(3675:東証マザーズ) クロス・マーケティンググループ 海外リサーチ事業をけん引役に増収

2017/09/20

crossmarketing

今回のポイント
・17/12期上期は海外リサーチ事業をけん引役に売上が前年同期比11.5%増加し、営業キャッシュ・フローは過去最高となった。16/12期通期の4億36百万円を大幅に上回る11億33百万円を獲得。ただ、2014年11月に譲渡契約を締結したKadence社株式の追加支払い額の決定に伴い、のれん償却費や減損損失が発生したため、営業利益が同4.1%減少し、1億84百万円の最終損失。・Kadence社株式の譲渡価格は、買収リスクを回避したいクロス・マーケティンググループの意向が反映され、Kadence社の15/6期から17/6期の業績を踏まえて追加支払い金額が確定する事になっていた。18/12期の対応を予定していたため、17/12期業績予想に織り込んでいなかったが、Kadence社の17/6期の業績進捗が良く、一定の業績条件を達成することになっていたことに加え、来期以降の成長へ向けた動きを早期に開始するべく前倒しで対応することとした。

・上期決算を踏まえて修正された通期予想は前期比8.6%の増収ながら、同14.2%の営業減益、同70.0%の最終減益。ただ、国内が堅調に推移する中、Kadence社の米国、インドネシア、英国を中心に海外が伸びており、追加支払いの影響を除くと同5.5%の営業増益。期初予想をわずかに上回る見込み。このため、配当は期初に発表した通り、上期末3.25円、期末3.25円の年6.5円を実施する(年1円の増配)。

会社概要

企業理念に「事業創造」を掲げ、国内最大規模を誇る190万人超のアンケートモニターを有するネットリサーチを核に、オフラインリサーチ等、マーケティングリサーチに関する事業全般を展開。総合マーケティンググループを志向し、モバイル向けを中心に、ITソリューション、マーケティング、プロモーションにも力を入れており、国内外での積極的なM&Aで事業を拡大させている。グループは、持ち株会社である同社の他、国内外の連結子会社29社、関連会社(持分法適用会社)5社の計34社。

【事業概要とグループ企業】

事業は、リサーチ事業、モバイル向けのWeb サイトやアプリの企画・開発・運用を手掛けるITソリューション事業、及びWebマーケティング事業やプロモーション事業のその他に分かれる。リサーチ事業、ITソリューション事業、Webマーケティング事業、プロモーション事業を連動させる事で、総合マーケティングサービスをワンストップで提供できる体制を整えている。
16/12期の売上構成比は、リサーチ事業(国内)57.7%(16/12期56.1%)、リサーチ事業(海外)26.0%(同30.7%)、ITソリューション事業11.9%(同11.5%)0、その他事業4.3%(同1.7%)。連結調整前利益ベースでは、リサーチ事業90.0%(同94.6%)、ITソリューション事業7.0%(同7.6%)、その他3.0%(同△2.2%)。

リサーチ事業

国内では、調査会社、広告代理店、コンサルティング会社、及び一般事業会社を顧客とし、(株)クロス・マーケティング、(株)リサーチ・アンド・ディベロプメント、(株)ユーティル、(株)メディリードが事業を展開している。リサーチサービスは、調査企画内容に沿ってアンケートプログラムを開発し、インターネット上でアンケートを回収するネットリサーチサービスや、会場に調査協力者を集めてアンケート回収やインタビューを行うCLT(会場)調査等の定量調査及び座談会形式で調査協力者にインタビューを行うフォーカスグループインタビュー等の定性調査を行うオフラインリサーチサービスを提供しており、リサーチの結果は収集・分析され、各種分析レポートにまとめられて納品される。ネットリサーチのアンケート回答者は事前にアンケートに承諾した登録モニターの中から抽出されるが、登録モニターの基本属性管理やメンテナンス等、登録モニターとの窓口業務は持分法適用会社である(株)リサーチパネルが行っている。
一方、海外では、Kadence International、Markelytics Solutions(インド及びシンガポール)、Medical World Panel Asia Pte. Ltd.、Cross Marketing Asia Pte. Ltd.等の海外子会社が、海外の一般事業会社から直接受注し、外注先企業やアンケートモニター管理会社を活用してサービスを提供している(案件によっては、Union Panels Pte. Ltd.を通して外注先企業やアンケートモニター管理会社に業務を委託する)。

ITソリューション事業

(株)クロス・コミュニケーションが、スマートフォン等、モバイル向けの、Web サイト、アプリ、システムに関する、マーケティング、企画から、開発、運用、プロモーションに至るまで、サービスに必要なあらゆる機能をワンストップで提供している。この他、(株)クロス・ジェイ・テックがシステム開発やエンジニアリングサービスを手掛けている他、(株)クロス・プロップワークスがグループ内のデータ加工・処理業務等のアウトソーシングサービスを提供している。

その他事業

WEBマーケティング事業は持分法適用会社(株)UNCOVER TRUTHの事業領域で、WEBサイトを訪れたユーザーの動きをヒートマップと動画で可視化するサイト内分析ツール「「USERDIVE」を活用したWEB及びスマートフォンサイトのUI・UX分析と改善コンサルティングを行っている。一方、プロモーション事業は、(株)ディーアンドエムが消費者データを活用したマーケティングサービスを提供している。

2017年12月期上期決算
前年同期比11.5%の増収ながら、M&Aに係る特殊要因で同4.1%の営業減益

売上高は前年同期比11.5%増の81億41百万円。国内リサーチ事業、ITソリューション事業が堅調に推移する中、Kadenceグループの英国、米国、インドネシアの好調で海外リサーチ事業が同36.0%増と伸びた。ただ、利益面では、国内事業会社を中心に生産性が改善し、売上総利益率が1.9ポイント改善したものの、のれん償却費や人件費の増加が負担となり営業利益が4億11百万円と同4.1%減少。持分法投資損失の増加と減損損失2億77百万円の計上で1億84百万円の最終損失となった。

のれん償却費の増加は、Kadence社株式譲渡契約における追加支払いに対応したもの。営業利益は期初予想の5億66百万円を下回ったが、この影響を除いた「事業上の営業利益」は、海外リサーチ事業の想定以上の好調とコストコントロールにより6億31百万円と期初予想を65百万円上回る着地(前年同期比47%増)。減損損失の内訳は、追加支払いに伴い発生したKadence Indonesia 及びKadence Vietnamの減損損失2億16百万円の他、Kadence HKの減損損失62百万円。

Kadence社の株式譲渡契約に伴う、のれん償却費と減損損失の追加計上

15/12期より連結に取り込んだKadence International Business Research Pte. Ltd.(Kadence社)の株式取得金額は約14万USドル~約29万US ドルと幅があり、2014年11月の契約時に約14百万USドル(18億円)を支払い(この際、議決権の100%を取得)、2015年~2017年の3年間の業績に応じて、0~15百万USドルの追加の株式取得対価を支払う契約となっている。

17/6期決算をもってKadence社の3年間の業績が確定し、追加支払い額が10百万USドルに決定した。会計上は2014年11月に約24百万USドルで買収したものとして処理されるため、会計処理方針に従い、17/12期決算において、業績予想に織り込んでいなかった追加支払い額に対応する15/12期から17/12期にかけてののれん償却費2億64百万円(上期処理分2億20百万円)を計上する。また、買収当時、業績不振だったKadence Indonesia 及びKadence Vietnamについて15/12期、16/12期にそれぞれ減損処理を行ったため、17/12期は追加支払い分についても減損処理(2億16百万円)を行う必要がある。

当初は追加支払い額の合意に時間を要すると考えていたが(前期までの交渉期間の実績からすると半年から1年は必要)、足元、Kadence社の業績が順調に業拡大しており、契約上一定の基準となっていた業績条件を達成することになった事に加え、今後の成長へ向けた取り組みを早期に開始する必要がある事等から、時間的価値に重きを置き、今期中に支払いを完了する事とした。

Kadence社の子会社化の目的と今後の方針

Kadence社はシンガポールに本社を置き、世界8か国(英国、米国、UAE、インド、インドネシア、シンガポール、ベトナム、中国※株式取得時点)で事業を展開している。欧米のグローバルクライアントを顧客基盤とし、アジアエリアでの質の高い提案力やレポート力が強みだ。クロス・マーケティンググループは、成長が期待されるアジアでの事業展開の加速に向け、アジア全域にネットワークを構築するべく2014年11月に子会社化した。クロス・マーケティンググループ入り後、順調に業績を拡大させており、17/6期の税前利益は5億円強とは前期比倍増した。今後は、クロス・マーケティンググループの海外ブランドをKadenceに一本化し(One Kadence)、ネットワークの強化やリソースの共有を進めグロバルブランドを構築し認知度を高めていく。また、重複展開している拠点・エリアの整理統合を進めていく。

リサーチ事業

売上高69億16百万円(前年同期比12.8%増)、セグメント利益10億41百万円(同8.5%増)。国内リサーチ事業の売上は同3.1%増の44億48百万円。主力のクロス・マーケティングの売上が収益性の改善を伴って増加した事に加え、前期第3四半期に連結したショッパーズアイが期初から寄与した。海外リサーチ事業の売上は同36.0%増の24億68百万円。好景気が続く米国及び景気が回復基調にあるインドネシアの好調に加え、大型案件を受注した英国が伸びる等、Kadenceグループがけん引した。

ITソリューション事業

売上高9億29百万円(前年同期比4.8%増)、セグメント利益65百万円(同24.6%増)。アウトソーシングサービスを手掛けるクロス・プロップワークスやエンジニア派遣を手掛けるクロス・ジェイ・テックを中心に売上が増加。共に人員増に伴う先行投資負担を吸収して収益性も改善した。クロス・コミュニケーションは受注が好調に推移し、下期以降の売上寄与が見込まれる案件の取り込みが進んだ。

その他事業(新規事業)

売上高2億97百万円(前年同期比4.5%増)、セグメント利益32百万円(同122.3%増)。UNCOVER TRUTHが連結を外れた影響を考慮した実質的な増収率は91%。データベースを活用したプロモーション事業を手掛けるディーアンドエムが順調に業績を伸ばしており、売上・利益共に増加。米国でプロモーション関連事業を展開するクロス・マーケティング グループ USAの売上寄与も始まった。

上期末の総資産は前期末に比べて2億10百万円増の101億42百万円。借方では、CFの改善で現預金が増加した他、Kadence社株式譲渡契約における追加支払い額が決まった事で無形固定資産が増加(のれん17億03百万円→22億05百万円)。一方、売上債権が減少した。貸方では、追加支払いにかかる未払金が増加する一方、借入金返済で有利子負債(△4億23百万円)が、上期決算が最終損失となった事等で純資産が、それぞれ減少した。自己資本比率は39.8%(前期末43.6%)。

2017年12月期業績予想
前期比8.6%の増収ながら、同14.2%の営業減益予想

売上高については期初予想を維持したが、追加支払いの影響を反映して利益予想を修正した。ただ、国内が堅調に推移する中、Kadence社の米国、インドネシア、英国を中心に海外が伸びており、追加支払いの影響を除いた事業上の営業利益は14億15百万円と同5.5%増加し、期初予想を上回る見込み。

下期は期初予想に沿った推移を見込んでおり、追加支払いの影響を除いた事業上の営業利益は14億15百万円と期初予想を15百万円上回る見込み。売上が想定を下回る国内リサーチ事業(1億87百万円の減益要因)やITソリューション事業及びその他の事業(合計36百万円の減益要因)が利益の下振れ要因となる中、海外リサーチ事業の売上の上振れ(1億42百万円の利益上振れ要因)とコストコントロールによる販管費(95百万円の利益上振れ要因)の抑制で吸収する。

(2)配当は期初発表の通り、1円増配の年6.5円を実施

Kadence社における追加支払いによって発生したのれん償却費・減損損失の追加計上は事業上の利益と直接的に関係の無い特殊要因である、として、配当は期初に発表した通り、上期末3.25円、期末3.25円、年6.5円を実施する考え。年1円の増配となる。尚、同社は連結配当性向15%前後を目安に配当金額を決定している。

2016年の市場は、ネットリサーチ・オフラインリサーチ共に拡大し、市場全体で約8%成長し、市場規模2,000億円を突破した。

2015年は市場規模の大きい北米、ヨーロッパが堅調に推移し、アジアは振れがあるが徐々に規模を拡大させている。

今後の注目点
Kadence社の業績は好調だ。今期計上する事になった、のれん償却費と減損損失は、過去3年間さかのぼっての会計処理上の対応であり、業績悪化等で資産価値が低下したためではない。契約時点で買収価格を決定する事は可能だったが、リサーチ事業はシステム投資による事業ではなく、人に依存した事業であるため、同社は買収価格の決定に慎重に対応した。Kadence社の各拠点は独立性が高く、拠点間での交流がなかったが、更なる事業の拡大と競争力の強化には各拠点を有機的に結合させグループ力の向上を図る必要がある。取り組むべき課題が明確だっただけに、同社としては早期の決着を図りたかったようだ。今後は、持株会社のあるシンガポールを中心に「One Kadence」として各拠点を有機的に結合させ人材の交流も図る。先行投資が必要となるが、先進国経済が好調を維持する中、新興国経済が回復基調にある等、事業環境は良好。このため、投資負担を吸収して増益基調が続く見込みだ。
連結ベースの業績についても、利益面では特殊要因があったものの、売上が順調に伸びている事や過去最高のCFを獲得した事等から不安はないと考える。上期の国内リサーチ事業は一部顧客の動きが若干弱かったようで、通期の業績予想にも反映させたが、同社の業績は下期偏重であり、下期にカバーできる可能性が高い。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレート・ガバナンス報告書      更新日:2017年04月04日
基本的な考え方

当社では、経営の透明性向上とコンプライアンスを徹底した経営を行うため、実効性のあるコーポレート・ガバナンス体制を充実させていくことを基本方針と考えております。コーポレート・ガバナンスの実効性を高めるためには、企業環境の変化に迅速に対応できる組織体制、および公正で透明性のある株主重視の経営システムを構築し維持していくことが必要であると考えております。こうした考えのもと、当社は取締役会監査・監督機能の一層の強化とガバナンスの更なる充実を図るとともに、権限委譲による迅速な意思決定と業務執行により、更なる経営の公正性と効率性を高めるため、平成29年3月29日付けで監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行いたしました。

<実施しない主な原則とその理由>

【補充原則4-1-2 中長期経営計画の実現への努力と未達時対応】
当社グループでは、2015年12月期から2017年12月期までの3ヶ年における中期経営計画を策定しております。その中で、2017年12月期の業績目標として、売上高17,985百万円、経常利益1,500百万円を目指しております。当該中期経営計画に対しては、2017年12月期終了時に、その目標達成状況の報告及びその結果の原因分析及び時期以降への経営計画の反映について審議した上で、当社ホームページや決算説明会を通じて、株主への説明を行う予定です。

<開示している主な原則>

【原則1-4 いわゆる政策保有株式】
当社の政策保有に関する方針及びその議決権行使についての基準は以下のとおりです。
・ 政策保有に関する方針
上場株式を保有しないことを原則といたしますが、業務提携その他経営上の合理的な目的に基づき保有する場合には、その目的に応じた保有であることを定期的に確認いたします。
・ 政策保有株式に係る議決権の行使についての基準
政策保有株式に係る議決権行使については個別に判断いたしますが、対象会社の企業価値を毀損するおそれがある議案については特に留意して判断いたします。

【原則1-7 関連当事者間の取引】
当社は、関連当事者との間で重要な取引が発生する場合、法令や社内規程に基づき、必要に応じて取締役会で決議し、当該取引の実施を決定しております。関連当事者との取引に係る条件については、外部の専門家の意見を踏まえ、市場価格を勘案した一般的な取引と同等の条件としております。また、関連当事者との重要な取引について、その概要を有価証券報告書等において開示しております。
【原則3-1 情報開示の充実】
(i)企業理念、中期経営計画等を当社ウェブサイト及び決算説明資料等に掲載しております。
(ii)コーポレート・ガバナンスの基本方針を当社ウェブサイト、コーポレート・ガバナンス報告書及び有価証券報告書に記載しております。
(iii)監査等委員である取締役を除く取締役及び監査等委員である取締役の報酬等については、株主総会の決議によるそれぞれの報酬総額の限度内で、会社の業績や経営内容、経済情勢等を考慮し、監査等委員である取締役を除く取締役の報酬は取締役会の決議により決定し、監査等委員である取締役の報酬は監査等委員会の協議により決定しております。
(iv)取締役候補の指名を行うに当たっての方針・手続きについては、社内規程等で定めておりませんが、当社の企業理念に基づき、当社の現在の事業規模やステージに鑑みて、管掌部門の課題を的確に把握し、他の役職員と協力して課題を解決する能力があること、法令及び企業倫理の遵守に徹する見識を有すること等を総合的に判断し、選定及び指名を行うこととしております。また、社外役員の独立性に関しては、東京証券取引所の定める独立性の要件に従い、当社との間に特別な人的関係、資本関係その他利害関係がないことで独立性を有しているものと考えております。なお、社外役員の選任理由については株主総会招集通知及び有価証券報告書に記載しております。
(v)社外取締役候補者の選任理由については株主総会招集通知にて開示しております。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、IR管掌取締役を選任するとともに、グループ経営戦略部をIR担当部署としております。株主・投資家に対しては、決算説明会を原則半期に一回開催するとともに、都度、個別取材等を対応する方針とし、実施しております。

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