(3960:東証マザーズ) バリューデザイン 取扱高は堅調に増加しシステム利用料売上好調

2017/10/11

valuedesign

今回のポイント
・交通系電子マネー(Suica等)や流通系電子マネー(WAON、nanaco等) に代表されるプリペイド型電子マネーを自社ブランドで発行可能にする「バリューカードASPサービス」の提供により、企業のブランディングやプロモーションを支援。Suica等と異なり、導入企業の自社店舗でのみ利用可能とする代わりにインセンティブ等で顧客を囲い込む販促ツールである「ハウスプリペイドカード」と、利便性を提供する決済ツールとして導入企業がクレジットカード会社等と連携して発行する「ブランドプリペイドカード」の2種類を展開。2017年6月末時点でのハウスプリペイドの導入企業数、店舗数はそれぞれ570社、53,289店舗と国内最多。No.1の導入実績に基づく成功のノウハウ、強固な営業ネットワーク、「500社を超す導入企業」という顧客資産から生み出される安定したストック型収益が売上の半分強を占めており強み。開拓余地の大きい国内市場で更に高い成長を追求するとともに、海外市場でも国内同様に顧客ストックを一気に積み上げて大きな飛躍を目指す。・2017年6月期の売上高は前期比6.6%増の17億38百万円。取扱高は堅調に増加しシステム利用料売上は好調だったが、前期に2億円超あったシステム開発案件が減少したため1桁増収にとどまった。ハウスプリペイド事業において下期中に計上見込みであった案件が翌期以降にずれ込んだことやシステム刷新の長期化に伴う営業進捗の遅延等による売上減に加え、営業・管理部門の増員、システム刷新の外注費増加など原価および販管費が大きく増加し、営業利益は12百万円の損失となった。期初予想には未達だったが、修正予想は上回った。なお、システム刷新の長期化については、想定を上回る取扱高の増加ペースへの対応や、及び大型案件の獲得ペースアップの為、協業先との提携強化を図ったことが理由となっている。

・18年6月期の売上高は前期比9.1%増の18億97百万円と予想。システム利用料売上高は前期比19.2%の9億16百万円と堅調だが、初期売上高は前期の状況を踏まえた手堅い予想となり、今期も同1.9%減少の8億5百万円にとどまる。ただ、前期に大幅に増加した外注費などが無くなるため、粗利率は上昇し粗利額も2桁の増加。販管費も前期並みとなるため営業利益以下黒字に転換する見通し。

・前期に次ぎ今期も1桁の増収予想であり、成長株としてはやや物足りないことは否めないが、まずは市場の信頼を回復することが同社にとっての大きな責務であろう。そのためには、中長期的視点での海外展開の本格化やブランドプリペイドの新サービス展開に注力しつつ、国内両カード事業においてどれだけ上積みが可能かがポイントとなろう。前期減益の一因となったシステム刷新は既に完了しており、ストック型収益として安定的な寄与が期待されるシステム利用料売上の源泉となる顧客企業数及び取扱高の拡大ペースに特に注目したい。

会社概要

交通系電子マネー(Suica等)や流通系電子マネー(WAON、nanaco等)に代表されるプリペイド型電子マネーを自社ブランドで発行可能にする「バリューカードASPサービス」の提供により、企業のブランディングやプロモーションを支援。Suica等と異なり、導入企業の自社店舗でのみ利用可能とする代わりにインセンティブ等で顧客を囲い込む販促ツールである「ハウスプリペイドカード」と、利便性を提供する決済ツールとして導入企業がクレジットカード会社等と連携して発行する「ブランドプリペイドカード」の2種類を展開。2017年6月末時点でのハウスプリペイドの導入企業数、店舗数はそれぞれ570社、53,289店舗と国内最多。No.1の導入実績に基づく成功のノウハウ、強固な営業ネットワーク、「500社を超す導入企業」という顧客資産から生み出される安定したストック型収益が売上の半分強を占めており強み。開拓余地の大きい国内市場で更に高い成長を追求するとともに、海外市場でも国内同様に顧客ストックを一気に積み上げて大きな飛躍を目指す。

【1-1 沿革】

クレジットカード会社で新たな決済手段の開発に取り組んでいた尾上社長は、アメリカでサーバー管理型電子マネーである「ハウスプリペイド」、「ブランドプリペイド」が普及・拡大していることを知り、数年後にはその波が日本にも必ず到来することを予想。いち早く導入に動くが、当該クレジットカード会社では既に非接触IC型電子マネーへの取り組みが中心となっていたため、新たにサーバー管理型電子マネーを手掛けるための人員も予算も不足しており、導入を進めることは難しいのが現実であった。
そうした中、尾上社長は、成長が見込まれる「ハウスプリペイドカード」、「ブランドプリペイドカード」を日本で是非とも事業化したいと考えクレジットカード会社を退社し、2006年7月に同社を設立した。
「ハウスプリペイドカード」という文化が無い日本で当初営業活動は苦戦したが、低価格の専用端末を武器に店舗数10店舗程度の小規模事業者を中心に顧客数は着実に増加し、一定のシェアを獲得する。ハウスプリペイドカードマーケットの拡大に伴いシェアは一段と上昇し、顧客規模も中堅、大手へと拡大していった。
2012年からは海外でも事業を展開。2016年9月、東証マザーズに上場した。

【1-2 経営理念など】

「アジアNo.1のプロセッシングカンパニーを創る」を経営ビジョンに掲げ、『「バリューカード」を通じ、サービス提供企業と消費者のコミュニケーションの架け橋となることで、双方のメリットを極大化し、社会に貢献します。』と謳っている。

(同社におけるプロセッシングとは、自社開発の「バリューカードASPサービス」を使用しての残高管理業務やカード発行ノウハウは無い事業会社に対するカード発行支援業務を指す。)
【1-3 市場環境】
◎市場動向・概要

高い安全性、効率性の向上といった発行者、利用者双方のニーズから、「現金決済比率の低下、電子決済のウェート拡大」が続いている。
中でもプリペイドカードは今後も更なる伸長が見込まれている。

国内プリペイドカード市場は2021年度に13兆円に拡大すると予想されている。
中でもハウスプリペイドカードは2015年度から2021年度までの年平均成長率は10.5%で市場規模は1.9兆円に拡大。ブランドプリペイドカードは同じく年率35.2%成長で1.7兆円へと、市場平均を大きく上回る高成長が見込まれている。(いずれも矢野経済研究所調べ。)

◎プリペイド決済の種類

プリペイドによる決済には以下のような種類がある。
同社の「バリューカードASPサービス」はサーバー管理型プリペイドカードシステムにあたる。

サーバー管理型電子マネーは非接触IC型電子マネーに比べ1枚当たりのカード単価など導入コストが安価であることに加え、その特性を活かして、例えば「今日から1週間は付与ポイント倍増!」といったようなインセンティブプログラムを顧客企業のニーズや状況に合わせてサーバー側で柔軟に設定、実施できる点が大きな特長である。

一般社団法人日本資金決済業協会の調査によれば、前払式支払手段(プリペイド)の媒体別年間発行額合計は、平成27年度 21.5兆円で、過去5年間の成長率は年率4.2%。媒体別には発行額が最多だったのはIC型だが、磁気型や紙型が減少傾向にあるのに対し、最も伸長したのはサーバー型だった。
上記のようなサーバー管理型電子マネーのメリットを発行者が評価した結果と言えるだろう。
企業が費用対効果を追求する姿勢をますます強める中、顧客囲い込みのための有力な手段としてサーバー管理型電子マネーを用いたプリペイドカード需要は今後も引き続き増大していくものと思われる。

◎同業他社

ハウスプリペイドカード事業では国内シェア40%超を有しており業界首位である。
豊富な導入事例とノウハウで他社に対して大きなアドバンテージを持っている。(詳細は、「1-5 特長と強み」を参照)

【1-4 事業内容】

自社の独自ブランドで発行が可能な「ハウスプリペイドカード」と、VISA、MasterCardを始めとする国際ブランドと提携し、従来のハウスプリペイドカードの機能にVISA、MasterCard等の国際ブランド加盟店での決済機能を搭載した「ブランドプリペイドカード」を展開しており、この2つを事業セグメントとしている。

(概要)

自社ブランドによるプリペイドカード発行を希望する企業に対して同社が自社開発したサーバー管理型プリペイドカードシステム「バリューカードASPサービス」を提供している。
「バリューカードASPサービス」導入企業は、専用端末を設置するのみで、ハウスプリペイドカードシステムの導入が可能である。

ハウスプリペイドカードの概要、導入企業および消費者のメリットは以下の通り。

同社はプリペイドカードを単なる決済手段にとどまらせず、企業と消費者(ユーザー)をつなぐマーケティングツールとして位置付け、プロモーション、マーケティング、ブランディングの観点から企業の販売促進活動を支援している。
即ち、バリューカードASPサービスにより提供するプリペイドサービスを効果的に活用し、導入企業の客数・来店頻度・客単価などの指標の上昇、売上向上への貢献を目指す点が同社の大きな特徴である。
もちろん多様化する決済手段を最適化するとともに、店舗、消費者双方の決済に係る利便性向上にも貢献している。

~販促支援活動~

バリューカードASPサービス導入店舗から収集される、プリペイドカードの利用状況等のデータを一元的にサーバー管理しており、導入効果を可視化するデータ分析ツールをベースに以下のような支援を行っている。

カード発行枚数、アクティブカード枚数、入金・利用単価と頻度、店舗別利用状況等の分析レポートを提示し、サービス導入店舗のプリペイドサービス導入の効果検証・効果分析を定期的に実施。
入金キャンペーン等、プリペイドカードを活用した販促施策を企画段階から支援。企画→実行→分析→改善のPDCAサイクルを回し、ブラッシュアップを提案。
バリューカードASPサービスを導入している他社の販促事例やその効果等の情報を提供し、より効果的なプロモーション施策を提案。

以下、株式会社ペッパーフードサービス担当者へのインタビューを、バリューデザイン社HPから抜粋、引用。

導入の目的・理由

いきなり!ステーキは、お肉をお客様の前でお好みの量にカットして召し上がっていただくというスタイルです。いきなり!ステーキ第1号店が2013年12月5日に銀座でOPENして以来、リピーターのお客様からご自身が食べてきた記録を残したいという声が多くあがり、かねてから一瀬社長が構想していた飛行機のマイレージのようなものができないか?という案が具体化されました。
導入にあたっては、食べた量を目でみることができるリライト式や通常のポイント仕組み等、複数社が候補にあがりましたが、せっかく持って頂くなら高級感のあるカードが良いということと、将来的にチャージができるということに魅力を感じ、バリューデザインに決めました。

導入された結果、どのような変化がありましたか?

肉マネーチャージを定着させるため、肉マネーボーナスの3倍キャンペーンを行いました。この効果は絶大で、社内でもチャージ額の多さに驚きの声があがっていました。キャンペーン後はチャージすることが、お客様の意識で定着してきたようで、キャンペーンを行ってない日でも平均のチャージ額が当初と比べて約2倍にベースアップしました。
また、原価の高騰を受け、ステーキの値上げをせざるを得なくなった時も、肉マネーチャージボーナスキャンペーンに助けられました。2016年3月1日に値上げを実施しましたが、値上げの発表を早めに行い、値上げ前日の2月29日は、「4年に一度の29の日5倍デー」を実施し、駆け込み需要を狙いました。また、3月1日から4月15日まで、3倍キャンペーンを実施しました。この結果、値上げに対する逆風はなく、むしろ値上げ後は、売り上げが10%アップしました。メディアの外的要因も功を奏していますが、マイレージチャージの存在が値上げに対する販売促進施策として、非常に有効でした。

成功のポイント

いきなり!ステーキの業態と肉マイレージという制度、ネーミングが本当にぴったりだったことだと思います。100円払って手に入れた最初の白いカードには何の特典もないのに、これだけ成功したのは、量り売りでステーキを食べたい量だけお召し上がり頂く「いきなり!ステーキ」のコンセプトとランクアップによる特典とカード自体の価値観、ランキング制度により、公開で競い合う心理をうまく刺激できたことだと思います。
(中略)
言うまでもなく、ポイントをあからさまな利用金額ではなく、食べた肉のグラムを付与するという点もここまで浸透した成功要因の一つだと思っています。

バリューデザインへの評価・期待

今や、「いきなり!ステーキ」と「肉マイレージカード」は一心同体の状態です。新しい取り組みのため、色々と一緒に苦労をしてきましたが、これからも今まで以上に一緒に頑張ってもらえればと思います。安定的な稼働と肉マイレージを今以上に発展できる体制を構築いただき、一緒に肉マイレージを盛り上げていっていただきたいです。

専用端末を設置するのみでプリペイドカードシステムの導入が可能という利便性、データをベースにした販促支援が企業に評価されていることに加え、消費者にとってもお得感が強いことから、導入社数、導入店舗数、取扱高(カード入金額)ともに急成長を遂げている。

国内では飲食店、スーパーマーケットを中心に全国をカバー。
海外は韓国、中国、フィリピン、タイ、シンガポールで展開している。

(収益構造)

同事業の売上高区分は以下の2つ。

導入費用は、店舗数が数十店舗、カード枚数が数千~1万枚の場合で50万円程度、年商数千億円、カード枚数数十万枚の大企業で、1,000万円程度など、店舗数など企業規模により大きく異なる。
カード枚数、専用端末数、入金額、利用額が同社売上の主要な変数となる。近年は大規模企業の顧客化に注力している。

(2)ブランドプリペイドカード事業

2016年6月期から開始した事業。
ブランドプリペイドカードとは、VISA、MasterCardを始めとする国際ブランドと提携し、従来のハウスプリペイドカードの機能にVISA、MasterCard等の国際ブランド加盟店での決済機能を搭載したカードのこと。
通常のクレジットカードとは異なり、前払でカードに入金した金額に制限されるために使い過ぎる心配がなく、入会審査は不要なため、誰でもクレジットカード加盟店であればどこでも利用できる簡便性を兼ね備えている。
また、ハウスプリペイドカードは導入店舗及び系列店舗に利用が限定されるが、ブランドプリペイドカードは、VISAブランド、MasterCardブランド等に加盟している世界中の店舗で利用することができる点も大きな違いである。

開始してまだ日の浅い同事業だが、取扱高は順調に拡大している。

(収益構造)

同事業の売上高区分は以下の2つ。

バリューデザインは、クレジット業界における国際セキュリティ安全基準(※PCIDSS)の認証取得による高い信頼性を確保したシステムインフラを構築しており、ブランドプリペイドカードで決済されるデータを一元的にサーバー管理している。

(※)PCIDSS:Payment Card Industry Data Security Standard:JCB、American Express、Discover、MasterCard、VISAの国際ペイメントブランド5社が共同で策定したクレジット業界における国際セキュリティ安全基準。
【1-5 特長と強み】
①No.1の導入実績に基づく成功のノウハウ

プリペイドカードサービス成功の鍵はシステムではなく利用を促進するノウハウであると同社では考えている。
この点で、10年間で蓄積した豊富な導入事例は大きなアドバンテージとなっている。
様々な業種からなる500社を超す導入実績から具体的な事例を用いて個社ごとの最適な手法を提案することができる点は他社にはない強力な差別化要因であり、現在までのさらに将来に向けての同社成長の源泉でもある。

②専門のコンサル部門による導入・運用支援

同社では蓄積したノウハウの活用を通じて顧客満足度を最大化させるために専門のコンサル部門を擁している。
同部隊はプリペイドカードによる販促施策成功に向け、同業種・他業種を含めた様々な成功・失敗事例から最適な施策を提案・実行支援し、導入企業を手厚くサポートしている。
営業系スタッフに占める営業部門とコンサルティング部門の人員比率は、おおよそ4:6とコンサルティング部門が上回っていることからも、同部門の重要性がわかる。

③有力企業との提携による拡販体制

同社ではプリペイドカード事業は先行者利益の大きいビジネスと捉えており、早急なシェア(=導入企業数)獲得が重要と考えている。そのため、同社ではターゲット先の業態や企業に対して業務上深い関連性を持つ企業(POSベンダーやトップセールスが可能な有力企業等)と販売代理店契約を締結し、全国各地を網羅した営業ネットワークを構築している。

現在約80社の代理店を有しているが、今後も開拓を進める考えだ。

④将来動向にも柔軟に対応可能な技術基盤

拡大が続く電子決済市場においては今後も様々なシステムやデバイスが登場することが予想されるが、同社のシステムは現在の磁気カード・専用端末以外のデバイス・媒体でもシステム改修なく対応が可能である。
さらに、Fintech系サービスとの連携も視野に入れたシステムアーキテクチャを採用しており、将来動向も見据えた柔軟な技術基盤を構築している。
これら①から④に加えて、同社の強さを支える「500社を超す導入企業」という顧客資産も大きな特長・強みである。
豊富な導入事例を生み出すのみでなく、高成長が見込まれるブランドプリペイドカード事業においても重要な役割を果たすことに加え、安定したストック型収益の源泉である点も理解しておくべきだろう。

2017年6月期決算概要
増収も、コスト増を吸収できず営業損失。

売上高は前期比6.6%増の17億38百万円。取扱高は堅調に増加しシステム利用料売上は好調だったが、前期に2億円超あったシステム開発案件が減少したため1桁増収にとどまった。ハウスプリペイド事業において下期中に計上見込みであった案件が翌期以降にずれ込んだことやシステム刷新の長期化に伴う営業進捗の遅延等による売上減に加え、営業・管理部門の増員、システム刷新の外注費増加など原価および販管費が大きく増加し、営業利益は12百万円の損失となった。期初予想には未達だったが、修正予想は上回った。なお、システム刷新の長期化については、想定を上回る取扱高の増加ペースへの対応や、及び大型案件の獲得ペースアップの為、協業先との提携強化を図ったことが理由となっている。

①ハウスプリペイドカード事業

増収減益。
年間売上高1,000億円規模の大型スーパーマーケット・ドラッグストア・飲食店などサービス導入済企業におけるプリペイドカードへの入金・利用は活発で、取扱高は前期比107.8%増の1,503億40百万円と大幅に増加。月額売上であるシステム利用料売上は前期比35.7%の増収だった。
ただ、

受注済の案件における店舗展開計画の変更等による売上計上の遅れ
システム刷新プロジェクトの大規模化・長期化に伴うシステム開発案件に対応する人員のリソース不足
新システムへの移行の為の顧客への説明及び調整対応による受注の遅れ

などで、初期売上は前期比1.0%増収にとどまり、周開発案件による売上は同65.8%の減収となった。

一方、国内・海外の営業部門等の増員に伴う人件費と諸経費の増加、システム利用料売上の伸長に伴う代理店手数料の増加、事業拡大に伴い営業・管理部門へ外部より支援要員を投入した事による業務委託費の発生等の要因によりコストが大幅に増加し、セグメント利益は大幅な減益となった。

②ブランドプリペイドカード事業

増収減益。
既存顧客であるカード発行会社の新たな提携先における取扱高が増加。それに伴いシステム利用料売上は前期比38.3%増加した。
新たなカード発行会社へのサービス提供も始まり、新規のブランドプリペイドカードが発行された。このカード発行会社専用のブランドプリペイドの発行管理システムの新規開発、及びその他既存カード発行会社向けの提携先追加によるシステムカスタマイズ等の案件により、初期売上は同24.9%増加した。

一方で、新規カード発行会社向けのシステムにおいてサービス稼働後の運用コストが想定を上回ったこと、初期売上の原価率が前期に比べ上昇したこと等により、外注費等の売上原価が同40.1%増加したことから、営業利益は減益となった。

株式発行による現預金増で流動資産は前期末比2億円増加。システム増強投資で固定資産は同1億30百万円増加し、資産合計は同3億31百万円増加の13億8百万円となった。
仕入債務、未払金の減少で流動負債は同1億64百万円の減少。負債合計は同1億65百万円減少の5億22百万円。
資本金、資本準備金の増加で純資産は同4億97百万円の増加。
この結果、自己資本比率は前期末に比べ30.5%上昇し、60.0%となった。

税金等調整前当期純利益が損失となったこと等から営業CFはマイナスに転じた。
システム開発に伴い固定資産の取得による支出が増加し投資CFのマイナス幅は拡大し、フリーCFはマイナスに転じた。
株式の発行により財務CFはプラスに転じた。
キャッシュポジションは上昇した。

(4)当期の課題と今期の改善方針及び展望

以下のような課題認識及び今後の対応を挙げている。今期の反省を糧にリスクを潰したうえで新事業年度に臨む考えだ。

◎受注済案件の期ずれ
サービス導入計画を全店一括導入から段階的導入に変更するに際し、計画に対するリスク評価と管理方法に課題があったと認識している。
今後は案件ごとにリスク評価を行いリスクを加味した売上高を設定したうえでの計画を策定する。

◎プリペイド関連システム開発案件の受注大幅未達
検討の長期化や中止などで失注に至ったため、検討期間の予測や管理に課題があった。
以降は期初時点では既に受注・進捗していない案件は計画から除外し、目標としても設定しない。

また、ハウスプリペイドシステム刷新は初のシステム停止を伴ったが、その顧客調整に伴う営業活動への影響の評価が不十分であった。
今期は同程度の規模や影響を有するプロジェクトの計画は無い。また、システムの刷新は完了し、今後は営業活動に専念できる状況にある。

2018年6月期業績見通し
増収・黒字転換

売上高は前期比9.1%増の18億97百万円と予想。システム利用料売上高は前期比19.2%の9億16百万円と堅調だが、初期売上高は今期も同1.9%減少の8億5百万円にとどまる。
ただ、前期に大幅に増加した外注費などが無くなるため、粗利率は上昇し粗利額も2桁の増加。販管費も前期並みとなるため営業利益以下黒字に転換する見通し。

前期の業績大幅未達を受けて不確実性の高い要素は排除しつつ、安定的な増収を確保するため、投資のサイクルを確立すべくシステム利用料売上の増加施策に注力する。

今後の取り組み

同社は現在「国内No.1の地位固め、成長基盤を強化する」Phase1にあり、足下をしっかりと固めつつ、今期より「グローバルでのプレゼンス強化を図る」Phase2での取り組みを本格化させる。

【1.Phase1における取組】
前期、取扱高は前期比倍増し、システム利用料売上も3割増とストック収入の積上げは堅調。今期も取扱高は順調な立ち上がりとなっている。
また、大型飲食チェーンを中心に足元の新規案件受注も堅調に推移している。

<今期の取り組み>
主要KPIである取扱高及び導入店舗数などの成長を促進する。

①営業アライアンスの強化
2017年6月期はパートナー企業であるPOSベンダー企業との提携により受注した新規スーパー等20社が本格稼働(取扱高約59億円で、年間の約3分の1を創出)するなど大きな成果を上げることができた。
今期もPOSベンダーを中心としたパートナー企業との営業アライアンスの強化に加え、新規開拓も進め、大型案件獲得力をさらに強化する。
ターゲットは引続き大型のスーパー・ドラッグストア・飲食チェーン等としている。

②ソリューション商品の拡充
販促の効率化や導入負荷を軽減し、有効なプリペイドサービスの活用を支援するためのソリューション商品を投入・拡販し、取扱高増進を図る。

③ブランドプリペイド
ブランドプリペイドカードが普及している米国では、単に決済手段のみでなく、給与受取や税金還付など、使い方はきわめて多岐にわたっている。
日本でもポイント等の資産の活用手段や資金移動などの用途拡大に伴い市場成長が予測される中、新たなブランドプリペイドのサービス提供に向けた検討を継続していく。

ハウスカード延長型やポイント等、埋蔵資産の有効活用サービスにおいては10%前後のシェアを獲得するなど着実に実績を積み上げている。

【2.Phase2における取組】
韓国のCOFFEE BAY(カフェチェーン・450店舗)、シンガポールのFairPrice(政府系資本スーパー・130店舗)が稼働し、タイ、マレーシアでもコンビニや書店など、提案先がローカル大手企業へと変化している。
一方、中国、香港、台湾、インドネシア、タイで競合の存在を確認した。東南アジアのハウスプリペイド市場成長が加速を始めていると考えている。

<今期の取り組み>
東南アジアビジネスの投資による更なる推進と強化を図る。株式会社ティーガイア(3738、東証1部)と連携し、子会社の増資や体制強化を行うとともに、ローカル大手企業への提案と獲得を進める。
また、アジア全域で同業各社と積極的に情報交換を行い、業務・資本などの提携やM&A等も積極的に推進し早期拡大を図る。

マレーシア及びシンガポールの現法は(株)ティーガイアとの合弁会社。出資比率はバリューデザイン75%、ティーガイア25%。
ティーガイア及び住友商事グループのネットワークを活用した、ローカル大手企業への営業力を強化する。中・大規模(30~100店舗以上)のローカル企業を今後のターゲットとする。
現在、コンビニ(300店舗規模)、小売(400店舗規模)等へアプローチを行っている。

今後の注目点
前期に次ぎ今期も1桁の増収予想であり、成長株としてはやや物足りないことは否めないが、まずは市場の信頼を回復することが同社にとっての大きな責務であろう。
そのためには、中長期的視点での海外展開の本格化やブランドプリペイドの新サービス展開に注力しつつ、国内両カード事業においてどれだけ上積みが可能かがポイントとなろう。
前期減益の一因となったシステム刷新は既に完了しており、ストック型収益として安定的な寄与が期待されるシステム利用料売上の源泉となる顧客企業数及び取扱高の拡大ペースに特に注目したい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレート・ガバナンス報告書

最終更新日:2016年9月26日

<実施しない主な原則とその理由>
「当社はコーポレートガバナンス・コードの基本原則について、全て実施いたします。」と記述している。

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

コラム&レポート Pick Up