(8912:東証2部) エリアクエスト サブリース事業と組織作りに注力

2017/11/22

AreaQuest

今回のポイント
・18/6期1Q(7-9月)は前年同期比115.1%の増収、同367.7%の経常増益。契約の累積効果でサブリースを中心にしたストック収入が増加する中、販売用不動産の売却が売上を押し上げた。利益面では、人材の採用やコンサル等による支払手数料や業務委託費を中心にした販管費が増加したものの、売上の増加と採算の良い販売用不動産の売却による利益率の改善で吸収。営業利益が同361.4%増加した。

・上期及び通期予想に変更はなく、通期で前期比11.0%の増収、同19.6%の経常増益予想。通期予想は前期末のサブリース等の契約実績をベースに販売用不動産の売却を織り込んだ。2Q以降も引き続きサブリースの新規獲得に取り組んでいくが、期中獲得分の収益は織り込んでいない。配当は上期末1円、期末1円の年2円を予定している。

・収益の柱であるサブリースは、1都3県の主要駅の駅前に約200件を展開し、そのほとんどが1階。テナントの確保、日常的に発生する設備の不具合や老朽化によるトラブルへの対応、更にはテナント管理の問題等、ビルオーナー等が抱える様々な悩みに迅速・確実に対応する事で培った信頼関係を強みにサブリースを拡大させている。規模的に大手不動産会社が手掛け難い一方で、マンパワーと資金力に乏しい中小の不動産会社の参入は難しいため、現状では競合らしい競合が存在しない。

会社概要

東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県の駅前店舗を対象にしたサブリースやビル管理・メンテナンス(清掃、設備保守、警備管理等)を中心に契約更新・契約管理(売買仲介を含む)等も手掛ける「ストック収入型ビジネス」と、テナント誘致等の「成功報酬型ビジネス」を展開。グループは、グループマネジメントが中心の同社の他、テナント誘致等を手掛ける(株)エリアクエスト店舗&オフィス、ビル管理等の(株)エリアクエスト不動産コンサルティングの連結子会社2社。「エリアクエスト」と言う社名には、「地域に根差して(エリア)、不動産の価値を追求する(クエスト)」と言う思いが込められている。

【代表者プロフィールと会社沿革】

代表取締役社長を務める清原雅人氏は1967年2月2日生の50歳。予備校までを熊本で過ごし、一浪して明治大学法学部に入学。卒業に5年を要したが、卒業後は野村證券に入社。大阪で4年、名古屋で3年、営業の腕を磨いた。1998年4月に友人と起業し、2000年1月に独立してエリアリンク(株)を設立(2001年3月に社名を(株)エリアクエストに変更)。2003年2月に(株)エリアクエストを東証マザーズに上場させ、2014年11月に本則市場(東証2部)での上場を果たした。現在、(株)エリアクエスト、(株)エリアクエスト店舗&オフィス、及び(株)エリアクエスト不動産コンサルティングの代表取締役社長を務める。

会社設立から上場後数年間はテナント誘致で業績を拡大させたが、需要一巡とリーマン・ショックによる景気悪化が重なり06/6期から4期連続の最終赤字。「業績の立て直しには、謙虚にビルオーナー等との信頼関係構築に取り組む事が必要」との認識の下、日常的に発生する設備の不具合・老朽化によるトラブルやテナント管理の問題への対応等、迅速かつ丁寧なアフターフォローに力を入れた。この取り組みが成果を上げ、管理物件やサブリース物件が増加し17/6期で6期連続の増収・増益。

【特徴・強み 1都3県の駅前商業地においてテナント誘致に強いビル管理サービスを提供】
特徴1 ビル管理事業(サブリースを含む) 清掃業務は「顧客満足度No.1」を自負
特徴2 更新及び契約管理事業
(売買仲介を含む)
トラブルの未然防止と、トラブルが起きてしまった場合の迅速対応
特徴3 テナント誘致事業 ビル管理事業とのシナジー

ビル管理事業や更新及び契約管理事業は2003年3月に100%子会社化した(株)日本総合ビルメンテナンスがベースになっているが、ビル管理事業では、清掃を中心とした日常対応にととまらず、水回り、電気、空調、ガス、エレベーターといった設備面での臨時対応をこなし(問題が発生すれば、いち早く駆けつけて対応)、更新及び契約管理事業では、更新及び契約管理に加え、消防法上問題となる共用部分の不正使用といったビルオーナー等の貸主共通の悩み事にも対応する等、同社ならではのサービスが加えられている。
一方、テナント誘致は同社にとって祖業であり、会社設立から3年1カ月でマザーズ上場を果たす原動力となった。独自に分類した63業種・約3,000社の店舗テナントをデータベース化し、このデータベースに基づき営業活動が行われている。また、物件毎に、ビル管理事業、更新及び契約管理事業、及びテナント誘致事業の各事業部門から担当者が選出され、各担当者は担当業務をこなすと共に、チームを組んでテナント誘致に取り組んでいる。

【成長をけん引するサブリース事業】

12/6期以降、サブリースに力を入れている。サブリースは空室で賃料収入がなくても、賃料をビルオーナー等に払わなければならないが、テナント誘致での強みを活かす事ができ、もとより、人の流れの多い1都3県の駅前商業地に物件を絞り込む事でリスク低減を図っている。
また、サブリース物件の開拓に当たっては、地域特性や立地に応じて物件の用途や機能を変更して性能を向上させたり価値を高めたりするリノベーションの提案も行っている。もともと同社がサブリースする物件は築年数が古い物件が多いため、リフォームはもとより、水回り、電気、空調、ガス等、躯体以外の設備の修繕が必要な物件が少なくない(物件によっては鉄骨を入れ床の補強を行った事もあった)。こうした費用は同社が負担するため、ビルオーナーは自ら負担する事なく、資産価値を高めると共に安定収益を享受できる。一方、同社は先行投資負担を織り込んだ収益性を試算した上で提案を行っているため、テナントが埋まれば先行投資を吸収して確実に利益を上げる事ができる。

広告宣伝にもサブリース物件を活用

オーナーの同意を得てサブリース物件を含めた同社の管理物件への広告看板設置を進めている。前年7月(12日)には34箇所の設置だったが、2017年7月31日現在、80箇所。年内100箇所を目指している。同社の認知度の向上に寄与し、看板効果で問い合わせも増えている。広告看板は1箇所20万円程度の設置費用は必要だが、オーナーの同意を得てサブリース物件を含めた同社の管理物件に無料で設置させてもらっている。

大阪進出

ここ数年で9物件の不動産を購入しているが、2016年7月に物件(大阪府吹田市 吹田駅)を購入して大阪に進出した。その後、高槻駅前(大阪府高槻市)でサブリース第1号を稼働させている。

*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。

2017年4月12日に更新された日本経済新聞社の不動産業種ランキング(全国上場企業)によると、同社の16/6期実積は、ROAが20位、ROEが10位。

2018年6月期第1四半期決算
前年同期比115.1%の増収、同367.7%の経常増益

売上高は前年同期比115.1%増の10億81百万円。契約の累積効果でサブリースを中心にしたストック収入が増加する中、5億円程度の販売用不動産の売却収入を計上した模様。

営業利益は同361.4%増の2億85百万円。売上の増加と採算の良い販売用不動産の売却による利益率の改善で売上総利益が同156.3%増加し、人材の採用やコンサル等による支払手数料や業務委託費を中心にした販管費の増加を吸収した。

第1四半期末の総資産は前期末と比べて2億41百万円増の34億67百万円。販売用不動産を売却した事で現預金が増加し販売用不動産が減少。投資その他では、投資有価証券が増加した(2億05百万円→4億90百万円)。自己資本比率44.5%(前期末43.8%)。

2018年6月期業績予想
前期比11.0%の増収、同19.6%の経常増益予想

売上高は前期比11.0%増の26億円。前期までの契約の積み上げ効果でサブリースの売上が14億46百万円と前期比14.6%増加し増収をけん引する。販売用不動産の売却収入も見込んでいるが、サブリースの期中受注・期中売上分については織り込んでいない。
配当は1株当たり上期末1円、期末1円の年2円を予定している。

※ 18/6期の予想値は17年8月現在において既に確定している売上であり、期中において新たに契約する売上は含まれていない。
中期事業計画

17/6期に続き、18/6期も販売用不動産の売却を計画しており、売上・利益の押し上げ要因になる。ただ、18/6期に保有する販売用不動産を売り切る考えで、その後の仕入れについては慎重に行うため19/6期以降については販売用不動産の売却による収益を見込んでいない。

一方、コスト面では、17/6期に着手した営業部門や管理部門の強化(人員増強)と社員の処遇改善に向けた取り組みが本格化するため販管費が増加する。このため、19/6期は販売用不動産の売却収益がなくなる一方、販管費が増加するため減収・減益となるが、販売用不動産の売却収益を除くベースでは増収・増益を維持する。20/6期には前期比増収・増益に転じ、販売用不動産の売却収益が寄与した18/6期の利益水準を確保できる見込み。

※ 販売用不動産売却のインパクトは、17/6期が売上高3億10百万円、営業利益1億30百万円。18/6期は売上高5億60百万円、営業利益1億60百万円を見込んでいる(15/6期、16/6期は売却の実績がなく、19/6期、20/6期は見込んでいない)。
【清原社長説明会でのコメント】

これまで棄損した株主資本の回復に全力をあげてきましたが、17/6期に累損を一掃し、税金を払う普通の会社に戻る事ができました。これからは、コストカットで利益を捻出するのではなく、やるべき事をやりながら売上を増やし、利益を増やしていきたいと考えています。
17/6期に続き18/6期も保有不動産を売却しますが、今後の不動産市況については慎重な見通しを持っているため、新たな仕入には慎重に対応していく考えです。また、自社ビルの購入やサブリース物件の獲得等で大阪での足掛かりができたため、一時は大阪事務所の開設を考えましたが、経営リソースが不足気味である現状を鑑みて、この面でも慎重に対応していきます。
一方、新卒採用を含めた営業部門及び管理部門の強化や社員の処遇改善には力を入れていきます。30~50百万円程度の販管費の増加を想定していますが、契約の累積効果により安定成長が期待できるサブリースに取り組みながら、改めて組織作りを進める事で次の成長につなげていきたいと考えています。不動産の売却がなくなるため、19/6期は減益を計画していますが、不動産の売却を除く業績を評価して頂ければと思います。

今後の注目点
17/6期の同社の一人当たり営業利益は1,078.6万円。「会社四季報」(東洋経済新報社、2017年夏号)に掲載された一人当たり営業利益ランキングに当てはめてみると216位。不動産会社であれば東京建物(233位)を、人気が高いIT企業であればサイバーエージェント(255位)を、それぞれ見下ろす位置にある。
テナントの誘致に加え、日常的に発生する設備の不具合や老朽化によるトラブル、更にはテナント管理の問題等への迅速・確実な対応で構築したビルオーナー等との信頼関係を強みに1都3県の主要駅の駅前に約200件のサブリースを展開し、そのほとんどが1階。規模的に大手不動産会社が手掛け難い一方で、マンパワーと資金力に乏しい中小の不動産会社の参入は難しいため、現状では競合らしい競合が存在しない。この結果としての好業績だが、清原社長は冷静であり、決して浮かれてはいない。また、自らのリーダーシップで業績を回復させてきたが、ここから先は人材の育成による組織力の底上げが必要な事も認識している。この辺りが、同じ好業績でも、上場前後と違うところだ。

最後に、清原社長から頂いた株主・投資家の皆さんへのメッセージをお伝えする。「取り組みの趣旨をご理解頂き、応援投資を宜しくお願いします。証券コードは8912。“破竹の勢いで行こう、エリアクエスト!”と覚えて下さい」。

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎コーポレート・ガバナンス報告書        更新日:2017年1月16日
基本的な考え方

当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、その重点を株主利益向上に置き、コーポレート・ガバナンスの充実を図ることが重要な課題と認識しております。その一環といたしまして、意思決定の迅速化、経営の透明化等を意識しコンプライアンスの徹底等が機能する体制の構築に取り組んでまいります。

<開示している主な原則>
【原則1-4】(いわゆる政策保有株式)

当社は、いわゆる政策保有株式については、その保有の意義が認められる場合を除き、保有しないことを基本方針としており、現時点では、政策保有株式を保有しておりません。しかしながら、今後、事業戦略上の重要性等を目的として保有する場合があります。その場合は、毎年、取締役会で中長期的な経済合理性や将来の見通しを検討し、企業価値向上の効果等が乏しいと判断される銘柄については、売却を行ってまいります。議決権行使にあたっては、投資先企業の中長期的な企業価値、株主価値の向上につながる観点等から検討し、総合的に判断した上で適切に行使します。

【原則1-7】(関連当事者間取引)

当社は、当社及び関連当事者間の取引について、当該取引が当社や株主共同の利益を害することが無いよう、取引内容及び条件の妥当性について、取締役において審議することとしております。

【原則5-1】(株主との建設的な対話に関する方針)

当社は、持続的な成長と中長期的案企業価値向上のためには、株主・投資家との積極的且つ建設的な対話が重要であると考え以下の体制の整備及び取り組みを行っております。

・定時株主総会において、総会終了後に「株主懇親会」を開催し、株主から株主総会議案以外の質問も受け付け、代表取締役社長が適宜、回答するように努めている。
・管理部を株主と対話する事務局とし、管轄する取締役を開示責任者とし、各部署連携に努め、迅速且つ的確な対応に尽力する。
・代表取締役社長が説明を行うIR説明会を年2回以上開催し、中期事業計画も含め説明を行い、当社ホームページにおいて開示する。
・重要な株主の意見等については毎月開催される取締役会へ報告を行い、取締役及び監査役との情報共有を図る。
・株主及び投資家との対話にあたってはインサイダー情報を伝達しないことを方針とし、IR担当部署が適宜確認し、直接対話する者に対して指導を行う。
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