(8793:東証1部) NECCS リサ事業が好調 再度上方修正

2017/12/06

neccs

今回のポイント
・NECグループに属する国内唯一の金融サービス会社。ファイナンス・リースを中心とした賃貸・割賦事業が売上の約8割を占める。顧客の半数が官公庁・自治体というNECとの関係をベースとした安定した事業基盤、ICTと金融の融合などが大きな特長・強み。事業そのものが社会的価値を創造すると共に、企業として求めるべき経済的価値も創出するCSV経営を目指す。・18/3期第2四半期の売上高は、前年同期比15.9%増の1,111億円。リサ事業のファンドにおける有価証券売却収益や、その他の事業における商品売上が寄与した。経常利益は同158.5%増の109億円。リサ事業の好調に加え与信コストが減少した。期初計画および17年7月発表の修正計画を共に上回った。

・リサ事業やファイナンス事業の収益が更に積み上がる見込みであることに加え、与信コスト戻入益の発生もあり、17年7月に続き10月に通期予想を再度上方修正した。売上高は前期比2.7%減の2,100億円の予想だが、営業利益は同107.5%増の125億円を見込む。配当は前期と同じ44円/株の予定。予想配当性向は17.2%。

・『ビジョン実現に向けた「コア領域の完成」と「新事業立ち上げ」の期間』と位置付けた3年間の中期計画2017は順調な進捗。最終年度2020年3月期の経常利益85億円、当期純利益45億円、ROA1.0%を目指している。

・前回のレポートでは、「リースビジネスの事業環境が決して明るいものではない中、安定した顧客基盤を活かしながら、多様なソリューション提供力を収益性向上、利益成長に繋げることができるかが同社の大きな課題であり、収益性の高いリサ事業の伸長が大きなカギを握ると思われる。」と述べたが、今中間期はリサ事業の貢献で増収増益となり通期予想も2度の上方修正となった。ファンドの大型売却は経常的なイベントとは言い難いが、堅調なファイナンス事業とあわせて、同社の事業ポートフォリオの特徴がよく表れた決算だったと言うことができるだろう。この特徴をPER上昇のカギとなる収益のボラティリティー低下にどう繋げていくかが注目される。

会社概要

NECグループに属する国内唯一の金融サービス会社。ファイナンス・リースを中心とした賃貸・割賦事業が売上の約8割を占める。顧客の半数が官公庁・自治体というNECとの関係をベースとした安定した事業基盤、ICTと金融の融合などが大きな特長・強み。事業そのものが社会的価値を創造すると共に、企業として求めるべき経済的価値も創出するCSV経営を目指す。

従業員全員が企業理念に基づくそれぞれのミッション、バリュー、ビジョンを明確に捉え、顧客の信頼に足るベストパートナーを目指している。

また、同社では以下のようなグループビジョンを2013年10月に制定した。
今後10年間にわたり、グループで共有して目指す方向性であり、ありたい姿を文言化したもの。
同社を取り巻く外部環境及び内部環境は絶えず変化する事が予想されるが、どんな変化に対しても事業展開がぶれないよう、同社の拠り所とするものである。

このグループビジョンでは、事業そのものが社会的価値を創造すると共に、企業として求めるべき経済的価値も創出するCSV(Creating Shared Value)の概念に基づく経営を目指すという方向性を打ち出した。

近年、企業が永続的に存在するためには、より豊かな社会の創造に貢献する社会価値を創造することが求められるようになっており、同社もCSV経営という考えを中心に据えて、10年後のありたい姿を明確にし、持続的な成長を目指していきたいと考えている。

同社はこれまでもCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)を強く意識した事業展開を行ってきた。
リース事業が循環型産業であることにいち早く着目し、リース満了品の3R(リデュース、リユース、リサイクル)処理や環境に配慮した機器をリースする「エコリース」の拡販に取り組んできたのはその一例。
また同社が得意とする官公庁向けのビジネスでは、社会インフラ構築そのものの支援をしている。
このような素地を足掛かりに、CSRから一歩進んで、事業そのものを通した社会価値の向上に貢献していきたいと考えている。

【1-3 市場環境など】
◎リースの仕組み

同社の売上の大半を占める「リース取引」の仕組みは以下のとおり。

プレーヤーは以下の3者。

日本では、リース会計基準により、リース取引は「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の2つに区分される。

<ファイナンス・リース>

以下の2要件を満たすリースを指す。
① リース期間の中途での解約が禁止されている。(中途解約禁止)

② 物件金額と付随費用(賃貸人の調達金利、税金、保険、手数料など)合計が、リース料で概ね全額(90%以上)回収されること(フルペイアウト)。つまりリース料総額は「物件金額+付随費用」となる。

ユーザーには、事務管理の省力化、コスト削減、多額の初期費用が不要など様々なメリットが生じる。

ファイナンス・リース取引は、さらに、「所有権移転外ファイナンス・リース」と「所有権移転ファイナンス・リース」に区分される。
「所有権移転ファイナンス・リース」は譲渡条件付きリース、購入選択権付リース、特別仕様物件のリースの3つで、限定的。
「所有権移転外ファイナンス・リース」は、「所有権移転ファイナンス・リース」以外のファイナンス・リースで、ファイナンス・リースの大部分は「所有権移転外ファイナンス・リース」となる。

<オペレーティング・リース>

ファイナンス・リース以外のリースのこと。
つまり、上の2要件のうち両方、もしくはいずれかを満たさないリース。
通常は「②フルぺイアウト」の要件を満たさない仕組みのリースである。
将来価値が見込まれる機器や設備に関し、その価値をあらかじめ見込んだリーススキーム。

オペレーティング・リースを行う場合は、まずリース終了時点におけるリース物件の中古物件価値(残存価額)を見積もり、物件金額から残存価額を差し引いた金額をベースにしてリース料を設定する。
残存価額は、ユーザーがオペレーティング・リース取引を希望する物件について、リース会社が「中古市場の有無や動向」、「経済情勢」、「同一物件の過去の実績」、「ユーザーの使用状況」などから将来の市場価値を予測して設定する。
このため、オペレーティング・リースにおけるリース料総額は、物件金額よりも小さく、ファイナンス・リースと比べて安くなる。

同社が扱うのは主として「ファイナンス・リース」だが、一部航空機、船舶、建物などを対象としたオペレーティング・リースも取り扱っている。

◎市場動向・規模

公益社団法人リース事業協会の統計によれば、2016年度のリース取扱高は約5兆円。
2008年4月に導入された新リース会計基準(※)及び同年9月に発生したリーマンショックの影響により、取扱高は大きく減少した。
ただ、中堅・中小企業には新リース基準が適用されないこと、前述の様なオフバランス以外のファイナンス・リースのメリットは依然魅力的であることから、近年は5兆円近辺で推移している。

一方、リース会社間の競争に加えて、マイナス金利政策の導入で事業環境が悪化している地方金融機関が、リース会社の取引先を含めたこれまでは融資対象としていなかった先に対しても貸出を積極化させており、競争は激化している。
サービスの多様性、高付加価値化など、差別化要因の確立がリース会社各社に求められている。

(※)新リース会計基準:2008年4月の導入。それまでは、所有権移転外ファイナンス・リース取引は所有権の移転が無いことから賃貸借処理(オフバランス)が認められていたが、新基準では原則廃止となり、 売買処理(オンバランス)が原則となった。原則としてリース開始時に貸借対照表に「リース資産」、「リース債務」を計上。また、リース資産に係わる減価償却費とリース債務に係わる利息相当額を、それぞれ損益計算書に計上する。
適用対象会社は、金融商品取引法が適用される上場会社並びにその子会社及び関連会社または、会社法上の大会社 (資本金5億円以上または負債総額200億円以上の会社)。
中小企業は、従来通り、賃貸借処理(オフバランス)を継続できる。資本金5億円未満かつ負債総額200億円未満の株式会社、特例有限会社、合名会社、合資会社または合同会社は、新リース会計基準の適用を受けず、従来通りの賃貸借処理(オフバランス)が認められている。

多くのリース会社が、PBR1倍割れの状況にある。また同社の場合、2度の上方修正で今期予想EPSは期初予想の162.54円から255.42円に上昇したが前回レポート時よりも予想PERは低下している。
収益性の向上に加え、投資家に対する認知度の向上や、特徴・強み・競争優位性・持続的な利益拡大の道筋などの理解促進が不可欠である。

【1-4 事業内容】
1.事業セグメント

事業セグメントは賃貸・割賦事業、ファイナンス事業、リサ事業、その他の事業の計4つ。

◎賃貸・割賦事業

リース事業および割賦販売事業を行っている。

ファイナンス・リース以外には、保守契約をセットしたスキームである「メンテナンス・リース」、オフバランスが可能な「オペレーティング・リース」、ICT機器を対象とした解約自由の残価設定型オペレーティングリースである「Nレンタル」サービスなど、様々なサービスを提供している。

オペレーティングリースは通常、経年による価値低下が緩やかでリース契約期間満了後もある程度の価格で売却可能な飛行機や船舶といった資産が対象となり、陳腐化の速いPC等ICT機器は対象とし難いが、同社の「Nレンタル」リースは、ICT機器を再生することで価値を高めてこの課題をクリアし、世界の中古市場へ販売している。

このようにどのようなタイプのリースであってもリースされた製品は必ず返却されることから、同社ではリースは資源循環型社会に貢献するサービスであると捉え、リース満了品のうち再販可能なICT製品をリユース中心に3R処理し、資源循環型社会づくりにつなげている。

割賦販売はユーザーの設備投資における資金ニーズや設備所有ニーズに対して、ユーザーに代わって同社が設備を購入し、ユーザーへ割賦販売する事業。購入代金や金利等は分割で回収する。

近年は、取り扱う営業資産の多様化を進めており、太陽光パネル等の再生可能エネルギー関連設備、建物、航空機、船舶等にも取り組んでいる。

◎ファイナンス事業

主に「企業向け貸付」や「ファクタリング」から構成される。
企業向け貸付は、主に「各種債権流動化プログラムの提供」や「設備投資向けストラクチャードファイナンスの提供」等を行う事業。
ファクタリングは売掛金の早期回収を実現し、企業の資金調達負担を軽減するサービスである。
これらのサービスは新規の顧客を主力のリース事業に結び付けるためのきっかけづくりとしての役割も担っている。
この他、有価証券の投資業務等も行っている。

◎リサ事業

金融サービスの多様化を目的に2010年12月に連結子会社とした株式会社リサ・パートナーズが展開する事業。
顧客企業の抱える経営課題に対し、資金面で支援する「投融資」と、金融・不動産を軸に専門的見地から助言する「アドバイザリー」の両面から、解決策を提供している。
事業成長支援、資本効率改善、債権の健全化、不動産の有効活用など、幅広い課題にワンストップで対応できるのは、各専門分野のプロフェッショナルが多数在籍している同社ならではの強みである。

中でも同社が得意としているのが、180を超える地域金融機関とのネットワークを活かした地域企業の活性化支援。
その強みを活かして2014年3月には、日本政策投資銀行、地域経済活性化支援機構と共に「観光活性化マザーファンド」を設立している。
このファンドは全国各地の観光産業の活性化を目的とし、宿泊、飲食、観光物産品の製造・販売、地方交通等、観光関連の事業を幅広く投資対象としている。同ファンドを通じて、国内各地で、地域ごとの豊かな観光資源を活かした経済活性化に貢献することで、観光大国としての日本経済の成長に寄与していきたいと考えている。

◎その他の事業

ストラクチャードファイナンスの組成手数料等の様々な手数料収入が計上される他、賃貸事業において同社が保有するリース満了・中途解約物件を売却する中古品売買、保守料の回収、顧客の債権管理に関する業務効率化やアウトソーシングニーズに対し同社が業務を代行するサービスなどがある。
CSV観点の新しいニーズの開拓と事業化を推進する中で新たに取り組むこととなった太陽光発電事業、PFI事業、ヘルスケア事業の手数料もこのセグメントに含まれる。

(ICT関連事業)

ICTのライフサイクルである導入、利用、廃棄まですべての領域で顧客のICT資産の運用・管理の最適化をBPO(Business Process Outsourcing)型クラウドサービスで支援している。
また契約満了後のICT機器は、子会社のキャピテック&リブートテクノロジーサービス株式会社によって再生し、海外を含む独自のルートで中古販売している。

(PFI事業)

PFI(Private Finance Initiative)は、民間資金を活用した社会資本整備、つまり民間の資金、経営能力及び技術能力を活用して公共施設等の建設、維持管理、運営等を行う官民連携事業。
一般的にはプロジェクト・ファイナンスによる資金調達の組成が必要となるため、専門スタッフが事業に最適なストラクチャーを構築し、低利な資金調達の支援、官公庁への提案書作成等、事業者側に立ったサービス提供を行っている。

(ヘルスケア事業)

投資家から募った資金をヘルスケア施設に特化して投資する不動産投資信託証券「ヘルスケア REIT」を中心に展開している。

(エネルギー事業)

CSV経営の一つとして、SPC(特定目的会社)を通した太陽光発電事業の他、地域新電力会社の運営、電力の買い取り及び販売を行っている。
2015年10月には、「エネルギーの地産地消」というコンセプトの下、浜松市や株式会社NTTファシリティーズ、浜松市内の金融機関や民間企業と共に地域新電力会社「株式会社浜松新電力」を設立した。
浜松新電力は、市内の太陽光発電事業者等から電力を買い取り、小中学校をはじめとした市内の公共機関を中心に電力を販売している。地域産のエネルギーを地域内で消費することで、外部からの供給に頼らない電力の安定確保が実現でき、加えて、電力供給に関わる資金や資源を市内で循環させることで、地域経済の活性化にもつなげていく。

2.海外展開

現在、香港、シンガポール、マレーシア、タイに現地法人を設立し、海外展開を進めている。
通常海外拠点設立に際しては、相当の準備と期間が必要になるが、同社はNECの海外戦略に呼応し、既にNECがサービスを展開し注力しているマーケットに対し、金融面のサポートをするという形をとりリスクの低減を図っている。
現地企業への対応、アジアへの進出を図る日本企業の支援等も含め、事業を拡大していく考えだ。

【1-5 特長と強み】
①NECとの関係をベースとした安定した事業基盤

NECグループに属する国内唯一の金融サービス会社である同社は、設立以来NECと顧客基盤を共有してきたことから、顧客の5割以上を占める官公庁や大企業を中心とした安定した顧客基盤を有している。
また、契約実行高の3分の2近くがNECやNEC系販社からのものとなっている。NEC製品については、メンテナンスリースやベンダーファイナンスプログラム等、NECの製品・サービスと組み合わせたメーカー系ならではのリースも提供している。

NECとは戦略的なパートナーシップの構築を推進している。
NECが顧客に行うシステム等の提案活動に際し、同社はその上流工程から参加し、販売方法について検討を行い、「チームNEC」として提案活動を行っている。
NECは競合先との差別化を図った提案ができ、同社は他の金融サービス会社と競合することなく商談を進めることができ、両社ともメリットを享受している。

リース契約は平均5年程度という長期間にわたり、顧客と取引をするビジネス。
メーカーが機器を販売した後も、同社と顧客の取引は続いており、新たな顧客の課題を知ることもでき、こうした顧客との関係から、同社からNECに新規のビジネスチャンスを紹介することもある。

②「ICT」と「金融」の融合

様々な種類の設備についてリースを提供している同社だが、中でもNECの販売促進のための金融会社として歩んできた経緯から、ICT製品のリースの取扱割合が7割と高くなっている。
こうしたバックボーンを背景に、多くのリース会社の中で同社の存在を特徴づけているキーワードが『「ICT」と「金融」の融合』だ。

「ICT」と「金融」が融合した同社ならではのサービスの代表例が「PITマネージドサービス」。
利用に際して各種の設定や管理が必要となるPCを始め様々なデバイスやソフトウェアなどICT資産の「調達、展開から運用管理・資産処分」に至るまでのライフサイクルを管理する各種サービスをワンストップで提供するBPO型クラウドサービスである。

パソコンだけではなく、スマートフォンやタブレット端末等のマルチデバイスに柔軟に対応し、NECに限らず複数のメーカーを取り扱い、顧客の状況に合わせたベストな提案を行っている。
また、最新の技術・サービスを取り入れたクラウドサービスにより、トータルコストの削減とクオリティ維持に貢献している。
加えて、サービスデスクを運営し、コンプライアンスやセキュリティを考慮した各種サービスを提供して顧客のバックオフィス機能の業務を代行する。

NECとの戦略的な連携という強固な事業基盤の上で、ICTに関する豊富な知見を武器に、幅広い金融ソリューションを提供しているのがNECキャピタルソリューション株式会社である。

③CSV経営

同社を特徴づけるもう一つのキーワードがCSV経営だ。
2013年10月、自社の存在意義を明確にし、持続的成長を追求するためには決してぶれることの無い指針が必要と考え、採り入れた。

前述の様にCSVは、事業そのものが社会的価値を創造すると共に、企業として求めるべき経済的価値も創出するという考え方。
2011年、「競争戦略論」で有名なマイケル・ポーター教授が、ハーバード・ビジネス・レビューで提唱した。
社会に対する責任や活動としてはCSRが有名だが、CSRが、コンプライアンス(法令順守)や、環境マネジメント、フィランソロピー(社会貢献的活動)など本業の周辺における活動であるのに対して、CSVは、本業、事業そのものでの戦略的展開が重視される。

CSVは、CSRより一歩進んで、社会的価値の実現を通じて企業価値、事業価値や競争力を向上させる新しい動きとして理解されはじめている。

取り組み事例①:「環境・復興支援シンジケートローン」

「環境・復興支援シンジケートローン」は、環境に配慮した事業を指向する企業の支援や、東日本大震災の被災地の復興支援を目的とするもので、日本政策投資銀行(DBJ)との連携により、全国の金融機関の協力を得てシンジケートローンを組成し、その趣旨に沿った案件に資金を活用している。
2012年に組成を開始し、これまで6回組成している。2013年10月には第15回グリーン購入大賞における最高賞の「大賞・環境大臣賞(協働プロジェクト部門)」を受賞するなど、高く評価されている。

取り組み事例②:「次世代自動車用充電インフラ整備プロジェクト」

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)等、環境にやさしい次世代自動車の普及拡大に不可欠な充電スタンド等のインフラを整備するためにNECグループで「次世代自動車用充電インフラ整備プロジェクト」を推進している。
顧客となる大型商業施設や公共施設等、大規模導入が可能な施設を運用する企業・自治体への提案を行うこのプロジェクトにおいて同社はファイナンス関係を担当。充電器等の導入にリースを活用するとともに、政府からの補助金を活用することで、導入時の初期投資を限りなくゼロに抑える仕組みを提案した。
首都圏を中心とした複数の施設で運用が始まっている。

CSV経営は、全社員が自分の部署において何をなすべきかを話し合ったほか、社長が支店を含めた全部門と議論するなど理解、浸透を図った結果しっかりと定着しているが、新中期計画2017の策定を契機に改めてリマインド、ブラッシュアップを図る考えだ。

一定規模のリース資産を保有する必要があるため業態的に総資産回転率の上昇はなかなか難しいだろうが、マージンの向上によるROEの上昇が課題となる。

【1-7 株主還元について】

主力の事業であるリースは、契約期間が長く、定期的にリース料を受領するビジネスモデルであるため、ベースとなる収益は安定的な推移となっている。こうした事業の特性から、配当方針も安定配当を第一としている。
また、株主優待制度を設けており、3月末現在の株主を対象に年に一度実施しているが、2018年11月に創業40周年を迎えるにあたり、株主への感謝の意を表すために株主優待制度の見直しを行うこととした。

従来の保有期間に応じた優待に加え保有株式数に応じた条件を追加することでより多くの株主に長期にわたり保有してもらえる制度へと拡充した。
尚、株主優待品の受け取りに代えて株主優待品相当額の寄付を選択できる制度については継続する。

2018年3月末日の最終の株主名簿および実質株主名簿に記録された株主より本制度を適用する。株主優待品の発送は2018年7月の予定。

2018年3月期第2四半期決算概要
増収・増益で計画も上回る。

売上高は、前年同期比15.9%増の1,111億円。リサ事業のファンドにおける有価証券売却収益や、その他の事業における商品売上が寄与した。
経常利益は同158.5%増の109億円。リサ事業の好調に加え与信コストが減少した。
期初計画および17年7月発表の修正計画を共に上回った。

*賃貸・割賦事業

減収・増益。
業界全体のリース取扱高については前年同期比6.3%の減少で、同社の主力である情報通信機器のリース取扱高は同1.0%の減少と市場環境は低調。
貸倒引当金戻入額の計上等により、営業利益は増加した。
業種別の契約実行高は、官公庁領域、民需領域ともに前年同期を大きく上回り、全体では同18.6%増。
成約高についても、官公庁領域で大型案件を受注。民需領域も堅調で全体では、同13.3%増となった。

*ファイナンス事業

増収・増益。
配当収益増加で増収。貸倒引当金繰入額の増加はあったが増益だった。
契約形態別の契約実行高は、割賦バックや個別ファクタリングで大型案件を受注したことで、全体では前年同期比10.4%の増加。
業種別契約実行高では、不動産業が減少した一方で流通業の大型案件を受注したため民需全体では同10.1%の増加となった。

*リサ事業

増収増益
(アセットビジネス)
ファンドにおいて大型の投資有価証券売却があったため大幅な増収・増益。

(不動産)
前年同期に大型案件があったため減収となったが手数料収入の拡大で増益。

(アドバイザリー)
減収だったが利益はほぼ前年並みを確保した。

現預金、リース債権及びリース投資資産は減少したが営業貸付金、投資有価証券の増加などにより資産合計は前期末比35億円増加の8,640億円。
長短有利子負債の増加により負債は同35億円増加の7,552億円となった。純資産はほぼ変わらずの1,088億円。
自己資本比率は前期末から0.5%上昇し9.7%となった。

賃貸・割賦事業の残高は減少したが、個別ファクタリングでの大型受注や順調な海外事業によりファイナンス事業の残高は増加。ファンドビジネスの進捗によりリサ事業の残高も増加し、全体の残高は前年9月末に比べ373億円増加した。

◎資金調達状況

長期借入のCPシフト、短期市場金利の低位推移などにより、資金原価率(資金原価 ÷ 有利子負債平残)は前年同期比0.04ポイント減の0.63%。
有利子負債合計に占めるCP、社債、債権流動化の構成比である直接調達比率は、CPおよび社債の残高増加により前年同期末の26.6%から33.6%へ上昇した。

営業貸付金の増加などで営業CFはマイナスに転じた。
投資有価証券の売却および償還による収入で投資CFのマイナス幅は縮小。フリーCFのマイナス幅は小幅拡大した。短期借入金純増額が前年同期よりも減少したことなどから財務CFはマイナスに転じた。
キャッシュポジションは上昇した。

(5)トピックス
◎「SMBC サステイナビリティ評価融資」で最高評価を取得し資金調達を実施

2017年10月、株式会社三井住友銀行による「SMBC サステイナビリティ評価融資」において最高評価であるAAA評価を取得し、同評価に基づく5回目の資金調達契約を締結したと発表した。
契約金額は200億円で、契約日は2017年9月29日。

【SMBC サステイナビリティ評価融資とは?】
株式会社三井住友銀行と株式会社日本総合研究所が作成した独自の評価基準に基づき企業のESG側面の情報開示とサステイナビリティへの取組みなどを評価し、評価結果に応じた融資条件の設定を行うとともに、取組みや情報開示の適切さについての現状分析、今後の課題、課題への取組事例などを還元する融資商品。

【同社の取り組みと評価】
同社は、グループビジョンとして、「お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー」を掲げ、CSV経営実践に向けた様々な取り組みを行っており、その一環として「SMBC サステイナビリティ評価融資」の実施により、資金調達とともにESG側面での取り組み及び情報開示の向上を図っている。

同社に対する評価は「AAA」で、7段階中の最高評価であった。
ESG側面に関する以下の3項目において非常に高い水準であると判断され、『サステイナビリティに向けた企業経営において、大変優れたESG側面の取り組みと情報開示を実施している。』との評価を受けた。

2018年3月期業績予想
リサ事業やファイナンス事業の収益が積み上がり2度の上方修正。減収も大幅増益を予想

リサ事業やファイナンス事業の収益が更に積み上がる見込みであることに加え、与信コスト戻入益の発生もあり、17年7月に続き10月に通期予想を再度上方修正した。
売上高は前期比2.7%減の2,100億円の予想だが、営業利益は同107.5%増の125億円を見込む。
配当は前期と同じ44円/株の予定。予想配当性向は17.2%。

中期計画2017の進捗状況

同社は「お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー」をグループビジョンに掲げ、その実現に向けた10年間のロードマップを三段階に分割しており、今期から第二段階にあたる「中期計画 2017」を推進中である。
「中期計画2017」ではこの3年間を「コア領域の完成」と「新事業立ち上げ」で持続しうる事業基盤を構築する期間と位置付けている。

(※「中期計画2017」の詳細は、後述の「参考」を参照)
<コア領域の完成>

各種付随収益が期待できるリースにこだわった事業を展開すると共に、様々な商材を組み合わせるアレンジ力や社内外とのシナジー創出に注力しながら、強みを活かした同社らしい「サービス」の確立に取り組む。

香港とグアムを結ぶ光海底ケーブルプロジェクト向けシンジケートローンは同社にとって海外プロジェクト向けシンジケートローン組成の第1号案件。注力してきたNECとの連携強化が成果となって表れた。
今後もNECの海外プロジェクトをファイナンス面から支援するケースが増加することが期待でき、事業の幅を広げる大きな一歩となったと考えている。

<新事業の立ち上げ>

非金融を含め同社らしく持続可能な新事業を確立する。

新事業は「エネルギー、ヘルスケア、農業、観光」の4つを重点分野としている。

新電力会社「Coco テラスたがわ」は、公共施設における電気料金の削減を図るとともに、事業で得られる収益を地域に還元する仕組みを構築することで、田川市の地域活性化に貢献するもの。
同社は、17年6月、福岡県田川市において、田川市、パシフィックパワー株式会社、田川信用金庫、株式会社福岡銀行及び株式会社西日本シティ銀行と共に新電力会社「Cocoテラスたがわ株式会社」を設立した。
官民連携事業(PFI事業)や浜松市における新電力会社設立で培ったノウハウを活かし、Cocoテラスたがわの電力事業をサポートしていくとともに、田川市が目指す地域活性化の実現に貢献していく考えだ。

<経営基盤強化戦略>

事業戦略を支える経営基盤を強化する。
以下のような進捗があった。

コンプライアンス強化推進、業務品質向上への取り組み進展
適切な意思決定に資する経営管理機能の強化進展
労働生産性向上及び従業員満足度向上に向け、働き方改革や女性活躍推進活動が始動
女性活躍に関する「えるぼし(2段階目)」認定取得

「えるぼし」認定は、女性活躍推進法に基づく認定制度で、行動計画の策定および届出、申請をした企業のうち、取り組み状況等が優良な企業を、厚生労働大臣が認定するもの。
認定は、基準を満たす項目数に応じて3段階あり、同社は、「採用」、「労働時間等の働き方」、「多様なキャリアコース」の基準を満たし、2段階目の認定を取得した。
CSV経営の実現に向けた取り組みの一つには、従業員満足度の向上があり、従業員がイキイキとやりがいを持って働くことのできる環境づくりを推進している。福利厚生制度の充実はもとより、17年4月には女性活躍推進室を設立し、ダイバーシティへの取り組みや働き方改革を推進している。

今後の注目点
前回のレポートでは、「リースビジネスの事業環境が決して明るいものではない中、安定した顧客基盤を活かしながら、多様なソリューション提供力を収益性向上、利益成長に繋げることができるかが同社の大きな課題であり、収益性の高いリサ事業の伸長が大きなカギを握ると思われる。」と述べたが、今中間期はリサ事業の貢献で増収増益となり通期予想も2度の上方修正となった。
ファンドの大型売却は経常的なイベントとは言い難いが、堅調なファイナンス事業とあわせて、同社の事業ポートフォリオの特徴がよく表れた決算だったと言うことができるだろう。
この特徴をPER上昇のカギとなる収益のボラティリティー低下にどう繋げていくかが注目される。
<参考1:中期計画2017について>

同社は事業活動そのものが社会的価値を創造すると同時に、企業として求めるべき経済的価値を創出し、企業と社会双方に共通の価値を生み出すCSV経営を目指し、グループビジョンに掲げている。
このビジョンに基づき、CSV経営実現に向けた10年間のロードマップを三段階に分割しており、第一段階である「中期計画 2014」が終了したことに伴い、「中期計画 2017」を策定した。

(1)中期計画2014の振り返り

「コア領域の基盤再構築とビジョン実現に向けた仕掛けの構築」をテーマとした「中期計画2014」は、異次元の金融緩和による競合激化を受け、従来型のリース・ファイナンスが伸び悩み、数値面では当初計画を下回る結果となった。ただ、各事業領域の収益拡大や新たな収益源の確保が進み、2016年度における見直し後の計画値は達成することができた。

また、各種施策が着実に進捗し、コア領域の基盤再構築及び新事業の仕掛け構築についても一定の成果を得る事が出来たと考えている。

(2)新中期計画2017概要

この3年間を『ビジョン実現に向けた「コア領域の完成」と「新事業立ち上げ」の期間』と位置付けている。

① 事業戦略
<コア領域の完成>

各種付随収益が期待できるリースにこだわった事業を展開すると共に、様々な商材を組み合わせるアレンジ力や社内外とのシナジー創出に注力しながら、強みを活かした同社らしい「サービス」の確立に取り組む。

<新事業の立ち上げ>

地域活性化や労働人口減少等の社会課題解決に対する事業への取り組みを推進する。

以下の5領域で事業戦略を展開する。

<経営基盤強化戦略>

事業戦略を支える経営基盤を強化する。

収益性向上を図りつつ成果を刈り取り、着実に増益を達成する。

<参考2:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

最終更新日:2017年6月30日

<実施しない主な原則とその理由>
「コーポレートガバナンス・コードの各原則について全てを実施しております。」と記載している。

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