(2477:東証マザーズ) 比較.com 宿泊予約サイトコントローラ拡大

2017/09/20

hikakucom

今回のポイント
・2017年上半期の訪日外国人旅行者数は1,375.7万人と前年同期比17.4%増加した(日本政府観光局)。日本政府は、2020年の訪日外国人の目標を4,000万人としており、受け入れ態勢の整備に力を入れている。訪日外国人の増加を受けて宿泊業界は活況だが、今では訪日外国人に限らず、宿泊予約は予約サイトの利用が一般的。同社は予約サイトのコントロールに不可欠なシステム(コントローラー)のパイオニアであり、現在、3,000以上の宿泊施設ユーザーを抱えるフロントランナーである。・宿泊予約サイトコントローラとは、複数のオンライン予約サイトの在庫・料金等の情報を一括管理するシステム。宿泊施設の予約業務を効率化する事で、販売チャネルの拡大を可能にすると共に、運用コストの削減にも寄与する。同社は「TEMAIRAZU」のブランドで宿泊予約サイトコントローラを提供しており、同事業の売上が全体の90%以上を占める。17/6期は前期比14.4%の増収、同15.0%の経常増益となり、2期連続で最高益を更新。18/6期は前期比14.8%の増収、同25.6%の経常増益と引き続き最高益更新が見込まれる。

・客室稼働率が高止まりする中、関東・関西や地方都市で宿泊施設数が増加している事や、日本政府等の積極的なインバウンド誘致施策の取り組みが追い風となっている。更なる事業の拡大には、新規ユーザーの獲得が必要である事は言うまでもないが、海外を中心に、より多くの宿泊予約サイトとの接続も不可欠。インバウンドの窓口となる海外の宿泊予約サイトとインバウンドの取り込みに力を入れる日本の宿泊施設の橋渡し役となる事で事業を拡大させていく考え。

会社概要

宿泊予約サイトコントローラ「TEMAIRAZU(手間いらず)」シリーズの開発・提供を中心に、比較サイトの運営を行っている。宿泊予約サイトコントローラとは、複数のオンライン予約サイトの在庫・料金等の情報を一括管理するシステム。宿泊施設の予約業務を効率化する事で、販売チャネルの拡大を可能にすると共に、運用コストの削減を実現する。

【事業内容】

事業は、宿泊予約サイトコントローラ「TEMAIRAZU」シリーズの開発・提供を行うアプリケーションサービス事業と、比較サイトの運営を通して広告収入を得るインターネットメディア事業に分かれ、17/6期はアプリケーションサービス事業が売上高全体の92.8%を占めた(連結調整前の営業利益ベースで96.2%)。

アプリケーションサービス事業

ホテルや旅館等の宿泊施設を顧客とし、宿泊予約サイトコントローラ「TEMAIRAZU」シリーズの開発・提供を行っている。「TEMAIRAZU」シリーズは、インターネットが接続できれば場所を選ばず、面倒な設定をする事なく利用が可能。更新が自動かつスピーディーなため、オーバーブッキングも回避できる。

宿泊予約サイトによるWeb上での予約が始まって間もない2002年にインストール型予約サイトコントローラ「手間いらず!」をリリースし、2010年6月にクラウド上でサービスを提供する「手間いらず.NET」としてASP化した。ASP化した事で、パソコンの性能に依存せず、また、インターネットに接続できる環境であれば、場所を選ばず予約管理ができるようになり、使い勝手が一気に向上した。また、自社宿泊予約システム、海外宿泊予約サイト、ホールセラー(法人向け卸売)のシステムと言ったWebサービスの連携が進んだ事に加え、PMS(予約から客室管理、請求までを処理する宿泊施設の基幹システム)、リアルエージェント(旅行会社)の予約システム、更には「CRS(航空会社系のコンピュータ予約システム)との連携も可能になり、インバウンド集客にも有効なシステムとなり、需要が急増した。

2015年にブランドを「TEMAIRAZU」に改め、現在、「TEMAIRAZU」シリーズとして、インテリジェントな機能を搭載したシステムである「手間いらず.NET2」及び「TEMAIRAZU YIELD」をラインナップしている。「TEMAIRAZU YIELD」は、従来からの機能に加え、宿泊施設への予約の需要を予測し、先々の販売に対し客室単価の割引や値上げ、また販売先の制限を行い、戦略的に収益の最大化に寄与するイールドマネジメントなど最新の機能をフルに搭載しており、「手間いらず.NET2」は一部の最新機能を省く事で価格を抑えた。両システム共に、在庫・料金等の情報を一括管理する利便性だけでなく、稼働率と平均客室単価の向上が可能で、労働コストの削減もより意識された。月額の固定料金と利用件数に応じた従量制の料金体系をとっている。

インターネットメディア事業

比較サイト「比較.com」を中心とした広告媒体の運営を行っている。広告主のウェブサイトへユーザーを誘導し、成約件数に応じた手数料収入を得る「顧客誘導サービス」と保険や引越しの各種見積もり・資料請求等に応じた手数料収入を得る「情報配信サービス」のアフィリエイト広告を中心に、バナー、テキスト、記事コンテンツ等の広告業務を行っているが、広告に依存した事業構造から脱却するべく、抜本的な事業構造の見直しを進めている。

2003年08月、比較サイト「比較.com」の運営を目的に、資本金250万円をもって設立された。2005年11月にはロボット型比較検索エンジンによる価格比較サービスを開始する等、順調に業容が拡大。2006年3月に最低資本金規制特例制度を利用した会社として初めて東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場した。

上場後は、新規事業の育成にも取り組み、2007年6月にインストール型宿泊予約サイトコントローラ「手間いらず!」の開発・販売を手掛けていた有限会社プラスアルファを子会社化(同年10月に株式会社に改組)。2008年4月には日本で初めてダイナミックパッケージを展開したオンライン旅行会社のグローバルトラベルオンライン株式会社(2009年4月、予約.com株式会社)を住友商事株式会社から譲受した(ダイナミックパッケージとは、交通手段とホテル等の宿泊施設を所定の範囲内で自由に選択できる旅行商品)。

ただ、リーマン・ショック後の景気悪化と株価下落による証券会社向けのサービスの落ち込みで07/6期から09/6期にかけて3期連続の営業・経常・当期損失を余儀なくされた。このため、事業が拡大していた宿泊予約サイトコントローラ(アプリケーションサービス事業)に経営資源の集中を図ると共に、グループの再編とサービスの集約を進めた。この一環として、2009年4月に比較.com(株)に(株)プラスアルファを統合し、社内に「手間いらず事業部」を設立。2010年6月にはクラウド上でサービスを提供するASP型「手間いらず.NET」の販売を開始した。ASP化を契機にアプリケーションサービス事業が急拡大する中、事業が伸び悩んでいた予約.com(株)を比較.com(株)に統合しオンライン旅行事業を手仕舞った(2014年4月)。

2015年2月にブランドを「手間いらず」から「TEMAIRAZU」に変更。2016年7月には豊富な新機能を搭載した「TEMAIRAZU YIELD」と投資する新機能を絞り込む事で価格を抑えた「手間いらず.NET2」を発売した。

*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
2017年6月期決算
前期比14.4%の増収、同15.0%の経常増益

売上高は前期比14.4%増の9億19百万円。事業の再構築を進めているインターネットメディア事業の売上が減少したものの、宿泊予約サイトコントローラ「TEMAIRAZU」シリーズの開発・提供を行うアプリケーションサービス事業の売上が同18.5%増の8億53百万円と伸びた。

利益面では、システム開発等に係る労務費を中心にした売上原価の増加や人員の増加に伴う販管費の増加を吸収して営業利益が4億77百万円と同15.1%増加した。当期純利益が同39.8%増と伸びたのは、前期に過年度法人税等の計上があった反動等による税負担率の低下による。

配当は、1株当たり年6.5円増配の期末10円を予定している(配当性向20.2%)。

アプリケーションサービス事業

2016年7月に新商品「手間いらず.NET2」と「TEMAIRAZU YIELD」を発売すると共に、国内外の予約サイトとの接続(システム連携)や営業活動を強化した。「手間いらず.NET2」については、オーバーブッキングのリスクを回避し販売機会を最大化させる予約情報取得速度高速化機能や価格引き上げ・自社サイト販売(予約サイトを経由した予約の取り込みは手数料が発生する)等の判断材料になる近隣でのイベント情報等を提供する短時間集中予約発生アラート機能を搭載した。一方、「TEMAIRAZU YIELD」については、日ごとの平均客室単価の最適化を図るため予約サイトに登録する料金を在庫数に応じて日数ごとに自動で調整するターゲットプライス機能や、予約サイトでの販売にかかる手数料の最適化を図るために、状況に応じて手数料の安い予約サイトを自動で選択し販売調整を行う販売チャネル自動調整機能等のイールドマネジメント機能が搭載されている。

システム連携では、宿泊マッチングプラットフォーム「TATERU bnb」((株)iVacation)、旅行会社用ホテル予約システム「JAC Travel」(英国ホールセラー)、同「Hikari Global」(韓国ホールセラー)、海外向け自社ホームページ用インバウンド予約ツール「ペリカンホテルソリューション」(Hotelexchange LLC)、自社予約システム「BookingSuite」(オランダBooking.com社)と連携した(「TEMAIRAZU」シリーズを導入している宿泊施設の訪日客集客のためのチャネル拡充につながる)。また、JRグループの情報通信サービス会社である鉄道情報システム(株)が提供している「リアルエージェント予約通知サービス」(旅行会社から宿泊施設への予約通知を一元管理するシステム)とのシステム連携を強化した事で、宿泊施設が旅行会社に販売を委託した客室が返室された場合の旅行サイトでの在庫表示が自動で行われるようになった(自動返室機能・再販売機能)他、旅行会社委託分の返室数・予約数が「TEMAIRAZU」の管理画面で確認できるようになった。

この他、宿泊予約サイトの「agoda」(タイ)、「Booking.com」(オランダ)や「Expedia」(米国)と販売促進のためのキャンペーンを実施した他、各地で展示会への出展を行った。また、関西地区でのインバウンド市場の成長を鑑み、大阪営業所を開設した。

インターネットメディア事業

比較サイト「比較.com」において、広告出稿の最適化、ユーザーインターフェイスやサービスの統廃合、コンテンツの再構築等を実施した。現在、広告に依存した事業構造から脱却するべく、抜本的な事業構造の見直しを進めている。

2018年6月期業績予想
【商号を「手間いらず株式会社」に変更】

2017年9月27日開催予定の株主総会で定款の一部変更が承認される事を条件として、商号を「手間いらず株式会社(英文:Temairazu, Inc.)」に変更する。比較サイト「比較.com」の運営(現インターネットメディア事業)からスタートした同社だが、現在の収益の柱は、株式公開後に取り組みを始めた宿泊予約サイトコントローラ「TEMAIRAZU(手間いらず)」シリーズを開発・提供するアプリケーションサービス事業であり、今後の成長ドライバーとして期待されている。このため、宿泊予約サイトコントローラ「TEMAIRAZU」シリーズ」の更なる認知度・ブランド力の向上と効果的な事業展開を図るべく、サービス名の「手間いらず(TEMAIRAZU)」を社名とする事とした。

前期比14.8%の増収、同25.6%の経常増益

売上高は前期比14.8%増の10億55百万円。けん引役はアプリケーションサービス事業で、「TEMAIRAZU」シリーズの新規契約やバージョンアップが増加するとみている。また、海外・国内のサイト接続の拡大と民泊市場への対応に力を入れる他、営業体制の強化と共にプロモーションを積極展開していく。一方、抜本的な事業構造の見直しを進めているインターネットメディア事業は引き続きサービスの統廃合やコンテンツの再構築に取り組んでいく。

営業利益は同25.9%増の6億円。開発体制や営業体制強化のための人材投資、組織管理体制の強化、更には教育体制の整備やリスク管理面でのコスト増等を織り込んだものの、営業費用はわずかな増加にとどまる見込み。

配当は1株当たり期末10円を予定している(予想配当性向17.5%)。

今後の注目点
客室稼働率が高止まりする中、関東・関西の中心エリアや地方都市で宿泊施設数が増加している事や、日本政府を中心とした積極的なインバウンド誘致施策の取り組みが追い風となっている。同社のビジネスは契約積み上げ型ビジネスのため、今期の業績に不安はないが、持続的な成長には、新規ユーザーの獲得と、海外を中心にした、より多くの宿泊予約サイトの取り込みが不可欠だ。このため、引き続きシステム連携(海外・国内サイト接続)に力を入れると共に、人員増強と営業エリアの拡大で営業体制を強化していく考え。8月には九州・沖縄での営業を強化するべく、福岡営業所を開設した。この他、販売促進のための海外宿泊予約サイトとのキャンペーンや各地での展示会への出展にも力を入れる。もう一つの成長要因となり得る民泊市場への対応と共に注目していきたい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書        更新日:2017年03月31日

基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、企業価値を継続的に高めていくために不可欠な経営統治機能と位置づけており、コーポレート・ガバナンス体制の強化及び充実に努めております。また、迅速かつ適切なディスクロージャー(情報開示)の実施と、意思決定における透明性及び公平性を確保することがバランスのとれた経営判断につながり、コーポレート・ガバナンスを有効に機能させるうえで重要であると考えております。
当社におけるコーポレート・ガバナンスは、取締役会の適時適切な意思決定により、各取締役がその担当職務の執行を迅速に行える体制を整えております。また、当社は少人数小規模組織ではあるものの、社内規程や業務マニュアルを制定し、その規程等に従って業務活動を行っております。これらの経営上の意思決定や業務活動については、定期的な監査役監査および内部監査により内部統制を働かせております。
また、当社ではコーポレート・ガバナンスを経営統治機能と位置づけており、企業価値を継続的に高めていくための不可欠な機能であるとの認識に基づき、コーポレート・ガバナンス体制の強化および充実に努めております。また、株主に対する説明責任を果たすべく、迅速かつ適切な情報開示の実施と意思決定における透明性および公平性を確保した経営を行って参ります。さらに、健全な倫理観に基づくコンプライアンス体制を徹底し、株主、投資家および事業パートナーをはじめとするステークホルダー(利害関係者)の信頼を得て、事業展開を行って参ります。

<実施しない原則とその理由>

当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。

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