(6184:東証1部) 鎌倉新書 代表取締役2名体制へ

2017/10/04

kamakura

今回のポイント
・18/1期上期は前年同期比26.1%の増収、同21.7%の営業増益。けん引役は売上が同30%増加したWebサービス。紹介数の増加と成約率の改善で、お墓事業(同36%増)、葬祭事業(同23%増)、仏壇事業(同15%増)の3事業の売上が順調に伸びた。利益面では、人件費・採用費を中心にした販管費の増加を、売上の増加と売上総利益率の改善で吸収した。・通期予想に変更はなく、前期比27.6%の増収、同28.3%の営業増益。3期連続の営業最高益更新が見込まれる。上期は、1Q、2Qと好調な売上が続く中、人件費の月ズレ等で営業費用が予算を下回った。このため、売上・利益供に社内計画(非公開)を上回ったが、今後の採用計画や新規事業投資等を鑑みて通期の業績予想を据え置いた。配当は未定だが、東証1部上場を踏まえて前向きに考えている模様。

・2017年9月14日開催の取締役会決議を受けて、清水祐孝前代表取締役社長が代表取締役会長に、相木孝仁前取締役副社長が代表取締役社長に、それぞれ就任された。代表取締役1名体制から2名体制へとトップマネジメントを強化する事で、コーポレート・ガバナンス及び経営体制の一段の強化を図り、更なる成長と企業価値向上につなげていく考え。

会社概要

「人と人とのつながりのお手伝い」をコンセプトに、ライフエンディング市場にフォーカスした事業展開を進めている。ライフエンディング市場とは、死別後に備えた事前準備から、葬儀、仏壇、墓、更には遺族の生活の再構築に関わる市場の事。葬儀社・斎場・火葬場検索サイト「いい葬儀」、霊園・墓地・墓石店検索サイト「いいお墓」、及び仏壇・仏具店検索サイト「いい仏壇」等のポータルサイト運営を中心に、日本初で唯一の供養業界を網羅したビジネス誌である月刊「仏事」やライフエンディングに関連する書籍の制作・販売を手掛けている。

【企業理念】

企業理念は、“私たちは、人と人とのつながりに「ありがとう」を感じる場面のお手伝いをすることで、豊かな社会づくりに貢献します”。
「親切」と「ありがとう」の交換は、豊かな社会を形成する土台である、との考えの下、人生の様々な局面で「ありがとう」を感じる瞬間を社会の中に増やしていく事、そのために鎌倉新書は存在していきたい、としている。

【沿革】

1984年4月、仏壇仏具業界向け書籍の出版を目的に設立されたが、清水祐孝氏の代表取締役就任を機に、「本を買う人は、紙の印刷物が欲しいのではなく、そこに書かれている情報を求めている」との考えの下、「自分たちの提供する価値は“情報”である」と改めて定義。情報加工業という視点から、事業領域を「インターネットビジネスを含めた情報ビジネス」として、2000年10月に全国の葬儀社や葬儀マナー等に関する情報サイト「いい葬儀」を開始した。

【事業内容】

事業は、お墓、葬祭、仏壇等のマッチングプラットフォームとなるポータルサイト運営を中心としたWEBサービス事業と、ライフエンディングに関わる書籍の企画・制作・賑売やセミナー等の書籍他事業に分かれる。17/1期の売上構成比は、WEBサービス事業86%、書籍他事業14%。

WEBサービス事業

終活から葬儀、仏壇、墓、遺産相続といったライフエンディング全域をカバーするポータルサイト群を通してサービスや商品の情報を発信すると共に、お客様センターで問合せや相談に応じる事で、サイト利用者の意思決定をサポートしている。一方、ポータルサイトに掲載される葬儀社、仏壇仏具店、石材店、寺院霊園等の事業者に対しては、販売支援サービスの提供や掘り起こした見込み客の紹介を行う。サイト利用者には無料でサービスを提供し、紹介した見込み客と事業者との間で契約がまとまった時に成約報酬を受け取る(成約金額の10~20%程度)。事業者にしてみれば、“後払いの広告宣伝費”と考える事ができ受け入れやすい。

同業者としては、葬儀サービスでは、流通大手イオングループのイオンライフ(株)、「小さなお葬式」や「葬儀本.com」等を展開する(株)ユニクエスト・オンライン等があり、墓では、「もしもドットネット」を運営する首都圏石材協同組合、メモリアルアートの大野屋、(株)日本仏事ネット等を挙げる事ができる。市場規模は、葬祭市場が1兆円を超え、霊園・墓地・墓が4,000億円、仏壇仏具が2,000億円。

KPI(重視する経営指標) 成約報酬 = 紹介数 × 成約率 × 販売単価 × 手数料率

成約報酬の拡大に向け、同社は紹介数の増加と成約率の向上に取り組んでおり、その結果としてのシェア拡大を手数料率の引き上げにつなげていきたい考え。紹介数の増加には、コンテンツの充実、導線の改良、デザインの改良、広告等の活用がポイントであり、成約率の向上には、サイトユーザーとのコミュニケーション強化や事業者との連携強化が必要となる。

書籍他事業

供養業界の事業者に向けたビジネス情報誌である月間「仏事」(年間購読料:税込み16,200円)等、葬儀や墓・仏壇等、供養に関連する様々な出版物を発行している。出版社としての知名度や信頼感、業界ネットワーク、コンテンツ生成力がインターネットサービスにも活かされている。売上や利益では測れない、シナジーを有する事業である。

【成長戦略】
社会的背景と鎌倉新書の役割

核家族化が進み、前の世代からの慣習や知識等の引き継ぎが減っているため、消費者は、ライフエンディング全般に、「誰に頼めばいいかわからない」、「どうすべきかわからない」、「選ぶ基準がわからない」、「費用が適正かどうかわらない」といった悩みを抱えており、インターネットで情報検索するケースが増えている。一方、事業者は、「集客やセールスのコストがかかり過ぎる」、「信頼感をもたれていない」といった悩みを抱えている。このため、10~20%程度の成功報酬で顧客開拓できる鎌倉新書のポータルサイト活用は魅力的であり、信頼感と言う点では、業界誌の発行体として30年以上の実績を有する同社が仲介する意義は大きい。

鎌倉新書の成長ストーリー

お墓事業、葬祭事業、仏壇事業の各事業において、新たに取引先業者のマーケティング支援サービスを展開する事で、既存サービスとのシナジーを追及しプラットフォーム型ビジネスの最大化を図っていく。また、ライフエンディング全域をカバーする同社の強みを活かして、相続、遺品整理、信託、高齢者の自己実現に向けた終活支援等、ライフエンディング周辺領域で一般ユーザーが抱えている複合的な課題の解決にも取り組んでいく。既存事業の最大化とライフエンディング周辺事業の育成により、圧倒的な知名度とブランド価値の獲得につなげていきたい考え。

組織変更

上記取り組みの一環として、18/1期期初に、営業企画部、事業開発部及びメディア開発室を新設した。営業企画部はユーザーへの営業強化(取引先業者のマーケティング支援)に取り組み、事業開発部とメディア開発室はライフエンディング周辺市場で事業展開していく。

事業開発部は、お別れ会(葬儀は一線を画す、人々の意識の多様化に対応した新しいお別れの形をプロデュース)、信託、更には、ライフヒストリーやメッセージの作成といった高齢者の自己実現等のニーズを取り込む事で新市場や新商品・新サービスの開発につなげていく。一方、メディア開発室は、遺産相続、遺品整理、看取り等の、新市場や新商品・新サービスに開発に取り組む。また、事業開発部とメディア開発室が連携して社会貢献のサポートにも取り組んで行く。

2018年1月期上期決算
前年同期比26.1%の増収、同21.7%の営業増益

売上高は前年同期比26.1%増の8億08百万円。収益性・効率性重視で臨んでいる書籍他(セミナー等を含む)の売上が88百万円と前年同期並みにとどまったものの、Webサービスの売上が7億20百万円と同30%増加。Webサービスでは、紹介数の増加と成約率の改善で、お墓事業(同36%増)、葬祭事業(同23%増)、仏壇事業(同15%増)の3事業が順調に伸びた。
営業利益は同21.7%増の1億94百万円。人件費・採用費を中心に販管費が同35.2%増加したものの、売上の増加とスケールメリットによる売上総利益率の改善で吸収した。株式公開費用32百万円を営業外費用に計上したため経常利益が同2.9%の増加にとどまったものの、税負担率の低下(36.3%→31.9%)で当期純利益は1億09百万円と同10.1%増加した。

人材の採用を積極的に行っているため人件費を中心に営業費用が増加したものの、費用全体ではWebサービスの売上の伸びに合わせてコントロールされており、営業費用は6億13百万円と売上の伸びを下回る前年同期比27.5%の増加にとどまった。上期末の正社員数は68名と前年同期末に比べて18名増加した(営業:8名増の22名、WEB・エンジニア:2名増の14名、新設した事業企画4名、この他、M&A・デューデリジェンス関連などコーポレート系等で増員)。

18/1期第2四半期(5-7月)はWebサービスの売上が前年同期比32%増加し、四半期売上高が過去最高を更新した。

紹介数が前年同期比32%増と伸びる中、成約率が前年同期の12.2%から14.4%に2.2ポイント改善した。霊園・墓地・墓選びは意思決定までに時間を要するケースが多く、意思決定を支援するための様々な情報やサービスを提供する余地が大きい(霊園・墓地・墓の事業者に対する販売支援になる)。このため、当事業は同社が最も力を入れている事業であり、経営リソースの投入量も多い事業である。

単価の低下傾向が比較的強い面はあるが、16/1期第1四半期をピークに減少が続いていた紹介数が前期第3四半期に底打ち。同第4四半期に上昇トレンドに転じ、この第2四半期は前年同期比22%増と伸びて過去最高を更新した。

当事業は経営リソースの効率化を念頭に事業を進めているが、紹介数が前年同期比23%増加し、過去最高を更新。成約率も高水準を維持した。

上期末の総資産は前期末に比べて11億85百万円増の23億07百万円。東証1部への市場変更の際に実施した公募増資(約10億円を調達)により、現預金及び純資産が増加した。自己資本比率89.0%(81.0%)。

2018年1月期業績予想
通期業績予想に変更はなく、前期比27.6%の増収、同28.3%の営業増益

上期は、第1四半期(2-4月)、第2四半期(5-7月)と好調な売上が続く中、人件費の月ズレ等で営業費用が予算を下回った。このため、上期実績は社内計画(非公開)を売上・利益供に上回ったが、今後の採用計画や新規事業投資等を鑑みて通期の業績予想を据え置いた。

尚、社内計画は、売上高7億81百万円(実績8億08百万円)、営業利益1億55百万円(同1億94百万円)、経常利益1億31百万円(同1億60百万円)、当期純利益86百万円(同1億09百万円)。通期予想に対する進捗率は、売上高47.5%、営業利益46.3%、経常利益40.2%、当期純利益42.9%。同社の業績は下期偏重であり、前17/1期の上期下期の比率は、売上高48.1:51.9、営業利益48.8:51.2。

【代表取締役の異動(追加選定)】

2017年9月14日開催の取締役会決議を受けて、清水祐孝前代表取締役社長が代表取締役会長に、相木孝仁前取締役副社長が代表取締役社長に、それぞれ就任された。代表取締役1名体制から2名体制へと変更しトップマネジメントを強化する事で、コーポレート・ガバナンス及び経営体制の一段の強化を図り、更なる成長と企業価値向上につなげていく考え。

代表取締役社長に就任された相木孝仁氏は1972年生まれ。明治大学政治経済学部卒業、コーネル大学経営大学院経営学修士課程(MBA)修了。日本電信電話株式会社、コンサルティングファーム ベイン・アンド・カンパニー、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社、楽天株式会社を経て2017年4月に鎌倉新書に入社された。楽天株式会社では、常務執行役員・デジタルコンテンツカンパニープレジデント、フュージョン・コミュニケーションズ株式会社代表取締役社長、Rakuten Kobo, Inc CEO、Viber Media Limited 取締役会長などを歴任された。

目指すところは、高齢化社会が進む現在において、単なる情報提供に終わらず、お客様の豊かな人生を支える存在となる事。この取り組みを通して、顧客満足度の向上と株主価値の向上を図りたい、とのメッセージを頂いた。

今後の注目点
鎌倉新書は仏教関連書籍の出版社としてスタートしたが、「書籍の出版とは情報ビジネス」という清水社長の考えの下、ライフエンディングにフォーカスして、出版、セミナー、コンサルティング、そして現在のインターネットサービスへと横展開してきた。しかし、ライフエンディングを起点とする多様なニーズに応えていくためには、これまでのように一つの事業を拡大させるだけではなく、複数の事業を同時並行してマネジメントしていく必要がある。このため、マネジメントの手法も変化、多様化が求められるのではないか、と考えるようになったと言う。こうした中、数ヶ月ではあったが、相木副社長の、エネルギッシュでコミュニケーションを大切にし、面倒な事を避けない姿勢には感心する事が多かった。「ならば、中途半端な副社長なんて役割でなく、彼にトップの役割を担ってもらった方が会社の発展につながると考えるのはリーズナブルでしょう」というのが相木社長誕生の背景。会長という会社法に規定されてない役職が院政や二頭政治を生む危険性についても、複数が代表権を持つ事によって起こり得る弊害の可能性についても、十分に議論、検討を重ねたが、その上で、「今回の体制がこれからの会社の発展にベストであろう」と言う結論に達したと言う。
東証1部上場企業として新たなスタートを切る同社と相木社長、そして「寂寥感と戦いつつも、これまでと同様に会社の発展、ステークホルダーの最大幸福に務めていきたい」という清水会長、それぞれの今後のご活躍をお祈りします。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書       更新日:2017年07月21日
基本的な考え方

当社は、企業価値を向上させ、株主利益を最大化するとともに、ステークホルダーと良好な関係を築いていくために、コーポレート・ガバナンスの確立が不可欠なものと認識しております。具体的には、代表取締役社長以下、当社の経営を負託された取締役等が自らを律し、その職責に基づいて適切な経営判断を行い、当社の営む事業を通じて利益を追求すること、財務の健全性を確保してその信頼性を向上させること、説明責任を果たすべく積極的に情報開示を行うこと、実効性ある内部統制システムを構築すること等が重要であると考えております。

<実施しない主な原則とその理由>

【補充原則4-1-2】
当社が属するライフエンディング業界は昨今変化が目覚ましく、このような環境の中、中長期の経営計画を株主の皆様にコミットメントすることは、環境の変化に対応する柔軟性や機動性を損なう可能性があると考えております。そのため、当社では中長期の経営計画は公表しておりません。

<開示している主な原則>

【原則1-4】
当社は、取引先との安定的・長期的な取引関係の構築、業務提携、又は協働ビジネス展開の強化の観点から、当社の中長期的な企業価値向上に資すると判断される場合、当該取引先等の株式等を取得し保有することが出来るものとします。政策保有株式のうち、主要なものについては、保有する上での中長期的な経済合理性や取引先との総合的な関係の維持・強化の観点からの保有効果等について検証し、取締役会において報告を行います。また、議決権行使にあたっては、提案されている議案について株主価値の毀損に繋がるものではないかを確認し、賛否を決定して行使いたします。

【原則1-7】
当社は、毎年定期的に関連当事者取引の有無を確認しております。また、競業取引及び利益相反取引などにあたる場合は、事前に取締役会において承認を要することとしております。

【原則3-1】
(1)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画
当社の企業理念については当社ホームページにて開示しておりますのでご参照ください。
http://www.kamakura-net.co.jp/company/principle.html
(2)本コードのそれぞれの原則を踏まえた、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針は、当社ホームページに掲載しておりますのでご参照ください。
http://www.kamakura-net.co.jp/ir/governance/index.html
(3)取締役会が、取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続
取締役の報酬は、原則として月例固定報酬としており、株主総会において承認された報酬枠の範囲内で取締役会規程に基づき、独立社外取締役も出席する取締役会の承認を受けて決定しております。
(4)取締役会が取締役候補の指名を行うに当たっての方針と手続
取締役の指名に関しては、的確かつ迅速な意思決定に寄与する能力の有無と適材適所の観点より総合的に検討し、独立社外取締役も出席する取締役会の承認を受けて決定しております。
(5)取締役会が上記(4)を踏まえて取締役候補の指名を行う際の、個々の選任・指名についての説明
当社の取締役候補の指名理由は株主総会招集通知の株主総会参考書類をご覧ください。

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