(3031:東証1部) ラクーン 3事業共に増収

2017/10/04

raccoon

今回のポイント
・18/4期第1四半期の売上高は前年同期比7.5%増加の6億12百万円。3事業共に増収だった。営業利益は同12.3%増の1億6百万円。引き続きSD export、Paid、URIHOへの広告投資、営業力強化やシステム開発などサービスの利便性向上のための人員増強を行ったが増収効果で吸収し2桁の増益となった。・18/4期通期業績予想に変更は無い。売上高は前期比8.1%増の25億50百万円の予想。EC事業では海外流通額の拡大、国内流通額の回復を見込んでいる。Paid事業、保証事業は引き続き順調に拡大の予想。営業利益は同16.4%増の4億90百万円。成長分野と位置付けているPaid事業、越境EC「SD export」、に保証事業「URIHO」も加え、引き続き広告宣伝費やシステム開発費等を集中的に投下する方針だが、2桁増益を見込んでいる。配当は現時点では未定。

・スーパーデリバリーの四半期流通額合計は25.4億円と、ここ約4年の中で3番目の高水準となった。海外流通額が引き続き高い伸びを見せるとともに、国内流通額も前年同期比2.5%増と、前期第2四半期に伸び率を開示し始めてからは最も高い伸びを見せた。ただ、国内流通額自体は依然低水準にとどまっているようだ。小売業以外への浸透も着実に進んでいるようだが、スーパーデリバリーの本格的な回復には、趨勢的に縮小傾向にある客単価の上昇が欠かせないだろう。引き続き各主要指標の推移を注目したい。

会社概要

中小企業間の取引を便利でスムーズに行うためのサービスを提供する企業として、インターネット上でBtoB(企業間電子商取引)市場である「スーパーデリバリー」というWebサイトを運営している。
「スーパーデリバリー」は、アパレル、雑貨を中心にメーカー、インポーター等の出展企業の取扱う商品を、全国の中小規模小売店に販売している。
2010年11月に売掛債権保証事業を行っている(株)トラスト&グロースを子会社化。これによって中小企業間決済事業を新たな事業ドメインと位置づけし、本格的に取組を開始し、更に2011年10月から、企業間取引を安心かつスムーズにする後払い決済サービス「Paid(ペイド)」の提供を開始している。2014年3月からは、第4番目のサービスとして、受注・発注を一元管理できるクラウド受発注ツール「COREC(コレック)」の提供を開始した。
また、「スーパーデリバリー」の越境EC版となる輸出販売サービス「SD export」を2015年8月より、ネット完結型売掛保証サービス「URIHO」を2016年8月よりスタートさせた。

【経営理念】

経営理念を「企業活動を効率化し便利にする」に刷新した。企業間取引に関し、これまで培ってきた情報と決済に関するノウハウを活かし、企業活動を効率化し便利にする仕組みを今後も提案していくというビジョンを表している。

小方社長は創業後、企業としての方向性をしっかり定め、経営者としてやっていく決意を固めるまでは安易に人を増やすべきではないという考えから従業員を一人も雇用せず、自分一人で同社を運営してきたが、方向性と決意が定まった2000年に初めて正社員30名を採用した。
当時の日本のEC業界は、米国に先例がある訳でもなく、自らがゼロから作り上げていかなければならない黎明期であったが、この最初のメンバーが中心となって、日本のBtoB ECを作り上げてきた。
同社においては、EC専門家の彼らが最大の経営資源であると小方社長は考えている。
今後、新しいビジネスモデルを創造していくにあたり、企業領域を明確にしていく必要性があると考え、経営理念を刷新することとした。

重要なポイントは以下の2点。

①事業領域の明確化の必要性

既存事業とのシナジーは特に意識しないが、同社のコア・コンピタンスであるノウハウを活用しながら、「中小企業向けBtoBインフラ」であること、「ECと決済の専門知識」を活かすものであること、に事業領域を絞りこむ。

②企業間取引のインフラサービス企業としての総合サービス化への転換

存在して当たり前のインフラとなるべく、今回の新サービス「COREC」に続き、第5、第6、第7と制限を設けず、新サービスを提供し続け、これまで以上に、よりインフラサービス業へと進化していく。

【事業内容】

「EC事業」、「Paid事業」、「保証事業」の3セグメントで構成されている。

(1)「EC事業」

「スーパーデリバリー」はファッション・雑貨業界のメーカーと小売店が出会い、継続して取引を行うことができるBtoB(企業間取引)サイトである。サイトを利用することで、これまで取引のできなかったメーカーと小売店に新たな取引機会が生まれ、さらに新商品の紹介や受発注のやりとりも効率化される。また、代金はスーパーデリバリーが小売店から回収し、メーカーへまとめて支払うことから、未回収リスクのない取引の実現が可能となる。

スーパーデリバリーに参加するためには、同社の審査をパスする必要がある。
この点、同業他社の中には「数=取引量の拡大」を最優先とし、ネット小売店を中心に緩い審査基準で加盟店を数多く集める事に注力しているところもあるが、同社の場合は、「質」と「数」のバランスを重視するため小売店に関しては、ネット小売店ではなく、実際に店舗を運営している小売店であるか?などを中心に審査を行っている。
また、サプライヤーに関しても、質の高さを重視している。スーパーデリバリーの立ち上げ当初は質の高い、ブランドを確立したサプライヤーは、他のそうでないサプライヤーと共に並べられるのを嫌がり、参加を拒むケースもあったが、現在では他のサプライヤーの質も高い事が理解され、そうしたことは無くなっている。小売店にとっても、質の高いサプライヤーと取引出来る点が大きなメリットとなっている。
BtoC取引と異なり、BtoB取引は、取引量を拡大させるためには、リピート取引を如何にして拡大させるかがカギとなるため、マーケットのクオリティ向上が最も重要であると同社は考えており、この点が同業他社との大きな違いの一つとなっている。

また、同社はEC企業ではあるが、他社が、ECのマーケットプレイスを開設・運営するシステム会社という側面が極めて強いのに対し、同社はただ単にそれにとどまらず、アパレル・雑貨を中心とした商品知識、業界知識がきわめて豊富な点も、他社との違いとなっている。
「スーパーデリバリー」の収益は、出展企業から得る出展基本料(月額4万円)、会員小売店から得る小売店月会費(月額2千円)、出展企業からのシステム利用料(会員小売店に卸した商品代金の10%)の3つから成っている。

商品は出展企業が会員小売店に直接配送するが、代金に関しては同社が出展企業の代わりに会員小売店から代金を回収し、出展企業に支払うため、売上高として商品代金を計上し、システム利用料を控除した額を売上原価として計上する総額計上を行っていたが、2015年4月期第1四半期より、売上表示を従来の総額表示から純額表示に変更した。純額表示における売上高は、出展企業から徴収するシステム利用料売上となる。
サービスの種類も増加しておりインフラサービス提供企業としてのポジショニングを明確にすることが目的。またマーケットプレイス事業を手掛ける同業他社との比較も容易になり投資家のメリットも大きいと判断した。

2017年7月末での各種経営指標は、会員小売店数 75,671店舗(前期末比5,151店舗増)、出展企業数1,198社(同9社増)、商材掲載数646,317点(同8,665点増)となっている。

2014年3月には、受注・発注を一元管理できるクラウド受発注ツールサービス「COREC(コレック)」を同事業内でスタートさせた。2017年7月末のユーザー数は12,509社となっている。
また、2015年8月には「スーパーデリバリー」の越境EC版となる輸出販売サービス「SD export」をスタートさせた。

(2)Paid事業

「Paid」は企業間取引の非効率な管理プロセスや内在する信用リスクを解消する決済サービス。
Paidを利用することで、バイヤーはすべての加盟企業と締め支払いで取引が可能となり、効率的にかつ運転資金にゆとりを持った取引が実現できる。サプライヤーは登録するバイヤーと代金未回収のリスクや請求督促の手間なく決済ができ、効率的かつ安全で顧客に喜ばれる取引が可能となる。
加盟企業数は2017年4月末には2,400社を超えた。18年4月期第1四半期の取扱高は、前年同期比23.6%増加の45億14百万円(うち、グループ内取引高 16億84百万円)となった。

(3)「保証事業」

11年4月期第3四半期から子会社化した(株)トラスト&グロースにおいて行っている事業である。「T&G売掛保証サービス」は、取引先が倒産した場合に、あらかじめ保証を掛けておけば、保証の枠の中で同社が損害分を代わって支払いするサービス。審査に際して、取引先に対する直接的なヒアリングや取引先からの申し込みなどは一切必要がない。独自の与信判断により90%以上の高い承認率を実現し、審査依頼から2営業日程度で回答も得られる。更に、顧客の商習慣に合わせた保証内容のカスタマイズが可能と利便性も高い。
加えて、2016年8月からは、中小企業向けネット完結型の売掛保証サービス「URIHO」をスタートした。
2017年7月末の保証残高は前期末比11.6%増の126億64百万円(うち、グループ内保証残高 13億78百万円)となっている。

「目標とする経営指標」にROEを掲げてはいないものの、ROEを意識した経営を行っている。
Paidの収益化、「COREC」の立ち上がり、またその後の新サービスなど、ITを駆使したサービス拡大の過程でROEはさらに上昇する余地が大きいと会社側は考えている。

2018年4月期第1四半期決算概要
3事業とも増収増益。

売上高は前年同期比7.5%増加の6億12百万円。3事業共に増収だった。
営業利益は同12.3%増の1億6百万円。引き続きSD export、Paid、URIHOへの広告投資、営業力強化やシステム開発などサービスの利便性向上のための人員増強を行ったが増収効果で吸収し2桁の増益となった。

*決算短信・有報で開示しているセグメント情報において、間接コスト(人件費・家賃・税金等の本社費用)はすべて「EC事業」負担となっている。その結果、EC事業のセグメント利益は、他の事業と比べて相対的に小さく表示されている。また、間接コストの増減がEC事業のセグメント利益の増減に大きく影響する結果となり、EC事業本来の成長がわかりにくい。そのため、同社では当第1四半期より、決算説明資料においては決算短信・有報のセグメント情報におけるEC事業のコストから本社費用を差し引いて計算した調整後のセグメント利益を開示することとした。なお、この調整によるPaid事業、保証事業のセグメント利益の金額変更はない。
営業利益率の構成比は売上高営業利益率。
◎EC事業

増収増益。
引き続き質の高い会員小売店及び出展企業を獲得した上で、客単価や稼働率の向上を図り、両者の継続した取引拡大による流通額増加に取り組んでいる。
小売業以外の事業者への流通増加が寄与し流通額は前年同期比2.5%増加した。
海外流通額(SD exportと日本語版サイトでの海外向け流通額の合算)は同68.9%増。日用品、化粧品、ベビー用品など海外人気商材の取扱数を増加させたことが寄与した。

この結果、「スーパーデリバリー」全体の流通額は前年同期比7.0%増の25億40百万円となった。

「COREC(コレック)」のユーザー数(サプライヤーとバイヤーの合計)は12,509社となった。

◎Paid事業

増収増益。
引き続き、加盟企業の獲得増加と獲得した加盟企業の稼働率の向上に取り組んでいる。
今期は、2017年4月より提供開始した「Paid定額自動請求」の積極的なプロモーション活動を行うとともに、前期の投資による成長を軌道に乗せながら、さらなる成長投資を行っている。
2017年7月末の加盟企業数は2,400社を超え、取扱高は同23.6%増の45億14百万円となった。

◎保証事業

増収増益
引き続き営業力強化に取り組むことで保証残高の拡大を図っている。また、今期は、2016年8月より開始した「URIHO」のターゲットとなる中小企業に対し、効果的なマーケティング活動によるクライアント数増加に取り組んでいる。このため広告宣伝費は増加しているが、「URIHO」の保証残高は順調に拡大している。この他、事業用家賃保証サービスについても引き続き順調に保証残高が増加し、保証残高は前期末比11.6%増の126億64百万円となった。
株式会社トラスト&グロースは財務基盤強化のために利益剰余金の資本金組入れにより資本金を4億90百万円へ増資した。

売掛金の減少などで資産合計は前期末に比べ2億98百万円減少の52億67百万円となった。
買掛金の減少などで負債合計は同2億97百万円減少の33億60百万円。
純資産はほぼ変わらずの19億7百万円。
この結果自己資本比率は前期末の34.2%から2ポイント上昇し36.2%となった。

2018年4月期業績予想
業績予想に変更無し。引き続き成長分野への集中投資を実施も、増収・2桁増益。

業績予想に変更は無い。売上高は前期比8.1%増の25億50百万円の予想。EC事業では海外流通額の拡大、国内流通額の回復を見込んでいる。Paid事業、保証事業は引き続き順調に拡大の予想。
営業利益は同16.4%増の4億90百万円。成長分野としてPaid事業、越境EC「SD export」に保証事業「URIHO」も加え、引き続き広告宣伝費やシステム開発費等を集中的に投下する方針だが、2桁増益を見込んでいる。
配当は現時点では未定。

(2)各事業への取り組み(前回レポートより)
①EC事業

成長余力の大きい海外市場における流通額拡大を図る。
そのためには、継続して「知名度向上」、「仕組み改善」、「商品拡大」がへの取り組みが必要。
国内流通に関しても、引き続き民泊事業者やホームステージャーなど小売以外の様々な事業者に対し積極的なアピールを推進し、低調な伸びとなっている流通額を拡大させ、成長路線への回帰を目指す。

②Paid事業

加盟企業数の増加と稼働率向上による取扱高の増加を目指す。
GMOペイメントゲートウェイ株式会社の「BtoB EC向け決済パッケージ」拡販のための営業連携を強化するほか、既存提携先との関係強化にも取り組む。
また、「Paid 定額自動請求」を積極的にプロモーションする。

③保証事業

「URIHO」についてはターゲット企業に対する効果的なマーケティング活動を実施し、クライアント数を増加させる。
順調に拡大している事業用家賃保証も積極的なセールスを展開する。

今後の注目点
スーパーデリバリーの四半期流通額合計は25.4億円と、ここ約4年の中で3番目の高水準となった。海外流通額が引き続き高い伸びを見せるとともに、国内流通額も前年同期比2.5%増と、前期第2四半期に伸び率を開示し始めてからは最も高い伸びを見せた。ただ、国内流通額自体は依然低水準にとどまっているようだ。
小売業以外への浸透も着実に進んでいるようだが、スーパーデリバリーの本格的な回復には、趨勢的に縮小傾向にある客単価の上昇が欠かせないだろう。引き続き各主要指標の推移を注目したい。

<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

最終更新日:2017年7月24日

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