(1433:東証1部) ベステラ 利益率改善見込む マザーズから東証一部へ

2017/09/27

besterra

今回のポイント
・18/1期上期は前期比12.3%の増収、同29.5%の営業減益。前期から繰り越された完成基準の工事が予定通り完工し、その他の工事も順調に進捗した。受注時から採算性が低い(15%程度)の営業施策案件が売上計上されたため営業減益となったが、期初の想定に沿った着地。一方、受注は同87.3%増の26億28百万円と伸長。受注残は28億28百万円(前期末比2.3%減)と高水準を維持した。

・通期予想に変更はなく、前期比36.3%の増収、同41.9%の営業増益予想。受注高には反映されていないが、見積提出中で受注確度の高い案件や過去の実績から受注の可能性が高い案件が豊富。これら案件の期中受注・期中売上と受注残の消化で下期は売上が伸び、利益率も改善する見込み。尚、同社株式は2017年9月14日付けで東京証券取引所マザーズから同取引所市場第一部へ市場変更された。

・保有する多くの特許が示すように、プラント解体分野での技術とノウハウでは既に国士無双。「プラント解体産業を一つの大きな産業に育てたい」、「壊す文化・技術を世界に広げたい」、そして「プラント解体で世界一に!」という夢の実現に向けて、3D計測事業とプラント解体工事とのシナジーを追求しつつ、特許を有する各工法はもちろん、同社自身の認知度を高め、競争力のある解体方法を提案し実用化に繋げていく考え。市場変更は通過点に過ぎないが、「ベステラ」ブランドの醸成に大きく貢献するものと思われる。

会社概要

プラント解体のスペシャリストとして、製鉄、電力、ガス、石油等、プラント(金属構造物)の解体工事をマネジメントしている。“プラント解体の工法・技術”をコア・コンピタンスとし、国際特許も含めた20件(申請中6件)の特許工法を有する。エンジニアリング(提案・設計・施工計画)とマネジメント(監督・施工管理)に経営資源を集中しており、実際の解体工事は協力会社に外注するため、工事用重機や工事部隊を保有せず(資産保有リスクを回避)、材料等の仕入・生産取引も発生しない(在庫リスクを回避)。社名の「べステラ(BESTERRA)」は英語の「Best(goodの最上級)」とラテン語の「Terra(地球)」を合わせたもので「素晴らしい地球を造っていこう」という思いが込められている。

【企業理念・行動規範】

「柔軟な発想と創造性、それを活かした技術力により地球環境に貢献します」という企業理念の下、下記の行動規範を掲げている。

行動規範

プロとしての責任を果たします。
我々は常に新しい技術を生み出し、「安全を何よりも優先」し、「より早く、より安く、より安全に」を合言葉に
さらに安心を加えて、お客様に提供します。

【事業の特徴】

17/1期はプラント解体事業が売上高全体の98.3%を占め、人材サービスが残る1.7%。プラントの解体工事は、製鉄・電力・ガス・石油等のプラントを有する大手企業が施主であり、多くの場合、施主系列の設備工事会社あるいは大手ゼネコンが工事を元請けし、同社が一次下請け、二次下請けとなっている。16/1期は、JFEグループのJFEプラントエンジ(株)、新日鉄住金グループの日鉄住金テックスエンジ(株)、戸田建設(株)、東京電力グループの(株)東京エネシスの上位4社向けの売上が全体の55.9%を占めた。

工事の進行に伴って発生するスクラップ等の有価物は、同社が引き取ってスクラップ業者に売却する。このため、同社は受注に際して有価物の価値を、材質、量、価格(鉄、ステンレス、銅等の材質毎の相場)等から総合的に見積り、それを反映した金額で交渉し、請負金額を決めている。会計上、有価物の売却額は解体工事に伴う収益の一部と位置付けられており、完成工事高に含めて計上している(16/1期は5億70百万円、売上高の15.1%)。尚、発注者(施主)が独自でスクラップ等の処分(売却)を行う事もある。

【強み -優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的解体マネジメント、特許工法等の知的財産-】

強みは、優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的解体マネジメント、及び特許工法等の知的財産。製鉄、電力、ガス、石油等の大手企業のエンジニアリング子会社を中心とした優良な顧客基盤は与信の不安がない上に、中長期にわたり継続して受注が見込める豊富な案件を有する。また、約40年間の実績に裏打ちされたプラント解体のトータルマネジメントは、これら優良企業から高く評価されており、参入障壁となっている。更に、環境対策工事等で蓄積してきた様々な技術やノウハウも強みであり、発生材の再資源化に関する豊富な知識と共に、顕在的・潜在的な知的財産となっている(特許取得済14件、同申請中6件)。また、工事の施工に必要な重機や職人は直接保有しない持たざる経営を徹底しているため、複雑な構造を持つプラントのどのような設備に対しても柔軟に対応できる体制を構築している。

※ 2つの収益計上基準と同社収益計上の季節性について

工事契約における収益の計上基準には、工事が完成した時に収益を計上する完成基準と工事の進捗に応じて収益を計上する進行基準がある。スクラップなど有価物の引き取りがあるプラント解体工事は工事の収益が最終のスクラップ売却時まで確定しないため、同社においては、請負金額50百万円超、工事期間3ヶ月超の大型工事で、かつ、スクラップ等の売却予想金額が工事請負金額の10%以下の工事にのみ工事進行基準を適用していた。完成基準適用工事の収益計上(完工)時期は顧客(施主)の設備投資計画の影響を受ける事が多く、同社の場合、第1四半期(2月~4月)と第4四半期(11月~1月) に収益が計上される割合が高い(収益計上の季節性)。しかし、四半期業績の変動が投資家をミスリードする可能性があるため、18/1期着工分から、請負金額50百万円超、工事期間3ヶ月超の大型工事については、原則工事進行基準を適用する事とした。収益計上の季節性がなくなる訳ではないが、今後、収益計上の平準化が進む。

進行基準:工事の進捗に応じて収益を計上
完成基準:工事が完成した時に収益を計上
(同社資料より)
2018年1月期上期決算
前期比12.3%の増収、同29.5%の営業減益

売上高は前期比12.3%増の21億40百万円。前期から繰り越された完成基準適用工事が予定通り完工する中、その他の工事も順調に進捗し、完成工事高が21億03百万円と同12.4%増加した(この他、人材サービス等の兼業事業が同5.7%増の37百万円)。

完成工事の内訳は、エチレン製造設備の解体工事が完工した石油・石化が42%(17/1期通期15%)、製鉄35%(同56%)、電力13%(同20%)、ガス7%(同5%)、その他3%(同4%)。

営業利益は同29.5%減の1億63百万円。受注時の利益率が低かった大型案件が完工・売上計上された影響で原価率が悪化する中、人員増強(3D技術者・施工管理計8名増)や積極的な営業活動で販管費が増加した。売上原価は17億39百万円と同19.9%増加しており、増加要因は、外注費(54百万円増)、労務費(工事部7名増、26百万円増)、及びその他原価増(26百万円)。上期末現在の工事部人員(現場監督)は29名(前期末22名)。

受注高は同87.3%増の26億28百万円。高効率化に取り組む電力業界を中心に伸びた。このため、受注残の消化が順調に進んだものの、上期末の受注残高は28億28百万円(前期末比2.3%減)と高水準を維持した。受注残高の内訳は、電力47%(前年同期末13%)、製鉄30%(同69%)、石油・石化6%(同15%)、ガス17%(同1%)、その他-%(2%)。

特定案件の影響で一時的に利益率が低下

完成工事高が12億81百万円と前年同期比28.9%増加した事で売上高が12億97百万円と同28.4%増加した。ただ、受注時の利益率が低かった大型案件が完工・売上計上された影響で売上総利益率が低下したため、増収ながら営業減益となった。
手持ち工事の順調な進捗を踏まえ、案件獲得に積極的に取り組んだ結果、受注高は22億56百万円と同158.7%増加した。

大型の完成基準適用工事が完工し、協力会社への支払いを速やかに実施した事等で上期末の総資産は34億96百万円と前期末に比べて7億25百万円減少した。借方では、現預金、たな卸資産等が減少しており、貸方では、仕入債務や未成工事受入金が減少する一方、運転資金を補充するべく短期借入金が増加した。バランスシートがスリム化する中で、純資産が増加したため、第2四半期末の自己資本比率は63.3%と前期末の51.7%から11.6ポイント上昇した。
尚、2017年4月4日に有償ストックオプションを発行した他、東京証券取引所本則市場への市場変更を念頭に株式の分布状況の改善と流動性向上を図るべく、同年4月6日から11日にかけて10万株の立会外分売を実施した(9月14日の市場第一部への変更が既に決定済み)。有償ストックオプションは、中長期的な業績拡大及び企業価値の増大を目指すに当たり、より一層の意欲及び士気を向上させ、結束力を更に高める事を目的に役員及び従業員に対して発行された。

営業CFがマイナスになったものの、完工・売上債権回収のサイクルが回り、マイナス幅が縮小した。

(4)3D計測事業の実績

育成中の3D計測事業は、プラント解体事業とシナジー効果の高い分野で実績を着実に積み上げている。
工場分野では、朝日航洋との共同事業であるパーフェクト3D(航空レーザー、MMS、及び固定式スキャナによる大規模3D点群データ作成)による製鉄所全体の3Dレーザー計測、高炉・製鋼工場の計測、各種製造工場(食料品、石油化学製品)の計測、熱変形部分の稼動前/稼動後の変位計測、災害による被災箇所のゆがみ計測等で実績を有する。また、電力分野で、原子力発電所設備の計測・モデリング、火力発電所の設備解体に伴う計測・解体シミュレーション、及び有害物質処理施設の解体に伴う計測・解体シミュレーション等を手掛けた他、この他、地域冷暖房機械室、木造建築物の移転データ及び市街地道路データ等の収集を目的とした3D計測を実施した。

(5)特許工法

同社は、タンク、ボイラ、煙突、クレーン等の解体時に必要となる工法の特許を下記の通り多数保有しており、申請中の3D関連の2つの案件は既に出願公開されている。直近では、風力発電で使用される風車の解体に必要な工法の特許や、中国電力の設備解体時に採用した特殊工法を出願した。今後も、特許工法を用いた競争力のある解体方法を提案し、実用化に繋げていく考え。

2018年1月期業績予想
通期業績予想に変更はなく、前期比36.3%の増収、同41.9%の営業増益

売上高は前期比36.3%増の57億円。受注高には反映されていないが、足元では、見積提出中で受注確度の高い案件及び過去の実績から推定して受注の可能性が高い案件が豊富。受注残の消化と、これら案件の期中受注・期中売上で下期は売上が伸びる。

営業利益は同41.9%増の5億64百万円。人件費(期末従業員数57名→79名)、研究開発費(7.6百万円→39百万円)、募集費・採用費(11百万円→26.5百万円)を中心にした販管費の増加を売上の増加とスケールメリットや生産性の向上による売上総利益率の改善で吸収する。

尚、同社株式は2017年9月14日付けで東京証券取引所マザーズから同取引所市場第一部へ市場変更された。

(2)利益配分方針、株主還元

利益配分については、「将来の成長への投資」、「事業基盤強化のための内部留保」、及び「40%を株主様への利益還元(配当)」を3本柱としている。このうち成長投資については、設備投資(ロボット、3D計測機器)、技術開発投資(工法開発、ロボット開発)、システム投資(3Dシステム、BIM・CIM)、及び戦略的事業投資(M&A等)に合理的に配分していく。

また、株主優待として、2018年1月期以降、権利確定日(1月末)に保有する株数に応じて下記の通りQUOカードを贈呈する。

今後の注目点
9月14日に東証マザーズから東証1部に市場が変更された。地球の力に逆らって堅固な構造物をつくるのが建設工事だが、プラント解体工事は地球の力を利用する事で、早く、低コストで、しかも安全に工事が進む。同社は1974年2月の設立以来、「より早く、より安く、より安全に」をコンセプトに、製鉄所・発電所及び各種工場等のプラント設備解体を主体とした事業を展開してきた。
「つくった人には壊せない」、つくった人には「地球の力を利用する、と言う発想がない」、言い換えると、「建てるための技術に様々な工夫はしても、壊すための工夫はしない」、「工夫とは、解体のための柔軟な発想と創造性、それを活かした技術力である」というのが同社の考え。プラント解体の技術とノウハウを強みにコンサルティングと現場管理で収益をあげる同社は事業拡大に当たって多くの資金を必要としないため資金面だけを考えると上場する必要はなかった。にもかかわらず2015年9月に東証マザーズに上場したのは、「プラント解体産業を一つの大きな産業に育てたい」、「壊す文化・技術を世界に広げたい」、そして「プラント解体で世界一に!」という夢があったから。保有する多くの特許が示すように、プラント解体工事での技術とノウハウでは既に国士無双。夢の実現に向けて、3D計測事業を育成してプラント解体工事とのシナジーを追求しつつ、特許工法はもちろん、同社自身の認知度を高め、競争力のある解体方法を提案し実用化に繋げていく考え。東証1部への市場変更は通過点に過ぎないが、「ベステラ」ブランドの醸成に大きく貢献するものと思われる。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書      更新日:2017年9月15日
基本的な考え方

当社では、健全な経営の推進と社会的信頼に十分に応えるべく、コーポレート・ガバナンスを最も重要な経営課題として位置付け、経営の健全性・透明性および公平性を高めることに重点を置き、法令遵守を社内に徹底させることは当然のこととし、役員全員が常に「法令違反は即経営責任に直結する」との危機感を持ち経営に臨んでおります。具体的には、経営の意思決定、職務執行および監督ならびに内部統制等について、適切な体制を整備・構築することにより、法令・規程・社内ルールに則った業務執行を組織全体に周知徹底しております。また、株主重視の経営に徹するべく、「適正な株価形成」・「株価の持続的上昇」のための経営改革を実現し、経営のチェック機能を強化することでグローバルに通用するコーポレート・ガバナンスを確立することも重要であると考えております。その結果が、社会からの信頼の獲得に繋がることとなり、自ずと企業価値も高まり、株主の皆様にも満足して頂けるものと考えております。

<実施しない原則とその理由>

【補充原則4-10-1】
当社は、独立社外取締役を2名選任しており、企業経営者としての専門的な知識と豊富な経験を活かして、取締役会や各取締役へ意見を述べるとともに、必要に応じて助言を行っております。
任意の諮問機関としての委員会は設置しておりませんが、現時点では、取締役会の場において、独立社外取締役から適切な関与・助言を得られていると考えております。

【補充原則4-11-3】
当社の取締役会は毎月開催され、取締役会規程に定める重要事項について適時・適切に審議・決定されております。また、経営状況についても定期的に報告を受け、適切なリスク管理および業務執行の監督を行っております。重要な案件については、社外取締役・社外監査役に事前に内容を説明し、取締役会で十分な審議時間を確保して活発な議論が行われております。以上のとおり当社の取締役会は、実効的に運営されていると判断しておりますが、更に実効性を向上させるべく努めてまいります。

<開示している主な原則>

【原則1-4 いわゆる政策保有株式】
当社は、取引先との長期的・安定的な取引関係の維持・強化及び関係強化による当社事業の拡大等の観点から、当社の中長期的な企業価値の向上に資すると判断した場合、取引先等の株式を取得及び保有する場合があります。当社は、前項に基づき保有する株式(政策保有株式)に関し、定期的に取締役会において、当社の企業価値向上に繋がるかを検証し、これを反映した保有のねらい・合理性の確認を行ってまいります。当社は、政策保有株式について、当社の企業価値向上の観点から総合的に判断し、適切に議決権を行使いたします。

【原則1-7 関連当事者間の取引】
当社は、役員及び従業員持株会ならびに主要株主との取引に関する調査を毎年実施し、関連当事者取引の有無を確認しております。また、財務報告作成に関するマニュアルを定め、当社が役員、及び従業員持株会ならびに主要株主等との取引を行う場合には、当該取引が当社および株主共同の利益等を害することの無いよう、内部監査部門、管理部門、取締役会、監査役会において、当該取引の必要性について、十分な審議等を行うこととしております。

【原則3-1 情報開示の充実】
(i)会社の経営理念、経営戦略および経営計画

当社は、経営方針、経営戦略、経営計画については当社ホームページにて開示しておりますのでご参照ください。
(ii)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針は、本報告書の「1.コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方及び資本構成、企業属性その他の基本情報」に記載のとおりです。(iii)取締役及び監査役の報酬等の決定に関する方針
取締役の報酬は、株主総会にて決議された報酬限度額の範囲内で、業績、経営環境、職責、世間水準、従業員に対する処遇との整合性等を考慮の上、取締役会にて決定することとしております。監査役報酬については、監査役会での協議により決定しております。
(iv)取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続き
経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補者の指名を行うに当たっては、当社の経営陣幹部または取締役・監査役として相応しい豊富な経験、高い見識、高度な専門性を有する人物を候補者とし、取締役会において決定を行います。
(v)経営陣幹部のここの選任・指名理由
取締役、監査役の選任に関しては、定時株主総会招集ご通知に指名の理由を記載しております。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主からの対話(面談)の申込みに対しては、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、合理的な範囲で前向きに対応すべきと考えております。当社は、株主との建設的な対話を促進するため、企画部をIR担当部署として、金融機関や投資家に対して決算説明会を半期に1回開催し、適宜会社情報をホームページ、東証の任意開示を活用し、情報公開を行っております。

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