(4248:東証1部) 竹本容器 開発力一段の向上の成果

2017/10/11

takemoto

今回のポイント
・17年12月期第2四半期の売上高は前年同期比8.0%増の69億70百万円。国内では、顧客企業の業績が好調なため化粧品向け中心に需要が旺盛。積極的な開発提案型営業によりスタンダードボトル、カスタムボトルともに販売は増加した。中国では、スタンダードボトル、カスタムボトルともに増収。営業利益は同3.7%減の7億13百万円。国内では、他社製品売上の増加で粗利率が低下したことに加え、昨年稼働した結城事業所印刷棟、岡山事業所等の減価償却費負担が増加した。中国では前期末に比べ在庫減で粗利額が減少。

・通期予想に変更は無い。売上高は前期比3.3%増の132億18百万円の予想。スタンダードボトルニーズが引き続き拡大するなか、開発提案の拡大、新規金型増加により増収を計画。材料購入単価は前期平均並みを想定している。営業利益は前期比横ばいの12億52百万円。前期の国内二工場建設に伴う減価償却費増加、生産拡大のための先行投資(工場機械、金型、人員確保)の実施により減益を見込んでいる。配当は中間16.00円/株、期末16.00円/株の計32.00円/株で前期から2円増配の予定。予想配当性向は22.1%。配当性向20%以上を目標としている。

・上期は増収減益であったが、期初計画を上回り、順調な進捗と言えるだろう。上期末時点での金型開発数は製作中を含めて287と、前々期及び前期の年間製作数それぞれ244、234を既に上回り、前期目標としていた320にも届くペースだ。難易度の高い特注品への対応に時間がかかり、目標未達となった前期の反省を踏まえ、経験豊富な少数精鋭のスタッフによる集中的な取り組みにより開発力の一段の向上を図ってきた成果が表れているようだ。中期目標としている2019年製作数400超への進捗に注目したい。また、引き続き、インドを含めたその他市場セグメントがいつ頃から収益に寄与してくるのかにも注目したい。

会社概要

化粧品・美容事業者、食品・健康食品事業者、日用・雑貨事業者、化学・医薬品事業者を主な顧客として、自社で容器の企画・設計を行い、製造に必要な金型を自社で所有する容器である「スタンダードボトル」を製造・販売。2017年6月末で3,160型の金型を所有する。高い開発提案力、豊富なストックに加え、幅広い顧客層、小ロット・多品種・短納期に対応する製品供給体制等が大きな特徴。海外展開にも積極的。海外子会社は中国に2社、米国、オランダ、タイ、インドに1社。

【沿革】

創業者竹本茂氏(竹本笑子社長の祖父)が、同社の前身となる竹本商店を1950年に創業。第二次大戦終戦後のモノ不足の中、使用後のガラス壜を回収し、新品同様に再生する「古壜再生業」でスタートした後、1953年に竹本容器株式会社を設立し、ガラス容器の販売を開始。1963年には同社を特徴づける自社ブランド品「スタンダードボトル」の取扱いを始めた。
1980年代に入ると、竹本雅英専務(現相談役、竹本笑子社長の父)が先頭となり、顧客の注文に応じて容器を製造する「特注品」が主流で、ボトルと付属品の取扱い業者が分離していた関西地区において、「スタンダードボトル」と「ワンストップ供給」を武器に新規開拓に注力。品揃えの豊富な同社は顧客の需要を確実に取り込み、販路を拡大した。当時としては画期的であったこの大阪進出がその後の福岡、札幌、名古屋への展開につながり、全国をカバーする販売・サービス網の構築に成功した。
1984年にはさらに競争力を強化するためには商社機能に加えメーカー機能が必要と考え、吉川工場(埼玉県吉川市)を開設し、プラスチック容器の加工・印刷を開始した。
1996年には業界で先駆けて中国に製造・販売の子会社を設立し、グローバル化戦略をスタート。
2004年、竹本笑子氏が代表取締役社長に就任し、国内市場におけるシェアアップと海外市場の開拓をさらに推進中。2014年12月、東京証券取引所市場第2部に上場。2017年6月、東京証券取引所市場第1部に指定された。

【社是及び使命】

1996年の中国進出も、器文化の本場中国といつかは手を組んで事業がしたいと考えていた創業者の想いが実を結んだものであった。竹本笑子社長もこの理念、使命を企業の根幹に置き、社員研修を始めとした様々な機会を使って社員への浸透を図っている。

【市場環境】
◎成熟する国内市場

下のグラフにあるように、容器の出荷金額はここ数年横ばいが続いており、今後も人口減少の進行が予想される中、国内需要の大きな伸びは期待し難い。

ただその一方で、以下のような状況を背景に、同社の武器である「スタンダードボトル」の需要は今後も拡大することが予想される。

消費市場の成熟化、消費者の嗜好の多様化、ネット販売の拡大などにより、商品ライフサイクルの短命化が進み、「大量生産大量販売」の時代は終わり、「少量多品種販売」の時代に入っている。
そうした中、同社の顧客である化粧品・トイレタリー用品メーカー等が面している課題は、「製品開発期間の短縮化」や「経費削減」。
自社による容器開発を抑制する傾向を強めるこれらメーカーにとっては、必要な容器を必要なタイミングに必要な数量だけ調達できるスタンダードボトルを採用する機会は今後益々増大するものと考えられる。

一方、2008年の化粧品・トイレタリー容器市場1,558億円における各社のシェア(同社推定)は以下の通り。

顧客が金型の所有権を保有し、金型の費用も負担する「カスタムボトル」は市場の70~80%を占めると推定され、「スタンダードボトル」の市場構成比は20~30%。同社はスタンダードボトルの20%程度のシェアを有していると同社では推定している。

圧倒的なシェアを有するトップA社やB社の顧客は、自社で金型投資を行う化粧品大手企業などが中心。
そこで竹本容器は、これまでに培ってきた提案力を差別化要因とし、協力メーカーも活用し、早く、安く、確実に製品を納入する量産体制を構築。顧客金型製品の売上を拡大する。

一方、大半の下位企業が商社を通じてスタンダードボトルの販売を行っているため、商社機能とメーカー機能を併せ持つ竹本容器は豊富な品揃えという点で優位性を有している。またメーカーとして開発コスト低減に取り組む事により、価格競争力も向上させシェアを引き上げる。
加えて、金型投資が必要なスタンダードボトルにおいては継続的な投資を実施するための強固な財務力が不可欠であり、業界唯一の上場企業である同社はこの点でも大きなアドバンテージを有している。

このように、上位・下位、双方の競合に対してシェア拡大を目指しており、現在のシェアは、2008年当時の上記4.2%よりも確実に上昇していると見られる。

◎成長する海外市場

アジアを中心とする新興国市場では化粧品市場が急速に拡大している。
中国市場は5年間で市場規模は5割増加した。2017年には日本を上回ると予測されており、インドやASEAN各国でも高成長が良込まれている。
新興国では日本製ボトルに対する信頼が高く、ここにも大きなビジネスチャンスが存在する。

【事業内容】

化粧品・美容事業者、食品・健康食品事業者、日用・雑貨事業者、化学・医薬品事業者を主な顧客として、容器およびキャップやディスペンサーなど付属品の製造・販売を行っている。
同社の容器は単なる容れ物ではなく、デザイン、機能、バリア性、安全、環境に留意した付加価値の高い製品が中心となっている。

◎ビジネスモデル

化粧品やトイレタリー製品メーカー等の顧客企業が、製品差別化のために独自の容器デザインの製造を容器の成型メーカーに依頼する場合、多くのケースでは容器を製造するための金型製作費用は顧客が負担し、成型メーカーが製品設計と生産を請負い、顧客独自の容器を生産後納品することとなる。
ところが、金型の製作には、一般的に3カ月程度の期間と数百万円の費用が必要であり、多くの顧客企業にとっては容器の調達に時間とコストがかかる点が課題となっている。

これに対し、同社は顧客に替わって自社で金型を製作し、顧客が希望する包装容器を生産、納品する。
このため、顧客は自ら金型を製作する場合と比べると短期間でかつ開発コストを抑えて、希望する包装容器を、必要な時に、必要な量だけ調達することができる。
このように、同社が容器の企画・設計を行い、製造に必要な金型を自社で製作・所有する容器を「スタンダードボトル」と呼ぶ。

同社が有する金型の種類は2017年6月末現在で3,160点と業界一の豊富さを誇る。
自社で開発した標準型のスタンダードボトルに着色や印刷を施し、キャップなどの付属品と組み合わせる「カスタマイズ」により、顧客の差別化ニーズに対応している。
また一部製品については製品在庫を保有するなどし、小ロット、多品種、短納期を実現している。

販売地域は日本、中国、アメリカなど世界に広がっており、2016年12月期の販売先はグループ全体で4,500社を超えている。

スタンダードボトルの売上構成比は全売上高の約7割で、顧客が金型製作を負担する顧客金型製品や、商社として他社製品の仕入なども行っている。

◎生産体制

国内に6拠点、中国に2拠点を有し、外部委託メーカーとの協力体制を構築している。2016年11月から岡山事業所が稼働し、西日本地域の製品供給体制を強化している。
国内生産では、「小ロット・多品種対応」、「短納期対応」、「安定した品質」、「幅広い取扱品目」、「突発受注への対応」、「大量生産へも対応」など、きめ細かく顧客ニーズに対応している。
中国においては、生産能力の拡充、品質の向上に注力中である。

【ROE分析】

髙ROEを実現している。中期的に15%以上を安定的に達成することを目指している。

【特徴と強み】
①幅広く厚い顧客基盤

同社は国内外に約4,500社と極めて幅広い顧客基盤を有している。
加えて、単独の売上高が10%を超える顧客は無く、この顧客基盤から獲得する安定したキャッシュ・フローが、継続的な金型投資を可能にしている。
また、同社の高い開発提案力により顧客満足度は高く、リピーターも多い。

②豊富な金型ストック

前述の様に3,160型という豊富な金型ストックは世界トップと同社では推定しており、顧客のニーズに対して柔軟な対応が可能である。
また、品揃えの拡充や、デザインおよび機能性に留意した容器など付加価値の高い製品開発を進めると同時に、金型の標準化、共通化、小型化を進めることで、投資負担やリスクを低減させている。

③柔軟な製品供給体制

国内6拠点、海外2拠点の生産ネットワークを通じて、高品質な製品を小ロット、多品種、短納期で納品できる体制を構築している。
また顧客ニーズに対応したカスタマイズによる生産体制や、コスト、強度、精度を考慮した新たな生産技術を積極的に導入している。

④「開発提案力の高さ」

幅広い顧客基盤(顧客資産)の形成に寄与しているのが、高い開発提案力であり、同社の持続的企業価値創造の源泉といっていいだろう。
現在約30名の企画開発及び技術スタッフが、素材、形状、機能性、安全性などの視点から日々様々なアイデアの具現化に取り組んでいる。
合羽橋ショールームには約1,000種類のスタンダードボトルが展示されており、高い開発提案力の一端を伺うことが出来る。

スタンダードボトル開発基盤・金型基盤を活用して顧客に対し開発提案を行い、顧客のオリジナル金型を低価格、短納期、高品質で提供する事を同社では「カスタムボトル・イノベーション」と名付け、積極的に展開している。

⑤独自のビジネスモデル

「幅広く厚い顧客基盤(安定した営業CF)」、「豊富な金型ストック」、「開発提案力の高さ」という3つの優位性が相乗効果を生み出し、同社ならではのビジネスモデルを構築している。

2017年12月期第2四半期決算概要
スタンダードボトル、カスタムボトルともに増加し増収も、減価償却負担増等で減益

売上高は前年同期比8.0%増の69億70百万円。
国内では、顧客企業の業績が好調なため化粧品向け中心に需要が旺盛。積極的な開発提案型営業によりスタンダードボトル、カスタムボトルともに販売は増加した。
中国では、スタンダードボトル、カスタムボトルともに増収。円高元安により円換算額は同59百万円減少した。
営業利益は同3.7%減の7億13百万円。
国内では、増収も他社製品売上の増加で粗利率が低下したことに加え、昨年稼働した結城事業所印刷棟、岡山事業所の減価償却費負担が増加した。プラスチック原材料の価格の上昇も3百万円の減益要因。
中国では前期末に比べた在庫減で粗利額が減少した。為替変動により同6百万円円換算額が減少した。プラスチック原材料の価格の上昇により9百万円負担が増加した。

販売先別では、スタンダードボトルの品揃え強化と開発提案型営業強化で、全てのカテゴリーが増収だった。
他社製品を使用した売上が継続的に増加している。

公募増資による現預金の増加等で流動資産は前期末比11億25百万円増加。固定資産は機械及び運搬具など有形固定資産、無形固定資産の増加で同3億66百万円増加した結果、資産合計は同14億92百万円増加の141億38百万円となった。
仕入債務の増加などで負債合計は同1億77百万円増加の68億22百万円。
資本金、資本剰余金、利益剰余金の増加で純資産は同13億14百万円増加の73億16百万円となった。
この結果自己資本比率は前期末より8.8%上昇し、51.6%となった。

利益および減価償却費の増加などで営業CFのプラス幅は拡大。
有形固定資産の取得による支出の減少で投資CFのマイナス幅が縮小した結果、フリーCFはプラスに転じた。
株式の発行による収入があった一方、長期借入れによる収入が無くなり、財務CFのプラス幅は縮小した。
キャッシュポジションは前期末に比べ10億47百万円増加の26億3百万円となった。

(4)トピックス
◎金型の開発状況

2017年6月末の自社金型数は3,160型となった。
日本では外部メーカーに金型製作を発注していますいるが、中国子会社では自社による金型製作も行っている。
現在、日本と中国の金型開発部門では人員増加や金型設計標準化を進めており、より機能性の高い金型開発にも取り組んでいる。
また、2018年初に完成予定のインド工場向けの金型開発にも着手している。
2019年には日本、中国、その他の地域向けの金型合計で、400型超の金型を開発することを中期目標として設定している。

◎東証1部に指定

2017年6月19日付けで東京証券取引所市場第一部銘柄となった。
これに合わせて2017年6月16日を払込期日とする公募増資50万株、ならびにオーバーアロットメントによる売出に関連する第三者割当増資82,000株を実施した。

2017年12月期業績見通し
業績予想に変更無し。増収減益

業績予想に変更は無い。売上高は前期比3.3%増の132億18百万円の予想。スタンダードボトルニーズは引き続き拡大するなか、開発提案の拡大、新規金型増加により増収を計画。
材料購入単価は前期平均並みを想定している。
営業利益は前期比横ばいの12億52百万円。前期の国内2工場建設に伴う減価償却費増加、生産拡大のための先行投資(工場機械、金型、人員確保)の実施により減益を見込んでいる。
配当は中間16.00円/株、期末16.00円/株の計32.00円/株で前期から2円増配の予定。予想配当性向は22.1%。配当性向20%以上を目標としている。

現状では国内外間の製商品取引はごく少量で売上金額への影響は限定的。
人民元に関しては、中国子会社の円換算の影響度が大きい。米ドルに関しては、米子会社の規模が小さく、日本での原材料調達額への影響が相対的に大きい。

中期経営計画

パッケージによる差別化、付加価値向上に繋がる機能的な容器、開発リスクの低減、開発期間の短縮化といった顧客ニーズの変化に対応し、デザイン力・付属機能・カスタマイズ提案力・金型開発体制の強化、開発および納期の短縮化、品揃えの更なる拡大に取り組むことを中期経営計画の柱と設定し、以下の4つのチャレンジを掲げている。

(1)振り返りと目標設定
金型の品揃え拡大、提案力強化により顧客満足度を高め、取引基盤を拡大させてきた。

(2)重点テーマ
◎海外展開への取り組み
3年を目途にグローバルな生産体制の構築を計画している。

2016年8月にインド・グジャラート州アーメダバード市にTAKEMOTO YOHKI INDIA PRIVATE LIMITEDを設立した。2020年台に世界一の人口国となる事が予想されるインドでの需要を取り込むため、グジャラート州サナンド市の工業団地内において工場敷地面積23,395㎡の新工場を建設中で、2018年3月の操業開始を予定している。

◎プロセスの短縮
顧客ニーズに対応するべく開発期間や納期の短縮を重点テーマとしている。

一般的な製品について、日本においては現在約3か月の開発期間を2か月に、納期については約40日を30日に短縮することを目指している。
また中国では、開発期間、納期をそれぞれ5~6か月から3~4か月へ、40日から30日への短縮を目標としている。

<主なポイント>

スタンダードボトルの開発を引き続き積極的に行う。2016年実績 195型に対し、2019年は 300型を目標としている。
カスタマイズボトル製造に関しては、「新しい成形」、「新しい加飾」、「高品質」、「量産対応」、「短納期」をキーワードに、カスタマイズボトル・ファクトリーを拡大する。
カスタムボトル・イノベーションを更に推進する。2016年の開発実績39型に対し2019年は120型を目標とする。
日本、中国のみでなく、タイ、ヨーロッパ、アメリカ、インドなどグローバル展開を進める。

<主なポイント>

想定為替レートの見直しに伴い、中国の市場の見通しを引き下げたが、現地通貨ベースでは堅調な推移を見込んでいる。
2017年にインド工場の建設に着手、2018年からの稼働を計画しており、その他市場の売上増に貢献する。
今後の注目点

上期は増収減益であったが、期初計画を上回り、順調な進捗と言えるだろう。
上期末時点での金型開発数は製作中を含めて287と、前々期及び前期の年間製作数それぞれ244、234を既に上回り、前期目標としていた320にも届くペースだ。
難易度の高い特注品への対応に時間がかかり、通期で目標未達となった前期の反省を踏まえ、経験豊富な少数精鋭のスタッフによる集中的な取り組みにより開発力の一段の向上を図ってきた成果が表れているようだ。
中期目標としている2019年金型製作数400超への進捗に注目したい。
また、引き続き、インドを含めたその他市場セグメントがいつ頃から収益に寄与してくるのかにも注目したい。

<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

最終更新日:2017年3月30日

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