化 意志あるコスト増

2017/12/13

kuze

今回のポイント

・18/3期上期は前年同期比2.4%の増収、同74.1%の営業減益。既存取引先でのシェアアップに加え、新規取引先の獲得も進展。鮮魚を扱う旭水産を中心に輸出売上も同57.8%増加した。利益面では、卸売事業での仕入価格の上昇や製造事業における為替の変動や原材料の高騰等で売上総利益率が低下し、物流費を中心にした販管費の増加を吸収できなかった。このため、営業利益(52百万円)が下振れしたが、コスト増はある程度織り込んでいたため金額ベースで48.0%の下振れにとどまった。

・通期予想に変更はなく、前期比3.1%の増収、同5.5%の営業増益。下期は委託先の値上げで配送費が増加するものの、顧客管理と商品の単品管理によるプライシングマネジメントシステムが稼働し、足元、粗利率が改善傾向にあり、期末にかけて更なる改善が見込まれる。また、自社化した物流センターの運営が軌道化してくるため積載効率も徐々に改善してくる見込み。配当は1株当たり12円の期末配当を予定している。

・上期の減益要因の一つとなった物流コストの増加は「意志あるコスト増」である。これまでアウトソーシングしていた物流センター業務を自社運営に切り替えたため(自社化)、一時的にコストが増加した。社員と自社雇用のパート・バイトによる一体感のある物流センター運営と営業との連携強化による車両1台当たりの積載量の増加で、生産性と品質を向上させていく。また、自社化には、物流環境の変化への対応力の向上や次世代の人財育成といったメリットもある。

会社概要

外食産業や中食産業向けの食材卸を中心に、グループで食材の製造・販売も手掛けている。取扱品目は約30,000アイテムに上り、冷凍・常温品はもちろん生鮮品から消耗品等のノンフードまで幅広い。グループは、同社の他、ソース・スープ類の製造・販売を手掛けるキスコフーズ(株)、ニュージーランドでソース類の製造を手掛けるキスコフーズインターナショナルリミテッド、生鮮野菜など農産品の仕入・販売を行う(株)久世フレッシュ・ワン、築地市場に基盤を持つ水産物仲卸大手の旭水産(株)、及び海外戦略の立案と情報収集の役割を担う久世(香港)有限公司の連結子会社5社、水産物売買業の豊洲フーズ(株)、中国で業務用食材卸売事業を手掛ける久華世(成都)商貿有限公司の非連結子会社2社。また、12年6月に中京地区では6,000店の取引先を有する酒類販売大手(株)サカツコーポレーションと、15年9月には横浜の青果仲卸会社である(株)丸ユ商店と業務提携をしている。

【経営理念とC&G活動の取組み】

「フードサービス・ソリューション・カンパニー」として「頼れる食のパートナー」を目指し、次の経営理念を掲げている。

私達は、明るい信頼される会社にします。
私達は、お客様の立場に立ち、最高の商品とサービスを提供します。
私達は、絶えず革新に挑戦し、たくましい会社にします。
私達は、お客様、お取引先の繁栄と株主、社員の幸福に貢献します。
私達は、そのために会社の成長と発展を果たします。

【事業内容】

事業は、食材卸売事業、食材製造事業、及びグループ会社向けが大半を占める不動産賃貸事業に分かれ、17/3期の売上構成比(連結調整前)は、それぞれ、92.6%、7.4%、0.2%(この他、調整額0.3%)。また、販売チャンネル別では、居酒屋・パブ15.1%、ディナーレストラン・ホテル・専門店25.2%、惣菜・デリカ・ケータリング・娯楽施設・その他19.2%、ファーストフード・ファミリーレストラン・カフェ40.5%。

食材卸売事業

取扱が難しい生鮮品を含めた業務用食材全般に加え、割りばし、ナプキン、洗剤といった消耗品等のノンフードまでを幅広くカバーし、取扱品目は約30,000アイテムを数える。近年、プライベートブランド(PB)商品や生鮮三品の取扱いにも力を入れている。

食材製造事業

連結子会社キスコフーズ(株)が食品製造工場を有し、ソース、ブイヨン、スープ及び調理食品等の自社ブランド製品及びOEM製品の製造・販売を行っており、その子会社(久世の孫会社)キスコフーズ インターナショナル リミテッド(KISCO FOODS INTERNATIONAL LIMITED)が、ニュージーランド・クライストチャーチ市において、オリジナルのフォンドヴォー(仔牛骨、牛肉、野菜等を原料としたソース)やベシャメルソース(バターと小麦粉を原料としたホワイトソース)の製造を行っている。

【フードサービスソリューションカンパニーを標榜  -運ぶ、つくる、考える。そして品質管理-】

同社は 「頼れる食のパートナー」 として、顧客へ様々な情報を提供し、顧客と共に、仕入・物流、店舗経営、商品開発等について考え、問題の解決に取り組んでいる。目指すところは、「運ぶ」、「つくる」、「考える」それぞれの機能を総合的に組み合わせ、より高い付加価値を生み出す提案営業重視の「フードサービス・ソリューション・カンパニー」である。

「運ぶ」  料理のプロの多様な要望に応える事の難しさ

同社においては「個店向け配送」と「チェーン店向け配送」の2通りがあり、「個店向け配送」は、幅広い品揃えで様々な業態(洋食、和食、中華、ホテル、居酒屋、バル、カフェ、病院、商業施設等)に対応し、自社の物流センターから配送。一方、「チェーン店向け配送」はチェーン店独自の品揃えに対応し、自社の物流センターと外部倉庫を利用した久世全国ネットワーク(KZN)の併用で、北海道から九州まで全国にチェーン展開している顧客に食材を届けている。

「運ぶ」(配送)は食材専門商社としての根幹に関わる業務だが、時間指定、配送頻度、納品場所等、料理のプロの多様な要望に応えつつ、しっかりと収益管理していく事は実に難しい。昨今の店舗運営は生産性の向上を迫られる一方、労務管理に対する指導が強化されているため、店着時間がピンポイントで指定される事が多く、これに対応しようとすると物流コストが跳ね上がる。このため、納入価格、物流フィー、店着時間を総合的に勘案して取引条件を決める必要があり、オペレーションの難易度があがっている。

「つくる」  商社の枠を超えた事業展開で収益力の強化と顧客満足度の向上を両立

厨房での手間やコスト削減を念頭に新しいメニューやプライベート(PB)商品を開発し、顧客のニーズに合った商品提供を行っている。

「考える」  情報提供で顧客のビジネスを側面から支援

「顧客ニーズ」、「メニュートレンド」、「メニューの差別化」等を基本に顧客ごとのオリジナルメニューの開発やムリ・ムダのない調理オペレーションの提案、更には同社の商品を使用したメニューレシピやトレンド情報の提供等、日々の顧客支援に加え、食材セミナーやプロ向け展示会「FOOD SERVICE SOLUTION」の定期開催で「食のヒントとなる情報」の発信も行っている。

「品質管理」  商品はもちろん、営業、物流、受発注等のサポート部門を含め、全ての業務で品質向上を推進

1981年に社内に品質管理部門を設け、取引先の品質に関する要望や問い合わせに対し、迅速に対応できる体制を構築しており、細菌検査、生産委託先工場の製造管理、商品規格書の作成・提供、物流センター、各営業拠点の衛生管理チェック等を実施している。また、2010年に「久世グループ品質方針」及びISO22000に基づいた久世グループの品質保証の仕組みである「久世クオス(久世QUALITY SYSTEM)」を策定し、新しい品質への取組みをスタート。13年4月には、キスコフーズ(株)が、同年8月には同社と久世フレッシュ・ワンが、それぞれISO22000の認証を取得した。商品の品質だけでなく、営業、物流、受発注等のサポート部門を含め、全ての業務の品質の向上を推進し、「お客様満足度No.1」を目指している。

【グループ事業の基本戦略と中長期計画】
グループ事業の基本戦略(5つの戦略)

グループ事業の基本戦略(5つの柱)として、チェーン戦略(KZN)、エリア戦略、フルライン戦略、商品開発・加工・製造戦略、及び海外事業戦略、の5つの戦略を掲げている。

チェーン戦略(KZN)では、広域展開する専門店・多業態店チェーンの攻略に向け、効率的な全国物流ネットワークの構築と機能の強化に取り組んでいる。一方、エリア戦略では、3大都市圏のエリア特性にあった戦略(より狭く、より深く)を進めており、小商圏での集中的な顧客開拓と小口配送の効率化に取り組んでいる。フルライン戦略では、グループで、生鮮三品、冷凍食品、ノンフード等を強化・拡充しワンストップショッピング化を図る。ただ、定番商品の深掘りと顧客ニーズを踏まえつつ収益性や効率を重視した能動的な品揃えによる「意志あるフルライン」を基本とする。商品開発・加工・製造戦略では、マーチャンダイジング機能を強化するべく、前期にマーケティング本部を新設した。同本部主導で市場分析・商品開発を進めており、収益性・顧客満足度の高い商品の開発にグループで取り組んでいく。営業面では、メニュー提案を推進していく考え。海外事業戦略では、ニュージーランドでの製造、久世・子会社の輸出、及び中国での卸売事業の拡充と共にグループシナジーを追求していく。

中長期計画

「業務用食品卸売業年鑑2015年版」によると、国内業務用食材市場は約4.1兆円で、首都圏が約1兆7,370億円、中部圏が約4,530億円、関西圏が約8,030億円。同社は首都圏では売上規模がトップクラスだが、マーケットシェアは約3.6%に過ぎない(全国では約1.5%)。このため、首都圏はもちろん、中部圏、関西圏でも更なる事業拡大の余地がある。

同社は、「三大都市圏No.1」、「お客様満足度No.1」を目指して中長期の経営計画を進めており、第1次C&G計画「意識・行動改革」(10/3期~12/3期)、第2次C&G計画「1000億円企業への基盤づくり」(13/3期~15/3期)を経て、現在、第3次C&G(Chance, Change, Challenge&Grow)経営計画(16/3期~18/3期)が進行中。「安定的収益の確保」、「業務効率の改善」、及び「グループの総合力発揮」をキーワードに「収益の基盤構築」に取り組んでいる。19/3期からは、東京五輪開催の2020年を含む第4次C&G計画が始まる。五輪後も視野に入れて顧客との信頼関係の構築・強化に取り組み。五輪需要に沸く消費を取り込んでいく。

2018年3月期上期決算
前年同期比2.4%の増収、同74.1%の営業減益

売上高は前年同期比2.4%増の310億72百万円。既存取引先でのシェアアップに加え、新規取引先の獲得も進展。また、鮮魚を扱う旭水産を中心に輸出売上(4.3億円)が同57.8%増と伸びた。一方、PB商品は、定義・機能・品質等の面から商品全体の見直し・入れ替えを進めている影響で売上比率が一時的に低下した(久世単体:8.8%→8.7%)。販売チャネル別では、大手居酒屋チェーンとの取引終了以降、居酒屋・パブの構成比が低下し、食事中心の業態が増えている。上期は、ファーストフード・ファミレス・カフェが減少したものの、デリカ・惣菜・ケータリング・娯楽施設・その他が伸び、ディナーレストラン・ホテル・専門店も堅調に推移した。

営業利益は同74.1%減の52百万円。卸売事業において仕入価格の上昇に対応した価格改定交渉が途上にあり、製造事業においても為替の変動や原材料の高騰を吸収できなかったため、売上総利益率が18.8%と0.3ポイント低下し、物流費を中心にした販管費の増加を吸収できなかった。物流費の増加は、センター運営の自社化を本格的にスタートさせた事による庫内作業費の増加や物流会社からの値上げ要請への対応が要因。センター運営の自社化は、軌道化すれば生産性や品質の向上が期待できるが、当初はコスト増となる。今後、オペレーションの軌道化による生産性の改善でコスト増を吸収していく考え。

期初予想との比較では、売上は想定通りだったが、営業利益が大きく下振れした。食材卸売事業における物流コストの増加や食材製造事業における原材料の高騰を織り込んではいたものの、卸売事業における価格改定の遅れや食材製造事業における為替の変動及び想定を上回る原材料の高騰が響いた。

上期末が金融機関の休日と重なり仕入債務が滞留したため、上期末の総資産は222億23百万円と前期末に比べて30億93百万円増加した。一方、借入金の返済で有利子負債は減少した。自己資本比率25.8%(前期末27.5%)。

上期末が金融機関の休日と重な影響で営業CFが約21億円(未払の発生)押し上げられた。この影響を除くと、営業CFは前年同期と同水準である。

2018年3月期業績予想
通期業績予想に変更はなく、前期比3.1%の増収、同5.5%の営業増益予想

下期は委託先の値上げで配送費が増加するものの、顧客管理と商品の単品管理によるプライシングマネジメントシステムの稼働で、足元、粗利率が改善傾向にあり、期末にかけて更なる改善が見込まれる。また、自社化した物流センターの運営が軌道化してくるため積載効率も徐々に改善してくる見込み。

配当は1株当たり12円の期末配当を予定。

(2)18/3期の取り組みと進捗状況

18/3期は、①収益改善、②物流環境への対応、③価値向上、④海外事業(中国事業の拡大)、⑤業務改善、⑥人財育成推進、の6つの課題に取り組んでいる。

①収益改善では、「売上」、「収益」、「配送」、「在庫管理」、及び「債権」を重点課題とし、課題別に案件出しを行い、課題解決に取り組んでいる。また、引き続き、”NEXTプロジェクト“を推進する。同プロジェクトの最初のステップとして、営業担当者個人が保有していた顧客情報を全社で共有して、顧客属性や取引状況に応じて取引条件をシステマチックに決定し担当者に徹底させる取り組みを進めている他(この一環として、顧客管理と商品の単品管理の連動による、仕入価格の上昇に対応した顧客毎の価格交渉を進めている)、顧客毎に売上キャパシティを把握して、これに基づくインストアシェアを意識した営業活動の浸透に取り組んでいる。

②物流環境への対応では、「一人ひとりの意識付けや仲間意識がセンターを活性化させ、品質を向上させる」との考えの下、センター運営の自社化による作業効率向上及び品質向上と自動化に必要なノウハウの蓄積に取り組んでいる。また、配送効率改善の一環として、10月から11月にかけて大阪DC(物流センター)を大阪天保山DCに統合した。尚、この物流センター統合はゴールデンンウィークに進めたが不具合が発生したため一旦中止した。この事が上期の物流コスト増加の一因となった。

③価値向上では、マーケティングを推進し、市場分析と数値データ分析を加味したPB新商品25品目の導入を計画しており、上期に15品を発売した。コストを追求するだけでなく、付加価値の向上にも力を入れていく考え。

④海外事業(中国事業の拡大)
12月に中国国内の業務用食材卸売会社である上海日生食品物流有限公司を特定子会社化する(出資比率31.1%→82.1%)。上海日生食品物流有限公司は和食を中心にした業務用食材卸である。久世グループは、これまで内陸の成都で事業を行っていたが、今回の増資で沿岸部の上海に営業拠点を確保する事になる。今後は、成都、上海と、その間にある武漢、重慶を結ぶラインで事業を進めていく。尚、中国事業は、食の近代化を追い風に20%程度の売上成長が続いている。

⑤業務改善
社内業務の効率化を目的に、社内業務の“見える化委員会”を立ち上げた。社内の慣例や個人が持つ知識・経験をWebを通じて共有できる環境づくりに取り組んでいる。

⑥人財育成推進
資格支援制度やメンター制度の導入、社内勉強会(座学、ロールプレイ等)、更には食の現場視察等の実施により人財育成に取り組んでいく。

今後の注目点
上期の減益要因の一つとなった物流コストの増加は「意志あるコスト増」である。これまでアウトソーシングしていた物流センター業務を自社運営に切り替えたため(自社化)、一時的にコストが増加した。物流センター業務は商社の生命線だが、人手不足による人件費の上昇等でアウトソーシングコストが上昇する中、生産性や品質で必ずしも満足できる成果を上げていなかった。このため、自社で人材を確保し、直接運営に乗り出した。社員と自社雇用のパート・バイトによる一体感のある物流センター運営と営業との連携強化による車両1台当たりの積載量の増加で、生産性と品質を向上させていく。また、自社化には、物流環境の変化への対応力の向上や次世代の人財育成といったメリットもある。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書       更新日:2017年06月27日
基本的な考え方

当社のコーポレート・ガバナンスの考え方は、経営理念を基本としております。

経営理念
私達は、明るい信頼される会社にします。
私達は、お客様の立場に立ち、最高の商品とサービスを提供します。
私達は、絶えず革新に挑戦し、たくましい会社にします。
私達は、お客様、お取引先の繁栄と株主、社員の幸福に貢献します。
私達は、そのために会社の成長と発展を果たします。

これらの考え方に基づき、当社は企業目的を達成し、企業価値を向上させるために経営の有効性と効率化を高め、変化する経営環境に対して迅速な意思決定や、意思決定に基づく機動性の向上を図っていく必要があると考えております。また、経営の健全性を高めるために、経営の監視機能として、内部統制システム構築による自主点検と内部監査による法令遵守(コンプライアンス)チェックがますます重要性を増してきていると認識しております。その上で、安定的な企業活動を継続していくために、コーポレート・ガバナンスの強化を図ってまいります。

同社は基本原則すべてを実施している。

【基本原則1 株主の権利の平等性の確保】
【基本原則2 株主以外のステークホルダーとの適切な協働】
【基本原則3 適切な情報開示と透明性の確保】
【基本原則4 取締役会等の責務】
【基本原則5 株主との対話】

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